ガンダムビルドファイターズ red comet   作:戦無

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swan

ナナとユーリ、二人の戦いは一方的なものであった。

トロワが放つマシンガンとユーリの放つビームランチャーは、精度と威力でトロワが撃ち勝ち、ナナの様々な遠隔操作ユニットはカトルのヒートショーテルによって次々に破壊され、ついには武器さえも破壊された。

 

「…一発も当たらないとは思いませんでした…」

「…悠里ちゃんはまだいいじゃない…私なんて当たる前に全部破壊されたよ…」

 

どよーんとした空気に耐えかねて、シャアが声をかける。

 

「そうだ、我々はまだ全国へ出れるような腕を持ち合わせてはいない。だからこそ、ここであの二人に特訓してもらうんだろう?」

 

「ですが、あそこまでやられると…」

 

「…お前たち二人はセンスはあるんだ。俺とカトルでそれを磨いてやるのが俺たちの任務だ。」

 

「え…?」

驚くナナとユーリを尻目に、トロワは自分の機体、ヘビーアームズ改を手に持ちながら話を続けた。

「これを見てくれ、コイツの関節部分はもうボロボロだ。」

 

「あれ?トロワもですか?実は僕のサンドロックも…」

サンドロックを皆の前に差し出すカトル。サンドロックもまた、関節部分がおかしくなり始めていた。

 

「…射撃のセンスは間違いなくあるんだ、悠里 アラストネア。どうする?俺を師事するか?」

 

「伊村さんも遠隔操作ユニットとバランスの良い基本的な装備、そして敵に合わせた戦い、どれにつけても文句はありませんでした。しかし少し甘いところも幾つか見受けられました。どうでしょう、僕からの特訓を受けてみませんか?」

 

その日、二人は自らが師と仰ぐ者と一緒に、特訓に励んだ。

 

その夜、赤井秀一、自室にて。

 

「…眠れない…か…」

ベッドから身体を起こすシャア、ガラスに映るのは自分の姿と、アムロ…

「…アムロ…貴様が何故…」

その時だった。シャアの頭の中に稲妻が走っていった。

「⁈この感覚は…ララァ…⁈いや、ララァは…だがッ…!」

確かめなければならない、シャアはそう思った。

自室の扉を開き、廊下を走り抜ける。

 

あの時に殺されたララァ、そして二人はそれに縛られ続けた。ララァ自身は縛り付けるつもりは無かったかもしれない。だが、二人には、シャアとアムロには、ララァの存在は大きかった。自分を理解してくれる人間、それがララァだったのだから…

 

〜♪

 

どこからかオカリナの音が聞こえてきた。夜に響き渡る透き通った音色。ララァの様に自分の事を理解し、抱き締めてくれる様な、そんな音色。

 

「ハァッ…ハァッ…!」

走る、ラボの公園の湖の場所へと…

 

湖畔のベンチには、少女が座っていた。オカリナを吹き、白鳥がそれを聞いていた。

 

「…ララァ…なのか…⁈」

 

少女がこちらに気づいたらしい、こっちへ来て、と手招かれた。

 

「…私のオカリナ、聴いてたの?」

少女の肌は白く、髪は黒い。ララァとは似ても似つかぬ顔立ちだが、シャアは何か感じるものがあった。

「あぁ、盗み聞きはまずいかと思ったのだが、なかなか美しい音色だったからな。そのまま聞き続けながら歩いていると君がいた。」

 

そう言って誤魔化すシャアだが、その少女はくすりと笑い、オカリナを手放す。

「そんな訳ないはずですよ?だって汗をかいていますもの」

 

「ハハハッ、誤魔化せなかったか。君のオカリナの音色を聞いて、飛んで来たんだ」

 

「そうですか、なら是非聴いていってください。」

 

そう言うとオカリナを手にし、再び音色を奏で始める。

その時、シャアは何故だか自分の事を聞いて欲しかった。

「…私が今から話すのは独り言だ。無視してくれても構わない。」

 

オカリナを奏でる少女は、オカリナから口を離さずに優しい笑みを向けた。どうやら話を聞いてくれるらしい。

 

「私は数年前、世界で最も大切とも言える人を亡くした……私を敵とし、ララァに恋心を持った少年に…」

 

話は続く、一度は共闘したこと、亡くした人が何時までも頭をよぎって離れないこと。

全てを話した。

 

「…私は…どうすればいいのだ…」

 

その時、オカリナの穴を押さえていたはずの両手が、シャアの両頬に添えられた。

「…悩み過ぎ…ではないですか?…失礼かも、しれませんが…」

 

そう言われ、シャアはハッとする。この世界は宇宙世紀ではない。宇宙の国家との対立もなければ戦争もない、自由な世界。

 

「そうか、私は……」

悩み過ぎていた、考え過ぎていた。自分がここにいる以上、奴も私も殺しあう理由がない。あの場所で出会ったアムロも、きっとガンプラファイターなのだろう。

 

さらに私も坊やだったのだろう。何時までもララァ、ララァと…。

 

「…ありがとう、いくらかすっきりした。そういえば自己紹介をしていなかった。赤井秀一という。今日は済まなかったね、オカリナの邪魔をして。」

振り返り自室へ行こうとするシャアに、少女は声を少し大きくして、返す

「私は…ララーナ サリスタ。……

ララァと呼ばれたりします!」

 

その時、湖の白鳥が一斉に空へと羽ばたいていった。

 

 

 

 




終わりです。
なかなか難しいですね〜
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