【完結】白童子のホグワーツ生活   作:妖怪もやし

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第11話 クィデッチ観戦

ハロウィーンの翌日。

大広間に着くと、グリフィンドールのテーブルが賑やかなことに気付く。

騒ぎの中心では、ポッターやグレンジャーが照れ臭そうに何かを話していた。

彼らの仲は険悪だったと記憶しているが、今の様子を見るとそうは思えない。

不思議に思いながらスリザリンのテーブルに向かうと、こちらは暗いオーラが漂っていた。

 

「何かあったのか?」

 

ダフネの隣に座りながら聞くと、つまらなそうな返事が帰って来た。

 

「いえね。昨日出たトロールをポッターくんやグレンジャーさんが見事倒したらしいんですの。それで英雄扱いされているというわけですわ」

「奴らがトロールを…?」

 

ダフネは軽く頷いて一息にかぼちゃジュースを飲み干す。

淑女がどうとか言っている彼女にしては荒れているなと感じた。

 

「その時グレンジャーさんはトイレに居たそうなのですが、そこにトロールが入り込んだんですって。そこにポッターくん達が駆けつけてトロールの注意を引いて彼女を逃がそうとしたそうですのよ。最初は震えていただけのグレンジャーさんですが、魔法を使い見事トロールをやっつけたらしいですわ」

「グレンジャーめ…ただの頭でっかちだと思ってたのにな」

 

いつの間にか隣に座っていたマルフォイが、忌々しいと言わんばかりに呟く。

二人はそのままグリフィンドールの悪口を言い合い始めた。

彼らの話をよそに、わしは昨日のグレンジャーの様子を思い出していた。

下らん中傷にただ泣いていただけのグレンジャーが、巨大なトロールを倒すとはな…。

彼女に心の中で賞賛の言葉を送り、食事に手を伸ばす。

その日はダフネやマルフォイの機嫌が少し悪かったので、距離を置くことにした。

 

 

その日の授業が全て終わったので、夕食までの時間に読書でもしようと図書室に向かう。

その途中、廊下でグレンジャーと出会った。

 

「昨日は大活躍だったようだな」

 

皮肉ではなく、素直に褒める事が出来た。

わしの言葉に彼女は顔を赤らめる。

 

「ただの負け犬で終わる女では無かったと言う事か」

「負け犬って…昨日も思ったけど貴方口が悪いわよ。…でも、ありがとう」

 

礼を言われる覚えは無かったので

 

「何のことだ」

 

と返す。

彼女は照れくさそうにしながらも言葉を続ける。

 

「貴方に説教されて、そりゃ初めは腹が立ったわよ。私の気持ちも知らないで勝手なことをって思った。でも、確かに泣いてるだけじゃロンが言う通りの奴で終わっちゃうって思ったの。だから私、トロールに立ち向かう事が出来たの。ロンの前で私は負け犬でも悪夢みたいな奴でもないって証明したかったから」

 

それだけを一息に言うと、急にもじもじし始めて

 

「と、とにかくそうゆう事だから!でも、私をあんな風に言った事は忘れないわよ!」

 

とだけ残して図書館に走り去っていった。

奴の言うロンとやらが誰かは分からんが、まぁわしの言葉が役に立ったら良い。

どこか爽やかな気分だった。

 

 

 

 

 

 

クィディッチの日が近づくにつれ、グリフィンドールとスリザリンの二つの寮はいつも以上に険悪になった。

廊下で会えば口論や煽り合いになり、わしも数名のグリフィンドール生から因縁をつけられた。

無視してその場を通り過ぎたが、自分が出場しない試合の事でああも熱くなれる事に感心する。

スネイプからチームに誘われた事を思い出し、クィディッチに関わるとあんな風になるのかもしれないと想像して憂鬱な気持ちになった。

 

 

 

 

月日は流れ、あっという間に試合の日がやって来た。

選手が座るベンチでの観戦を進められたが、結局スリザリンの席の隅に座ることにした。

客席の方が試合全体が良く見えるからな。

スネイプからは

 

「いつまでも吾輩が貴様を特別視すると思うならば、大きな間違いだと言っておこう。貴様の他にも選手の候補は何人もいる」

 

と睨まれたが、初めての試合くらい好きな場所で見させて欲しいものだ。

…だが、来るのが少し遅かったのか、良い席を取れずに隅の方に座ることになってしまった。

こんなことならスネイプの言葉に甘えてれば良かったな。

 

 

そして試合が始まった。

箒に乗った選手達が高速で動き回り、点を取り合っていく。

わしの箒の操縦技術はまだ未熟なので、ああも早くは動けないだろうと素直に感心する。

そして、彼らの試合から何かを学ぼうと注意しながら観戦する。

フリントという大柄な選手が相手のプレイを妨害してチャンスを奪うシーンがあった。

乱暴な行為だったのでファールの警告を受け、会場から非難の声が挙がる。

だが、わしはむしろ彼に賞賛を送っていた。

彼のファールが無ければ、ポッターがスニッチを掴んでスリザリンは敗北していただろう。

最終的に勝利を掴めるならば、批判など幾らでも受けてやるという姿勢は好感が持てる。

 

試合は荒れ始めた。

フリントへの怒りからか、グリフィンドールの選手にミスが出始めた。

勢いに乗るスリザリンがリードする中、注目選手であるポッターの様子がおかしい事に気づく。

箒は使い手を振り落とさんとばかりに激しく揺れ動き、彼は何とか捕まっている状態だ。

おかしい。

飛行訓練で見たポッターは、あんな無様な動きをする選手では無かった筈だ。

ならば、考えられるのは第三者による妨害だ。

 

「おいおい、どうしたポッター!」

「所詮、えこ贔屓で選手になった奴なんてこんなものだな!」

 

はやし立てるスリザリン生の中、端から端に視線を移動させる。

そして、見つけた

クィレルがポッターを睨みながら何事かを呟いているのを。

恐らく、奴がポッターに呪いをかけているのだろう。

その近くでスネイプもポッターに呪文をかけているようだ。

ハロウィーンの一件で彼がクィレルと敵対していると知っていたので、対抗呪文でも唱えているのだろうと推測する。

 

ポッターを助ける義理も無いので静かに状況を見ていると、観客席でグレンジャーがこそこそと動いているのを見つけた。

奴も事の真相に気づいたかと思ったが、クィレルではなくスネイプの方に向かっていく。

そしてスネイプのローブに火を着けてしまう。

彼女は無意識のうちにクィレルを突き飛ばしたので、結果的には呪文を止める事が出来たようだ。

だが、どうやら奴はスネイプが犯人だと勘違いをしていたようだな。

この誤解がどんな結果を招くのか、少し楽しみだ。

 

 

 

 

呪いが解けたポッターは見違えるように動きが良くなった。

そして、数分後にはスニッチを掴み、試合はグリフィンドールの勝利に終わった。

スリザリンの談話室に戻ると、まるでお通夜の有様だった。

たかがスポーツでそこまで落ち込む事も無いだろうに…。

ダフネなどは目に涙を浮かべ、パーキンソン達とポッターの悪口を言い合っていた。

 

「まったくもう…。あの方はどれだけスリザリンの誇りに泥を塗れば気が済むのかしら」

「本当よ!クソポッターめ…、いつか酷い目にあわせてやる!」

 

表情を歪めて呪詛の言葉を吐くパーキンソンを間近で見たダフネは軽く引いていた。

普段から整っているとは言えない顔が、怒りでより醜くなっていたからだ。

マルフォイも、クラッブやゴイルと悔し気な表情を浮かべていた。

 

「見ていろよポッター…。来年はこの僕が」

 

この僕が…何だろう。

疑問に思ったが追及はせず、部屋に戻ってクィレルの行動を思い返す。

三頭犬が守っている物を奪おうとした事といい、奴の行動は余りにも不自然だ。

そもそも、奴は何故ポッターを狙ったのだろうか。

恨みがあるわけでも無かろうに…。

 

ポッターに恨みを持つ者といえば、マルフォイとスネイプ。

マルフォイは汽車で恥をかかされてから、ポッターをずっと嫌っている。

スネイプは理由は分からんが、ポッターを目の仇にしているようだ。

だが、飛行中に呪いをかければ一歩間違えば死亡事故に繋がる。

マルフォイにそこまでの度胸と魔法技術は無いだろうし、スネイプは事が露呈すれば職を失ってアズカバン行きなのでリスクが大きすぎる。

 

「動機は恨みではないのか…?」

 

そう結論付けようとした時、わしの頭に一人の男が浮かび上がった。

ポッターに敗れ去り栄光を失った一人の男。

その名は…ヴォルデモート卿……。

ヴォルデモート卿がクィレルを魔法で操って、または家来としてポッターを狙わせたのか?

それなれば動機にも納得がいくが…。

 

そこまで考えて、わしは大きく頭を振った。

 

「馬鹿な…。飛躍しすぎだ」

 

恨みを持つという動機に執着して考えが明後日の方に行ってしまった。

クィレルとヴォルデモート卿の間に繋がりが見えない以上、この説は馬鹿げている。

この推測を忘れようとしたが、何故か忘れることが出来なかった。




・8/16 少し名前の表記を修正しました。

・9/4 文章をすこし修正しました。ご指摘ありがとうございます。

・2017/05/25 少し内容を修正しました。
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