潮田渚はSAO帰還者で暗殺者   作:ロナード

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 今回で第1層での語りは終わりです。


第5話 それぞれの意志の引き継ぎ方

 朝になり目が覚めた渚はキリトとアスナと一緒に朝食としてパンを食べた。そのままでも美味しいパンだが、味に一工夫付ける為にキリトが出したクリームを塗る事で違う味を付けて食べた。アスナはこの世界に来てから初めて味気が有る物を食べたらしく、渚とキリトが驚く程の勢いでパンを食べ進めたのでキリトはクリームが入った瓶をアスナに渡した。アスナは遠慮したが、キリトはクエストをクリアすれば何度でも手に入るから別にいいと言うとアスナは受け取ったので、アスナはキリトに対して素直になれないだけではと渚は思った。

 

 食事を済ませた後に三人はディアベル達と合流して、ディアベルから役割分担をされ、渚のパーティーは今回のボスの取り巻きである『ルイン・コボルト・センチネル』を相手にする。他のパーティーがボスだけに集中出来る様にする為らしい。

 役割を与えられた後にディアベルの後方に続いてボス部屋までの道を進む中で襲ってくるモンスターを撃退しながら、パーティーを組んだのは今回が初めてだというアスナに前衛と後衛の位置を瞬時に切り替える連携技であるスイッチについて説明した。

 ディアベルが立ち止まると、ディアベルに続いたプレイヤー達も歩みを止めると渚達も動きを止めた。どうやら、ボス部屋の前にたどり着いた様で、ディアベルが攻略組の皆に向けて声を発した。

 

「いいか皆。いよいよボス戦だ。デスゲームが始まり1ヶ月経過して、やっとの事で見つけたボス部屋だが、この中にボスがいる。だから再度皆に確認したい。この戦いに参加する勇気が有るか?」

『おう!』

「そうか。戦う勇気が有るのと同時にこの場の全員が無事に生き残って犠牲者が出ない様に戦う様にしてくれ。俺はこの場の全員なら誰もが無事に生き残って今回のボス戦を終える事が出来ると思ってはいるが、くれぐれも最後まで油断しないで戦う様に心掛けてくれ!この戦い全員が生き残って無事に終わらせるぞ!!」

『おおっ!!』

 

 ディアベルの言葉に攻略組のメンバーが勢いよく返事を返し、ディアベルは皆の調子も大丈夫そうだと確信した後にボス部屋の扉を開けた。そして、開いた扉の奥に進んでボス部屋に全員が進入した。

 ボス部屋に入ると、犬の頭をした巨大な人型の怪物が斧とバックラーを構えて攻略組のプレイヤー達の前に姿を現した。この怪物こそがボスであるコボルトロードだ。更にコボルトロードの前から取り巻きであるセンチネルの姿が三体有り、コボルトロードが咆哮を挙げるとセンチネル三体が攻略組のプレイヤー達に襲い掛かろうとしてくるが、ディアベルが慌てずに指示を出した。

 

「B班にC班は俺が率いるA班と一緒にコボルトロードに攻撃してスイッチで後衛であるD班にE班と場所を入れ替えて防御だ。そしてF班の三人は五つの班のプレイヤーがコボルトロードとの戦闘に集中出来る様にセンチネルの相手をしてくれ!」

 

 ディアベルの指示通りにプレイヤー達が動き、コボルトロードに攻撃していく中で渚とキリトにアスナの三人はセンチネルの相手をする。三人は各自一体ずつ相手を行う。

 まず一体目のセンチネルはキリトが相手をし、センチネルがメイスでキリトを叩き付けようとするが、キリトは剣でメイスを弾いた後にセンチネルにカウンターを仕掛け、重い一撃を与えるとセンチネルは怯み、大きな隙が出来るのでキリトはその隙を逃さずに片手剣のソードスキル[バーチカル]を放ち、センチネルのHPを全損させると、キリトが相手したセンチネルは光の粒子となり散った。

 キリトが一体目のセンチネルを相手にしてた時にアスナは二体目のセンチネルの相手をしていた。アスナは素早い動きでセンチネルのメイスによる攻撃を避けると、センチネルの懐に潜り込んでレイピアでセンチネルの脇を突くと、センチネルは怯み、アスナは怯んで隙を見せたセンチネルに細剣のソードスキル[オーバーラジェーション]による10連撃の突きがセンチネルに放たれ、センチネルはその連撃でHPを無くし、光となり消滅した。

 キリトとアスナがそれぞれセンチネルと戦闘を行っている時、渚も三体目のセンチネルの相手をしていた。センチネルが素早い身のこなしで渚に近付くとメイスで殴り掛かろうとしてくるので、渚は咄嗟に後ろに半歩下がりメイスを避けると、センチネルの後方に移動し、センチネルの背中に目掛けて剣を突き刺すと直ぐに抜いて斬撃を喰らわせた後に片手剣のソードスキル[ホリゾンタル]を放ち、センチネルのHPバーを空にするとセンチネルは青く光りながら消えた。

 

 

 センチネルを三体供撃破した渚達三人はコボルトロードと戦うディアベル達の様子を確認すると、コボルトロードのHPは渚達がセンチネルの相手をしてる間にディアベルの的確な指示の中でプレイヤー達が的確にダメージを与えていた為か、既にレッドゾーンに移行していた。

 HPがレッドゾーンにまで移行し追い詰められたコボルトロードは構えていた斧とバックラーを投げ捨てると、後ろ腰から新たな得物を手に握ろうとしたので、ディアベルは情報通りにβテストの時と同じタルワールかと思い、勝利を確信してなのかプレイヤー達に告げた。

 

「皆、よくやった。後は俺に任せておけ」

 

 ディアベルは今から一人だけでコボルトロードと戦うと攻略組のプレイヤー達全員に告げるが、渚はディアベルの行動が疑問に思った。コボルトロードのHPはレッドゾーンの為に空前の灯火だが、ボスである以上は油断出来ない相手だ。ディアベルはこの場の全員を死なせない様に的確な指示をしていたが、今やる事はディアベルの行動としては迂闊に感じた。

 ディアベルは最後まで油断せずに戦えと言っていたが、これでは説得力の欠片も無くなる。ディアベルだって、その事は解っている筈なのにどうしてこんな事をしたのかと渚は不思議に思っていたが、ディアベルの視線が一瞬だけキリトに向けられたので、キリトはディアベルの狙いが何なのか解った。渚もディアベルがキリトに一瞬だけ視線が向いた事に気付き、渚も何となくだが、ディアベルの狙いが解った。

 ディアベルの狙いが解ったとしても、渚とキリトはディアベルを無理に止める必要も無いかと思ったのだが、コボルトロードが握った新たな得物を確認すると、それはタルワールでは無く、大きな野太刀だった。

 キリトは得物がタルワールでは無い事に気付いていないディアベルに向かって叫んだ。

 

「ディアベル、下がれ!!ソイツが持つのはタルワールじゃない!!野太刀だ!!」

 

 キリトが大声で叫んでディアベルに伝えようとしたが、時は既に遅かった。ディアベルはコボルトロードが振るう野太刀による斬撃を受けてしまい、その威力で空中に浮かび上がり、コボルトロードが追撃で野太刀を振り降ろすと、ディアベルは地面に叩き付けられHPが減っていく。減り方を見る限り、急いで回復させないとHPが無くなる勢いだったのでキリトに渚はディアベルに近付いてポーションを飲ませようとしたが、ディアベルは二人が手にしたポーションの蓋の上に手を置き、自ら回復を拒んだ。

 

「ダメだ。回復アイテムはこの序盤の層ではポーションすら高くて手に入り難い。今の時点ではポーションだけが貴重な回復アイテムだ。それを受け取ってまで俺は生き残りたくない。それにこの減り方を見れば、ポーションを飲んだところで俺は助からない・・・」

「ディアベル、何でこんな無茶をしたんだ!?」

「君だってβテスターなら解るだろ。俺はボス撃破時に手に入るLA(ラストアタック)ボーナスをどうしても入手したかった。この先、皆を導く為にも俺は強くなっていかないといけないと思ったからだ。俺はβテスターだが、ビギナーを見捨てる事は出来なかった。それに始まりの街に引きこもったプレイヤー達の為にも、希望を与えていつかはこのゲームがクリアされる事を伝えたかったんだ。だけど、俺はこれまでの様だ・・・」

「ディアベルさん、バカな事を言わないでポーションを飲んで回復を・・・」

「ごめん。君の気持ちは嬉しいけど、本当に序盤の間は回復アイテムは貴重な物だ。それを受け取る事は出来ない。それに君は子供とは言えど、俺より強くなれる素質が有る。だからこそ、そんな相手の可能性を消したくは無いんだ・・・本当にすまない。最後に君達二人に頼みが有る。皆の事を君達のやり方でいいから導いてくれ・・・頼むぞ、二人供・・・」

 

 ディアベルはそう言った後に光の粒子となり姿を消した。ディアベルを死なせてしまった事にキリトと渚は悔やんだ。だが、今はディアベルの死に悲しんでいる場合じゃない。ディアベルの意志を継いで、コボルトロードとの戦いを終わらせる事が先決だと思い、二人はコボルトロードの前に出た。

 

「アズワルド、ディアベルの意志は俺達が引き継ぐぞ!」

「はい!その為にも、この戦いを」

「ああ、終わらせるぞ!!」

 

 渚とキリトはディアベルの意志を継ぐ為にも動きだし、まずはキリトがコボルトロードに接近してコボルトロードとつばぜり合いになり、コボルトロードの動きが抑制されたので少し時間が出来たなと思った渚はディアベルの死に動揺していたプレイヤー達に向けて叫んだ。

 

「皆、聞いてくれ!ディアベルさんの死に動揺してるのは解っている!だけど、今はディアベルさんの死に悲しむ前にこの戦いを終わらせて始まりの街にいるプレイヤー達に希望を与える事が先決なんじゃないか!」

『はっ!?そ、そうだ。俺達がディアベルの死に動揺して自分達までここで死んだら、誰がディアベルの意志を継ぐって言うんだ。そうだな、お前の言う通りだぜ』

「そうだ、だからこそ今はこの戦いを終わらせる事が先決だ!ディアベルさんが亡くなった今、A班のリーダーはキバオウさんって事にするけど、キバオウさんのA班とリンドさんのB班とエギルさんのC班にD班にE班、そしてアスナさんも頼む!僕が出す指示通りに動いてくれ!」

「いいやろう、あんさんの言う通りに動いてやるわい!」

「ありがとう。皆でスイッチを使って、前衛の攻撃役と後衛の防御役と場所を入れ替えながら、コボルトロードにダメージを与えつつ攻撃をしのげば、ディアベルさんの他に犠牲者が出ない筈だ」

 

 渚の指示通りに動くとキバオウが宣言した為か、他のプレイヤー達も渚の指示通りに動く事を決め、渚の指示に従ってコボルトロードに攻撃をし、素早くスイッチを使い後衛の盾持ちのプレイヤーが前に出て防御に回り、コボルトロードの攻撃を防ぐと、エギルが斧でコボルトロードを攻撃して重い一撃を与えると、コボルトロードはのけ反り隙が出来たところをアスナが細剣のソードスキル[リニアー]でコボルトロードを突き出すと、コボルトロードは怯み、更なる隙が出来たところをキリトは見逃さずにトドメをさしに動く。

 

「とどけぇぇっ!!」

 

 キリトは叫びと共に片手剣のソードスキル[バーチカル]を放ち、その剣による一撃がコボルトロードに命中すると、コボルトロードのHPバーは空になり、コボルトロードは苦しそうに叫びながら光を放ち消滅した。

 コボルトロードが姿を消した今、攻略組のプレイヤー達は勝利した事に歓喜の声を挙げた。

 

『勝ったぞ!!これでやっと進めるんだな、次の層へと!』

『何とか次の層へと行ける様になったし、この調子で進めばゲームクリアも夢じゃ・・・』

 

 この場のプレイヤー達が歓喜の声を挙げる中、キバオウは何か納得出来ないのかキリトに向けて声を発した。

 

「何でや!何でディアベルはんを見殺しにしたんや!あんさんは先程、あの犬の化け物が持っていた武器が違う事に気付いとったやないか。あんさんがボス攻略会議で教えてさえいれば、ディアベルはんは死なずに済んだんや!!」

「ああ、キバオウのおっさんの言う通りだな!お前があの時に言ってさえいれば、ディアベルは死ななかったんだ!!お前みたいな元βテスターが情報を自分だけの物にしてるからディアベルは死んだって事だろうが!!」

 

 キバオウが発言した後にリンドもキリトに向けて発言した事で、キリトは元βテスターだとこの場の全員が知る事になり、ほとんどのプレイヤー達がキリトに対して嫌悪の眼差しを向け、更にはこの中には他にも元βテスターがいるのではないかと疑心暗鬼に包まれ、ほとんどのプレイヤー達が互いに互いを不信に思い、いつ衝突し始めてもおかしくない空気になってしまった。

 渚とアスナにエギルの三人は皆に落ち着く様に言うが、誰も聞こうとはせずにこの場の空気がどんどん疑心暗鬼に包まれる中、キリトは何か覚悟を決めたらしく生唾を飲むと、この場の全員に聞こえる様に高い声でドラマやアニメの悪役の様に笑いだした。

 

「ふふっふははは!!βテスターだと?俺をそんなβあがりの奴等と一緒にしてもらっては困るな」

 

 キリトはそう言いながら、ボス部屋の真ん中に移動し話を続けた。

 

「βテストの時、俺以外のテスター共は誰もが効率の良いレベルの上げ方すら知らない素人同然だった。正直言ってアンタら正式版SAOのビギナーの方がまだマシさ。それにだ、俺はβテスト時代に他のβテスターがたどり着けなかった層にまで行った。俺はその他のβテスターでは行けなかった層で刀を持つモンスターと戦った事が有る。だから今回のボスの武器に対してどう対処すればいいのか解っていた。他にも有るぜ、他のβテスター共では知らない情報が!この先に有るアイテムや宝箱の配置に隠しダンジョンとか色々とな!」

「な、何やソレ・・・そんなのもうβテスターどころでは無いやないか・・・最早チートや、チーターやないか!?βテスターのチーターやから、ビーターや!!」

 

 キリトが発言した内容により、キリトは他のβテスターとは違い、他のβテスターでは知らない情報を沢山持っていると判明すると、キバオウからβテスターのチーターだからビーターと呼ばれ、この場のプレイヤー達のほとんどがβテスターへの嫌悪感を全てキリトに向け、キリトにバッシングの声を挙げた。

 渚とアスナにエギルは気付いていた。これが全てキリトの演技で有り、キリトは自ら憎まれ役を引き受ける事で元βテスターへ向けられる嫌悪感を全て自分だけに向けられる様にしたのだ。

 

「ビーター。いい名前だな。そうだ、俺はビーターだ!これからはそこらのβあがりのテスター共と一緒にしないでくれ」

 

 キリトはそう言った後に今回のLA(ラストアタック)ボーナスである、黒いコートの様な防具を装備するとアスナにもし、この先にギルドに入る様に誘われたら断らずに入れと告げた後に次の第2層へと続く扉を開いて先に進んで行った。

 渚はキリトが自ら憎まれ役を引き受ける事で元βテスターへ向けられる嫌悪感を全て自分だけが浴びる覚悟をさせてしまった原因が自分にも有ると感じていた。こんな事になるなら、ディアベルに無理矢理でもポーションを飲ませておくべきだったと。飲ませたとしても、ディアベルが言った通りに助からなかったとしても、飲ませておけば何か変わったのではないかと感じずにはいられなかった。

 それに渚がディアベルが死んだ後に指示を出す役目に着いた事とキリトが悪役を演じた事も有ってなのか、攻略組はディアベルが死んだ今、彼を継ぐべき人物は渚ではないかと、自分の事をまるで英雄かの様に持ち上げるので、渚にとっては今の空気も居心地が悪かった。

 

「子供だろうと関係有らんわ。ディアベルはんが死んだ今、皆を導くのはアズワルド、あんさんや!」

「ああ、お前の強さは既にこの場の全員が知ってる。だからアズワルド、お前がディアベルを継いで皆を導くべきだ!」

「悪いけど僕はそんな器じゃない・・・僕は只のプレイヤーだ。それにディアベルの代わりには誰もなる事は出来ない。僕はディアベルの意志を継ぐけど、僕は僕なりのやり方でディアベルとは違う方法でプレイヤーを導く。それだけだよ」

 

 渚はキバオウとリンドに自分はディアベルの代わりにはなれないと告げ、自分のやり方でプレイヤーを導くと宣言した後に渚もキリトの後を追うかの様に次の層に続く扉の先を進んで行った。その際、アスナとエギルの二人も同行した。

 

「アズワルド君。あなたはあなたのやり方でディアベルさんの意志を継いだ行動をしなさい。君が困った時は私がサポートしてあげるから」

「俺も困った時は力を貸そう。アズワルド、お前はお前だ。決して、ディアベルの代わりでは無い。お前はお前に合った方法で他のプレイヤー達を導け。俺もいずれは俺のやり方でプレイヤー達を導ける様にしたいと思っている。その時にはお前にも少しだけ協力してもらいたい。だからこそ、お前も困った時は俺を頼ってくれよ。力を貸してやるからよ」

「二人供ありがとう。僕は僕のやり方でディアベルの意志を継いで、皆を導いてみせるよ。それがどんな形のモノになるか解らないけど・・・どんな形で有ろうと、僕は僕のやり方を貫いて皆を導くよ!」

 

 

 

 

「これ位かな。第1層の攻略までの話だった訳だけど、少しはSAOで戦ってきた人達の事が解ったかな?」

 

 渚がE組の皆に第1層攻略までの話を終えると、話を聞いたクラスメイト達は各々に思う事が有る様で、自分が閉じ込められていたらどうしていたのか、その世界で出会い仲良くなった者が死んだ時の悲しみはどれ程のモノだったのか等、様々な考えが浮かんでいる様だ。

 寺坂は話を聞いて改めて自分の失言を悪く思ったのか渚に向けて発言した。

 

「さっきの言葉は本当に失言だった。本当に悪かった・・・」

「もういい。先程の事は水に流すよ」

「そうか。それより聞きたい事が有る。SAOが開始して1ヶ月で死んだ人間は2000人もいたんだろ?1ヶ月でそんなに死んだ理由は何なんだよ?」

「モンスターとの戦闘での戦死も一つの理由だし、他には本当に死ぬとは信じられずにアインクラッドの外から落ちて死んだ者もいるけど、モンスターとの戦闘以外での死因は自殺だよ・・・モンスターに倒されて死ぬぐらいなら、自分で自分の命を絶つ人も多かったよ・・・」

 

 渚が第1層の攻略を終えるまでの時点で死んだ2000人の死因に自殺まで有ると聞くと、本当に自分が閉じ込められていたらどんな精神状態になっていたのだろうかと考える生徒が増える中、担任である超生物が空気を変えるべく渚に質問した。

 

「渚君、君は今はSAOを脱出して無事に現実に戻っていますが、君は現実に戻った後にゲームをやらなくなりましたか?」

「いえ、そんな事は無いよ。今でもフルダイブするゲームであるALOをプレイしてるよ」

『デスゲームに閉じ込められたのに、未だにフルダイブするゲームをやっているのかよ!?』

 

 渚は超生物の質問に答え、今でもフルダイブしてはALOをやっている事クラスメイト達は驚くが、渚は別に不思議では無いと告げる。

 

「別にSAOに閉じ込められたからと言って、ゲームをやらなくなる訳じゃないよ。SAOに閉じ込められて一年以上経てば、誰もがSAOでの生活に順応して、ゲームの世界である事を忘れたかの様に普通に生活していたしね。ALOは当然、SAOとは違って死なないゲームだし、ALOはアバターに生えた翅を使って空を飛べるからSAOとは違った楽しみが有るよ」

 

 渚は笑顔でそう答えた後に超生物に向けて対超生物用の投擲用ピックを投げたが、超生物は簡単に回避した後にティッシュ越しにピックを拾っては渚に返した。

 

「渚君。対先生用に特別に作られたこのピックを正確に投げる腕は本当に脱帽しますが、先生はSAOのモンスターとは違い、簡単には倒せませんよ。何せ、先生は最速でマッハ20のスピードで動けるのですからね!」

「本当に簡単には殺せない先生だね・・・」

「残念だったね渚。あっ!殺せない先生だから、殺せんせーって呼んだ方がいいんじゃない」

「茅野さん、それは良いですね。気に入りましたよ、私の呼び名は殺せんせーって事にしましょうか」

 

 急に超生物の呼び名が『殺せんせー』に決まったが、渚は話を続けた。

 

「ええと、僕はSAOにいたけど、今はこうして無事に現実に戻っているし、皆とは変わらない只の人間さ。だから、僕を気の毒な人間だとか思わずに接してほしい。話は以上かな」

 

 渚はそう言った後、殺せんせーがクラスの生徒全員に告げる。

 

「渚君の言う通り、彼はSAOからこうして無事に現実に戻っていますので、渚君の事をSAO犠牲者だからと気の毒に思わず普通に接してあげなさい!先生の話は以上です。それでは五時間目の授業を始めましょう。授業の時間を10分減らしてしまった事については水に流す事にしましょう」

 

 殺せんせーが五時間目の授業を開始すると言われたので生徒達は急いで準備をし、五時間目の授業を開始した。尚、五時間目の授業は渚の話で10分使ってしまった事も有ってか、詰め込みされた内容になっていたという。

 

 

 

 こうして、渚はE組の生徒として、E組の生徒達と協力して超生物である殺せんせーの暗殺をする為の学校生活を開始するので有った。




 やっと語り終わった・・・後、少し無理矢理だけど殺せんせーと呼ぶきっかけを作れたし、何とか無事に終われたかな?
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