マキウスの死から二週間は経ち、渚はマキウスから教わった事と後に出会った元βテスターのアルゴから得た情報や彼女の用意したマニュアルに書かれた内容を基に順調にレベルを上げていき、ビギナーながらソロでレベルを14まで上げた。
デスゲーム開始から1ヶ月経ち、やっと迷宮区を見つけ、迷宮区を突破したプレイヤー達がボス部屋を発見したそうなので、渚は第1層のボス攻略会議が行われる街トールバーナに向かい、トールバーナに着くと広場の方で多数のプレイヤーが装備を整えており、広場でボス攻略会議が行われると思い、広場の方に移動すると、渚の姿を見たプレイヤー達が笑いながら渚に言う。
「おいおい、ここはガキの遊び場じゃないんだぜ」
「そうそう。ここは今から大事なボス攻略会議が始まる場所なんだ。ガキは他の所で遊んでな!」
どうやら渚を子供としか見ておらず、ボス攻略に参加しに来たプレイヤーだとは思っていない様だ。渚は自分がボス攻略に参加しに来た事を告げる事にした。
「僕はそのボス攻略に参加しに来たんです」
「笑わせるな、お前みたいなガキに何が・・・」
渚がボス攻略に参加しに来たと聞くと、話にならないと思ったプレイヤーが追い出そうとしたが・・・
「そこまでにしな!!ガキだろうが戦う意志をちゃんと持ってここに集まったってのが、ソイツの目を見て解らないのか?」
金髪の青年が一喝して、渚が戦う意志を持ってここに来た事が解らないかと言ったので渚を煙たがったプレイヤー達は黙り込んだ。その後に渚は自分をフォローをしてくれた金髪の青年に感謝した。
「ええと、ありがとうございます。フォローしてくれて」
「別に気にすんなよ。今の奴らもこの1ヶ月で第1層から未だに進んでない事に焦って苛立っているだけだと思うし、お前がボス攻略で実力を示せば見た目だけで判断してナメられる事は無くなるだろうから男らしく頑張りな!俺の名はリンドってんだ。お前の名前は?」
「アズワルドです。一応、こう見えてもレベルは14です」
「俺よりレベル高いのかよ!?まあ、先程お前にいちゃもん吐けた奴らも今のを聞いて驚愕してやがんぜ。これでお前がナメられる事は無いだろうな」
リンドは渚より自分のレベルが低い事に少し落胆しつつも渚を子供では無くて、一人の仲間として認識した様で渚の頭を軽く撫でた後に適当な席に座っていた。
渚も適当な席に座ると、広場に集まったプレイヤー達の前に青い髪の好青年が立ったので、今からボス攻略会議を開始する様だ。
「よく集まってくれた。俺の名前はディアベル。職業は気持ちで
ディアベルがそう発言すると笑い声が聞こえるが、これはディアベルをバカにしてる訳では無くて彼の言葉で切羽詰まったモノが抜けて気が楽になった事で出た笑い声だ。ディアベルはこの場の空気を和やかにする為にわざと言ったのだろう。そもそもSAOに職業とかの概念は無い。
ディアベルは冗談で場を和ませた後、ボス攻略会議を開始した。
「さて、ボス攻略会議を始めよう。前日に俺のパーティーが迷宮区の中を捜索していると、ボス部屋を見つけた。ボスを倒す為には人数が必要と思い、こうしてボス攻略に参加してくれる者達に集まってもらった訳だ。ボス戦は集団戦術であるレイドで行うから、まずはこの場にいるプレイヤーでパーティーを組もうか。一つのパーティー毎の人数の目安は5人か6人だ。では、各自パーティーを組んでくれ」
ディアベルがそう言うと同時に周りのプレイヤー達が次々とパーティーを組んでいくので、渚は出遅れてしまいパーティーを組むにもあぶれてしまい、パーティーを組もうにも既にパーティーを組終えた者達が多い中で渚は唯一人数が足りてないパーティーを見つけた。まあ、二人だけのパーティーなのでコンビと言った方が正解かもしれない。
渚は自分と同じくあぶれたと思われる二人とパーティーを組む事にして、渚よりマシな方だが女顔の男とローブで顔を隠した女性のコンビに近付き、パーティーの申請を頼んだ。
「すみません、僕はあぶれてしまいまして・・・それで二人がよければ僕を二人のパーティーに入れてくれないかな?」
「ええと、俺は良いんだが、もう一人の方が許可するかどうかは・・・」
「別に構わないわよ」
「ああ、そうですか。どうやら、この人も異論は無い様だから君を俺達のパーティーに加えるよ」
「ありがとう、僕はアズワルド。あなた達の名前は?」
「俺か?俺の名前はキリトだ。で、コッチの人は・・・」
「アスナよ」
「アスナらしい。どうもさっきパーティーを組んだ時からこんな感じなんだ。多分、悪い奴では無いと思うけど・・・」
「大丈夫かと思いますよ。アスナさんって優しくて頼れるお姉さんって感じですから」
「私がお姉さん!?そうよね、年上として私がこの子の様な子供を守らないといけないのよね・・・」
何故かアスナがぶつぶつと呟き出したが、キリトと渚はその間にディアベルにパーティーを組終わった事を伝えた。ディアベルは全員がパーティーを組終えた事を確認すると次の話に進める。
「パーティーを組終えたみたいだし、次の話に移るとしよう」
「その前に悪いが、ちょっと待ったんか!!」
ディアベルが話を進めようとした瞬間、割り込んできたプレイヤーがいた。そのプレイヤーはトゲトゲした毬栗みたいな独特の髪型をした茶髪と顎髭が特徴的だった。そのプレイヤーが話出した。
「ワイの名前はキバオウや!急に割り込んで悪いんやが、ボス攻略を開始する前にこの一ヶ月の間に死んだ2000人のプレイヤーとこの場の全員に謝らねばならん奴がおる筈や!」
「キバオウさん、それは誰の事ですか?」
「言うまでも無い筈や、ディアベルはん。ワイが謝れと言う奴は元βテスターの事や!元βテスターの奴らは自分の身の安全を優先してビギナーであるワイらを置き去りにして姿を眩ました上に良質なアイテムや報酬が良いクエストを独占しおった。この中にもいる筈や、元βテスターの奴がな!元βテスターの奴は今すぐ名乗り出て、持っているアイテムにこの世界の通貨であるコルを全てこの場の他の奴に渡さんかい!じゃないと背中を預けられへんわ!」
キバオウは元βテスターは今すぐに持っているアイテムにコルを全て差し出せと言うが、渚はキバオウの言っている事に理不尽さを感じた。元βテスターの中には確かにキバオウの様な者もいるが、全てのβテスターがそうでは無い事は渚は知ってる。自分の為に無茶をして死んでしまったマキウスだって元βテスターだ。間違ってもキバオウが言う様な奴では無かった。
だからこそ渚はキバオウの意見に反論した。
「キバオウさん。あなたは元βテスターを悪く言っていますが、必ずしも全ての元βテスターがあなたが言う様な者じゃない!」
「なっ、何やガキ。ワイは大事な話をしてる最中や。邪魔する気か?」
「大事な話の邪魔を最初にしたのはあなたですよね?ディアベルがボス攻略についての話を進める中で邪魔に入ったのは誰でしたっけ?」
「ああ、そうや。確かにワイはディアベルはんの話を遮って話の邪魔をした。それは認める。だが、ワイの言う事も大事な話やで」
「いいえ。キバオウさん、あなたが言っているのは簡潔に言えば、この場にいる元βテスターは黙ってアイテムとお金に武器を置いていけって意味ですよね?アイテムが無ければHPが少ない時にどう回復しろと?お金が無いと宿にも泊まれないし、この世界でも餓えは有るから何か食べないと生きていけないのに、お金が無いと食べていけない。アイテムを全て差し出せっていうのは武器も全て渡せって事ですよね。武器が無いと戦えないから、最悪アイテムとお金が無い状態の中で生きていくにはモンスターを倒してお金を得るしかないのに、武器すら無ければどうする事も出来ない。あなたは元βテスターに信頼してほしければ、素っ裸になって何も出来ない状態になれと言ってるんですよ!」
「ぐぬぬ・・・」
キバオウは子供である渚に正論を言われてしまい、反論の余地が無いのか黙り込む。そんなキバオウに更に追い打ちする様に黒人と思われるスキンヘッドの体格が良い男がキバオウに告げる。
「ちょっと、いいか?俺はエギルって言うんだがキバオウさん、その子の言う通りだ。元βテスター全員がアンタの言う様な奴じゃない。そもそも1000人いた元βテスター達は既に半分が死んだと聞く。残った元βテスターは半分しかいないし、半分しかいない元βテスターからアイテムやコルを全て寄越せと言うのはさすがに理不尽だし、そんな事をしてアイテムとお金を全て取られた元βテスターが死んだらアンタはどう責任を取るつもりだ?それにだ、この本はアイテムショップで無料で配布されているしこの場のほとんどの者が持っている筈だ。これは元βテスターだった者が作って配布している物だ」
そう言ってエギルは本をキバオウに見せると、キバオウもその本を持っているので文句は言えない。
「これで解った筈だ、キバオウさん。元βテスターの全員がアンタの言う様な奴じゃないし、βテストの時と違って本当に死ぬゲームになった正式版で元βテスターが自分の命を優先にして動くのは人間の心理として当たり前だ!もし、アンタが元βテスターだとしたら、アンタはビギナーを見捨てなかったと言えるのか?ここにいる奴らは皆がボス攻略の為に集まってんだ。そんな中でアンタが言う一部の元βテスターの影響を受け、逃げてもいない奴を含めた元βテスターの立場が弱くなっている。そんな者達にアイテムとコルを全て寄越せと言う方がどうかしてると思うぞ!」
エギルがキバオウに一喝し、キバオウが怯み出した後にリンドが続けて発言した。
「その通りだな。キバオウのおっさんよぉ、ここはボス攻略について会議する場所で有って、間違えても元βテスターへの偏見を言ってはアイテムとコルを取り立てる場所じゃねえよ!アイテムとコルが欲しければ自分で頑張って手に入れな!それと元βテスターのせいにして、この一ヶ月で死んだ2000人が喜ぶとでも言うのか?死んだプレイヤーの内500人は元βテスターだし、今まで死んだプレイヤーの死因を元βテスターのせいにするのはお門違いだと思うぜ、おっさん!!俺としてはおっさん、アンタこそが背中を預けられねえ相手だよ!」
エギルの言葉により、キバオウは完全に失意したらしく、更にリンドが追い打ちした言葉でトドメをさされたキバオウは青ざめた表情をしながら自分のパーティーの元へと戻っていた。
ディアベルはキバオウが大人しくなったのを確認した後、ボス攻略会議を再開した。
「元βテスターについては色々と思うところが有るだろう。でも今は正式版SAO初のボス戦をどう攻略していくのかが重要だ。先程のエギルさんの話でも出てきた本の最新版によると、今回のボスの名前は『イルファング・ザ・コボルトロード』らしい。名前の通りコボルト系のモンスターで人型で犬の頭をした巨大なボスだ。名前が長いからコボルトロードと呼ぶ事にして、このボスはそれぞれの手に両刃の斧とバックラーを構えている様で、コボルトロードはHPがレッドゾーンに近付くと斧とバックラーを捨ててタルワールに持ち替えるらしい。その土壇場での武器の切り替えにも対処出来る様に立ち回った方が良いかもしれない。先程組んだパーティー毎に俺が役割の分担を決めておく事にしよう。各パーティー毎に決められた役割を果たしながら、スイッチを使って前衛と後衛を上手く切り替えながら戦えばボスだろうと犠牲を出さずに倒せる。その為にも今日は休息しよう。休んで身体と精神の疲れを取ってからボス戦に向かうとしよう。それでは解散!」
ディアベルがボス攻略会議を終えて解散を宣言すると、各パーティー毎に自分達が泊まる宿屋へ向かった中で渚は自分のパーティーであるキリトとアスナの二人と過ごす事になるのかなと考えていると、キリトが渚に話し掛けてきた。
「アズワルド、さっきお前は元βテスターが全員がキバオウの言う様な奴じゃないと言ってたな。もしかして、アズワルドは元βテスターなのか?」
「いや、僕は元βテスターじゃないよ。僕はこの正式版SAOが初めてやるゲームだし、間違っても元βテスターでは無いよ」
「初めてゲームをやったのか・・・それにしても、失礼だと思うがお前みたいな子供が一人でボス戦に参加出来る程のレベルまで上げられたもんだな」
「ううん。僕一人だけの力じゃないよ。僕は元βテスターに支えられてここまで強くなったんだ。元βテスターだった彼が僕を支えてくれたお陰で僕はこの世界で生き残る為の力を得る事は出来た。だけど、僕を支えてくれた元βテスターである彼は二週間前に僕の為に無茶して死んでしまった・・・でも、僕は彼の死に悲しみながらも、彼から教わった事と彼の残した言葉を胸に閉まって、彼の分までこの世界を生き抜く決意を固めたんだ。だからこそ、キバオウさんが元βテスターを非難する事に我慢出来なかったんだ」
「そうか・・・お前が出会った元βテスターは俺と違って他人に気を使えた奴の様だな」
「その様子だと、キリトさんも元βテスターだったって事かな?」
渚がキリトに元βテスターか尋ねると、キリトは思い詰めた表情をしながら答えた。
「ああ、俺は確かに元βテスターさ。ただし、お前が出会った元βテスターと違って、この正式版SAOで出来た友を置いていってしまった卑怯者だ。アイツは自分の事は気にしないで進めと俺に行ったけど、俺はやっぱりアイツを置いていって自分だけが先に進んで行った事を後悔してるのかもな。だから、俺の事は幻滅してもいい・・・」
「幻滅なんてしないよ。だって、キリトさんはその友を置いていってしまった事を悔いているし、その友は自分の事は気にしないで進めと言ってたんでしょ?だから、その人はキリトさんを恨んでなんかいないよ。キリトさんは自分が置いていってしまった事への罪悪感で後ろ向きに考え過ぎているだけだよ。自分がキバオウさんが言う様な元βテスターの一人だと思っているのはその罪悪感のせいだよ。だから、その罪悪感を払う為にも今回のボス戦は置いていった友の分も含めて戦うつもりでいた方がいいんじゃない」
「そうか。確かに後ろ向きに考え過ぎていただけかもな。お前と話したら、少し楽になったよ。そうだな、俺は今は前線に来れないアイツの分も頑張ってボス戦を生き残って終わらせないとな」
渚と話したお陰でキリトの表情が少し活気付いたモノとなったので、渚は励ませたのなら良かったと思った。その後に渚はキリトにアスナがどんな人物なのか聞いてみる事にした。
「キリトさん、アスナさんがどんな人物なのか聞きたいんだけど説明出来る?」
「アスナについてか?アスナとは俺が迷宮区を探索していた時に、切羽詰まった感じでモンスターと戦ってレベル上げをしていたアスナを発見したんだ。モンスターを倒した後にアスナが電池が切れたかの様に倒れたから放っておけずに、迷宮区の外にまで運んで、目覚めるのを待っていたんだが、目が覚めたアスナは何を勘違いしたのか俺を変質者扱いしてはレイピアで俺を刺そうとしてきた。俺はアスナの攻撃を避けた後に互いに別行動しながら、ボス攻略会議に参加しにこの街の広場に向かったんだ。ディアベルからパーティーを作る様に言われた時には俺が入るパーティーは周りにいなかったから、俺と同じくあぶれたアスナと組む事になったんだ。名前だって、その後にアズワルド。お前が入った時に初めて聞いたしな。だから、アスナについては本人に聞いた方がいいぞ」
渚はキリトとアスナは互いに面識は有ったものの第一印象が悪いせいか多少もつれが有るので、キリトから見たアスナは気が強いという感じなのかなと思い、これ以上はキリトでは無くてアスナ本人に聞く事にした。渚はアスナが少し話し掛け辛い雰囲気を出しているので、少し迷ったがアスナに声を掛けようとしたのだが・・・
「じゃあ、アスナさん本人に聞きますね。ちょっと話し掛け辛いけどね・・・」
「その気持ち解るぜ、アズワルド。アスナは気が強いのは間違いない。何か思い詰めてるみたいだし、そのせいでか話し掛け辛い雰囲気を作っているしな。そうだな、ここは俺がアスナとお前が話し易い場所に行かせるべきか」
キリトもアスナが話し掛け辛い雰囲気を出していると思っているらしい。その為かキリトは渚がアスナと話し易くなる様にする為にアスナに何か話した後に、渚とアスナを自分がレンタルしたプレイヤーホームへと連れて行った。
プレイヤーホームに入った後、直ぐにアスナは風呂に向かったので、キリトは上手く話しに乗ってくれたかと思ったら風呂目当てだったのかとどう反応すればいいのか解らないでいた。
「風呂目当てだったのか・・・ゲームの中だから汗はかかないし、臭いはモンスターとかの臭いとかは付くには付くけどさ、別にそこまで気になるモノじゃないしな」
「キリトさん。女性って結構、そういう身だしなみには気を使いますし、風呂に入りたくなっても不思議ではないかと思います」
「そういうもんなのか。ところでアズワルド。お前は男だよな?」
「男ですよ!!僕はれっきとした男です!!」
「すまん。俺も女顔だけどさ、まさか俺より上の女顔の男がいるとは思いもしなかったし、お前の背は女子の平均的な高さだしな・・・」
「それ、どういう意味ですか!?」
「気にするな。その内に伸びるさ、成長期が終わる前にこのゲームを生きてクリアさえすれば、まだ可能性が有るから頑張れ!」
「何で励ます訳!?」
渚はキリトに責めよるが、キリトは『そういえばシャワーは10分使うと水になるのをアスナに説明し忘れていた』と言って逃げようとしたが、タイミング悪くアスナが風呂場から出てきたので、キリトはアスナに覗きの疑いを掛けられアスナから制裁を受ける事になったが、渚は一切キリトを助けようとはしなかった。
キリトは死に物狂いで逃げ出し、プレイヤーホームの外に出ていった。必死に逃げ去ったキリトに呆れながらも渚はアスナと話した。アスナは意外とすんなりと話してくれたので、渚は驚きつつもアスナから話を聞いた。
アスナは現実では受験生だったが、ナーヴギアとSAOのソフトをデスゲームが始まったあの日に都合が入った兄から借りて1日だけの息抜きのつもりでプレイした。だが、息抜きのつもりがゲームクリアまで現実に戻れないというデスゲームだと知ると、アスナは今まで親の言い付け通りにやって来た自分の努力が無になってしまう事に絶望したという。
それを聞いた渚は何処かアスナは自分の家庭での境遇に似ていると思った。渚も母の機嫌を損ねると母がヒステリックになるので、母の機嫌を悪くしない様に気を付けながら生きていたから、アスナのその時感じた絶望はもしかすると自分もマキウスといなかったら感じていたのではないかと思った。
アスナは絶望しながらも、この世界を1日でも早く脱出する為に強くなろうとしてキリトが話していた通りに迷宮区で無茶なレベル上げをしていたところでモンスターを全滅させた後に気を失ってしまい、気付くと迷宮区の外でキリトに介抱されていたのでキリトを不審者扱いしたらしい。
その後にキリトと別れて、ボス攻略会議が行われる街に行き、ディアベルにパーティーを組む様に言われた時には自分だけで戦おうとしていたが、その場にいたキリトに声を掛けられ、ボスは今までと違って一人で戦うのは無謀だと言われたので渋々キリトとパーティーを組んだ後に渚に声を掛けられたので、渚をパーティーに入れて現在に至るとアスナは説明した。
「話せるのはこれぐらいかしら」
「うん。話してくれただけでも僕は嬉しいし、それにアスナさんと僕は何処か似てる感じがしてね・・・僕の家は両親が離婚して、僕と母さんの二人で生活してるんだけど、母さんは僕に自分が行けなかった大学に行かせようとしてるんだけど、自分が思う様な事にならないと機嫌を損ねてヒステリックに怒るんだ。僕は母の顔色を常に確認しながら生きていたんだ。アスナさんも両親の顔色を常に確認しながら生きていたんじゃないですか?」
「そうかもね・・・私も君同様に親の顔色を気にしてばかりだったかもね。ふふっ、話したら少し気が楽になったわ。ありがとう、アズワルドちゃん」
「えっ?今、ちゃん付けしましたか?僕はこう見えて男ですよ・・・」
「またまた、そんな冗談言わないで」
「冗談では無いから!!本当に僕はれっきとした男の子です!!この長い髪に髪型は全て母さんが僕を息子としてでは無くて、娘の代用品みたいな感じで母さんが子供の頃に自由に髪を伸ばせなかった事も有ってか、この長い髪で過ごしているんですよ・・・」
「そうだったの・・・ごめんなさい、アズワルド君。君は私と本当に似た境遇の中で生きていたのね・・・」
「ですね。とりあえず、今日は休みましょうか」
「そうね。お休みアズワルド君」
渚とアスナは互いの家庭での境遇が似てると思い、互いにその境遇に同情した後にもう遅い時間なので寝る事にした。
外に出ていたキリトが帰ってくると、キリトも夜遅くになっているので寝る事にしたが、ベッドはアスナに取られ、ソファーで寝ようにも渚が寝転んでいるので、キリトは半泣きしながら床の上で寝たという。
次回で語りは終わらせます。
リンドは別に原作と同じ性格ですよ。元βテスターを悪く言ってないのも、元βテスターを恨むきっかけが無いだけです。
キバオウは弱い者を強い者が導く事を理想的だと思ってはいるのでしょうが、元βテスターを毛嫌いしてる辺り、元βテスターの裏切りでも有ったのでしょうかね。じゃないと、ここまで強く元βテスターを批判しませんよね?内心は良い人物だというのは『コード・レジスタ』で解っていますしね。彼の第1層のボス攻略会議前の過去に何が有ったのか知りたいですね。