「…まさかヒイロが、私の特訓相手とはな…」
あの少女と出会った次の日、シャアはデュオから差し向けられた特訓相手を前にしていた。
「…秀一か。デュオからは聞いているな?」
トロワとカトル曰く、君の全力に応えられるのは彼だけ…らしい。
「始めよう、ヒイロ」
ーーー
「ここは…ホンコンシティか…」
戦場に選ばれたのは発展した巨大都市だった。カミーユがサイコガンダムと戦った場所。
「こうなると狭い場所には入りにくいな…ならば!」
サザビーは比較的モビルスーツの中では大型の方に入る。ホンコンシティはビル群が広がる為、少しサザビーには不利な地形であった。
そして極めつけに、ウィングゼロは小柄のモビルスーツに超高火力のツインバスターライフル。隠れて撃つだけでサザビーの装甲値が消されかねない。
「吹き飛べ!」
サザビーの腹部からメガ粒子砲が放たれる。
その時、レーダーに反応する飛行物体が一つ。
「自分から姿を晒したな…照射する」
羽根を広げ、ツインバスターライフルをサザビーに向ける。
「⁈そこか!」
シャアはその姿に即刻反応する。撃たれるのは良いが当たるのはまずい。
サザビーは身を翻し、メガ粒子砲をウィングゼロに向ける。
マニュアルでのスペックならツインバスターライフルの方が上だ。
しかしシャアはそんな事は分かっていた。
二つの閃光がぶつかり合い、相殺した。
「…出力を上げていたか?」
「当たり前だ、このサザビーが簡単に堕ちるものか!」
その言葉を皮切りに二人はビームサーベルを抜く。
相殺され、残滓となった光。その中を駆ける二機のモビルスーツ。
ビリビリと唸りを上げるビームサーベル。
斬り結び、弾き、斬撃をすり抜け合う二人。
「なかなかやるな!」
「…っ!」
機体の大きさは、出力の違いでもある。
ウィングゼロのビームサーベルに比べ、サザビーのビームサーベルはかなりの高出力。いくらパイロットの腕が良く、どれだけ斬撃を受け流しても、ダメージレースでは徐々にサザビーが優位に立つ。
そんな中ナナ、ユーリ、カトル、トロワの四人はその対決を見ていた。
「…シャアの本気って、見た事なかったけど…こんなにも…」
「私、自信を無くしそうです…」
「…カトル、良いのか?彼女達にはもっと訓練が必要だと思うが…」
「いえ、二人には今日は、彼らの戦いを見てもらいましょう。何か掴んでくれると思いますよ?」
「…このままではジリ貧か…一時離脱する。」
ウィングゼロは飛行形態へと変形し、飛び立った。
「⁈逃がさん!行け、ファンネル!」
バックパックから分離したファンネルはウィングゼロを追いかける為に空を翔ける。
しかし、ウィングゼロの特性を生かし離脱するヒイロに、ファンネルが追いつく事は無かった。
「…逃したか…少し厄介な事になったか」
ウィングゼロの一撃離脱戦法はホンコンシティにうってつけだ。
バスターライフルを放ち、高速機動で離脱、隠れる、その繰り返し。
「もう一度だ。ファンネル、ウィングゼロを見つけ出せ!」
シャアはファンネルをばら撒いた。
「…彼がファンネルを破壊するのを待つしかない…か」
ファンネルが破壊されれば、その付近にウィングゼロがいるという事になる。
その時だった。ファンネルが一機破壊され、反応が消える。
「!そこか、今向かう!」
シャアは決して油断はしない。彼がファンネルを破壊したという事は、何かしら策を講じたという可能性が高い。不用意に敵の武器を破壊するほど、彼は考え無しには動かないだろう。
ファンネルが壊された場所へ向かうと、そこにはウィングゼロが立っていた。
「…来たか…」
「隠れもしないか…何か策でもあるのか?」
ヒイロはフッと笑い言葉を返す。
「…策か…策は…ゼロに託す。」
「一体どういう…」
その瞬間、ウィングゼロは赤いラインの入った透明な球体に包まれた。
「ゼロよ、俺を導け!」
その刹那、ビームサーベルはサザビーのビームライフルを切り裂く。
「その機体が選んだ策は正面突破、という事か!」
「ゼロはそれを提示しただけ…選ぶのは…俺だッ!」
ウィングゼロはシールドを思い切りサザビーの左肩目掛けて突き刺そうとする。
「まさか、ウィングゼロ自体の反応速度が上がったのか!」
シャアは咄嗟に小型のビームサーベルを抜き、最大出力でシールドを斬る。
「クッ…!だがッ!」
ヒイロは斬られたシールドを蹴り上げ、サザビーの腹部メガ粒子砲に突き刺す。
「流石は、デュオの友人といったところか!」
メガ粒子砲は破壊されたが、シールドはまだ残っている。シャアはシールドミサイルを放ち、大型ビームサーベルを抜く。
「ここが、勝敗を決する!」
ウィングゼロはミサイルを切り裂いた。
その瞬間を待っていたのはシャアだ。煙幕がミサイルから放たれる。
「⁈ 煙幕か!」
ウィングゼロは肩のマシンキャノンを撃つ。
「ハァァァ!」
サザビーが煙幕の中より現れる。
「やらせない!」ヒイロはマシンキャノンを撃ちつつ、ビームサーベルで迎え撃った。が
ウィングゼロは右肩を切断される。
「これで終わりだッ!」
シャアは右手に持つ小型ビームサーベルをコックピットに向けて突き刺そうとした。
動かない右腕。
「…どうやら間に合ったか…」
ヒイロの声に反応するシャア
「…マシンキャノンであの煙幕の中、右腕のみを狙ったというのか⁈」
右腕はマシンキャノンによって、駆動系全てを壊され、動かなくなっていた。
そしてマシンキャノンが破壊したのは右腕だけでは無かった。
突然、バックパックが爆発を起こす。
「ファンネルまでもか!奴は化け物か⁈」
「…お前を倒す、選ぶのはそんな未来だけだ」
ウィングゼロは最後の攻撃を仕掛ける
「未来は創り出すものだ!」
「「うおおおおぉぉぉぉぉ!!」」
ウィングゼロはビームサーベルを突き出し、サザビーはビームサーベルを振り上げる。
ウィングゼロはサザビーの胸部を貫いた。
「任務、完了…」
コックピットを貫かれれば機体の装甲値は急激に減るのがこの戦い。
だが、装甲値は。サザビーの装甲値は残っていた。
思い出して欲しい、サザビーのコックピットは何処にあるか。
頭なのだ。
「かかったな!」
サザビーは胸を貫かれながらもなお、生きている。
振り上げたサーベルを一気に振り下ろした。
ウィングゼロは二つに切り裂かれ、爆発した。
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そろそろ大会編でも作ろうかと思っていたり