「まったく、ルートがまた故障なんてめんどくせーよな」
愛機のバイクであるアクロバッターに跨り爆走する光太郎、市と市の間に設けられたルートと呼ばれる移動装置が、故障して使えなくなっていたために、丁度いいと思い久々に相棒とのツーリングを楽しむ事にしたのだ。
移動中に光太郎は世界中で暴れまわったテロリスト達との戦いを思い出していた。あの時もルートがよく故障して足止めを食らって大変だったものだ、一緒に戦っていた仲間の一人から後で聞いた話だと、ルートの修理代に「一億くらい寄付していただければなんとかなります」とか言われたりしたこともあったと言うから何かとルートには因縁がある。
しかし移動手段がルートだけかと言われればそうではない、普通に移動する事も決して不可能ではないのだが、野生の怪獣や怪人もいるし山賊まがいの連中もいる、普通の道は一般人には危険だというだけだ、数々の戦いを繰り広げた百戦錬磨の彼にとっては、時間がかかる以外に特に困る事は無い。
「このところ特に大きな事件も無いし暇だからいいけどさ、なんで使いたい時に壊れるんだか」
ルートは工事中ですので使えません、現在は転送センターが占拠されてしまったので使えません、戦争が起こるかもしれないから簡単にルートを開けないよ、数え出せばキリが無いくらいに使いたい時に使えないルートである。
「なんか俺達が行こうとしている先々で不都合が起こるってひっでぇよなぁ、お前もそう思うだろ?」
アクロバッターに声をかける、するとアクロバッターは相槌を打つかのように目を光らせる、アクロバッターはタダのバイクでは無く意思を持った存在でこうして会話も出来る。
移動中の時間潰しの会話を楽しもうとした矢先に、突如前に何かが浮かびそれに入ってしまったのだ。
「へ?うぉ!!どぉわあぁあああああああ!!!!」
そして盛大に滑り今に至るのだった。
〇〇〇〇〇〇〇
「見ての通りの好青年さ」
完璧(光太郎視点)な名乗りを披露し、キャーキャー黄色い声援がくるだろうと思っていた光太郎だったが周りの反応は大笑いだった。
「ははは、ヴァリエールの奴平民を召喚したぞ」
「やっぱりゼロだな」
その反応を見て光太郎は首をかしげる、黄色い声援が百歩、いや千歩ほど譲ってこなかったとしても笑われる様な事は言って無いはずだと思っているからだ。
すると質問に答えたはずの目の前の少女は、より一層不機嫌になり光太郎の元から去っていき、何やら頭の薄いおっさんと会話をし始めたのだ、それもかなり必死に。
数回問答があり会話が終わったらしく、かなり深いため息をついて光太郎のところに戻ってくる。
「か、感謝しなさいよね、普通は平民が貴族にこんなことしてもらうなんて絶対に無いんだからね!!」
平民?貴族?パープリンのジオンの坊ちゃんが言いそうな言葉が出てきて、ますます頭が混乱する光太郎にルイズは追撃を加えるように何やら言い出す。
「我が名は、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン、この者に祝福を与え、我が使い魔となせ」
ルイズがそう唱えると光太郎にキスしたのだった。
「い、いきなり何しやが…ん?…あだだだだだ!!」
美少女にキスされて悪い気はしないがいきなりやられては誰だって驚く、だがそれ以上問題だったのは光太郎の左手に突如として激痛が襲ったのだ。
何だ一体?ゴルゴムの仕業か?あ、いやゴルゴムはもう倒したんだっけ?など自分を襲った不可解なダメージのせいで混乱した頭は関係ない事を考える。
「大丈夫よ、使い魔のルーンが刻まれているだけだから」
とルイズは若干覚めた感じで光太郎を見ているが彼はそれどころじゃ無かったのだった。
〇〇〇〇〇〇〇
話は変わり少し時間も進むが光太郎が元に居た世界の事を話そう。
彼のいた世界の名前は惑星エルピス、三つの大陸が存在する青き惑星。
ライダー大陸、ウルトラ大陸、ガンダム大陸と呼ばれる三つの大陸はそれぞれの独自の文化を作り栄えていた。
ライダー大陸はサイボーグ技術などの遺伝子工学が発達し。
ウルトラ大陸は超能力者などの特異な能力を持った存在が多く生まれ。
ガンダム大陸はモビルスーツ等のロボット工学が発達していた。
しかし豊かな自然と豊富な資源があり、様々な文化が発達しているこの星でも人々は争いを捨てることは出来なかった。
紛争や世界征服と企む悪の組織や侵略宇宙人などの様々な脅威に人々は怯えていた。
この脅威を払しょくすべく三つの大陸の、エゥーゴ、光の国、ライダー連邦の3国が連盟共同で連盟特別大使と言う名の超法規的組織を作った。
その名はゼット・エクストラディナリィ・ユナイテッド・スペース、略してZ・E・U・S(ゼウス)
ゼウスは全ての権力に縛られず全ての国が彼らへの命令権を持たない、【平和を守る】という至上の目的のために有りとあらゆる権限を有し戦い抜く究極のチーム。
彼らは激化していく世界の混乱を阻止すべく激戦へと身を投じて行った。
そして混乱の最大の原因とされていたアポロンを打倒し世界は一応の安全を取り戻していた。
ゼウスに所属していたチームは一時解散したものの、彼らの役目はまだ続いており、バラバラになりながらも世界の平和を守っていたのだ。
アポロンが倒れてから数か月が経ち戦火に見舞われた街なども復興が進んでいた、そんな矢先にゼウスの主力メンバーの一人で有った南 光太郎が行方不明になったとの知らせが入りこんだのだ、これが新たな戦乱の引き金に……はならないのだが心配な事には変わりは無い。
「と言うわけで光太郎さんの行方が分からなくなり、事件の可能性も捨てきれないため一度皆さんにお集まりいただいた訳です」
そう喋るのはゼウスの総指揮官である万能コンピューター、ハロ9000、彼は便宜上は指揮官という立場だが指揮官と言うよりは連絡係の様な物である、主な任務は情報収集、各国の救援要請の授与等を受け持ちメンバーに伝えるのが彼の主な任務である、ゼウスはその行動の特異性と設立の背景からハロ9000は命令では無くメンバーに、お願いして行動をどうするのかはメンバーが決めるという形になっている。
実際はメンバーの全員が、人の被害を見過ごせない様な奴の集まりなのだが形式は形式で必要なのだ。
「そうか、それで最後に光太郎が見つかったのはどこなんだ?」
ハロ9000に質問するのはモロボシ・ダン、ウルトラセブンに変身し主力チームの中でもリーダー的存在だった男である。
「ええ、通信機も発信機も何も感知出来なかったんですからまずは現場に行きませんと」
彼の名はアムロ・レイ、モビルスーツ、νガンダムを乗りこなし活躍したエゥーゴのエースパイロットであり若いながらに大尉という階級に恥じぬ実力者である。
「ナンちゃん大丈夫かな……」
「ダンナのことですから無事だとは思いやすが、あっしも心配でさぁ」
本部であるダカール市にある参謀ビルには、全員が集まった訳ではないが光太郎の消息を追って、多くのメンバーが集まり会議とそうだんを続けるのだった。
〇〇〇〇〇〇〇
話しは戻りゼウスのメンバーが光太郎の事を捜索し始める数日前の事。
惑星エルピスとは違う世界ハルケギニアにルイズによって呼び出された、光太郎は左手の痛みに悶絶していた。
「うむ、どうやらコントラクト・サーヴァントは上手く行った様ですな」
光太郎の左手を見てそう呟くのは頭の薄いおっさん事ジャン・コルベール、この使い魔召喚の儀式の監督責任者であり魔法学院の教師の一人でもある。
彼は光太郎の左手に刻まれたルーンを見て珍しいと思いスケッチをすると、全員の使い魔の召喚が取り合えず無事に済んだので生徒たちに教室へ帰るように指示するのだった。
「ヴァリエールは歩いて帰れよ~フライもレビテーションも使えないんだからな」
生徒達は杖を取り出しルーンを唱え飛び上がる、学院までは結構距離があるので大体の生徒は空を飛び帰ろうとする。
その光景を見て光太郎はどうやって空を飛んでいるんだろうと疑問に思うが、モビルスーツなどの兵器をコールすれば呼び出せるパーソナル転送システムの方がよっぽど不可解なので、それほど気にはしなかった。
光太郎が空を眺めているとルイズが近づき、着いてきなさいと声をかける。
「ん?なんでだ?」
「い・い・か・ら黙ってついてきなさい」
「んなこと言われてもな……あーえっと、お嬢ちゃん名前は?」
「口の利き方がなってないわね……まぁいいわ、私の名前はルイズ、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ」
「ルイズ・レモンサワーズ・ルブランデー・ドラ焼きアリエール?変な名前だな」
「ルイズしかあってないわよ!!!!」
軽い漫才を披露し無駄な体力を使う、彼としてはそれなりに真面目に答えているのだが、ゼウスの適正訓練において体力テストは抜群だったが、知力テストはドベだった彼ではこんなところである。
「ところで他の連中は空を飛んでいったけど、お嬢ちゃんは飛ばないのか?」
光太郎はふと気になった事を口にする、しかしこれが地雷だとは気づいていない。
この質問に対し明らかに不機嫌になるルイズであり回答は
「うるさいわね……」
で終わらされるのだった。
しかしよく見ると他の生徒達が向かって行った場所には結構な距離がある、これを歩いて行くとなるとそれなりに時間がかかる。
「あそこに行きたいのか?なら乗せてってやるよ、アクロバッター!!」
光太郎が声をかけるとアクロバッターは目を光らせ彼の前まで走ってくる。
「な、何これ!?マジックアイテムなの?」
「マジックアイテムってのが何なのか分からねーけど、アクロバッターは俺の相棒さ」
そう言ってヘルメットをルイズに渡して被るように言う。
ルイズは何がなんだか分からないが取り合えず言われた通りにする、そして光太郎がアクロバッターに跨り後ろに乗るように指示する。
「よし、しっかり捕まってろよ」
「え?きゃああああ!!」
光太郎はアクロバッターを走らせ学院で向かう、いきなり物凄い速度で走るバイクに初めて乗ったルイズは思わず声を上げてしまった。
それは無理も無いだろう、陸上を走る乗り物としては馬などが一般的だが、普通のバイクでさえ全力で走る馬を容易に上回る速度を出すことが出来る。
当然フルスピードは出さないがアクロバッターは、性能だけ聞けば自分の耳を疑うか話している奴の頭を疑うほどの性能を有しているのだ。
いきなりのことで驚いたが、慣れてくると非常に乗り心地の良いバイクにルイズは少し楽しくなってくる、馬よりも揺れは少ないのに走る速度はまるで竜にでも乗っているかのよう、吹きすさぶ風と走り抜ける感覚がいつもの景色ですら別物に見えてくる。
初めはハズレかと思ったけど、こんなすごいマジックアイテムを持っているのなら悪くは無いかも、と光太郎の評価を若干プラスに修正するのだった。
〇〇〇〇〇〇〇
光太郎とルイズが学院に向かってから数時間後、もう辺りは暗くなり空には二つの月が輝きだしている。本来なら閲覧時間は過ぎているのだが、教員であるコルベールはどうしても光太郎に刻まれたルーンが気になり調べるべく、教師のみ閲覧が許された図書館の一角にある「フェニアのライブラリー」で調べ物をしていた。
「ふむ、確かこの辺りの資料で見た記憶が……こ、これは!?」
コルベールはとうとうルーンの資料を見つけたがあまりの事に驚愕する、これはすぐにでも学院長に知らせねばならないと思い、急いでフェニアのライブラリーから出るのだった。
それからさらに数十分が経過し、見つけた資料の結果に学院長であるオールド・オスマンも事実を確認したいと思い、ルイズの使い魔の青年を呼ぶべく女子寮へコルベールを送るのだった。
「夜分遅くに失礼します、ミス・ヴァリエール起きていますかな?」
ノックをし部屋の主であるルイズを呼ぶ、中には入らずドアの前で取り合えずルイズからの返事を待つ、本来であれば教師といえど男性が、夜に女子寮で行くのは少々問題がある気もするのだが、事が事なので秘書であるミス・ロングビルも使わず事実を知っているコルベールに任せたのだ。
「あ、ミ、ミスタ・コ、コ、コルベール、どどどどうしましゃたか!?」
明らかに動揺している声でルイズが返事をする、何かあったのだろうかと疑問に思うがまずは用件を言う。
「起きていましたか、実は例の使い魔の青年のことで少々お聞きしたいことが有るのですが、取り次いでもらえますかな?」
コルベールはドアの外からルイズに用件を伝える、しかしルイズからの返答は予想を遥かに超えるものだった。
「そ、それが……」
「それが?」
「何処かに走っていなくなってしまいました……」
「へ?」
と、夜中に間抜けな返事が木霊するのだった。