後、この作品では前書きと後書きにはどうでもいいかと思いますが、あまり書いたりはしないかと思います。
プレイヤーの精神をゲームの世界である仮想世界へとダイブさせ、本当にゲームの世界に来たかの様な感じになる革新的なヘッドギア型のゲーム機であるナーヴギアに対応する初のVRMMORPGである『ソードアート・オンライン』、通称でSAOと呼ばれたゲームが正式にリリースされたのは早くも二年も前の話だった。
SAOはプレイヤーが自らの身体を動かす事で剣や槍と言った得物を振り、モンスターを倒しながら進んでいく正統派RPGで魔法は無く、剣の腕だけで進んでいくこのゲームスタイルが注目され、SAOではソードスキルと呼ばれる必殺技みたいなモノも有り、決められたモーションを取る事でソードスキルを放つ事が出来る。ソードスキルを上手く扱いながら進んでいくのも注目された理由の一つだった。
SAOは最初こそは一万人のプレイヤーがいたが、その実態がプレイヤーのHPが0になった瞬間にアバターは削除され、同時に現実世界でもナーヴギアから高出力の電磁マイクロウェーブが流れて脳を焼かれ死ぬというデスゲームだと知らされ、更にはログアウト不可能と脱出すら許されない、正に死の世界だった。
その死の世界と化したSAOから脱出する唯一の手段はこのゲームをクリアする事だと
そんなSAOに閉じ込められたプレイヤーが二年で既に約3600人のプレイヤーが亡くなっており、このデスゲームに終止符を打つべく為の戦いが何と第100層では無く、第75層で行われていたのだ。
第75層まで進んだSAO攻略を目指す攻略組のプレイヤー達は第75層のボスである『ザ・スカル・リーパー』を14人の犠牲者を出しながらも何とか撃破出来たが、それ以降の層でもこれ程の犠牲者が出るとなると攻略組のプレイヤーが誰もいなくなる恐れが有り、攻略組に少し不安が積もる中で攻略組のプレイヤーの一人であるキリトが最強の名を誇るギルド『血盟騎士団』の団長であるヒースクリフを怪しく思い、ヒースクリフに感付かれない様に一撃を加えたが、キリトの一撃は障壁の様なモノで防がれたが、障壁と同時にヒースクリフが不死属性を持つ事を告げるメッセージが表示され、ヒースクリフの正体こそが茅場昌彦だと知った瞬間だった。
ヒースクリフはキリト以外の攻略組のプレイヤーの動きをシステムによる干渉で強制的に麻痺状態にして動けない様にした後、自分の正体を見破ったキリトに自分と戦う権利を与え、もしキリトが勝てた場合は第75層のこの時点でゲームクリアを認め、残ったプレイヤー全員を強制的にログアウトさせて現実世界に帰す事を告げた。
キリトはヒースクリフとの戦いを始める前に攻略組の面子の中で世話になった者達に声を掛けていく。
「エギル、お前は商売をしながらも中層のプレイヤーのサポートをしていたよな。もし、これからもこのゲームが続く様なら続けてくれ。いずれはソイツらが攻略組のメンバーに加わるだろうしな」
「キリト・・・何をそんなバカな事を言ってんだ・・・それじゃ、まるで自分が死ぬ事を前提に言ってる様じゃないか・・・」
「クライン。俺はこのゲームが始まって直ぐにお前を置いていってしまった事を悪く思っていた。本当にすまん。もし、また会えるなら今度はちゃんと一緒に行動したいな」
「バカ野郎!!そんな事を言って誤魔化すんじゃねえよ・・・いいか、絶対に生きろよ!生きて帰ったら、ピザを奢れよ!年上が年下に奢られるのも変だけどよ、これ位のワガママを言わないと本当にキリト、お前が何処か遠くに行ってしまうんじゃねえかって不安なんだよ・・・」
「解ったよ。現実世界に帰れたら、ピザの一枚や二枚奢ってやるよ」
キリトはエギルとクラインに告げた後、自分のパートナーである女性アスナに声を掛けた。
「アスナ、ごめんな。ここで逃げると、予定より早いゲームクリアなんて出来そうに無いし、何よりアスナをこれ以上傷付けて血を流させる事を一刻も早く終わらせたいんだ」
「死ぬつもりは無いんだよね?」
「勿論だ。絶対に戻るよ」
「わかった、信じてるよ。キリト君」
キリトは心の奥で自分が消滅してもアスナだけは絶対に生きてくれと思っていたが、その思いを悟られない様に最後に水色の長髪の少年へと声を掛けた。
「アズワルド。今までお前はこの世界での汚れ仕事を引き受けていたな。お前は俺より年下でシリカと同じ位の年齢の筈だ。出来ればこれ以上、汚れ仕事はしないでほしい。お前が
「キリトさん。確かに僕は殺しなんてしたく無かった。でも、裏の世界に生きるプレイヤー達を制するには誰かがオレンジプレイヤーを率先して殺って畏怖の対象になる事で殺意を一点に引き受ける必要が有った。僕は自分がその畏怖の対象になる事を決意した事に後悔は無いし、誰かが殺されて死ぬぐらいなら、僕が一点として引き受けた方がマシだ」
「お前はそれでいいかもしれないが、お前が死んだら悲しむ奴もいるんだ。クラインやエギルを含めた攻略組のメンバー達、アスナにシリカとリズ。そして俺もその一人だ。だから決して自分だけがオレンジプレイヤーに狙われ続けて殺されて死んでもいいと思うな!」
「キリトさん・・・そうですか。なら、キリトさんも約束してください。必ず生きてこの戦いを終わらせる様に!」
「ああ、解っているさ」
キリトはアズワルドとの会話を終えた後、ヒースクリフとの戦いを開始する為にヒースクリフの前に出た。
そして、キリトとヒースクリフによるゲームクリアを掛けた予定より早くラスボスとの戦いが開始されたのだったが・・・
「しまった・・・」
キリトは中々自分の攻撃が思う様に当てられない事に焦ってしまい、ヒースクリフを相手に自分だけが持つユニークスキルである27連撃を誇る二刀流の最上位ソードスキル[ジ・イクリプス]を放ったが、ヒースクリフはソードスキルを作り上げた茅場昌彦本人であり、間違ってもソードスキルの設定者であるヒースクリフにソードスキルを当てるなど不可能に近い事だった。ソードスキルは一度放つとソードスキルの攻撃が終わるまで続き、ソードスキル使用後の硬直時間を踏まえるとキリトは完全なる隙を作ってしまったも同然だった。
ヒースクリフはその隙を逃さずにキリトに向けて剣を突き刺そうとした時だった。
「キリト君・・・絶対に死なないで・・・」
「アスナ!!?そ、そんな・・・」
ヒースクリフの剣がキリトの持つ剣を一本折り、その刃がキリトを襲おうとしたが、そんなキリトを庇う為に麻痺状態の中で必死に身体を動かしたキリトのパートナーであるアスナが彼を庇い、自らを盾にしてまでキリトをヒースクリフの剣から守ったが、その代償としてアスナが光の粒子となり散ってしまった。
キリトはアスナを自分のせいで死なせてしまった事に悔いる中でソードスキル使用後硬直が解けると同時にアスナが消えた瞬間に落ちたアスナの形見であるレイピアを拾うと、ヒースクリフに剣を刺そうとしたが、キリトはアスナの死という現実に耐えきれず生気は感じない状態だった為にその攻撃はヒースクリフに簡単に防がれてしまい、キリトはヒースクリフの剣で腹部を貫かれてしまい、光の粒子となり散っていたかの様に思えた。
「何!?」
ヒースクリフが思わず驚きの声を挙げたのは無理も無い。HPが無くなり、光の粒子となり散っていた筈のキリトが再び粒子が集まると共にアスナのレイピアでヒースクリフの胸を貫いたのだ。これはSAOの製作者である
ヒースクリフはキリトが刺したアスナのレイピアにより、HPが0となり粒子となり散る。ヒースクリフが倒れた事により、SAOにいる全てのプレイヤーにシステムによるアナウンスが流れ、ゲームがクリアされた事を告げた。
SAOがクリアされるとキリトとヒースクリフの戦いを見ていたアズワルドはキリトとアスナの二人が死んだとは思っておらず、不思議とまた会える気がしてならなかった。意識が徐々に薄れていき、SAOのプレイヤーであるアズワルドは現実世界へと戻っていたのだった。
SAOがクリアされ、生き残ったSAOのプレイヤー達はほぼ全員が現実世界の自分の肉体に意識が戻ったが、まだ意識が目覚めない者もいた。
その原因がALOに有るとSAOで死んだと思われていたキリトから聞き知ったアズワルド。それにアスナも生きているが、アスナの意識は戻ってないと聞くと再びナーヴギアを使い、『アルヴヘイム・オンライン』、通称ALOと呼ばれるゲームにログインし、そのALOの中で非道な実験を行っていたALOの
SAOクリアの貢献者の一人で有り、ALOで非道な実験をしていた須郷の野望を打ち砕いた者の一人として注目されたアズワルド。現実での彼の姿は潮田渚。普通に何処でもいる14歳の少年だ。
彼はSAOに長い間閉じ込められており、中学生の授業についていけるかどうか心配されていたが、SAOにいた時にアスナが彼を弟の様な感じで優しく中学生で習う範囲の勉強を教えてくれた事も有り、本来ならSAO帰還者専用の学校に通うところだが、成績に問題は無いので通常の中学校に通っても大丈夫だろうと判断された。
渚はSAOにいる間に精神がタフになっていたので、SAOに閉じ込められる前に有った母親とのいざこざをキリトとエギルにクラインの三人の協力も有ったが、自らの手で解決させた。渚の母親は渚を自分の二週目の様に思っていたのか、渚に自分がいけなかった大学に通わせる為にとヒステリックになる事が多かったが、今では普通に母子をやれている。
母は渚に自分が行きたい道を行く様に認めた上で学校はキリト達と同じくSAO帰還者専用の学校に行くのか、それとも通常の学校に通うのかを選択する様に告げていた。
渚は色々と考えたが知り合いが多いSAO帰還者専用の学校に行く事にしたのだが、三月の終わりに入ったある日に総務省に有る通称『仮想課』の職員である菊岡誠二郎に頼まれ、防衛省に属する烏間惟臣という男と面会する事になった。
渚は何故、防衛省の人間が自分なんかに用が有るのか解らずにいた。と言っても誠二郎があまりろくな用で呼ばない事が多いので、またかと内心では思いながらもSAO帰還者が通う病院の一室を借りて烏間という男と面会した。
「初めまして。私は防衛省に所属する烏間惟臣という」
「烏間さん、初めまして。僕は潮田渚と言います。それで防衛省に所属する人間である烏間さんが僕にどんな用で呼んだんですか?」
「菊岡を通して君を呼んだのはある依頼をしたいからだ」
「依頼って・・・VRMMO関係ですか?もし、そうなら僕よりキリト、いや桐ヶ谷和人さんの方が適任じゃ・・・」
「確かにSAOクリアの貢献者である事も理由の一つだが、これは『黒の剣士キリト』と呼ばれた桐ヶ谷和人には出来ない相談だからだ。私が君を呼んだのは君には椚ヶ丘中学校の三年E組に転入して貰いたい」
「転入?何故、わざわざそんな事を・・・」
「理由は今、説明する。君には椚ヶ丘中学校の三年E組の教室に通ってもらい、そこの担任となるヤツを殺してほしい!」
烏間から渡された資料を見ると、資料には黄色いタコの様な謎の生物の姿を写した写真が貼ってあり、その生物こそが最近起きた月が七割蒸発して一生三日月しか見れない様にした元凶だと記されていた。この生物が来年には地球をも破壊する様だが、何故か椚ヶ丘中学校の三年E組の担任になるらしく、その教室の生徒達と協力してこの生物の暗殺をしてほしいという内容だった。
「つまり僕にこの生物の暗殺をしろって事ですね」
「そうだ。君は聞いた話によると、SAOでは数多の
渚は正直言うと、SAO時代の通り名が全て中二病っぽいので呼ばれるのが恥ずかしいのか、苦笑いした。それに気付いた烏間は気分を害した事に詫びながらも話を続けた。
「さすがにこの通り名で呼ばれるのは恥ずかしいだろうな・・・君の気持ちを気付かずに口にした事は詫びよう。話を続けるが、君の場合は肉体の運動能力も見るからに高い事も解っている」
「確かに僕はリハビリで身体を動かしている内に、徐々にSAOでやっていた動きを再現出来る様になってきました。今では木の上から6メートルは離れた別の木に飛び移る事も出来る様になった事に自分が一番驚いています・・・」
「おそらくだが、君がSAOで身に付けた動きについていける様に脳が君の身体に変化を与えたんだろう。今のところ、SAOでの動きをどれだけ再現出来るか知りたいのだが、君はどれだけ再現出来てると感じるんだ?」
「そうですね。ええと、良くても半分くらいかな?」
木から6メートル離れた別の木に飛び移れる時点で十分に暗殺者の動きが出来てる様に思えるが、渚と烏間は一切ツッコまない。
「半分か。残った半分の力を再現する為にも君はE組に入って、ソコで残った半分の動きを再現出来る様にしてくれ!実戦こそが一番実力を発揮出来るだろうしな」
「そうですね。とりあえずは和人さんでは無理なのは年齢的な問題で有る事は解りましたのでその依頼は受けますけど、その前に質問します。所詮はゲームの世界での話だとかって思わないんですか?」
「簡単な話だ。例え、ゲームの中で有ろうと命を掛けた戦いをしてきた時点でそれは実戦と変わりはない。所詮はゲームの世界での話だと言うヤツは本当に命を掛けた戦いをした事の無いヤツか自分の力に過信した愚か者のどちらかだろう。俺は君を含めたSAO帰還者の事を勇敢に戦い抜いて生還した者達だと思っている。だからこそ、あの世界で生き抜き、その世界で汚れ役を引き受け、
烏間は真剣に渚を見つめ、敬意を表した後に資料に掲載された生物の暗殺を頼んだ。渚は真剣に頼む烏間からの依頼を断る理由は無く、この依頼を引き受ける事にした。
「烏間さん。この依頼は受けますが、この生物は通常の銃器に得物は効果が無いと書いていますが、どうする気なんですか?」
「この生物を殺す為の専用のナイフや弾を撃てる銃を用意してある。全てこの生物には有害だが、人間には只のゴムのナイフ、只のBB弾でしかない為に人間に当たっても無害だ。後、君専用にSAOでのソードスキルを実際に放てる特殊な機械剣を作ってある。他にも君がSAOで使っていた投擲用のピック等も再現した物を用意してある」
「それは大助かりですよ烏間さん。銃を使うよりは慣れた剣を使う方がしっくりくるからね」
こうして渚は椚ヶ丘中学校の三年E組に転入する事になり、E組の生徒達と協力しながら担任となる生物を暗殺する事となった。果たして、SAO帰還者である潮田渚は地球をも滅ぼす生物の暗殺が出来るので有ろうか・・・