軍師の心、王知らず   作:御子柴

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三国志13を買いました。
数日後にpkの発売が決まりました。
是非もないネ!!


三話目

 

 

 

毎朝目が覚めて、まず自分の居場所を確認する。

 

そうして見慣れた部屋を見て思うのだ、今日も無事一日が始まると。

 

 

 

 

ふと気が付くと、お日様は丁度お空の真上。

 

今日は非常に穏やかに内政に励めており、願わくばこのまま平和的に事務仕事を終えたい。

 

そして心穏やかというか、仕事のモチベーションが保てている理由がもう一つ。

 

椅子に座り、背筋を伸ばし政務に勤める姿勢を少しでも見習えたらと思う今日この頃。

 

それにしても、その黒ストに組んだ御身脚は年頃の男子にとって目の毒だとは思いませんか?そうですか…。

 

「一刀さん」

 

「はい、なんでしょう」

 

「そんなに私の脚が好きですか?」

 

小悪魔めいた笑みを浮かべる彼女に、俺は元気良くはいと返事を返す。

 

いいよね、脚。

 

以前に仕事のご褒美として膝枕をしてもらったことがあったけれど、あれは良かった。

 

加えて耳掃除のおまけつき。

 

余りの用意の良さと女子力の高さに、思わず結婚を申し込みそうになった。

 

男ってバカね。

 

「では、そろそろお昼にしましょうか。今日の分の目途は付きましたし、

久し振りにまた膝枕とやらをしてあげても良いですよ…って、どうして泣いてるんですか!?」

 

お昼を一緒して貰える上に、膝枕までして貰える。

 

こんなに幸せで良いのでしょうか。

 

「寧ろ私は、こんなことで貴方が満足してくれるのが驚きです。

貴方はもっと成果に見合った見返りを求めても宜しいのですよ?」

 

こんなことだなんてとんでもない。

 

数多の男が欲しても手に入らない、至高の夢なのですぞ!!

 

どうでしょう。

 

1の政務に対して、1膝枕。

 

それ以上の成果を上げれば耳掃除の特典が------

 

「却下です」

 

デスヨネー。

 

「そもそも貴方以外の男に膝を許すなんて、あぁ…考えただけでも悍ましい」

 

光栄ですな。

 

「顔、紅いですよ?」

 

うるさいやい。

 

男はピュアで、シャイなんだい!!

 

「ふふっ…では、そんな恥ずかしがり屋さんをこの美少女軍師がお昼に誘ってあげましょう。

さ、今日は遠征で将兵が出払っていますから、静かに過ごせると思いますよ」

 

ウィンクされながら扉まで手を引かれる。

 

その表情に見惚れていた自分を振り返り、一言。

 

男ってバカね。

 

 

 

 

-----神は死んだッ!!!

 

「はい、これは処理済みッス。あと一刀氏、そこはほら、”朝廷は死んだ!!”ぐらい言わないと」

 

おぉう、これが叛逆か…。

 

ていうか沮授様、それは結構な煽りを含んだブラックユーモアでは?

 

場所が場所なら、かなりの失言ですぞ。

 

「良いんすよー、どうせ一刀氏しか居ないんすから。

それにぃ、あたしだって折角の休日に駆り出されて悲しみに暮れてるんですぅ」

 

頬を膨らませながら口を尖らせても、竹簡の山は減りませんぞ軍師殿。

 

「そーなんすけどぉ。ったくもう、なんで麗羽様もいきなり真直氏呼び出すかなー。

今日は軍師を除いた遠征だって、あんだけ息巻いてたのになぁ」

 

そう。

 

悲しみに暮れていた理由はそれなのだ。

 

田豊さまが連れて行かれた。

 

突然文醜将軍が現れたと思ったら、「ごめんな真直…でも麗羽さまの命令だから。アニキは昼からの仕事は誰かに手伝ってもらってな」

 

と、そう言い残して行ってしまわれた。

 

あぁ、麗しの膝枕耳かき。

 

今までも何度かこうして田豊さまとの予定を狂わされていたが、今回はちょっと胸に開いた穴が大き過ぎる。

 

「ぶー。いくら田豊にお熱だからって、あたしの前で溜め息ばっか吐かれるのもナー」

 

失礼致しました。

 

ただ、自分のような者が美少女軍師と触れ合う機会など一生に数えるほどしかないものなので…。

 

「そんなに膝枕と耳掃除して欲しかったんすか?」

 

そりゃあモチのロンだよワトソン君!!

 

あの染み一つないスベスベ艶々の脚に頭を乗せる感覚。

 

細すぎず、かといって太くはない。

 

適度な肉付きから生まれる低反発の弾力と、人肌の温もり、女の子特有の甘い香り。

 

男の夢の結晶があの膝に詰め込まれているのだっ。

 

その機会を奪うなんて、あの君主人間じゃねぇ!!

 

「えぇ…ちょっと言い過ぎでは?」

 

あれが人間のやることですか!!

 

----なんて偉ぶって言ってはみるものの、要は女の子とイチャイチャできるのが男にとって至高の癒しなのだ。

 

男ってバカね、是非もないね!!

 

「ふーん。それじゃ、やったげましょうか」

 

「えっ?」

 

「だからぁ、膝枕と耳掃除でしたっけ?あたしがやってあげましょうか?って。これでも結構な美少女でしょう?あたしも」

 

くるりとその場で一回転する沮授様をまじまじと見つめてしまう。

 

「あー、なんすかなんすかその目は。言っときますけど、あたしだって誰でもこんなことしませんからね?

寧ろ男の人にするのは一刀氏が初めてなんですから。あ、これってあたしの初めてを一刀氏に捧げるってこと?」

 

きゃっ、あたしってば箱入り娘?

 

なんて自分で何やらきゃーきゃー盛り上がっている沮授様。

 

一方、俺はというと頭上にはてなマークが3つくらい浮かんでいた。

 

というのも、この目の前で乙女チックしている沮授様はガードが堅いことで有名なのだ。

 

言葉遣いこそ接し易く、礼節を欠いているように見えるが、その実彼女に手を出そうとしたものはその悉くが玉砕していると聞く。

 

 

「良いか北郷。ウチの軍はいいとこ育ちの貴族なんかが多いから、それに夢見て兵士になるやつがごまんといる。

だが、実際にその夢をかなえた奴は本当に一握りの奴らだけだ。覚えとけ……」

 

「一握りの秘宝、ワンピースか…」

 

 

夕焼けをバックにやけにノスタルジックに語ってくれた田豫さん。

 

イケメンだし器用に何でもこなすし、ほんとなんで結婚してないんだあの人。

 

「なんていうか、お友達でいましょうねって感じ?」

 

で、出たー!!

 

男の心をへし折る凶悪な言葉!!

 

「それで膝枕、するの?しないの?」

 

「やります」

 

即答でした。

 

 

 

 

 

 

 

「はい、どーぞ。美少女軍師の膝枕ですよ」

 

美少女軍師、流行ってるのかな。

 

誰が最初に言い出したんだろう。

 

あっ、俺だった。

 

「ねぇねぇ一刀氏」

 

はい?

 

「流石に何か言ってくれないと、あたしも恥ずかしいんだけど…あんま気持ち良くないっすか?」

 

不安そうに窺う沮授様に言葉を失ってしまった。

 

大丈夫?結婚します?

 

「とても快適です。正直な話、感動しすぎて言葉に詰まってます」

 

「そっか…そっかそっか」

 

危うく心の中の声が漏れるところだった。

 

っていうかこの人ずるくない?

 

普段は飄々としてるのにこういう時に女の子の一面見せるとかさ。

 

誘ってんのか美少女軍師ぃ!!!

 

男はオオカミなんだぞ、気を付けなさいー。

 

「あ、ふふっ…なんかこれする方も楽しいっすね。一刀氏の体温とかも感じられて温かいです」

 

髪の毛やら耳やらをさわさわと撫でながらはしゃぐ沮授様。

 

「そうだ、耳掃除もでしたね。じゃあ、早速やっていくんで動かないで下さいねー」

 

随分と手馴れています?

 

「んー、これでも母からそれなりに厳しく育てられたんっすよ。実はあたしってば結構尽くす乙女だったり」

 

手際良く耳の中に耳かきを進めていく彼女は、女子力53万ぐらいだろうか。

 

「まぁ、さっき話した通り、男にするのは初めてなんで痛かったりしたらめんごですよ」

 

やっぱ30万くらい?なんて思ったのもつかの間。

 

普段の言葉遣いや態度とは裏腹に、沮授はかなり繊細な手付きで掃除を進めてくれた。

 

リラックスしきった身体と心。

 

これ以上なく距離は近いのに、やけに遠くに聞こえる沮授の言葉が子守唄のように流れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに演習を神懸かり的な采配で完勝した田豊が戻って来た際、

沮授に一刀を取られたと勘違いした彼女の誤解を解くのには非常に骨が折れたという。

 

 

 

 

 




華琳さまに膝枕されて、耳かきされたいだけの人生だった。




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