仕事のストレスから小説を書くモチベーションが無くなり、気がつけば4ヶ月近く経っていました。
いや~働くって......素晴らしいですね(やけくそ
奉仕部での活動?を終えて帰路についた僕は既に自宅の前にいた。
道中でいちゃついているカップルを睨み付け、遅い時間だというのに騒いでいる連中をうるさいなあと思いながら睨み付けながらいつもより数時間ほど遅い時間帯での帰宅。
一応遅くなるとは連絡を入れたものの......やっぱり心配してるだろうなあ。
余談だけど、僕の家庭は少し変わっていると思う。
父と母は共働きで家族が全員揃うことが珍しいまではまあ普通にあること。問題はここから先。
「ただいまー」
極々普通に帰宅の挨拶をすると、ドドドっと何かが走るような音が聞こえてきて、バンッと勢いよくリビングのドアが開く。
「風にい!おっかえり~!!」
走ってきた勢いのまま声の主は僕の胸に飛びついてきた。これは毎日行われていることなので別に焦ることなくその場で踏ん張り衝撃に備える。
外ハネショートで焦げ茶色の髪、垂れ目気味の目と元気な笑顔が明るさを限界まで引き出していた。
「月華?いつも言ってることだけど僕が帰ってくる度に勢いよく抱きつくのはやめてね?危ないからさ。あと僕が疲れる」
「でもそう言いつつ絶対受け止めてくれるよね、風にいは」
そりゃあのままの勢いで僕が避けたら確実に転ぶし。飛びついてくる時着地のことを何も考えずに全力ダイブだし。
今でこそこの弾丸ダイブにも慣れたが昔は受け止めきれなくてよく吹っ飛んでいた。主に僕がクッション代わりになって妹には怪我1つ出来なかったけど。
ね?帰宅したら妹が飛んでくる家庭なんて変わってるでしょ?
「もう、月華?兄さんも困ってるからその辺にしておいたらどうですか?」
月華が開け放したままの扉からもう1人少女が顔を見せる。
髪は肩甲骨の辺りまで伸ばした黒髪で垂れ目気味の目と常に浮かべる微笑みが柔和さを生み出している少女。
「陽華はいつも堅すぎだよ~!これぐらい兄妹のスキンシップだって!」
この陽華と呼ばれる少女と目の前の月華は双子の姉妹だ。
姉が月華で妹が陽華。名前的に見れば明るい方が陽、落ち着いている方が月っぽいけどうちでは全くの真逆。
「はあ......お帰りなさい、兄さん。ご飯出来てますよ」
これ以上何を言っても無駄、と分かっているが故にため息混じりにそう言う。
「うん、いつもありがとね陽華」
労いの言葉をかけながら頭を撫でる。
すると、くすぐったそうにしながら、数秒後にハッとして僕の手を軽く払う。
「こ、このぐらいは普通です。私はお母さんから家の留守を任されているのですから。だから子供扱いしないで下さい」
ぷいっとそっぽを向きながらしっかり者の妹は先にリビングへ。
一方の甘えん坊の妹は僕の背中にしがみついたまま、これもいつものことなのでそのままリビングへ入る。
中学3年生だというのにどちらも年相応ではない僕の妹たち、このことも僕がちょっとばかし歪んでいる要因なのかもしれない。
リビングに立ち入ると夕食のいい匂いが鼻腔をくすぐる。どうやら今日はカレーみたいだ。
どうでもいいけどカレーって家庭によって味が違ったり、具が違ったりするから面白いよね。
本当にどうでもいい。
鞄をソファに向かって軽く放り投げると足元に軽い衝撃。うちで飼っている猫がすり寄ってきたみたいだ。
それに加えて2匹目の猫もすり寄ってきた。ちょっと?歩けないんだけど?
「陽華、ヘルプ。どうやらこいつらは僕にご飯を食べさせない気らしい」
白と黒の物体が僕の足元から離れようとしない。ついでに月華も僕の背中から離れない。とりあえず白い方の猫を抱え上げて、黒い方は陽華に任せる。
「兄さんに懐きすぎですよ、ブランとノワは......」
まあ、その2匹拾ったの僕だし......名づけたのは陽華だけど。
なんでもブランはフランス語で白というらしく、片方の黒猫もノワール、黒という意味からきているらしい。
「いくらブランとノワでも風にいは渡せないなぁ。よいしょっと」
僕の腕から月華へとブランが移る。猫の相手は妹たちに任せて手を洗ってこよう。
ささっと手を洗い、席に着く。
「わーい!カレーだ!カレーの匂い大好き!今のパパの匂いは嫌い!」
「やめてあげて、きっとそれを聞いたら父さんはうっかり死んじゃうかもしれないからさ」
カレーの匂いだけに加齢臭か。別に上手くもなんともないな、カレーは美味いけど。
今度香水でもプレゼントしよう。そう思いながら黙々とスプーンを動かす。
「そういえば、どうして今日は帰ってくるのが遅れたんですか?」
「あぁ、何か急に部活に入ることになったんだよ」
かちゃんと音がする。陽華の手からスプーンが滑り落ちたみたいだ。
「......兄さんは大丈夫なんですか?」
「......さすがにもう大丈夫だよ。あれから3年経つんだから」
別に部活を嫌いなわけじゃないし。ああいう集まりは結局のところメンツが大事なだけだ。
「風にいが帰ってくるのが遅いから早く帰ってきたパパに間違えて抱き着きそうになって思わず空中で身を捻って躱しちゃったよ~」
「そこまでいくか......哀れだなぁ、父さん」
空中で身を捻るって物理限界超えてるよね。この場合月華の身体能力を褒めるべきなのか、娘にここまでさせる父さんの嫌われっぷりを称えるべきなのか、きっとこの答えは永遠に出ない。
「だって仕事から帰ってきたパパ汗臭いし、抱き着きたくはないよ」
「駄ディはもう少し私たちとの付き合いを考えるべきです。事あるごとにスキンシップを取ろうとしてくるのはやめたほうがいいと思います」
父さんがここまで言われているのには少し理由がある。父さんが子供は娘を欲しがり、母さんは男を欲しがっていたらしい。1番に生まれた子供が僕で、母さんはそれは喜んだらしい。その時点で母さんは僕ばかりに構うようになり、父さんは息子である僕に嫉妬していたという。
それから2年後には双子の姉妹を授かり、父さんは狂喜乱舞した。当然大切に過保護に育てて、兄である僕さえも2人には近づけさそうとしなかった。
今でこそそれは薄れたが、陽華と月華の記憶には残っているらしく、父さんに尋問した結果、今のような扱いになったというわけだ。
なんでも夢はハーレムを作ることだったらしく、その夢のためには当然男である僕が邪魔になるわけだ。
『パパ、さすがにそれは気持ち悪いよ』
『今日からはお父さんではなく駄ディと呼ばせてもらいます』
『あらあら、あなたったら......うふふ♪』
これが父さんの夢を聞いた女性陣の反応である。父さんが弾かれることにより、何故か僕に対しての愛情が深くなり、僕は女性陣から愛されている。
まぁ、その分父さんからの風当たりは強くなってるんだけど。大丈夫、ただのよくある家族のスキンシップだから。
「そういう訳でしばらく帰って来るのが少し遅くなるから」
「......兄さんがそう言うなら、分かりました」
「ええ~?じゃあ私は一体どうやって時間を潰せばいいのさ~」
中学3年生になったのにこのブラコンっぷりはどうなんだろうか?談笑を楽しみながらカレーを食べ、月華の未来を少しばかり心配してしまう夕食時だった。
その後風呂に入ったり、明日の準備をしたりなどしてベッドに倒れ込んだ僕はため息を吐きながらこう思った。
――やはり僕の家族は個性が強すぎる......と。
今日の出来事を頭の中で反芻しながら、僕の意識は闇に落ちていった。
文字数は少ないですが、なんとかモチベーションも取り戻しかけているので......
肉体の疲労は寝たらとれるけど、精神の疲労はとれないんだよなぁ......
あ、俺ガイルのゲームは買いました。
次回に続きます。