後、活動報告にE組生徒のアバター名を募集して直ぐに数件のアイデアが着ましたが、茅野のアバター名は私が自分で考えたモノにしましたので茅野のアバター名を書いて下さった方には悪いですが、私の考えたアバター名を使わせていただきます。本当に申し訳有りません。
今回のサブタイトルに深い意味は無い。只、今回の話の一部と私の現実で会った出来事を踏まえて考えただけです。
渚がE組に来てから早くも十日が絶ち、今は杉野と一緒に山の上の校舎まで話をしながら登校していた。
「昨日は本当に助かったぜ、渚。ALOで随意飛行の練習をしていたところを他のALOプレイヤーの集団に狙われるとは思ってもいなかったから、お前とキリトさん達が助けに来なかったら、間違いなく集団PKで倒されてリメインライトになっていたよ」
「本当に昨日は災難だったね、杉野。ALOはプレイヤーキルが認められているから、同じプレイヤーと言えど油断は出来ないからね。昨日の集団PKを行うプレイヤー達は調べたところ、ALO初心者や弱ったプレイヤーを専門に狙ってPKを行うギルドのメンバーらしいから、随意飛行の練習をしていた杉野を初心者と思って襲撃したんだろうね。まあ、僕とキリトさん達に見張られていた事に気付いていなかったから、甘い考えの連中だろうけどね」
「見張られていた事に気付いていなかったから確かに甘い考えをした連中なのかもしれないけどよ、いくら何でも質が悪過ぎるっての」
「それでも前のALOの世界よりはマシだよ。ALOは今の会社の前はレクト社が管理していたんだけど、その時のALOは各種族が他の種族より早く世界樹の攻略を目指す事を目標にしていたから他の種族との衝突が多かったし、奇襲してきてのPKなんか当たり前だったしね・・・」
「本当かよ・・・」
「うん、本当。杉野が選んだ火妖精サラマンダーと風妖精シルフとの仲はとくに悪かった。互いの領が近い事やサラマンダーのプレイヤーがシルフのプレイヤーを一方的に襲ってPKするものだから、サラマンダーとシルフの戦力はサラマンダーに傾いていたし、どちらかと言うとサラマンダーが一方的にシルフを敵視していただけかもね。今は会社が変わったし、世界樹の攻略は必要無くなったから今はそんな事は起きないだろうけど、PK推奨のゲームでは他のプレイヤーと接触する時は気を付けた方がいいよ」
「そうするわ・・・何となくだけど、PK狙いのプレイヤーから殺気を感じるから気を付けてさえいれば大丈夫だと思う」
渚は杉野とALOでのPKについての話を終えると、校舎に着いたので玄関に入ろうとしたところで茅野に声を掛けられる。
「渚に杉野、おはよう」
『おはよう茅野』
「ねえ、二人はさっきまで何の話をしていたの?」
「ああ。ALOの事だよ。この間、俺が落ち込んでいたもんで心配した渚が俺を元気付ける為にアミュスフィアとALOのソフトをプレゼントしてくれたんだよ。それでALOをやり始めたんだけど、昨日は他のALOプレイヤーに囲まれて危ないところを渚とSAOにいた時の渚の知り合い達が助けにきてくれたから助かったけど、俺を襲った奴らがALOの中でも質が悪いPK集団だったからさ、PK狙いのプレイヤーもいるから気を付ける様にしようって話をしていたってところだな」
「成る程ね。私もALOをプレイヤーする時はそういうプレイヤーに会わない様に気をつけようと。実は私、ネット通販でアミュスフィアとALOのソフトを注文したんだ。それで今日の放課後には家に届く筈だから、家に帰った後ALOをプレイするつもりだからさ、二人の都合が良ければ一緒にプレイしたいから、二人のアバター名を教えてくれない?」
「わかったよ。ALOで一緒に行動するぐらい構わないし、むしろ歓迎だよ。僕のアバター名はSAOの時と同じでアズワルドだよ。種族はインプで見た目は髪の色が黒くなった以外は現実とほぼ一緒だね」
「俺のアバター名はゼベルで種族はサラマンダーで、見た目は髪が赤くなった以外は渚のアズワルド同様に現実とほぼ一緒だし直ぐに解ると思うぜ。それよりも茅野、アミュスフィアを買える程のお金を持っていたのか?」
「ははっ。少し事情が有ってね、お手伝いみたいな事をしてそのお礼としてお小遣いを貰っていたんだ。その時に貯めた貯金で購入したんだ」
茅野はアミュスフィアとALOのソフトを注文し、放課後までには家に届くらしいので、渚と杉野は今日の放課後、家に帰った後にALOの世界を茅野と一緒に回る事を約束した。
昼休みになると、殺せんせーが北極の氷山を削ってかき氷を作っていたので、クラスのほとんどが集団で暗殺を仕掛けようとしていた。
「今日のおやつは北極の氷でかき氷だってよ」
「北極を冷蔵庫感覚で見ているのか、あのタコは・・・」
「まあ、何にしろ今はかき氷を食うのに夢中だから油断してる筈だし動くぞ。賞金の百億は山分けだ」
E組のクラスのほとんどが集団でかき氷を食べる殺せんせーの暗殺に動き始めたが、渚は後方で杉野と茅野と一緒にその様子を観察していた。
「渚、どう?暗殺は成功しそうに思う?」
「無理だね。殺意がだだ漏れだし、殺意を隠す為の笑顔もわざとらしい作りだしね。集団になると、殺意を隠そうにも隠しきれない者がいれば感付かれるし、あれじゃ殺せないね」
「昨日のALOで俺はそれをやられる側を経験したから、集団で襲う為に隠れてる時に一人でも殺意が漏れてしまえば、感付くしな。と言っても、俺の場合は囲まれて襲われた事に気付いても逃げる方法が無かったし、渚達が来なかったら本当に危なかったけど、殺せんせーの場合はマッハ20で動けるし四方を囲まれても簡単に突破出来そうだし、集団での暗殺より個人で仕掛けた方が殺せる可能性が高く思えてきたよ」
杉野の言う事は間違いではなく、暗殺では集団で行動した場合は目立つ上に足音も重なって大きく響くので
今回の場合は単に集団で殺気が隠しきれてないので、だだ漏れなだけなのだが、その時点で殺せんせーにはバレてるので間違っても暗殺は成功しないだろう。そう確信し、集団暗殺の様子を覗いていると、殺せんせーは殺気に気付いていたので集団での暗殺から簡単に脱出すると、マッハで生徒達が手にしていた対殺せんせー用のナイフをハンカチ越しに取り上げた後に、代わりに生徒達の手にチューリップの花を持たせた。
「笑顔がわざとらしいですし、殺気もだだ漏れですよ。皆さん、まずは花でも愛でて良い笑顔を学んでから暗殺しに来なさい」
殺せんせーは生徒達に渚が指摘した通り、笑顔がわざとらしいので殺気がだだ漏れだと告げた後に花でも愛でて自然な笑顔になれる様にしてから暗殺に来る様に言ったが、手に持たされたチューリップが実はクラス皆で育てたチューリップを花壇から抜いていたので片岡に怒られる破目になった。
「殺せんせー!!これはクラス皆で育てた花じゃないですか!」
「にゅやあぁっ!?そ、そうだったんですか!?」
クラスで育てた花壇の花を抜いてしまって片岡に怒られた殺せんせーに矢田が更に涙目で追い討ちを掛ける。
「酷い、殺せんせー・・・やっと咲いたのに・・・」
「すみません!!今すぐに新しい球根を買ってきます」
殺せんせーはマッハで移動し、ガーデニングセンターでチューリップの球根を買って来ると直ぐに片岡と岡野の女子二人の指示通りに花壇に球根を植え始めた。
「マッハで植えちゃダメだからね!球根が傷むから!」
「承知しました!」
「1個1個いたわって入れてよね!!」
「はい!!」
片岡と岡野の女子二人に指示されるがままに花壇に球根を丁寧に植える姿を遠くから見ていた渚と杉野に茅野は本当に殺せんせーは来年に地球を滅ぼす存在なのか疑問に思えてきた。
「アイツ、本当に来年には地球を滅ぼす存在なんだよな?」
「ええと、その筈なんだけど、言われるがままに球根を植えてる姿からは想像出来ないよね・・・ところで渚、何をメモってるの?」
「あの先生の弱点をメモしてる。どんな細かい弱点だろうと暗殺のヒントになる筈だからね」
「でも、そのメモの内容って役に立つの?」
「茅野の言う通りだぞ、渚。その『カッコつけるとボロが出る』って弱点、役立つ事は有るのか?」
「役立つよ。SAOでボスと戦う際に街のNPCから情報を聞いてメモしてたしね。それがどんな細かい事で有ろうともメモは忘れずにいたし、その細かい部分の情報が意外と役立ったしね」
渚は殺せんせーの細かい部分の弱点だろうとメモしており、細かい弱点でも役立つと茅野と杉野に伝えた後、殺せんせーは球根を植え終えた様で花壇を荒らした責任を感じて生徒達に告げた。
「皆さんが育てた花壇のチューリップを抜いてしまい、花壇を荒らした先生は責任を感じています。よって、只今よりハンディキャップ暗殺大会を始めます。ルールは簡単、昼休みが終わるまで先生はあの木にロープで吊るされます。その間に君達は先生を暗殺してみなさい!」
そう言うと直ぐに殺せんせーは自ら木の上にロープを巻き付け、自分にもそのロープを巻き付けると空中に吊るされた状態となったので動きが制限される事となったので、確かにハンディキャップは有るので、生徒達は暗殺の準備を済ませると暗殺を始めた。
銃を構えて暗殺する者がいる中で、竹の棒と紐を用意して竹の棒の先に対殺せんせー用のナイフを紐で結び付けて暗殺する者もいた。
殺せんせー提案のハンディキャップ暗殺大会が始る中で、渚は防衛省に所属する烏間がこちらに向かって歩いてきてるのを確認したので、渚は烏間に声を掛けた。
「烏間さん、こんにちは」
「こんにちは、渚君。明日から俺もこの校舎で教師として暗殺に協力する事になった。よろしく頼む」
「そうですか。明日から烏間先生になる訳ですね?ところであの武器は使える様になったでしょうか?」
「あの君のユニークスキルだったソードスキルを再現出来る機械剣なのだが、どうもあのソードスキルを再現するとオーバーヒートを起こしてしまい、実質的に一回だけしか使えないらしい。使う度にメンテナンスを行う必要が有る為、現在カスタマイズ中だ。だが、一回は君に使ってもらい、そのデータを用いてカスタマイズを施した方が良いのかもしれないな」
渚がかつてSAOで使っていた渚だけが持つユニークスキルの一つを再現出来る機械剣は未だにそのソードスキルの威力故か一回使うだけでオーバーヒートを起こしてしまい、使い物にならないらしいのでカスタマイズを続けている様だ。
烏間は機械剣の開発状況について説明した後、
「ところで
「あの先生なら今、ハンディキャップ暗殺大会を開催して皆から一斉攻撃を受けてる最中だよ」
「ハンディキャップ暗殺大会だと?」
「実はあの先生が悪気は無いんだけど、結果的にクラスの花壇を荒らしたからその責任を取る為に自ら木の上にロープで吊るされている状態になって、その状態の先生を皆が一斉攻撃で暗殺を仕掛けているんだけど、あれを見れば解る様に吊るされていようが関係無くマッハのスピードで簡単に避けてるよ」
渚が指差した方向を見ると、木の上に吊るされた殺せんせーがクラス皆から一斉攻撃されているが、ロープでぐるぐる巻きにされてるとは思わない程に軽やかな動きで避けてるので烏間は暗殺になっているのかどうかがまず疑問だった。
『くそっ、こんな状態なのにヌルヌルと軽やかに避けやがって・・・』
「ヌルフフフ、どうしました?E組の皆さん、こんな身動き出来ない先生の姿は滅多に有りませんから暗殺し放題ですよ」
E組の皆が一斉攻撃しているが、殺せんせーは避け続けており、殺せんせーの顔に緑色の横縞模様が浮かんでいるのでナメられている様だ。
「渚君。聞きたいのだが、このハンディキャップ暗殺大会はあの生物にとっては遊び同然と見て間違いないな?」
「はい、完全にナメられています。顔に緑色の横縞が浮かんでいますしね・・・でも、僕がメモした内容からすると、そろそろボロが出るところかと思います。あの先生は無駄にカッコつけるところが有りますので、そんな時は大体ボロが出るのでそろそろ頃合いかと」
渚がそう言うので、烏間は暗殺大会の様子を観察し続ける事にした。殺せんせーは今も尚、クラス皆からの一斉攻撃を回避しており、余裕綽々で喋っていた。
「無駄ですよ。このハンデをモノともしないスピードの差が有る以上は君達が私を殺すなんて夢のまた・・・あっ」
調子に乗り過ぎていた様で殺せんせーは木に掛かる負担まで計算していなかった様で、ロープを巻き付けていた木の枝が折れると共に地面に落ちた。その出来事にクラスの皆と殺せんせー本人すら唖然としたが、直ぐにクラスの皆は気を取り直し、殺せんせーの周りを囲むと一斉攻撃に取り掛かった。
『今だ殺れーーっ!!』
「にゅやああぁぁっ!!?し、しまった!?先生とした事がぁぁっ!?」
クラスの皆が地面に倒れた殺せんせーに一斉攻撃を仕掛けると、木の上にいた時よりヤバい状況になったので殺せんせーは慌てているが、それでも攻撃はちゃんと避けていた。
「渚の弱点メモ、役に立つかも・・・」
「そうだな。渚の言う通り、どんな細かい情報だろうとメモする事は後で役立つと確信したぜ」
殺せんせーが渚のメモ通り、カッコつけると直ぐにボロが出たので茅野と杉野の二人は渚の書いたメモが本当に役立つかもしれないと確信し、渚はこれからもメモをし続ける事にした。
しばらく、殺せんせーはロープが絡まって思う様に抜け出せずにいたが、やっとの事で絡み付いたロープを外すと皆の攻撃範囲の外である校舎の屋根に向かって飛んで着地した。
「ちっくしょ、抜けやがったか!?もう少しだったのに・・・」
「今のはさすがに焦りましたよ・・・ですが、ここまでは来れないでしょう。基本性能が違うんですよ!!バーカ、バーカ!」
殺せんせーは子供みたいな態度で挑発をしているのに内心呆れつつも渚は、屋根の上を目指して木の上に登るとジャンプし、殺せんせーが着地している屋根の上に飛び移るとナイフで殺せんせーに暗殺をしかける。
「にゃや!?渚君、屋根の上にまで来るとはあなたはチートですか!?いや、ビーターなのですか!?」
「ビーターはキリトさんで有って、そもそも僕はSAOのβテスターでは無いのでビーターと呼ばれる理由が無い。ご託はいいので殺されて下さい!」
「そうはいきません!!ここは逃げるが勝ちです!」
渚を冗談でビーター呼ばわりしながら殺せんせーは渚のナイフによる攻撃をギリギリ回避した後、空中に浮かび上がった。
「逃げる気なの、殺せんせー?」
「はい、逃げます。昼休みが終わるまではね。それともう一つ皆さんに言っておく事が有ります」
『言いたい事って何だ、殺せんせー?』
「今日の宿題はいつもの倍の量にします」
『器小せえな、おい!?』
殺せんせーは今日出す宿題の量を倍にすると宣言した後、何処かに飛び去っていた。そもそも、暗殺されかけた原因は殺せんせーが自らハンデを付けた事と自滅が原因で有って、E組の生徒が悪い訳では無いので殺せんせーの大人気ない仕返しにしか思えなかった。
「自分でハンデを付けては勝手に自滅した癖に宿題の量を倍にすると宣言した後に逃げたぞ、あのタコ・・・」
「まあ、今までで一番惜しい暗殺だったよね」
「とりあえず、この調子なら殺せるチャンスは必ず有る筈だ!」
「殺せた後に貰える百億は何に使おうかな?」
渚と烏間は客観的に見ると、中学生が嬉々として暗殺に望んだり語る姿は異常に思えるのだが、殺せんせーの暗殺という目標が有るからなのかE組の生徒達は初めて見た時と比べれば活き活きとしているので、不思議と居心地は悪くない空間になってはいる。
烏間は今の教室の様子を確認し終えたのか立ち去った。烏間が去った後に茅野が渚に声を掛けてきた。
「ねえ渚、どう?殺せんせーは殺せそう?」
「殺せそうじゃなくて殺すしかないんだ。殺す気でいないとあの先生とは付き合えないしね」
渚が茅野にそう告げて数分した後、昼休みが終わったので皆が教室に戻った後、殺せんせーもタイミングよく帰ってきたので午後の授業は問題無く始まった。
放課後、渚は下校する為に下駄箱に向かおうとしていた時に岡島に声を掛けられた。
「おーい渚。ちょっと話いいか?」
「いいけど、どうしたの岡島」
「実はな、昨日アミュスフィアとALOのソフトを購入してALOをやり始めたんだけどよ、開始早々に初心者狩りの悪質なプレイヤー達に囲まれてデスペナルティで初期ステータスより弱くなちまってよ、ステータスを上げようにもソコらの雑魚モンスターにすら苦戦する程だからさ、出来れば俺のステータスを上げる手伝いをしてほしいんだけど、頼めるか?」
「実は茅野も今日からALOをやり始めるみたいで、茅野をレクチャーする予定が入っているんだ。だから茅野にレクチャーするついでにって感じになるかもしれないけど、それでもいいかな?」
「ああ、別に構わないぜ。むしろ、俺も始めたばかりだし、レクチャーを聞きながらプレイ出来る事自体が助かるしな。俺のアバターについて説明しておいとくか。アバターの名前はフォーカスで種族は土妖精ノームな」
「なら、ノーム領の街の入口前で待っていてくれるかな」
「ああ。また初心者狩りに会うのも嫌だし、街の中で待つ事にするか。手間掛けさせる様で悪いな渚」
茅野にレクチャーするついでに岡島からの頼みであるALOのステータス上げを手伝う事を約束した後に渚は下校し、帰宅すると本当に倍の量になった宿題を終わらせた後にナーヴギアを被りALOにログインした。
「リンクスタート!」
その言葉を発すると、渚の精神はALOの世界へとダイブしていき、インプ領の宿屋の一室にて渚のアバターであるアズワルドが目を覚ました。
アズワルドはまずはノーム領にいる岡島のアバターであるフォーカスと約束通りに合流する為にノーム領に向かって飛んでいく。しばらく飛行し続けていると、ノーム領が見えてきたので着地するとノーム領の街の入口前に立っている坊主頭のプレイヤーの姿が見えたので声を掛けた。
「お待たせ、君はフォーカスで間違いないね?」
「ああ、そうだ。俺がフォーカスだぜ。お前は渚で間違いないよな?」
「うん。でも、ここではアズワルドというプレイヤー名で通っているから、その名前で呼んでよ」
「了解と。アズワルドの見た目って現実と変わらないんだな、髪色は除くがな」
「フォーカスなんて髪色含めて現実と同じ容姿だよね。ノーム特有の絆創膏の様な模様が顔に有るぐらいしか違いが無いよ」
アズワルドはフォーカスと合流した後、茅野の捜索をゼベルに任せているので彼からの連絡を待つ事にした。
渚がログインする少し前に茅野はアミュスフィアを使ってALOにログインし、水妖精ウンディーネを選択し、ウンディーネ領の街の中で茅野のアバターであるアラモードが目覚めた。名前の由来は茅野の好物であるプリンの種類から取った様だ。容姿は現実と同じで、髪の色は瑠璃色に染まっている。身体の質も現実と同じなので少し残念に思ったが、アラモードは気を取り直し、この場から動く事にした。
「無事にログイン出来たみたいだし、渚達と合流しようかな?」
アラモードは渚と杉野のアバターであるアズワルドかゼベルに合流する為に動きだそうとした時だった。ウンディーネの男プレイヤーがアラモードに声を掛けてきた。
「ソコの君、初心者かい?良ければ、俺が一緒にお茶するついでに教えてあげるよ」
「いや私、友達から教わるので大丈夫です」
「その友達は何処にいるんだい?事前に種族を教えていればいいけど、ウンディーネのプレイヤーじゃないとしたら、どう合流する気だい?」
「多分、大丈夫です。種族が違っても、全ての領に向かって探してくれるかと思います」
「でも、それって確実性が無いって事だよね?じゃあ、俺とお茶でもした方が断然良いよね?」
アラモードは男がしつこく勧誘してくるので少しイラつき始めているが、下手に抵抗すれば何をされるか解らないので、どうするか悩んでいると、アラモードにしつこく声を掛け続けている男にウンディーネの女性プレイヤーが注意した。
「ソコの人!その子が煙たがっているじゃない!!しつこい男は嫌われるわよ!!」
「何だよ?ゲッ!?お前は、三日前に始めたばかりとは思えない程に強い化け物女じゃねえか・・・しかも身長が男に負けない高さだからネカマの噂も有るし、関わるのはゴメンだぜ!?」
「ちょっと待て、私はネカマじゃないから!!身長が170は有りますけど、正真正銘の女性ですからね!!」
アラモードに声を掛けていた男は女性の顔を見て逃げる様に走り去っていくと、女性はネカマじゃないかと失礼な事を言われたので男に自分は女だと告げた。男を追い払った女性は本当に女性にしては高身長であり、凛々しい雰囲気の顔立ちをしており、水色の長髪を後ろに一結びして束ねていた。アラモードはその女性の姿に見覚えが有る様な気がする中で、その女性はアラモードに声を掛けた。
「何か少し傷付いたけど、あなた大丈夫?」
「あっ、はい。大丈夫です・・・あれ?もしかして、あなたは片岡さん!?」
「えっ!?もしかして、茅野さんなの!?」
どうやら、アラモードは自分に声を掛けていた男を追い払った女性の正体がE組のクラス委員である片岡だったとは思ってもいなかった様で、片岡もまさかこんなところで知人と会うとは思ってもいなかった様だ。
「驚いたよ、片岡さんがALOをプレイしてたなんて意外だったよ」
「渚と杉野の話を聞いている内にALOが気になってきたから、私も三日前に思い切って始めてみたの。お金もちょうど私の貯金に有ったから、アミュスフィアとALOのソフトを購入してプレイし始めた訳。私のプレイヤー名はエリアスよ」
「私はアラモードだよ。それにしても、エリアスさんが私と同じウンディーネでいて良かったよ。それに、その大剣も勇ましくてカッコいいよ!」
「私はカッコいいは求めてないのよ・・・私が三日前にプレイし始めて直ぐ、先程のアラモードさんの様に男のプレイヤーが他の女性プレイヤーにしつこく声を掛けていたところを注意して追い払ったら、その助けた女性プレイヤーに気にいられて質の良い両手剣に防具をプレゼントされて以来、私はALOの女性プレイヤーに人気が有るらしくて、パーティーに良く誘われる様になったの・・・」
「それは良い事なんじゃ?どうしてそんな気落ちした表情をしてるの?」
「パーティーに誘ってくる女性プレイヤーはほぼ全員が私に『性別の垣根を越えて付き合って下さい』という人が多くて、風の噂では同性婚が出来る様に運営にコールしてるって聞いた程よ・・・」
「ははっ・・・元気出そうか、エリアスさん。いつか他の女性プレイヤー達も大人しくなるよ、きっと・・・」
「そうなる様に祈りたいわ・・・」
エリアスはALOの女性プレイヤーに人気が有るらしく、色々と苦労が絶えないらしい。アラモードはカッコいいという言葉はエリアスには言わない事にし、エリアスが気を取り直したのを確認し、アラモードはエリアスに尋ねた。
「ねえ、エリアスさん。アズワルドかゼベルの事を知らない?アズワルドは渚のアバターで、ゼベルは杉野のアバターなんだけど、二人の連絡先を知ってるかな?」
「私もまだ二人と会った事無いのよ。ALOをやっているとは教えていないし、二人の居場所は解らないわね」
「そう。じゃあ、どうやって二人と合流すればいいのかな?」
アラモードが二人と合流する方法を考えていると、種族がサラマンダー男と思われる男のプレイヤーが声を掛けてきた。
「よぉ!容姿で判断してるから間違っていたら悪いんだけど、茅野か?」
「えっ、もしかしてゼベル?」
「やっぱりか!良かったぜ、他種族の領の中に入ると攻撃される恐れが有るから進んで他種族の領の中に入りたくなかったんだけど、一回目のウンディーネ領で見つかって良かったぜ。それとソチラの女性はもしかして?」
「ええ、私は片岡メグよ。この世界ではエリアスという名前で通しているからよろしくねゼベル!」
「驚いたよ、片岡もALOをやっていたのか。ところで肝心の茅野のプレイヤー名は?」
「アラモードだよ」
「こりゃ、甘そうなスイーツを思わせる名前だな。無事に合流出来たし、アズワルドに連絡をしておくか」
ゼベルはアズワルドにメッセージを飛ばして連絡し、茅野がアラモードという名前で、片岡もエリアスという名前でウンディーネのプレイヤー通してALOにログインしてる事を伝えると、アズワルドは直ぐにソチラに向かうとの事だ。
「アズワルドに連絡したし、アズワルドが来るまで少し時間が有るし、アラモードとエリアスにあの人を紹介してみるか。同じウンディーネの女性プレイヤーだし、SAO帰還者だから戦闘のコツは掴んでいるからレクチャーしてくれる人としても頼れる筈だしな」
ゼベルはそう言うと、アラモードとエリアスの二人にある人物を紹介をする事にし、二人を連れてその人物に会いに行くのだった。
ハンディキャップ暗殺大会は殺せんせーが自ら提案した筈なのに、勝手に自滅しては大人気ない態度が目立つ話ですよね・・・
茅野と片岡に岡島がALOデビューしました。茅野のアバター名はアラモード、名前の由来はプリンアラモードです。片岡のアバター名はエリアス、名前の由来は水。岡島のアバター名はフォーカス、名前の由来は言うまでもなくカメラから。
次回はALOでの話の続きとなります。一応、言っておきますがALOはソードスキル実装前なので、新生アインクラッドはまだ姿を見せていません。