因果律の鎖を越えて -ULTRA・ZEST- 作:猫丸又三郎
イングラムのコピー元であるユーゼスも、スパロボαでデット・エンド・シュートするんだよね?ね!?
………え、しないの?
そんな感じの空想してたのも私だ。ベムラー亜種戦の後半戦です。
旧ダイバーシティ跡地に急ぎ建てられた救助キャンプ。シェルターに避難していた人々はそこに集まっていた。
既に怪獣の姿はない。骸は何処にも見当たらず、ただ破壊された都市の惨状しか残っていなかった。
―――これでも、まだマシな程度だが。
お台場周辺のビルは全壊しているが、その他の区には被害が出ておらず、人的被害も想定された数を大幅に下回っていた。
「……約270名が行方不明又は死亡し、2000人が重軽傷。被害総額は約1000億円まで相当する、か」
ユーゼス・ゴッツォは救助キャンプに居た。体中に出来た打撲に擦傷、軽い火傷の治療の為に立ち寄った時に、この数字を聞かされたのだ。
治療をした医者は愚痴る様にそんな話を言って、サッサと処置を終えた。別に腕が悪いわけではないらしいが、こうもけが人を診過ぎると人間鬱になるのも分かるというものだ。
「怪我は大した事ないが……これからどうするべきか………」
腕に巻かれた包帯を見ながらそう呟いた。
つい先程、この世界にて覚醒したばかりのユーゼスは身寄りなどない。生きていく為にも、何か行動を起こさなければならないのだ。
怪獣と戦う以外にも、ユーゼスの『戦い』は始まっていた。
「この世界の混沌………立ち向かう為には組織が要るか………」
心当たりはある。だが、この世界ではどういう形になっているか等分かる筈もない。ともかく、この世界にも存在する『彼ら』と接触する事を急がねばならなかった。
そんな時、ふとユーゼスは目を他の場所にやった。
キャンプの端、炊き出しが行われるそこには、人々が“笑顔”を忘れずにいた。生きとし生けるからこそ笑える。
かつて人間としての道を踏み外した事もあったユーゼスは、自身が護った者達を眺め続けた。
彼らを護る。笑顔を。命を。それは人間として、銀河の同胞として………。
「―――流石に、腹が減るものだな………」
グゥ、と鳴った腹をさすりつつ、彼も炊き出しの方へと歩き出した。
――――数時間前――――
「ギュララアァァァァァァッ!!」
「―――ッ、グハッ!?」
ゼストは地面に叩きつけられていた。
ゼストファイナルビームと熱線がぶつかり合った直後、超神ゼストの力が弱まったのだ。
「な……何故だ!?何故、この力があの怪獣に負けるのだ!!」
ユーゼスは自分の力を過信していた訳では無い。
だが、ベムラー亜種と闘うと徐々に力が抜けるような感覚がしていた。
まるで闘う度に命が削れるかの様な、まるで呪われているみたいだった。
「ヤプール人や、かつての亡者共に憑りつかれた訳は無いだろうにッ!」
そもそも因果地平の彼方まで付いてくる邪霊などあるわけない、等と無駄な考えを起こし始めたのと同じくして、ベムラー亜種はゼストと距離を取り始めていた。
クロスレンジでの戦闘になれば、最初の時と同じく相当な速度の打撃を食らってしまう。
先ほどのアッパーカット程度ならば問題など無いが、懐に潜り込まれればそれだけ大ダメージを受けてしまう。数回の打撃を受ければ再起不能まで陥る可能性だってあり得るのだ。
「ギュルルゥ………」
誰かに是非を問うかの様に唸る。ゼストに聞こえる事はないが、その声は『彼ノ方』へと繋がった。
―――そうか、アレが不確定要素の一つですか………―――
何処からともなく聞こえる声。
―――やはりこの世界『でも』、あの男は現れる訳ですか…………。流石は『因果律の鎖』によって魂と記憶を縛られた男―――
ベムラー亜種の瞳がゼストを見る。その奥に輝く瞳孔が開き、レンズが露光される。
同時にベムラー亜種の脳内に映し出された『映像』が何処かへと送られる。
―――おや……?超神ゼストの力を持っている………という事は、因果の力を?―――
未だ立ち上がる事が出来ていないゼストだったが、廃ビルを支えにどうにか立ち上がる。
体がふらつくものの、立ち尽くす程度なら問題はないだろう。……つまり、戦う事は出来る事など現状では不可能に近かった。
腕を上げる事ならまだしも、それを先ほどの様に振り抜く事は出来ない。
ベムラーを見やると、まだピンピンしている様子だ。
「ええい、奴に劣っている筈など………」
ゼストの力はかつてと寸分違わずあった筈だ。だが、何故か徐々に失われていく。まるで、異物を『世界』自身が排除しようとしているかの様に……。
「……まさかクロスゲート・パラダイム・システムが無い故に、か?」
ゼストの中にあの装置は感じられない。因果律を操作出来る程の力がなければ、あの超人的な力は出せなかったという訳だ。
……それもそうだ。不死身でいられたのも、因果律を操作する事によって攻撃自体を『無かった事』にしていた故に、CPSの力が影響していないゼスト自身が無敵な訳など無いのだ。
体が重く感じるのもゼストの力が不完全故だろう。
「先程までのあの感覚は、どうすれば元に戻るというのだ!」
誰も答えは知らない。だが、誰かにそう投げ掛けたくなるのは致し方無いのかもしれない。
ユーゼスが天才だとはいえこんな事態を想定している事はないし、それ以前に不可解過ぎるこの事態への対処を考える時間があまりにも少ない。
頭脳派であるは、こういう時にどうするかというのを知らないのだった。
……ある事を除いて。
「フフフッ、私も焼きが廻ったのか?根性だけで、立ち上がろうとするとは……」
少し力の弱まりが抑えられた事で、ゼストは再び戦闘態勢を取る。
すると、心臓が締め付けられるかのような激痛が走った。
「ッ、これは……!」
―――ピコン、ピコン、ピコン―――
胸部に埋め込まれたクリスタルが、先ほどまでの青から赤色で点滅し始めた。警告音の様な音を発しながら……。
「三分間………いや、それ以上の時間が経過している?なら、何故点滅し始めたのだ!」
ウルトラマンは、太陽エネルギーが届きにくい地球圏では約三分しか活動する事が出来ない。その活動限界を知られるのが、胸にあるカラータイマーだ。
その光が失われる事はすなわち、ウルトラマンの死でもある。
だが超神ゼストはカラータイマーの力を応用しているとはいえ、純粋なウルトラマンではない。CPSの莫大なエネルギーを使用していた故に、胸部のカラータイマーもどきが点滅する筈などなかった。
それが、現に点滅している。これはゼストの活動限界なのか、それともユーゼス自身の体力の限界なのか………。
「さしずめ、ライフゲージとでも言うべきか………?」
どうやら、力の低下はカラータイマーもといライフゲージの点滅と連動している様だ。なるほど、ウルトラマンに変身していた者達もこの様な思いをしていたのだろう。
「ギュロロオォォォォッ!!」
ベムラー亜種が突進してきた。ゼストの力が少なくなった事を感じたのだろうか、止めと言わんばかりに駆けだしてくる。
ゼストは迎え撃つ為にも、腕を再び十字にクロスした。だが、ゼストファイナルビームの一撃が限界だろう。
力が消える、という事まではいかなくとも、一時的な再起不能に陥る事は必死だ。
「………だが、それでも私は、戦わなければならんのだ!」
ウルトラマンなら、こんな時でも諦める事はない。
ユーゼスは己の信念を信じた。かつての彼らと同じように。
「ゼストファイナルビーム………デット・エンド・シュートォォォッ!!」
手がスパークし、放たれる光線。先程とは威力も随分落ちている。だが、
「ギュルアアアアアアアアアアアアアッ!?」
それがベムラー亜種の腹に直撃した。削り取るかの様に皮膚を消滅させる。それが徐々に腹の肉まで抉り返す。
苦痛の叫びを上げるベムラー亜種だが、それと同時に口から熱線を乱れ撃つ。乱射された光は、ゼストの全身に叩きつけられた。
「グッ………だが、まだァァァッ!!」
ユーゼスは心が熱くなるのを感じた。
全身に激痛が走る中でも、力が失われていく中でも、奴を倒す事を諦めたりなどしない。
(成程……イングラムもまた、こんな気持ちで私と戦ったのだな………)
そんな事を思いながら、ユーゼスは意識を目の前の敵へと向けた。
それに応えて光線も勢いを増し、ベムラー亜種にぶつかっていく。
ライフゲージの点滅音すら聞こえない程にユーゼスは集中していた。残された力も全て持って行くかの様に。
「貴様は……虚無へと帰れッ!!」
ユーゼスは振り絞ってそう叫んだ。
「ギャアアアァァァァァ………」
ベムラー亜種の咆哮が途絶え始める。――否、徐々に聞こえなくなった、と言うべきか。
ベムラーの体が、存在が、空間から消えた。
消し飛ばした訳ではない。それは本当に『存在を消した』のだ。
ゼストファイナルビームに付加された力。
肉と魂を虚無へと還す、ゼストに残っていた『闇』とも言うべき力。
完全に事象自体を制御出来たCPSから取り出されたその力は、ゼストの体内で一対の天秤として存在していた。
『光』と『闇』
かつて闇の巨人であり、今は光の巨人となった超神ゼストの中に眠るそれは、ユーゼスの新たな力。
世界を変えられる程の、強大過ぎる力。
巨人が再び現れたこの日を境に、世界は、崩壊の序章へとページを進めた………。
「ゼストファイナルビーム……デット・エンド・シュート!」はやりたかっただけです。前回の中途半端な台詞はこれの前振りだったりしたりしなかったり。
やっとこさ初陣終わったよ!これでやっとGUTSとライダー出せるよ!これで伏線張り放題だぁぁぁぁぁぁっ!!
そして、コレの執筆の為に生活バランス崩したのも私だ。