因果律の鎖を越えて -ULTRA・ZEST-   作:猫丸又三郎

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 ベムラー(?)VSウルトラマン(?)の前半戦。

 とりあえず心情とか説明とか多くて読みにくいですが、楽しんでいただければ幸いです。

 ……頼む、誤字が出ないでくれぇ
 確認しても分からなんだぁ………


第三話 意思、形となりて

 

 

 

 ―――ウルトラマン

 

 

 

 地球を守る為に遠き星M78星雲からやって来た、光の巨人。

 人間の科学と力では倒す事が難しい怪獣や宇宙人を、光線やパンチで軽々と倒す存在。

 人間からしてみれば、彼らこそが『神』であった。

 

 だが、怪獣や宇宙人からしてみれば、それは勝手に宇宙警備隊を名乗り、勝手な理想の為に同胞を惨殺した存在。一族の仇である。

 彼らからしてみれば、彼らこそが『悪魔』『敵』であった。

 

 

 

 ―――立場によっては、ウルトラマンも殺戮者と化す。

 

 

 

 そんな言葉を、ユーゼスは深い意識の底で聞いた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 城戸真司は、人気のないビルの屋上に勇気を振り絞って上っていた。

 怪獣の吐き出した熱線が流れてくるかもしれない。だが、そんな事も恐れずに状況を記録していた。

 手に持った今は懐かしいガラケーを急ぎプッシュ。周囲の状況、怪獣の特徴、その他諸々をメールに急ぎ書き込み、送信。今頃、大久保編集長が確認している頃だろう。

 

「あと…………少しでッ!」

 

 最後まで文字を打ち込み、送信。成功したダイアログが表示され、ガラケーを折り畳んだ。

 

「ふぅ………」

 

 途端に、肩と腰の力が抜ける。床に倒れ込む様に寝ころんだ。

 真司はやり切ったという達成感と、この後果たして生きれ帰れるのかという恐怖感を同時に感じていた。

 とっとと走り出して逃げ出したい。そんな気持ちで取材をしていたが、終わってみれば呆気ないモノであった。

 まだ力が入りにくいがどうにか立ち上がり、後ろを振り返った。

 怪獣。ベムラーが廃ビル群の中を歩いていた。アルブレードによって潰された筈の左目は何時の間にか再生しており、鋭く血走った双眸が周囲をグリングリンと見まわしていた。

 見つかってしまうかもしれない危機感を抱きつつ、真司はビルの階段をダッシュで駆け降りる。

 と、その時―――

 

「きゃあぁぁぁぁっ!」

 

「っ、大丈夫ですかッ!?」

 

 ビルの広間から飛び出した直後、目の前を走って逃げていた少女が盛大にこけた。前のめりにいったものの、手が辛うじて受け身を取っている形になっていた。大事には至っていないだろう。

 真司は少女に駆け寄り、怪我をしていないか診た。

 案の定膝を擦りむいているが、大した事はない。

 

「おい、遼子ッ!大丈夫か!?」

 

 付き添いだろうか、学生服の少年が駆け寄って来た。

 少女に問いかけると「大丈夫だって………」と返事が返ってくる。だが、苦痛に顔を歪めていた。

 

「俺が手伝うよ。さあ、肩を貸して」

 

 こういう時に、人助けをしてしまう。

 城戸真司の悪い癖なのかもしれないが、今がそれが少年少女にとって心強く感じられた。

 

「すみません、ほら、肩貸せっての」

 

 少年も真司に倣ってもう片方から少女を支える。

 

「避難シェルターはすぐそこにあるから、そこまで急いで行くぜ」

 

 取材前にシェルターまでの経路をどうにか頭に叩き込んでいた真司は、二人と共に急ぎ足で向かう。

 だが、少女が脚を引きずる形の為、足取りはとても遅い。避難する人の波の中でも後方になりつつあった。

 

「クソッ、怪獣がもうそこまで来てるってのに!」

 

 イラつくのは、怪獣に対して。

 何故、今頃世の中に出てきたのか?

 もう数年間も眠っていた筈のソレが、何故今という日になって蘇ったのか?

 誰も答えを述べる事など出来ない。だが、唯一それを知る自然の化け物はもう後ろまで迫っていた。

 

「こんな所で、死んで堪るかよぉぉぉっ!!」

 

 少年はそう叫ぶ。

 真司も同じ想いであった。

 

 

 

 ―――願いは届いた。

 

 

 

 直後、真司はそう思うだろう。

 何故ならば、頭の上が光った、そう思った時には、怪獣が後ろには居ないのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 轟音をたて、ベムラーは地面に伏した。

 突然出現した“光球”がベムラーの腹部に体当たりしたからである。

 だが、ベムラーはまるで効いていないかの様にすぐさま立ち上がる。腕を使わずに、異常なまでに進化した脚と尻尾だけをバネにして起き上がると、その光球を見据えた。

 ベムラーの中に刷り込まれた本能が、その光球の存在を敵視した。

 

 ―――赤色の光ならば、忌まわしき『ヤツ』であるからだった。

 

 だが、その光は赤紫色をしており、『ヤツ』とは違う感覚がした。

 一時の間、同じ場所に滞空していた光が、強くなっていく。

 

 ―――『奴』と同じ、又は似た存在が出てくる。

 

 そう直感した時、再びベムラーの体は宙を舞っていた。

 

「ギュルルアァァァァァァッ!?」

 

 突然の出来事に、ベムラーは驚きの叫びを上げた。

 今度はしっかりと受け身を取った為倒れる事は無かったが、そのまま立ち呆けしている事もマズかった。

 

「宇宙怪獣、ベムラー。その“亜種”、か」

 

 未だ残る強い光が、徐々に消えていく。

 その向こう側から現れた者はそう呟くと、腕を強く振った。

 ブワッ、と突風が吹くと同時に覆っていた光が一瞬で消えて――いや、闇で中和されたと言うべきか――無くなった。

 

 鋼色と黒が混ざり合った肉体。

 胸部には青い球体が埋め込まれ、宝石以上の輝きを持ち合わせている。

 背部から生えた羽からは悪魔、邪神の様な禍々しさを放っていた。

 それは「光の巨人」とは似て非なる存在。ウルトラマンに極めて近く、限りなく遠い存在。

 『光』と『闇』、相対する二つの存在を体内に備えた巨人。光が失せた空間上に、ベムラーを眼前に捉えて立ち塞がった。

 

「―――まさか『あの力』が此処まで再現されているとは。………流石に、因果律を操作する事は出来そうにないが、戦うだけの力は有る様だな」

 

 ユーゼス・ゴッツォは巨人の中で、超神ゼストの意識として存在していた。

 ゼストの右手を握る感覚はそのままユーゼスの感覚となり、ユーゼスが歩む様にすれば連動する様にゼストは前に進んだ。

 超神ゼストとユーゼスは再び一つになった。

 かつてイングラム達と対峙した時と同じ、細胞一つ一つまでもが巨人の一部として完全に融合していた。

 

「……さて、私の力、試させて貰うぞ」

 

 そう言うとゼストは地面を踏む。

 跳躍。

 力んだ事でコンクリートが吹き飛ぶ。小さなクレーターが出来、同時にゼストの体は弾丸の様にベムラー目掛けて飛んだ。

 風を斬るその速度に、ビルのガラスが一斉に割れた。ソニックウェーブによって粉塵が舞うのと同時に、ベムラーもまた大空に吹っ飛んだ。

 

「―――――ッ!?」

 

 声を上げる事さえ出来ない程の速度。

 高速に繰り出されたナックルは的確にベムラーの顎を捉えていた。

 アッパーカットされたベムラーが重力降下してくる。だが、ベムラー自身は大した事が無かったかの様に、腔内に閃光を蓄える。

 

「そうか……ならば、その手に乗ってやろう」

 

 ユーゼスはそう言うと、手を十字にクロスした。だがその手は、ウルトラマンのスペシウム光線を意識して。

 ゼストの腕からスパークが放出され、それが掌を包むように滞留する。

 

「フフフ………ファイナルビームッ!!」

 

 ベムラーの口から熱線が放出された。ベムラー自身も鋭く光らせる閃光が、ゼストに向けて降り注ぐ。

 だが同時に、ゼストの十字にされた手からも光線が発射された。素粒子をも溶かしつくす光線。全てを焼き尽くす力がベムラーの口を目掛けて飛び行く。

 当然ながら、その二つの光線は一点で交わった。

 空中で爆発的な閃光が生まれる。光線の融合点の周囲が揺らめき、時空を震わせる。

 

「ギャアオオォォォォォォッ!!」

 

 ベムラーの叫び。何を意図して放たれたのか、その咆哮はビルを崩壊させる程空気を震動させる。

 ゼストに、その中に居るユーゼス・ゴッツォにもその響きが伝わった。

 

 

 

 

 

 

 

「す、凄ぇ………」

 

 未だシェルターに入る事に手こずっている真司はそう呟いた。

 ビルの隙間の端々から見える怪獣と巨人。

 それはこれまでにも起きた怪獣と巨人、両者の闘いにやはり酷似していた。

 

 

 十年前に起きた『怪獣総攻撃』と『第一次異星人戦争』。

 人類が三人のウルトラ戦士――マン、セブン、ジャックと共に、怪獣・異星人と戦った戦争。

 ずっと膠着状態だったが、ウルトラ戦士が全ての光の力を使い果たす形でどうにか異星人を撃退し、暗黒の戦争は幕を下ろす事になった。

 それからというモノ、対異星人用の機動兵器『パーソナルトルーパー』が開発され、より怪獣対策に特化したチーム『GUTS』が発足された。

 そして二年前………。

 再び蘇った怪獣達、再度侵攻してきた異星人達、世界の最後を示すかの様に現れた邪神ガタノゾーア、そして全ての宣告者ジュデッカ………。

 超古代から蘇った光の巨人『ウルトラマンティガ』と異星人との闘いの為に開発されたスーパーロボット『SRX』、そして様々な協力者達によって、ティガを失いつつも戦争を終わらせる事に成功した。

 全てが終わったそれから、ウルトラ戦士を誰一人として見た者はいなかった……。

 

 ………筈だったのだが、

 

「だけど、何でまたウルトラマンが………」

 

 真司は持った疑問について考え始めていた。

 あの白黒の巨人は、限りなくウルトラマンに近い姿をしていた。つまり、アレは新たに現れたウルトラマンなのかも知れない。

 だが、どうも腑に落ちない。あのカラーのウルトラマンを見れば、人々は彼を敵と怪しむからだ。

 何せ、パッと見ではイービィルティガにそっくり過ぎる。

 二年前、マサキ・ケイゴと呼ばれる科学者が変身した悪の巨人。神となり人類を導こうとした彼の悪行は、OREジャーナルの一大ニュースとして取り上げた。

 そんな事もあってか、突然現れた巨人に対する期待感も不信感も、両方が人々を取り巻いていた。

 

「………アレは、味方のウルトラマンです」

 

 さっき少女と共にいた少年がそう言う。その眼差しは、巨人に向けられていた。

 

「何で………そう思う?」

 

「あ、いや、何となく……ですよ?」

 

 特に理由などなかった。信じれば、それが正しい。そんな気がした。

 

「あの怪獣と戦っているから、そうも思えるけど………」

 

 真司はそう言いながら、再び怪獣と巨人を見やった。

 

(俺は無力だ……。戦う事など出来ない……)

 

 戦う、という言葉は色々な事を意味する。殴り合う事が全てではない。真司の戦いは、正しい事を報道するという事だった。

 ………だが、あの闘いを見て、真司の中の何かが切れた気がした。

 戦う事……人々を助ける事が出来たのではないのか?

 平和を作る『力』を持っていたのではないのだろうか?

 そんな詮索をするが、そんな『力』を持った覚えはない。

 断片的なナニカが彼の頭を掠めていった。

 自分が人々を護る『力』を持つビジョン。それはかつて経験したかの様に見えた。

 

「クソッ………」

 

 だが、今の彼は何も出来ない。真司は頭を振って、変な考えを払った。

 

「頼むぞ、ウルトラマン………」

 

 

 

 

 

 

 

 





 前回同様適度に伏線を張りつつも、今回はベムラー亜種との対決です。

 ただ、バトルアクションが苦手なせいか、殆どその描写が書けていないです。次回はもっとウルトラファイトさせなければ………

 ちょくちょくオリジナル怪獣とか怪人とかロボとかも登場するかもしれません。

 ……これのアイデアも募集しようかねぇ?等と考えたり。その時は活動報告にてお知らせさせて頂きます。




 身内話ですが、この話を書いている時、今頃になってシンフォギアを最初から見始めました。

 自分の悪い癖ですが、こういう時にアニメを見ると、このままのノリで参戦してしまう可能性が………(汗)


===オリジナル怪獣図鑑その1===

・ベムラー亜種
……初代ウルトラマンと戦った時よりも遥かに進化しており、両腕が筋肉質となって十分格闘戦も出来る様になった。光線の出力も上がっており、スペシウム光線よりも破壊力があるとかないとか。
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