765プロのPになりました   作:ルスト

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レッスンを終えて

「三人とも、レッスンお疲れ様。……もしかして、毎日あんな厳しい練習をしてるのか?」

 

 レッスンからの帰り道、ついこんな言葉が出た。

 

「ん~……毎日ってわけじゃないですけど、出来る時は必ずやってます」

「僕たち学校とかありますし、毎日できないのが悩みの種だったり……」

「なるほど。やよいさんもですか?」

「はい。レッスンの先生は厳しいですけど、アイドルとして成功するためには、レッスン頑張らないといけませんから!」

 

 ……皆偉いんだな。

 俺よりずっと年下だろうに。

 

「そうですか? でも、アイドルとして成功するにはまだまだ未熟ですから」

「はい。僕たちなんてまだまだです」

「すごいアイドルさんは、皆雲の上に居る人みたいに感じちゃいます」

 

 雲の上に居る人、か……。

 この子達よりはるかにレベルが高いアイドルなら、確かにそうなのかもしれない。

 いずれ、そのアイドル達を追い抜くくらいになれれば、いや、なれればいいな、じゃ駄目だ。

 追い抜けるくらいに成功させないといけないな。

 レッスンはトレーナーさんに任せるしかないけど、俺は俺の出来る範囲で手助けを……。

 

「ところでプロデューサーさん。さっきのレッスンなんですけど、プロデューサーさんから見て、私達の中で誰が一番上手でしたか?」

「え?」

 

 不意に春香が質問してきた。

 誰が上手?

 ……ダンスの技術って事か?

 

「うーん……ダンスレッスンだから歌やビジュアルは分からなかったけど、単純なダンスの技量では真が一番だったよ。やよいさんも上手だったけど、真に比べるとどうしてもムラがある感じだった」

「えっと……じゃあ、私は?」

 

 春香か……。

 正直に言うと凹むかな? けど春香の成長のためには言わないと駄目か?

 

「二人と比べるとついていくのがやっと、といった感じだったよ。ミスや動きの遅れは無いけど、余裕が無いからか他の二人のような「魅せる動き」は全く出来てなかった」

「うう……。自分でもそんな感じはしてましたけど、プロデューサーさんにもそう見えちゃうんですね……」

 

 社長が「春香にダンスの仕事を渡すのは最後の最後」と言っているのも納得だ。

 真、やよいさんと春香のダンスの技術は違いすぎる。

 

「えっと、プロデューサー」

「ん?」

 

 今度はやよいさんか。

 どうしたんだ?

 

「どうして春香さんと真さんは呼び捨てで、私だけ「やよいさん」なんですか?」

「……自分でも思ってたけど、やっぱり変か?」

 

 俺の言葉に即座に頷く真と春香。

 まあ、傍から見てもおかしいとは思う。

 春香、真に対して呼び捨てで接していながら、明らかに二人より年下のやよいにさん付けして接するのは明らかに変だ。

 

「……そうだな。これからは普通に「やよい」って呼ぶけど、それでいいか?」

「はい! よろしくお願いします、プロデューサー!」

 

 そう言いながら、やよいは腕を大きく後ろまで振るおじぎ? をした。

 高槻やよい、か……。

 改めて見ても、やっぱり元気な子だな。

 そばに居るだけで元気をもらえそう、というか……。

 

「それにしても真、すごかったな。最後の方は真しか目に入らない時もあったよ」

「え? そうですか?」

 

 アレは本当にすごかったよ。

 いつも使えるようになったらファンを盛り上げるのにも使えるんじゃないだろうか?

 

「うーん……実は、あの時自分でもどうやったのかあんまり覚えてないんですよね……。ただ、プロデューサーが僕のステージを見ているファンの人に見えてきて、これはダンスレッスンじゃなくて本当のステージなんだ、って思いだしたら上手く行ったっていうか……」

「真さん、今日のレッスンはダンスレッスンじゃなくてステージで踊ってるってイメージしてたんですか?」

「そうだよ、やよい。プロデューサーはレッスンのトレーナーじゃないから、たまたまそう思えたのかもしれないけどね……」

 

 ……なるほど。

 真はあの時、自分がレッスンをしてるんじゃなくて、ステージで踊ってるって考えてたのか。

 その感覚をレッスンに持ち込むことは少し変かもしれないが、実戦形式って事なら悪くないんじゃないかな!

 

「うーん……私も、プロデューサーさんをファンの人に見立てて踊れば少しはマシになるかなあ……」

「はは。俺をファンの人に見立ててか。でもあながち間違ってないんじゃないかな?」

 

 プロデューサーも見方によってはアイドルのファンだと思う。

 まあ、人によるのかもしれないけどな。

 「この子を成功させてあげたい」と思う気持ちも、ある意味ではファンの気持ちと同じなのかもしれない。

 

「プロデューサーが私達の最初のファンって事ですか?」

「まあ、見方によるけどな」

 

 いろんな契約でガチガチに縛ってあったら、仕事を用意する人と受ける人の関係だけで終わるだろうし。

 というか、俺も最初はそんなイメージあったんだけどな。

 敬語無しで喋る気なんて当然なかったし。

 

「じゃあプロデューサー、記念すべきファン1号として、練習で書いてみたサイン貰ってくれますか?」

「はは。いいかもな、それ。じゃあ事務所に戻ったら、書いてもらう色紙出さないと」

 

 まあ、実際にファン1号になれてるのかは誰にも分からないけど。

 そんな細かいことは気にしないでおくか!

 

「あっ、私も書きますね、プロデューサー!」

「ああっ、二人だけずるいよ~! 私も書きますね、プロデューサーさん!」

「気持ちは嬉しいが、焦らなくても大丈夫だよ。ただ、後々ファンの人に渡すためのサインの練習だと思って、実際にファンへのプレゼントとして書いてあげるようなイメージで書いてくれるか?」

 

 サインは俺に渡すだけじゃない。

 後々、有名になった時とかにファンの人に渡すプレゼントの最有力候補だ。

 今からでは気が早すぎるかもしれないけど、練習しておいて損は無い。

 

「……っと、そろそろ事務所につくな。まずは春香の仕事の予定表作らないと」

「そういえば、来月の仕事を決めようとしてるときに私が仕事の予定思い出したんですよね」

 

 そうなんだよな。

 勤務初日からドタバタすることになるとは思わなかった。

 まあ、嫌ではないけど。

 ……さて、仕事の続きだな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただ今戻りました!」

「お帰りなさい、プロデューサーさん。付き添いありがとうございました」

「って、あれ? 小鳥さんだけですか?」

 

 俺達を出迎えてくれたのは音無さんだけだった。

 他の皆は?

 

「真美ちゃん以外は社長がレッスンに連れて行ってますよ。今日はビジュアルレッスンを受けてもらっていますね」

「社長が?」

 

 音無さんが教えてくれたが、少し意外だな。

 あの人ってスカウトしかしてないんじゃないかと思ってたけど。

 

「ここって見ての通りの小さな事務所なので……。社長もレッスン場や仕事の現場までの付き添いはやりますよ」

「そうなんですね……」

 

 人手不足は深刻だろうな。

 主にアイドルのサポートをする人が。

 俺と律子だけじゃ足りないだろ……。

 

「あ、そう言えば真美ちゃんが待ってますけど……」

「……俺としても真美のゲームに付き合いたいですが、少し待っててもらわないと駄目ですね。春香の予定表を組まないといけないので」

 

 来月の予定表を先に組まないと。

 

「あ~……兄ちゃんはるるんの予定組まないといけないんだっけ?」

「そうなんだよ。悪いけど少し待っててくれ」

「んじゃ、まこちんとやよいっちと三人で遊んで待ってるね」

「ああ。終わったらすぐに行くよ」

 

 さて、こっちは今度こそ春香と予定の作成だな。

 社長室を使わせてもらおう。春香、行くぞ。

 

「はい。お願いします、プロデューサーさん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……とりあえず今日の仕事と同じラジオを毎週入れるけど構わないか?」

「はい! ……ボイコッターの人達、今度は来れるのかなあ……」

「野生動物はなあ……」

 

 バードストライクとかあるわけだし、時折人に喧嘩売ってくる輩が出るんだよな。野生動物って。

 迷惑な事この上ない。

 

「えっと、その他は……」

「あっ、このお仕事出てみたいです!」

 

 春香が指差したのはミニライブの仕事。

 ライブと言ってもこのライブの形式はオーディションに近いらしく、複数のユニットが集まって順番に歌と踊りを披露していくんだとか。

 一方でオーディションのように勝ち負けは競わず、ただ来てくれた人達が楽しむことをメインにしているらしい。

 ……ふむ、悪くないんじゃないか?

 

「そうだな、じゃあこれ行ってみようか」

「はい! 頑張ってきますね!」

 

 ライブ、楽しんできてくれるといいな。

 さて、次だけど……。

 

「これとかどうでしょうか、プロデューサーさん?」

「……お菓子作り教室? お菓子作りのアシスタントをしながら実際に先生の指示通りに作ってみる番組みたいだけど……」

「お願いします、プロデューサーさん!」

「あ、ああ……春香の趣味だっけ」

 

 春香の趣味はお菓子作り、歌う事が大好き……だったかな。

 その辺りの仕事を集中的に用意してくれてる辺り律子か社長か分からないけど凄く有能だ。

 ……他の765アイドルと取り合いにならないのかな?

 

「えっと、次は……時間が重なってるな。ライブとお菓子教室の番組……」

「ええっ!? うう~……どっちも行きたいけど片方しか行けないなんて……」

 

 ……恐らくこんな風に時間が重なった物を振り分けてるんだろう。

 しかし、元からあるものから選ぶだけだから思ったより早く決まるな。

 えっと、次は………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……これで全部か?」

「はい。ありがとうございます、プロデューサーさん」

 

 春香向きの仕事ばかり用意してくれてたリストの中から選ぶだけだったため、俺の予想より早く片が付いた。

 今日もお世話になったラジオ、複数ユニットのミニライブ、お菓子作りの番組。

 この辺りが主な来月の仕事か。

 フェスやオーディションは無いんだな。

 

「あはは……まだまだ未熟ですし、フェスに出たら一方的にやられちゃうって社長も分かってるんだと思います」

「先は長いな」

 

 いきなりフェスにガンガン飛び込んで鍛える、ってのはさすがに無謀すぎるかな。

 ライブやテレビ出演で春香の事を知ってもらい、地道にファンを増やしていこう。




一日が終わらない……。
4000文字程度で固めてるのが響いてるのか、端折ってしまえばいい部分を削れていないからなのか。
少しでも早く書けるといいんですけど。

ただ、アイマス2はかなり殺伐としてるので、下手したら重苦しくなるんですよね。
オリジナルのNPCをたくさん出してでもそうなる事は可能な限り避けたいです。
個人的にあの殺伐感は嫌いではありませんが、ワンフォーオールから入った身からするとかなり寂しいですね。

IAの賞は1つしかないので自分たちの受賞のためには身内であろうと蹴落とす必要があるのは事実ですけど、重要ボスのシャドー★アイドルも竜宮小町も身内と言う……。
せめて部門賞は魔王エンジェルやサイネリアに守らせればよかっただろうに。
極論を言ってしまえば仲間(という名目の潰すべき敵)、団結(ユニットの3人だけ。他は全て敵)なので、リアル寄りで厳しい世界を表現するにはいいのですが、765プロの雰囲気には絶望的に合いません。

961プロやオリジナルの極悪プロダクションなら合うんですがね。
審査員買収、金で雇ったサクラ応援団、フェスによる敵アイドル潰し専用ユニットなど、汚い物のアイデアはいくらでも出てきます。
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