因果律の鎖を越えて -ULTRA・ZEST- 作:猫丸又三郎
【数時間前 岩国 米軍基地前】
ユーゼスがブラック・エンジェルの調査に向かっていた頃……
「―――これで、搬送任務は完了となります。ご苦労様でした」
軍服を着たアメリカ人は、そう言うと電子ハンコが押されたタブレットを脇に抱えた。
岩国にある米軍基地まで完全聖遺物である『ソロモンの杖』を輸送する、という任務を終えた立花響、雪音クリス、門矢士、友里あおいの四人は、やっと終わったと胸を撫で下ろした。
「ありがとうございます」
軍人さんから握手を求められ、一応代表のあおいがそれに答え手を握った。
輸送任務中、何処からか現れたノイズに対抗し、シンフォギア装者と仮面ライダーディケイドは必死になって防衛した。
(だたし、士曰く「ショッカー軍団を相手するよりかはだいぶ楽」との事)
そのおかげでここまで被害が最小限で済んだし、何よりソロモンの杖とウェル博士を失わずに済んだのであった。
やっと仕事から解放された事に安堵し、響、クリスの両名は顔を見合わせて笑顔になる。
一方、士だけは何処か遠くをじーっと見続けていた。
(……何か、腑に落ちないな)
彼をそう思わせているのは、輸送中に襲ってきたノイズの集団。
動きやパターンはいつも通り単調かつ残忍であったが、そこ以前に違和感があった。
――何故、感情や思考を持たない彼らがソロモンの杖を狙うのか?
士個人でも色々と調べたが、この世界にもショッカー等の悪の組織は存在している。
仮に、彼らの手によってある程度ノイズを操作できる手段が造られてしまえば、それこそ世界は本当に手も足も出なくなるだろう。
そんな輩が、ソロモンの杖を狙っているとすれば……?
(考え過ぎか……。まさか、米軍相手に喧嘩振っては来ないだろうしな)
既に杖とウェル博士は米軍に引き渡され、ここから先は彼らの領域だ。
仮に悪の組織が攻めたとしても、士が訪れてきた世界の様に脆弱ではない。何より、パーソナルトルーパーという大型機動兵器も存在する事だし、これ以上事態が急展開する事もないだろう。
「……ったく、手間かけさせやがって」
ぼそっと悪態をついたが、それはそれで士のデレであった。
「―――確かめさせて頂きましたよ。皆さんが、ルナアタックの英雄と呼ばれる事が、伊達ではないとね」
ウェル博士が響とクリスに近付いて、そう言った。
その言葉に反応したのは言わずもがな響。
「英雄!? 私達が!? あっ、いやぁ~! 普段誰も褒めてくれないので、もっと遠慮なく褒めてくださ~い! むしろ、褒めちぎってくださ……アイダッ!」
余計な事を口走る響に、クリスは横から側頭部目掛けてチョップをかました。
その光景を冷たい目で見る士とあおい。
(何やってんだ、あいつ……)
「この馬鹿! そういう所が褒められないんだよ」
実にその通りであると、士もその言葉に頷く。
だが本人はそんな事気にしても無かったようで「痛いよ、クリスちゃん……」と呟く始末である。
「世界がこんな状況だからこそ、僕たちは『英雄』を求めている。……そう!」
ん?、と士、あおい両名はウェル博士の方を向いた。
「誰からも信奉される、偉大なる『英雄』の姿をォ!」
少し熱が入りながらそう言った。
(オイオイ、顔芸がスゲェな)
もうこんな段階で若干顔が崩れるウェル博士に、士は少しだけ引いていた。
「なっはっは~! それほどでも~!」
だが響はそんな事もお構いなしに、再び上機嫌になっていた。
ウェル博士は落ち着きを取り戻すと、後ろに控える軍人を見ながら言葉をつづけた。
「……皆さんが護ってくれたモノは、僕が必ず役立てて見せますよ」
にこやかな笑顔でそう言ったウェル博士に、士は少しだけ違和感が消えた。
「不束なソロモンの杖ですが、宜しくお願いします!」
「……頼んだからな」
シンフォギア装者二名は各々そう投げ掛けた。
【岩国 基地近くにて】
「―――無事に任務も完了だ! ……そして」
「うん! この時間なら、翼さんのステージにも間に合いそうだ!」
響とクリスはそう楽しみそうに話した。
「翼のステージ? ……そういや、風鳴のヤツはライブだとか言ったな」
作戦説明の時の弦十郎の言葉を思いだす士。
確か、専属カメラマン(という言い訳)兼護衛の為に城戸真司もマネージャーの緒川慎次と共に付いていた。
城戸曰く「ダブル・シンジだ!」なんて冗談を言っていたが、彼の方もそれなりに大変な目に付き合わされている事だろう。
「士さんも含めて三人が頑張ってくれたから、司令が東京までヘリを出してくれるみたいよ」
通信端末を持つ友里あおいはそう言った。
「マジすか!?」
眼をキラキラと輝かせる響。
その瞬間を取ろうと、士が首からぶら下げるトイカメラを手にした時―――
―――ドンッ!!!!
派手な音と共に、黒煙が立ち上がる。
そして、その中から巨大なノイズが顔を出した。
「なっ……!」
「マジすか……!?」
一気に目が点になる響。
「マジだな……!」
クリスは響に答える形で言った後、即座にノイズ目指して駆け出していく。士もまたそれを追って走った。
「立花、お前も早く来い!」
「あぁ、は、ハイ!!」
響も一目散にその後を付いて行った。
【岩国 米軍基地敷地内にて】
突如として出現したノイズ達。10匹はいるであろう奴等は、基地内を暴れまわっていた。
米軍の軍人達は各々銃火器を片手に応戦しているが、効き目などありはしない。
位相差障壁によって、こちらの世界での存在比率が限りなく0に近いノイズは、一方的に兵士たちを虐殺していった。
「ぐ、どあぁぁぁ……」
「うわぁぁぁぁ……」
ノイズの攻撃によって炭化していく兵士達の叫びと鳴り渡る銃声だけが、この戦場を満たしていた。
棒状に変形し、兵士達へと突撃していくノイズ。成す術なく、次々と兵士達は炭化し死んでいった。
「……これ以上やらせる訳には行かないな。立花、雪音、やれるな?」
基地内に駆け込みながら、士は二人にそう問う。
「当たり前だ! これ以上は好きにさせるかよ」
「私だって、大丈夫!」
「そうか……。行くぞ!」
ライドブッカーからディケイドのカードを取り出す士。それをディケイドライバーに挿入し、サイドハンドルを押し込んだ。
―――KAMEN RIDE ! DECADE!!
士達の急速な対応によって、事態は間もなく沈静化した。
だが、被害は小さいとは言い消えるものではなく、犠牲者は数百人にも上った。
ノイズの群れを何とか倒した響とクリスの二名は、現在は米軍の救護テントで休み、あおいと士は本部への報告を行っていた。
「―――はい、既に事態は収拾。……ですが行方不明者の中にウェル博士の名前があります。そして……」
通信端末を手にするあおいと士。
あかりが言うのを少し躊躇った時、その言葉を士がそのまま代弁した。
「そして、例の完全聖遺物……ソロモンの杖も、どっかに行きやがった」
『そうか……。分かった、急ぎコチラに帰投してくれ』
端末の向こうの弦十郎は重々しい口調でそう告げた。
「分かった。ガキ共を連れて戻る」
「直ぐに帰投します」
間もなく、通信が切れた。
士は、一人この状況を推理し始める。
先に感じていた違和感が、まさに当たっている気がしたからだ。
(この事態を、何かの組織が仕組んだとしても……この世界には、既にショッカーもクライシス帝国も居ない……。なら、一体何の仕業だと言うんだ?)
見えない相手程、怖いモノはない。
こんな時に鳴滝がいれば、等とも思ったが、あいつに頼るのも癪である。
士は、忍び寄る悪意を確かに感じ、そしてそれを警戒していた。
因果律の鎖を越えて -URTLA・ZESTー
第十一話 招かれざる異邦者(Ⅲ)
【数時間後 ブラック・エンジェル落下地点】
「―――この機動兵器は、明らかに地球で作られたモノではない……それは分かるが、だがそれ以外は全くだな」
ユーゼスはそんな風に匙を投げた。
隣にいるギリアムも同じ様にため息をついている。
ユーゼス達が現地に到着して、数時間が経過していた。
既に日は落ち、
例の謎の機動兵器――ブラック・エンジェルの装甲の一部を採取して、その場で簡易ながら様々な調査を行っていた彼らは、早く詰まりそうになっていた。
「古代文明が作り出した技術ではない事も確かですが、それ以前に地球外で作られたモノだとは思う事ができませんよ……」
安西エリは二人とは違いやけに疲れている表情をしていた。
それもそうだ。
そもそも、こういう異文明は彼女の得意分野でないし、それ以前に地球上に存在する物質で構成されていない事が彼女のストレスをマッハで加速させていた。
「だがなんだ……? この金属は異質にも程があるな」
先ほどから顕微鏡で細かい作業をしているユーゼスだったが、ようやく顔を上げる。
顕微鏡の画像がパソコンに映し出されると、ギリアムと安西もそちらに目を向けた。
「先ほどの金属片か……」
「そうだ。だが……妙な事に、この金属は少しずつその形態を変化させつつある」
「何?」
「そんな事が可能なのですか……!?」
ギリアムは今一度、金属片が映る画面を見た。
微かだが、小さな破片が振動している様にも見える。
ユーゼスは手元のパソコンを操作すると、もう一つウィンドウを表示した。
「先ほどから定期的に撮影した画像だが―――」
金属片の画像が断続的に表示される。
パラパラ漫画の如く表示される画像は、金属片が少しずつ変形していっている事を顕著に示していた。
最初は無造作に割られた破片であったが、それが長方形や三角形などの図形に様変わりしているのがよく見て取れる。
「―――この様に、形を自由に変化させる金属らしい」
「流動金属の類か……」
パーソナルトルーパー用の武装に、「流動金属」と呼ばれる特殊な金属を使った武装がある。
テスラ・ライヒ研究所が独自に開発したスーパーロボット、グルンガスト参式が装備する武器の一つである日本刀を模した刀「斬艦刀」は、流動金属を使用する事でその刀身を自由に調整する事が可能である。
この特殊な金属は、電気的、磁気的、機械的な信号を読み取る事によって形状を変化させる為、その信号を送信する発信装置が存在しなければずっと水飴状のままである。
だが、目の前にあるこの謎の金属は、自己的に形状変化を行う。
まるでこの金属の原子一つ一つに“意思”でもあるかのように動き回り形を変えるこれはもう一種の生命体なのではないかとも思われる次第であった。
「まさか、外宇宙で活動できる金属生命体なって事はないだろうが……」
冗談交じりにこう言ったユーゼスであるが、冗談で済まない様な気がしてならなかった。
一種の直感とも言うべきか、それとも彼の体内のクロスゲート・パラダイム・システムから発せられる危険信号か……。
どちらにしろ、彼は何か危険が迫っている様で気が気ではなかった。
そんな時、ギリアムが画面を操作しつつ、安西に向かって口を開く。
「案外、新手の宇宙人の可能性も考えられる。……二年前の邪神戦争の様に、また新たな戦いが始まらなければいいがな」
宇宙人の恐怖は、全ての地球人が周知である。
だが、そう思っていても危うく利用される事があるのが怖い。人の心に付け入る悪質な宇宙人は、特に、だ。
ユーゼス自身がかつてそうであった事もあってか、隣でギリアムが言った言葉を真摯に受け止める。
今は「地球人」サイドであるユーゼスは、宇宙人の脅威から人々を護れる様に努力しようと今一度考えていた。
――テレテレテ~、テッテレテッテ~レッテ~♪
「……?」
突如、調査団のテント内でメロディーが流れ始めた。
何だかゲームの戦闘BGMみたいなその曲を聞き、ポケットから通信機を取り出すのはギリアム・イェーガーであった。
「済まない、私の通信機だ。ちょっと失礼する」
「あぁ、別に構わんさ」
その言葉に甘え、ギリアムはテントの外に出ていった。
「フッ、大層気楽なものだな……」
ユーゼスはそう呟きながら、気晴らしにとギリアムについて考え始めた。
(ギリアム・イェーガー少佐……所詮、階級と個人データは偽造なのだろうが………)
ギリアムと呼ばれる男。
ユーゼスが並行世界からやって来た事を知る正体不明の男。
警戒していない訳ではないが、何か彼にはシンパシーを感じる部分があった。
それ故に、放っておいても良い存在だと認知しつつあった。
(奴は『俺と同様、並行世界を彷徨う宿命を背負った男』等と言ったな……)
つまりは、彼は並行世界を移動出来る男なのだろう。
並行世界間の転移が自身の意思であろうが突発的であろうが、ユーゼスと類似している事は間違いない。
だが、それだけでは彼がユーゼスについて知り得る事には繋がらない。
仮に門矢士、早川健によって伝えられた事も考えたが、士は二課の潜水艦に乗り続けていた為にそんな余裕などない。
早川が漏らしたという点だってあり得なくないが、わざわざ誇大妄想と捉えられかねない事を言うだろうか?
いずれにせよ、ユーゼスについて知っている人間が新たに現れた事は吉とも凶とも転がりかねない状況になりつつあった。
「―――全く、問題は山積みだな」
ユーゼスは含むようにそう呟いた。
一方、外で警護の任を任せられていたアクセル・アルマーは、一緒に警護していた自衛隊員達と共に談笑していた。
「―――それじゃあ、君は記憶喪失なのか?」
「そうらしいが、正直、記憶が無くても何一つ不自由ないぜ」
そう言いながらアクセルは腕をグルグルと動かす。
「……ま、時々夢で出てくる奴については、何か知りたいんだがな、これが」
「夢に出てくる奴?」
隣で話を聞いていた若い自衛隊員の男は、アクセルのその言葉に食いついた。歳が近いのか、割と早期に打ち解けたのである。
「あぁ。なんかこう、デカくて、銀と赤と紫っぽい色してる巨人でなぁ……」
朧げな記憶を頼りにそう呟くアクセルを、隊員は少し笑いながら言った。
「ああ、それは『ティガ』だよ」
隊員が語った言葉が、アクセルの脳裏によぎる。
―――何とも言えない、悪寒の様な物を背負って。
(……やっぱり、俺は何か知っているのかねぇ?)
アクセルはそう自問自答しつつ、隊員に訊き返した。
「一体、何だよそれ」
隊員はそう問われると、重い装備を外して立ち上がった。
「人類の味方で、地球を守る正義のヒーロー! 俺達のウルトラマンさ!」
シュワッチ、と言って隊員はポーズをとる。
構えたり、手をL字に組んだりして、『ティガ』というモノについて精一杯教えようとしていた。
なるほど、ウルトラマンティガという者は巨大なヒーローなのだろう。
アクセルはそう結論付ける。夢に出てきた例の巨人とも一致している様な気がする。
「しっかし、ティガの事まで忘れているなんて、とんだ男だなお前も」
「仕方ないだろ、名前とミズチ・ブレード以外については、殆ど忘れちまったんだからよ」
そう言いながら、二人は笑いあっていた。
すると、後ろから足音が近付いてくる。
「あっ、ギリアム少佐! ……どうなされましたか?」
それは、テントの外で通信を受けていたギリアムであった。
彼の顔はいつにも増して険しくなっている。
「TPCの連中にしてやられた……。彼等の目的は、最初から『ルルイエの遺跡』だった様だ」
ギリアムはそう言いながら、全隊員に向けて無線を送り始める。
―――どうやら、深刻な様だ。
「コチラはギリアム・イェーガー少佐だ。全隊員に通告。これより10分前、南太平洋沖にて謎の高エネルギー反応が確認された。恐らく、TPCの強硬派が『例の計画』を実行に移したのだろう―――」
『―――それと同時に、ルルイエ付近から怪獣の反応が多数出現し、世界各地へと飛来しているとの事だ。……その内の一匹が、日本に向かってきている。全隊員は直ちに戦闘準備を行い、各位PTにて待機だ』
「敵、だと? 怪獣といったな……」
テント内にいたユーゼスと安西もまた、その通信を聞いていた。
ユーゼスは持ち前の性格故に非常に落ち着いていたが、安西は少し焦る表情である。
「怪獣がコチラに接近しているなんて……! 地球平和連合は動いているのでしょうか……?」
安西達が口にする「TPC」「地球平和連合」とは、国連とは別系統で動いている防衛組織の事である。
例のGUTSもこの組織の一部であり、地球の為に働いているのだ。
「さあな。だが、安西博士は逃げた方がいいだろう。表の車に乗り込め」
そう早口に言いながら、ユーゼスは自身が持ち込ませた機材の撤収準備にかかる。
テキパキとコンピュータを分解し、小分けにしながら外のジープに載せた。
安西もその車に乗り込む。
「あの、ユーゼス博士は!?」
「私は後で逃げる。今はお前を逃がす事が優先だ」
―――それに、丁度良いテストでもある。
ユーゼスは不敵に笑った。
「出してくれ」
隊員にそう言うと、車は颯爽と逃げていった。
残されたユーゼスは一人、再びテント内にて残った機材の片付けを行い始めた。
「――おい、ユーゼスって人! 俺も手伝うぜ」
表にいたアクセルが、テント内に入って来た。そのまま片付けに加担する。
「……何故残っている? お前も逃げればいいものを」
「へっ、俺に課せられた任務ってのは、アンタの護衛だぜ?」
そう言いながらアクセルは機材をコンテナに積み込む。二人掛かりで片付けを行い、テント内はあっという間にガランドウとなった。
「さて……どうするよ、博士?」
「決まっているだろう、戦うんだ」
ユーゼスはそう言いながら、身に着けていた白衣を投げ捨てた。
そして、備品からちょろまかした双眼鏡を覗き込む。
「……ギリアム少佐、怪獣は目視出来る距離か?」
耳に付けたインカムの電源を入れ、マイクに語り掛けた。すぐにギリアムから返答が帰ってくる。
『コチラからはまだだが、先程、極東支部の先遣PT隊が交戦を開始した様だ。飛行するタイプの怪獣らしい』
飛行型の怪獣、と聞いて、ユーゼスはすぐさま自身の記憶を手繰り始めた。
かつてEFTで知り得た怪獣の情報を算出する。
この世界にEFTに存在した怪獣が出現しているのならば、幾つかの対策が取れる可能性がない訳ではない。
そうでなくとも、多少は応用が利く可能性もあった。
ユーゼスはギリアムに返答した。
「その怪獣、主な特徴はあるのか?」
少しの静寂の後、ギリアムは答えた。
『――未確認だが……邪神戦争で出現した「ゾイガー」と呼ばれる怪獣に類似している』
「ゾイガー……ふむ、これか」
端末を操作し、即座にゾイガーなる怪獣のデータを確認する。
画面に表示された情報を読むユーゼス。アクセルもそれを見た。
「鳥っていうか、蝙蝠っていうか……気持ち悪いヤツだな、これ」
羽が付いたその怪獣――ゾイガーは、海上から内陸目指して侵攻中らしい。
データには、かつてウルトラマンティガ、そしてGUTSによって数体撃墜した事が書かれていた。
パーソナルトルーパーでも撃墜出来なくはないだろうが、空中戦が不得意なPTでは苦戦を強いられる事だろう。
「我々に出来る事は何かないのか?」
ユーゼスはそうギリアムに訊いた。
『私の権限でパーソナルトルーパーなら確保出来るが、ユーゼス博士は操縦は無理だろう?』
正体を知っているギリアムは、そう言った。
要は、ゼストに変身するしかない、と言う事か。
「仕方ないか……アクセル、お前は二課に連絡を取れ。そこから応援を要請してもらうのだ」
そう言うとユーゼスは足早にその場から離れる。
だがアクセルはそれに付いて来ようとして、一向に離れる気配がない。
「おいおい、護衛なしでいいのかよ!? 俺だってあんな化け物とくらいなら戦えるぜ」
「なら、私について来たまえ」
ふと横を見ると、ギリアムが車に乗って来ていた。
手で「乗れ」と合図している。
「行け、アクセル。……私には、やらねばならない事があるのだ」
改めてそう言った。
少しの沈黙の後、アクセルは何か察した様に「はぁ」と溜息をついた。
「分かった。アンタのその眼が本気だって分かったからにゃ、俺も手出ししないぜ」
そうか、と呟くと、ユーゼスはギリアムに目配せしながらその場を後にした。
(……頼んだぞ、ユーゼス)
そう心で呟き、ギリアムは助手席のドアを開けた。
「アクセル君、急ぐぞ」
頷き、助手席に座るアクセル。
それを確認したギリアムは目いっぱいペダルを踏んだ。
実は元々一つだったものを分割したものがこの話と次の話です
なので、次回予告は今回はありません