ある鎮守府の愛と硝煙に塗れた日常   作:木曾のポン酢

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現代兵器を書きたくなったので。


ある鎮守府の硝煙に塗れた1日の始まり

脳の完全な休息から大淀が目覚めたのは、作戦開始の1時間前だった。自然な睡魔の退散に成功した彼女は、二三度首を鳴らすと目の前のスクリーンに注視する。

資本主義者からヘイローと呼ばれる輸送ヘリコプター、それを早期警戒管制機へと改装した機体中で。彼女は傍に置いておいたヘッドホンと眼鏡を取って装着すると、手元の端末を操作し始めた。

周辺海域の海図、作戦指令書、敵の情報、時計。それら様々なウィンドウの中から、一つを選択し、拡大する

六つに分けられたウィンドウの中には、現在作戦行動中の六機のヘリコプターと、そこに乗っている。六〝隻〟の少女達の情報が記されている。

 

それを横目に見ながら、本作戦に参加する戦力をもう一度確認。

 

第一艦隊

Mi-26K改×1

Mi-35K改×6

(第一独立空中強襲中隊〝オルカ〟)

>>>那珂改二

夕立改二

時雨改二

叢雲改二

綾波改二

吹雪改二

(第一水雷戦隊)

第二艦隊

MiG-29K×4

(〝解放〟飛行隊〝クロウ〟)

 

第三艦隊

スラヴァ級ミサイル巡洋艦 栄光

>>>Italia

Roma改

利根改二

青葉改

睦月改二

菊月改

ソヴレメンヌイ級駆逐艦 勝利

大胆

 

鎮守府航空隊

 

MiG-31BM×8

(第三戦闘飛行隊〝シュヴァルツェ〟)

Tu-22M4×6

(第六爆撃飛行隊〝ポラリス〟)

 

これほどまでの大部隊での作戦行動は久しぶりである。特に第一艦隊は、一水戦だけでなく虎の子の空中管制ヘリやオルカ中隊まで投入している。

 

「これを訓練代わりにしようとしているのかしら」

 

あり得る話だ。確かに今回の仕事は大部隊を相手にするが、この半分でも問題なく仕事は行えるだろう。

頭の片隅で義父の顔を思い浮かべながら、それなら今回は訓練教官のつもりで仕事を行いますよ、と頭の中で呟いた。

 

さて、そろそろ仕事を行うとするか。

空は既に深い夜に包まれている。月は無く、ただ星の光のみが世界を照らしている。川内に言わせれば良い夜戦日和、という奴なのだろう。

 

ヘッドセットに付いたマイクをオンにし、横にある指揮所へと向かう。

 

「大淀より那珂へ、これよりブリーフィングを開始します。」

 

『はーい。あ、メイクさんもう大丈夫でーす。はい、ありがとうございましたー。』

 

ほんと、彼女はいつもアイドルである。

 

 

 

六つの巨大な爆発が前方に出現する。

ポラリス隊の放った巡航ミサイルだろう。ソ連軍の開発した新型爆薬は、その威力とクリーンさから取り巻き国家達には好評らしい。

 

『ポラリス1よりオルカリーダーへ、お膳立ては済んだぞ。』

 

ポラリス隊の隊長、元々アメリカでB52に乗っていた壮年の白人の声が聞こえてきた。

 

「あぁ、良く見えてる。」

 

『では、そちらのライブを楽しみにしておくぞ』

 

アウト、と言い残して。通信が切れる。

オルカ中隊を構成する六機のハインドたちは、現在海面スレスレを相手のレーダーに引っかからないように飛行中である。

 

『ねーねー隊長』

 

通信機から声が聞こえてくる。那珂だ。

 

「どうした、那珂」

 

『スピーカーで別の曲流しても良い?』

 

スピーカーとは、襲撃用に中隊全員で買った大型の高性能スピーカーである。普段なら大音量でワルキューレの騎行が流されるのだが……

 

「そういえば、新曲を出したんだっけか?」

 

『うん!で、みんなにも買ってもらいたいなーって思うから、ここで流して宣伝しようかなと』

 

「OK、お安い御用だ。CDならどうせハンスが持ってる。だろ、ハンス」

 

『そりゃ勿論』

 

ドアガンナーのハンスの声が聞こえた。部隊の中で一番の那珂キチである彼だ、持っていないわけがない。そもそも東ドイツ軍から彼が抜けてきたのは、ここに那珂がいるからというのは周知の事実だった。

 

『死ぬ時は那珂ちゃんの曲と一緒ですからね』

 

『ハンスさんいつもありがとね。那珂ちゃんも持ってきていたけど、折角だしハンスさんのでやろう』

 

『どうぞどうぞ』

 

ポーカーフェイスを気取ってるが、内心狂喜乱舞しているだろう。そもそも、同じ機内にいるというだけで泡を吹いて倒れかねない男だ。そんな彼の本性は、ビール二瓶を投入しないと見ることができない。

 

『大淀より第一水雷戦隊全艦へ、そろそろ作戦海域に侵入します。出撃準備を』

 

『はーい!』

 

各部をアップリケ装甲によって強化した漆黒の鰐の扉を開く。英軍にいた時はノロマなデブ鹿と呼んでいたが、乗ってみると中々悪くない。この重厚感は西側には無い操縦感覚だ。

 

後ろを見てみると、機体側面からぶら下がるワイヤーのハンドルを掴んだ那珂の姿があった。

今日の衣装は黒いゴシック調のドレスだ。顔には夜戦仕様のメイクもしており、準備万端という様子である。

 

「オルカリーダーよりオルカチームへ、投下と同時に襲撃を行う。いつも通り派手にいこうじゃないか」

 

レーダーを注視する。目の前には、無数に蠢く赤い点。あの爆発の中、まだこれだけ生きているとは。まったく、呆れた生命力だ。

 

全機、作戦海域に入る。その瞬間、オルカリーダーはマイクに向かって叫んだ。

 

「降下せよ!繰り返す、降下せよ!私達の姫君に海神の加護を!」

 

海上に、六隻の少女が降り立った。それを確認したハインド達は一斉に上昇を開始する。

 

深夜の大西洋に、ポップなメロディが響き始めた。

先月末にリリースされた新曲、『貴方の為の海軍カレー』だ。

 

良い曲だ、帰ったら自分も買おうかしら。

暗視装置の中にいる今回の獲物達を眺めながら、そんな風に彼は考えた。




なぜ木曾を目的として書いてるのにこの文章中に木曾がいないんだ?
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