ここは地球とは違う世界の大陸ハルケギニア、そこにある国の一つトリステイン王国にある王立魔法学院に在籍する一人の少女。
名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
今彼女は崖っぷちに立たされていた。
「宇宙の果ての何処かにいる私のシモベよ、神聖で美しく!そして、強力な使い魔よ!!私は心より求め訴えるわ、 我が導きに答えなさい!!!」
彼女が全力を込めて呪文を叫び、それに比例するかの用に大きな爆発が巻き起こる。
その光景に周りの人間はまたかと思う。
「おいおい、ヴァリエールまたかよ」
「もういい加減にしてくれよな」
周りの人間は口ぐちに爆発を起こした彼女に文句を言う、爆発を起こした彼女もまた失敗してしまったと思い挫けそうになる。
他の生徒は分かっていないし分かろうともしていないが、彼女は誰よりも誇り高い貴族であろうとしていた。国の中でもトップと言ってもいい有力な貴族の家に生まれ、その名に恥じぬ貴族になろうという気高き理想を持っている。
その理想を理想で終わらそうとせず、彼女は人一倍努力していた、勉強ならばクラスの誰よりも多くやり、魔法の練習も誰よりも真面目にやってきた。しかしそんな努力をあざ笑うかのように魔法の成功と言う求め続けた結果は、一度たりとも彼女に訪れなかった。
成功しない努力をし続ける彼女の姿は、生徒たちの目には無様に映り嘲笑の対象となる。さらに元々家柄が低いのならいざ知らず、家名を出せば貴族の間では知らぬ者はいないほどの彼女の生まれがさらに自身を追い詰める。
あいつは名門の生まれなのに落ちこぼれ、そんな事を言われ続けるのだ。
生徒達は普通では絶対に超えることの出来ない【家】という差を埋めるように、貴族のステータスである魔法の力量が全くない彼女を侮辱し続ける。
そんな中で今日は自身の一生のパートナーと言える使い魔を召喚する儀式が行われる、それによって自分の進路が決まると言ってもいい重要な儀式なのだ、汚名を返上する最大にして最後のチャンスとも言えるこの儀式を失敗してしまったのだ、彼女の受けた絶望は計り知れない物があっただろう。
だが誰もが失敗したと思っていたその時、爆発によって巻き起こった煙の中から何か音が聞こえる。
ブォオオオオンと聞いたことのないその音に、何かいるのかと周りも彼女も思う、音はどんどん近くなっていきやがて爆音と呼べるような音になる。
「どぉわあぁあああああああ!!!!」
煙の中から何かが飛び出し悲鳴と共に転がり回る、その光景に周囲は唖然とし時が止まった様に押し黙るのだった。
しかしそれも数秒の事で再び彼らは笑い始める。
なぜなら飛び出してきた物と者は奇妙としか言えなかったからだ、それは青い色をしたバッタを思わせる様な物に車輪の様な物が2個付いている置き物、もう一つはまるで甲冑の頭の様な物を被っているが体には特に目立った鎧などは来ておらず、このあたりでは見ない服装だが普通の服を着ている。
普段嘲笑の対象としている者が召喚を成功させて驚たが、やっぱり失敗だったのだと決めつけたのだ。
普通は相性の良い幻獣などが呼び出されるので、人間がしかも平民と思われる者が出たのが失敗と断定した原因だった。
ルイズの方も最初は成功したと思ったが、やっぱり失敗だったのかと思い悲しみと怒りがこみ上げてくる。
それを隠さずに、ぶすっとした顔をしながら男に近づき
「あんた誰?」
と出てきた男に言うのだった。
彼の方も混乱していた、いきなり煙が出てきたと思ったらスリップしてこけてしまった。そこまではいいのだが起きて周りを見回れば景色は変わり、大勢の人間が魔法使いの様な服装に身を包んで自分の周りに居たのだ。
ローブやマントに身を包んでいるというと嫌なことしか思いださないが、取りあえず敵意は無いというのは理解できる。
様々なトンデモ体験を彼は多く経験してきたが、流石にいきなりこんな事が起これば混乱するなと言う方が無理である。
するとその中の一人の女の子が自分に近づいて来きて
「あんた誰?」
と、ぶすっとした顔で質問されたのだ。
今がどういう状況なのかまだよく分からないが、目の前に美少女がいて自分の事を聞いて来たのなら答えなければならない。彼女を見て後4年くらい経てば口説き文句の一つでも言うところだけどな、と思ったが口には出さず質問に答える。
「お譲ちゃん、人に話すのに礼儀がなって無いんじゃないかな?まぁいいけど、俺の名前は光太郎、南光太郎」
そう言いながらヘルメットを外し自己紹介を続ける。
「見ての通りの好青年さ」
爽やかな笑顔をして自身満々にそう答えたのだった。
この回答にルイズは頭が痛くなってきたが、実は召喚の時に言っていた【宇宙の何処かに居る神聖で美しく強力な使い魔】という条件を、大体クリアしている大当たりの使い魔が、目の前の男だとはこの時はルイズも含め誰も気づく事は無かったのだった。