因果律の鎖を越えて -ULTRA・ZEST-   作:猫丸又三郎

6 / 14

 実は第四話よりもこの第五話の方が先に書きあがっています。何故!?

 読む際は、BGMとして『DARK KNIGHT』と『極めて近く、限りなく遠い世界に(Ver.OG)』を無限ループで流しておく事をオススメします。

 それ聞きながら書いていた為ってのもありますけども……



第五話 蒼き戦神、黒き巨人

 

 

 

 

「―――何故だ………」

 

 

 鋼の巨神は、遂に地に伏した。

 目の前に広がるは、共に戦ってきた仲間たち。

 

 

 ………の動かなくなった姿。

 

 

 眼前に立つ者は、青き鋼鉄の巨人。

 両目と胸にある意匠のみが光を放ち、それ以外は漆黒の闇の如く黒い。

 まさに恐怖の象徴。死を誘う死神。そして、人間に宿りし『闇』…………。

 

 あのユーゼスですらも経験のないであろう程の闇。

 ゼストの力など到底及ぶ筈もない程の深い闇の力は、既に幾人もの仲間を惨殺した。

 二つの力を使う超神、太陽の輝きを持つ仮面の戦士、光を宿す巨人、純白の魔導士、戦場で歌う戦姫、漆黒の亡霊………。

 皆、この悪魔によって命を失われた。

 横たわるゼストの胸部、ライフゲージは既に光を失い、動かなくなった亡骸は寸前まで最後の足掻きを見せたのか、ゼストファイナルビームを放とうとしていた。

 だが既に立ち上がる者は居ない。横たわる骸のみが無情に転がっているだけ。

 最後まで戦う意思を持った戦士は、たった一人だけ。

 

「………何故なんだァ!何でアンタが!!」

 

 既に全身の制御も困難になった鋼の巨神、SRXは、最後の力を振り絞って立ち上がろうとしていた。だが………

 

 ―――デュワッ!―――

 

「ッ、グワアァァァァッ!!」

 

 巨大な図体を、一撃で蹴り倒された。それと同時に、頭部が吹っ飛ばされる。

 ―――否、その下から二回りも小さな頭部が露わになった。

 試作型パーソナルトルーパー、R-1。そのメインカメラである。

 

 その鋼鉄の機神の内部に居る男―――リュウセイ・ダテは、意識が遠のくのを耐えながらモニターを見た。

 先ほどの衝撃のせいでヘルメットが割れ、頭部からは出血していた。もう助かるかも分からない程度、出血が激しい。

 ぼやけた視界に映し出された者は、目の前にただ立ち塞がっていた。

 

 ―――…………………―――

 

 無言で、だがその口角を上げて、無残な姿のSRXを見下ろしていた。

 邪悪な笑みが、念動力者であるリュウセイの脊髄を一瞬で凍てつかせる。

 巨人は右手を構える。手刀の様に手を鋭くし、それを後ろに引く。

 ポタポタと滴る液体はパーソナルトルーパーのオイルなのか、それとも誰かの血液なのか………。

 

「何故だ……………何で…………………」

 

 絞り出す様に一言一言言葉を紡ぐ。

 だが時は冷酷に、彼の終わりを告げようとする。

 

「何でこんな事ッ―――」

 

 咆哮を上げたリュウセイだったが、その眼前には既に巨人の腕が迫っていた。

 

 ―――フンッ……!―――

 

 巨人から突き出された右腕。それが向かう先、それはSRXの胸部。

 

「あっ――――――」

 

 軽々と装甲を突き刺した。それと同時に液体が巨人の顔面に付着する。背部まで貫通した腕には、幾つかの小さな塊が付着していた。

真っ赤になったソレは、たった数秒前までリュウセイ・ダテを構成していたモノ。見るも無残に挽肉になった姿であった………。

 最後の一人の息の根を止め、巨人は再び笑みを浮かべた。

 

 

 

 ―――地球最強の部隊は今ここで、滅び去ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 北米、テスラ・ライヒ研究所。

 

 パーソナルトルーパー、特機の開発を手掛ける一大研究所である此処に佇む、一つの陰があった。

 全身が蒼く染まった機神。テスラ研が開発したスーパーロボット、ソウルゲイン。

 顔面には白いひげの様な角が伸び、体中にちりばめられた緑色の球体が勇ましく光っている。

 異星人や怪獣との闘いを念頭において開発せざるをえなかったこの機体は、機動兵器というよりも『戦神』の様に思えた。

 そんな雄々しき戦神はただ一点の方向だけを向いて、その時を待っていた。

 

 

 

『…………聞こえる、アクセル?』

 

 通信機から聞こえる女性の声。“転移”も近い為か、画面には『SOUND ONLY』と質素に描かれていた。

 

「ああ、聞こえている…………来たか?」

 

 ソウルゲイン内のコックピットに居るアクセル・アルマーは音声通信に応える。

 彼が首を動かすのと同時にソウルゲインも同じように動く。

 モーショントレースによって動かされるソウルゲインは、まさしくアクセル『自身』として戦ってくれるだろう。

 

『ええ。コードはお馴染みの………あの頃で言う≪ティガ≫、ね』

 

 

 ―――ティガ。

 

 

 その言葉を聞いて、アクセルは両手に力を込めた。連動して、掌に少しだが蒼いエネルギーが放出される。

 

「………アレが化け物になってから、俺達は苦汁をなめさせられた。………因縁はキッチリと断っておくべきだな」

 

 そう言うと、ソウルゲインは両手を構える。モニターの端に一つのマーカーが映し出されたからだ。

 登録コードはやはり≪ティガ≫となっていた。

 

 かつては人類の守護者として君臨していた、光の戦士。

 守り人として幾つもの戦いに参戦し、地球を異星人の手から守り抜いた『ウルトラマン』であったモノの、成れの果て。

 同胞である筈の他のウルトラマンを殺害し、更には共に戦ってきた地球の仲間達をも手にかけた。

 それによって異星人が一気に地球へ襲来し、国連軍は敗退。残る戦力は幾つにも満たない程であった。

 

「レモン、貴様はウィンデルや人形共と先に往け」

 

 既に、転移の準備は整っていた。“箱舟”さえ飛び立ってしまえば、幾ら超人的な力を持った≪ティガ≫ですらも追っては来れないだろう。

 

『待ってアクセル、貴方は………』

 

「俺は奴との決着を付ける…………それに、転移までの時間を稼がねばならんだろ」

 

 まだ転移するのに必要なエネルギーのチャージが済んではいない。

 せめてあと数分間はこの場を持たせなければならないのだ。

 自分達の、シャドウミラーが目指す『闘争が日常の世界』を実現する為に…………。

 

「っ、力に溺れた異星人めが」

 

 

 ―――お前たちが、宇宙にとっての『悪』であり、それを駆除する必要がある―――

 

 ―――地球人こそが、望まれない世界を……宇宙を造る―――

 

 

 脳髄にまで響いてくる声。

 これが、奴の―――ウルトラマンティガの声だとでも言うのだろうか?

 

「ふっ、だが俺はその世界と決別する。……この敗北の先に、勝利を得る為に!」

 

 そう、ここで負ける事が終わりではない。新たな始まりへのプレリュードにしか過ぎないのだ。

 地球人も異星人も関係ない、力でのし上がった者こそが全ての世界……!

 

 

 ―――勝利、敗北……そこに意味はない。破壊されるか創りだされるか……―――

 

 ―――創造は破壊……破壊の創造……人間は箱舟と共に朽ちよ―――

 

 

 口がニヤリ、と歪んだ。それは悪魔の微笑み。死を誘う笑みだった。

 

「寝言はそこまでだぁぁぁっ!!」

 

 一気にブーストし、ソウルゲインを飛ばす。

 目の前からは、漆黒に染まった巨人が猛スピードで突っ込んでくる。

 両者は激突する事も厭わないかの様に速度を上げた。そして―――

 

「うおおおおぉぉぉぉぉぉっ!!」

 

 ぶつかり合う拳。

 ≪ティガ≫とソウルゲインは真っ向から組み合った。

 衝撃によって、足元にクレーターが発生する。それほどの力と力のぶつかり合いだった。

 曲がりなりにもウルトラマンであった≪ティガ≫の力は圧倒的。だが、対異星人、それ所か対ウルトラマン用に調整されたソウルゲインは、相対するだけの出力を持たされていた。

 

「舐めるな、パワーならッ!!」

 

 製作に携わったユーゼス・ゴッツォですらも驚く程のこの機体は、≪ティガ≫を倒す為には十分過ぎる力を持っている。更にそこにアクセル・アルマーという最高の操縦センスを持ち合わせた者が乗り込めば、人類の守護者も圧倒できるとの計算であった。

 ―――だが、

 

 

 ―――奴を押せ……闇の力よ!―――

 

 

 一瞬≪ティガ≫の周りに黒いオーラが纏わると、次の瞬間にはソウルゲインが押され始めていた。

 計算上ならば互角以上。

 だがそれはそれまでのウルトラマンの力から算出された結果であって、遥かにパワーアップを図っている≪ティガ≫は計算外なのだ。

 だが、それでもアクセルは止まる事はない。

 

「何っ、ならば!」

 

 組み合っている左手に意識を集中させる。それによって発生するエネルギーの本流を、≪ティガ≫の腕に向かわせた。

 

「青龍鱗ッ!!」

 

 ソウルゲイン唯一の遠距離武装。

 エネルギーの本流を両手、若しくは片手から放出可能であり、収束、拡散、エネルギー弾と、幅広く応用する事も可能である。

 

 放てるだけの最大出力で、左手から青龍鱗を放出。その直撃は大きく爆発を起こし、あっけなく≪ティガ≫の腕を吹きとばした。

 確かな手ごたえ。アクセルはニヤリとしつつ、ソウルゲインにバックステップを踏ませて後方に飛んだ。

 

 

 ―――ぬあぁぁぁぁぁぁっ!!?―――

 

 

 思わぬ事だったのだろう。≪ティガ≫は苦痛に顔を歪めた。

 千切れ飛んだ腕が地面に落ちる。爆発のせいか殆ど原型を留めていなかった。

 

「まずは右腕1本頂いたぞ!」

 

 たった数秒の取っ組み合いにも関わらず、アクセルは異常なまでに汗をかいていた。

 冷や汗が少しずつ乾いてきたのか、肌寒く感じる。悪寒の様にも感じられたが、それでも≪ティガ≫にダメージを与えられた事で気合が入り直した。

 このまま押せば……或るは………

 

「どうやらまだ勝機は………ッ、何!?」

 

 その時だった。

 

 ―――我は、滅びぬ………!!―――

 

 アクセルは自身の見た光景を簡単には信じる事が出来ない。だが、現実に起こった。

 喪った右腕の切断部から触手が出現し、新たな腕を構成したのであった。

 単なる再生能力ではない。別の何かの力が働いている、としか言いようがない程、その光景は異様であった。

 いや、案外ウルトラマンという者はこういう奴らなのかも知れなかった。

 自爆したウルトラマンタロウだって地味に再生していたのだから、不思議ではない。

 

 

 ―――ヴウウゥゥゥゥゥゥゥッ!!―――

 

 

 奇怪な唸り声と共に、闇とも言うべきオーラが更に量を増す。それはやがて≪ティガ≫の数倍もの大きさになり、そこで本体と一つになっていく。

 巨大化、とでも言うのか、悪夢の様な出来事は続いて行った。

 

「くっ、やはりな………」

 

 その姿に、アクセルは見覚えがあった。

 二年程前に起きた、ウルトラマンティガの事実上最後の戦い。俗に『邪神戦争』とも呼ばれる闘い。

 ガタノゾーアと呼ばれる超大型怪獣との決戦に敗れたウルトラマンティガは、世界中の子供たちから発せられた『光』を吸収し、更にパワーアップして復活した事があった。

 現在の≪ティガ≫は、GUTSが『グリッターティガ』等と呼称したその形態の『闇』版とでも言うべきか。

 タダでさえ全身が漆黒だったにも関わらず、更に闇に深く沈んだ様に変わっていた。

 もはたかつての守護者としての姿など一つも見当たらない、まさに化け物その物だった。

 邪神戦争にて滅んだ筈のガタノゾーアに似た甲殻や体組織が盛り込まれ、先程の触手が所々に現れる。怪獣とも取れる禍々しい姿へとなっていた。

 

「守護者というよりは外道に過ぎるぞ………≪ティガ≫っ!!」

 

 

 ―――お前たちは純粋な存在………高次元生命体にはなりえん―――

 

 ―――俺が……そう、俺こそがぁぁぁぁぁっ!!―――

 

 

 咆哮し、一気に気を放った。

 それと同時に、胸を覆っていた甲殻――どう見てもガタノゾーアの装甲と同じだが――が二つに割れ、中身をさらけ出した。

 純粋に黄色く光った、大きな光球。

 

「………あれは、奴のカラータイマーか!?」

 

 ウルトラマンには必ずと言っても過言ではない程付いているエネルギー球、カラータイマー。

 その名残はまだ彼の体内に残されていた。

 だが、そこから放たれるドス黒い狂気は、完全に人類の味方では無かった。

 

 

 ―――ゼペリオン………―――

 

 

「っ、マズイッ!!」

 

 開かれた甲殻の中心、光球の目の前でスパークが起きる。それが横に伸び、そして一気に拡大された。

 

 ―――ブラスタァァァァァ!!―――

 

 

 前方の物体全てを薙ぎ払うかの様に放射される負の波動。

 それはテスラ研の地上施設の殆どを消し飛ばし、地下への孔まで丸見せさせてしまった。

 更に何より、回避が若干遅れたソウルゲインの左側腹部を掠め、装甲を融解させたのだ。

 

「何だと!?想定上なら、ゼットンの火球も耐えられる筈がッ!?」

 

 脇腹以外に被弾個所は見受けられなかったが、それ以上に得れたモノがあった。

 あの光線に当たると最後、存在が消えゆく事………。

 ソウルゲインの後ろに存在していた筈のテスラ研施設が、丸々と削られる様に無くなっていた。

 大出力のせいか、地平線の彼方まで地面が抉れているのがまた強大さを物語っている。

 

「くっ、地下の“門”と“箱舟”がッ!!」

 

 大きな穴をかっぽじられて、アクセルは流石に息苦しさを感じていた。

 既に地表からでも十分見えてしまう位置に『アギュイエイオス』と『リュケイオス』、二つの転移装置、システムXNがある。それを両方破壊される訳にはいかないのだ。

 

『アクセル、今のは何なの!?』

 

「っ、レモンか!思った以上に≪ティガ≫が手強くてな……こんな様さ」

 

 下から浮上してくる機動兵器が一つ。ヴァイスセイバーと呼ばれるロボットがソウルゲインの隣までやって来た。

 通信を入って来たレモン・ブロウニングは思った以上に錯乱していた。

 それは当然だろう。唐突に戦術核並みの被害が地表に出たのだ。

 冷静に立ち回れる事は無理だろう。―――たった一人を覗いて。

 

『………これが、巨人の真の力という訳か』

 

「ウィンデル、出てきて良いのか!?」

 

『悠長に構えている暇など無いだろう。奴を殺らない限り、我々の計画は始める事も出来ん』

 

 更に上がってくる機影が一つ。

 ソウルゲインの兄弟機であり、上位機と呼べる存在、ツヴァイザーゲイン。

 シャドウミラー隊の隊長であるウィンデル・マウザーは戦闘形態を取りながら、ソウルゲインの前に立った。

 

『奴の弱点………間違いなくあの胸部に隠されたカラータイマーだろう』

 

『そうね、あんなに頑丈そうな甲殻で包む程だから、余程用心深い様ね』

 

「だろうな。………だが、そこの一点さえ崩せれば奴は倒せる」

 

 三機の機動兵器は、それぞれ構えた。

 一方の≪ティガ≫は発射の反動で動けなかったのか、やっと重そうな図体を動かし始めた。

 

『速攻で片付ける。各機、集中攻撃を掛けろ!』

 

『了解』

 

「やるしかない………やれるのか、俺に?」

 

 ≪ティガ≫の甲殻が再び開き始める。それはあの光線、ゼペリオンブラスターが発射される事を示していた。

 

「―――いや、やるんだ!」

 

 そう叫ぶと、アクセルは音声入力であるプログラムを立ち上げた。

 

「認証コードOK、起爆時間セット……タイムラグは5秒………ただの博打だな、コイツは!」

 

 

 ―――この世界に蔓延る『悪』よ………消え去れェッ!!―――

 

 

「コード:麒麟……!」

 

『コード:麒麟・極ッ!!』

 

『ソリッド・ソードブレーカー!!』

 

 放たれる閃光。これまで以上の出力のそれが、大地と空を抉った。

 それと同時に飛び出すツヴァイザーゲイン、ソウルゲイン、ヴァイスセイバー。

 二つの閃光がぶつかり合い、時空を歪めた。

 それはまるで、この世の終わりを指し示すかの様に………。

 

「貰っていくぞ、貴様の首をなァッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――――マドカ・ダイゴォォォォォッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





 極めて近く限りなく遠い世界にて………

 シーン的には完全にSRWOGジ・インスペクター。SRWimpactが参戦するならこの作品でのアインスト出現も考えそう。アレがアインスケじゃないのは、アインストが使えない為です。

 それと、このシリーズを執筆している最中にはシンフォギア視聴に並行してスパロボA(GBA版)をやってます。誰か、ゲシュペンストを止めてくれェェェッ!!


 次回はフツーにユーゼスさんメインでお送り出来れば、と思っております。

 ではでは、また次話で………。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。