【完結】白童子のホグワーツ生活   作:妖怪もやし

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第50話 第二の課題

「今年は普段より人が多くて調子狂うぜ」

 

「去年までは殆ど僕らの貸し切りみたいだったのにね」

 

ポッターとウィーズリーがそんな愚痴を漏らすほどに、今年のクリスマス休暇は人で溢れている。

人が多いのは我慢できるが、カップルが急増したことは少々うっとおしい。

あちこちで抱き合い、愛を囁き合っているのを見ると胸焼けしそうだ。

 

ダフネは時折頬に手を当ててぼんやりしているのを見かけるようになった。

クリスマスの夜にわしが頬に口づけしたことを考えているのだろうか。

あの時の事を考えると照れくさくなるので、それを振り払うように第二の課題の謎解きに集中することにした。

 

「やぁハクドウシ、調子はどうだ?」

 

中庭で本を読んでいると、わしを胸焼けさせる元凶の1人であるドラコが話しかけて来た。

隣には当然のようにアステリアがおり、べったりと腕を絡ませている。

この2人はダンスパーティ以降急激に距離を縮め、どこに行くにも一緒となっていた。

 

「まぁまぁだ。貴様は…良さそうだな」

 

「フフ、否定はしないよ。何を読んでいるんだ?」

 

手に持っていた「ドラゴンの育て方」「ドラゴンの神秘に迫る」といった本を見せる。

対抗試合が始まってからドラゴン関連の書物を読む機会が増えたし、将来ドラゴン使いになることを考えても良いかも…なんてな。

 

「なるほど、卵の謎を解こうとしているのか…。で、収穫は?」

 

黙って首を振ると、「まぁ頑張ってくれたまえ」と気楽な口調で去っていった。

奴に協力を頼みたかったが、今日は1人でやるしかないな…。

 

 

黄金の卵を開けると、途端に耳障りな音が部屋に響き渡る。

雑音の中から単語のようなものを聞き分けようと努力するが…ただ不愉快なだけだった。

 

「耳が痛い…もう嫌になってきた。今頃日本では正月を祝っている頃か…。わしが生きてた頃とは日が違うと聞いたが…どんな感じなのだろうか」

 

疲れと苛立ちの余り、どうでも良い事をぶつぶつと呟きながら欲求の部屋を出る。

音にヒントがあると思ったのは良い線行ってると思うが、どうすれば良いか分からない。

課題の謎の解明は最近全くといっていい程進んでいなかった。

 

気分転換に城の外に出てみると湖のほとりで妙な光景を見かけた。

クラムが海パン一丁で甲板に出て、湖に飛び込んで器用に泳いでいるのだ。

氷が張っている湖を平然と泳ぐなんてブルガリア人はどうかしてるな、と半ば呆れながらその場を離れようとして足を止める。

…湖…水の中…。

頭に閃いた単語が繋がっていく。

パズルのピースが上手くはまったような感覚だ。

 

 

わしは急ぎ足で8階の廊下に行き、部屋を出現させる。

部屋には氷水や温水が入れられた深い容器が用意されており、わしは氷水の中に卵を入れてみた。

水の中では聞こえる音が違うのではないかと推理したのだが、氷水に顔を突っ込んでも意味不明の単語が聞こえるだけだ。

少し自信を無くしかけながらも、今度は温水で試してみると、氷水の時とは違った声が聞こえた。

それは人間の奏でる音とはまるで違った、頭の中に響いてくるような不思議な歌声だった。

わしは一度顔をあげて、羊皮紙に今聞いた歌の内容を書き写した。

 

「地上じゃ歌は歌えない…探す時間は1時間…取り返すべし大切なもの…」

 

大きく息を吐き、部屋の隅に用意されたタオルで顔を拭く。

第一の課題が終わってからずっと探していたヒントが手に入ったことへの達成感が胸を満たすのを感じる。

さて、あとは謎解きだ。

 

 

 

「ズルいじゃないか、1人で謎を解いてしまうなんて!」

 

「貴様はアステリア嬢にお熱だったのでな。…それに、確証などは無かった。思い付きが上手くいっただけだ」

 

その日の晩、卵のヒントが手に入ったことを2人に話した。

アステリアとのダンスで浮かれていたドラコが、ダフネに欲求の部屋のことを漏らしてしまったので、成り行き上彼女も謎解き仲間に加えることにしたのだ。

もっとも、ダフネは8階まで歩くのが面倒らしく、欲求の部屋には行きたがらなかったが。

ダフネは落ち着いた表情でわしがメモした羊皮紙を読み、自分の頬を意味深に撫でながら言葉を綴った。

 

「地上じゃ歌は歌えない…。地上以外、というと水中ですわね」

 

「クラムが湖に飛び込んでたって言ったな。彼はもう謎を解いているんじゃないか?水中で泳ぐ練習をしてたんだろう」

 

「そうだな…。1時間以内に水中で大切なものとやらを取り返せ、というのが第二の課題だろう。そして水中に居る生物といえば…」

 

「水中人、か」

 

ドラコがあとを引き取った。

水中では呼吸ができない上に、動きも大きく制限される。

もしも水中人と戦うことになれば非常に厳しいものとなるだろう。

 

「大切なもの…何を奪われるのかしら?」

 

「永久に戻ってこないなんて穏やかじゃないね」

 

「…永久に、なんてことは無いんじゃないか?ただの脅し文句だろう。あれほど安全を強調していた魔法省が、選手の大事なものを本当に奪おうとするとは思えない」

 

「ところで、何で氷水では歌声が妙な単語に聞こえたのでしょう?水中人は普段冷たい水の中で歌を歌っているから、氷水でも普通に聞こえそうに思えますわね」

 

「そういえば…何故だろうな。人間の耳が冷水の中で音を聞くのに適さないからか?」

 

第二の課題の考察は夜遅くまで続き、早めに水中で呼吸する方法を探す必要があるという結論に至った。

 

 

 

 

 

新学期が始まり、また宿題に追われる日々が始まった。

今日の魔法生物飼育学はハグリッドでは無く、グラブリー・プランクという初老の魔女が担当するようだ。

 

「ハグリッドはどうしたんだろうな」

 

「聞いてないのかい?あのケダモノの事を」

 

「…どういうことだ?」

 

「そんなことも知らないのか」という顔でドラコが新聞を投げてよこした。

ハグリッドが半巨人であると暴いた記事は、彼の凶悪性を強調した内容となっていた。

 

「ああ、やっぱりリータ・スキーターか。半巨人…道理で馬鹿でかいわけだ」

 

ある程度予想していたのでそれ程驚きを感じなかったが、ダフネは記事を読んで身震いしていた。

これが魔法界での普通の反応なのだろう。

ルーピンの時もそうだったが、魔法界では人外の存在は魔法使いとはっきり区別される。

屋敷しもべ妖精は従属の道を選び、子鬼は銀行で働く道を選んだ。

そして、狼人間や巨人は現在も恐怖と差別の目で見られている。

生前のわしは狼人間や巨人以上に人を殺してきたが、それは言わない方が良いだろうな。

 

「クラッブやパーキンソンの名も書いてあるのか」

 

「あいつら、いつの間にインタビューに答えていたんだろうな。僕は知らなかったよ」

 

わしとドラコが一緒に行動する機会が増えたのもあるだろうが、クラッブやゴイルは以前ほどドラコにべったりでは無くなった。

パーキンソンも公衆の面前でドラコに振られて以来ほぼ話さなくなっているし、わし等の関係に変化が生じ始めているな。

 

少し遅れてポッター御一行様が現れたので、ドラコが嬉々として記事を見せに行った。

 

「何だよこの記事…!ハグリッドをこんな凶悪な犯罪者みたいに…」

 

「そんなに怒ることかな?たかが毛むくじゃらの森番のことでさ」

 

「他人事みたいに言うな!お前の子分共が余計な事を言ったせいでハグリッドは…」

 

「そこの生徒、ちゃんと聞いてるの?」

 

ブランク先生の注意が飛んだのでドラコとポッター達は渋々口論をやめた。

一角獣の生態を学ぶのはとても面白かったので、授業の終わりには多くの生徒が満足した表情を浮かべていた。

 

「ずっとあの先生に居て欲しいわ!」

 

グリフィンドールの女子が呟いた言葉は生徒全員の本音と言えるだろう。

だが、ポッター達が説得したのか、ハグリッドはすぐに復帰することになった。

ハグリッドの授業は復帰前よりはましなものになり、ブランク先生に出来る事は自分にもできると証明したいのか一角獣の赤ちゃんを連れてくることもあった。

ドラコは点数稼ぎだと吐き捨てていたが、女性陣はユニコーンの赤ちゃんに夢中になり、多くの生徒が彼を見直したようだ。

 

 

 

 

1月も半ばに入り雪の日が増えたので、新しいマフラーを買うことを真剣に考え始めていた。

暖炉の前のソファーで暖かいココアを味わっていると、隣にドラコが座った。

 

「今日も冷えるな。…なぁ、第二の課題対策はどうなっているんだ?」

 

「いきなりだな、ドラコ。…水中での呼吸法についてだが、3つほど案を考えた。

1つは泡頭の呪文。もう1つは変身術で魚類に化けること。そして、最後の1つは鰓昆布だ」

 

「鰓昆布…?確かスプラウト先生の授業でやってたな」

 

「でも、あれはとても貴重だと聞きましたわ。ホグズミード村でも売ってるかどうか…」

 

ダフネが紅茶を片手に会話に加わった。

スリザリンでも上位の学力を持つ2人は話が早くて助かるな。

わしは暖炉の前を彼女にさりげなく譲りながら、不敵な笑みを浮かべた。

 

「我らが寮監様に頼もうと考えている。奴の研究室に何度か足を運んだことがあるが、あそこは珍しい材料が多い。鰓昆布もあるだろう」

 

「うまくいくかしら…」

 

「無理なら別の方法を考えるまでだ」

 

 

 

魔法薬学の授業が終わった後にスネイプに頼んでみようと思ったが、カルカロフが訪ねて来たので追い出されてしまった。

カルカロフとスネイプが親しかったとは初耳だ。

わしはその日の晩にスネイプの研究室をノックした。

 

「何用だ、ハクドウシ」

 

「スネイプ先生、頼みがある。…鰓昆布を持っていたら譲って貰えないだろうか」

 

「ほぅ…」

 

スネイプはその言葉だけでわしの狙いを察したようで、感心したように顎に手を当てた。

 

「無論タダとは言わない。わしが優勝した暁には賞金の中から料金を支払うし、優勝できなかった場合も出世払いで払う。どうだ?」

 

「物事には代価が必要だ。貴様がそれを心得ているのは有り難い事だが…駄目だ。あれは非常に貴重なものだからな。そもそも教師が代表選手に協力することは禁じられている」

 

スリザリン贔屓のスネイプならあるいはと思ったが、そう上手くはいかないか。

思えば炎のゴブレットが代表選手を選んだ夜もわしの出場に反対していたし、彼は思った以上に真面目な男らしい。

 

「ダメだったか…」

 

「残るは泡頭呪文か変身術。前者の方が難易度は低そうだな」

 

変身術で魚等の水生生物に化けた方が早く移動できるだろう。

しかし、普段と違う状態では感覚が大きく異なるので、思わぬミスを招く可能性がある。

それに1時間前後も変身状態を維持できるのか、確たる自信を持てなかった。

わしは考えた末に消去法で泡頭呪文を採用することに決めた。

 

わしは欲求の部屋で泡頭呪文の練習を始めた。

泡頭呪文はさほど難しい呪文でもないので、すぐにコツを掴むことができた。

実際に湖の中で泡頭呪文を使ってみると、想定通り1時間以上水中で呼吸することに成功した。

だが、翌日風邪を引いて「元気爆発薬」の世話になることになってしまった。

 

「ま、風邪を引いた成果はあったんじゃないか?あとは水中人や水魔対策だな」

 

「水中では呪文の効果は薄れてしまいますわ。どうするんですの?」

 

「少々不本意な手段ではあるが、既にやり方は考えてある。まぁ任せておけ」

 

わしは翌日から水泳と薙刀の練習に取り掛かった。

氷が浮いた湖で泳ぐことは思った以上に厳しかったが、湖から上がった後にダフネの淹れてくれる暖かい紅茶を飲むことを楽しみに乗り切った。

 

 

 

 

 

「ハクドウシ、カンナを見なかった?」

 

第二の課題が明日に迫った今日、久々にルーナが話しかけて来た。

午後の授業が終わった後にマクゴナガルに呼ばれて、夕食の時間になっても帰ってこないらしい。

第二の課題は大切なものを奪い返すことだ。

恐らく神無はわしの大切な人と判断され、今日のうちにどこかに移されたのだろう。

 

「いや、見ていない。だが心配することはないだろう」

 

「そっか。ナーグルに連れてかれたのかと思ったけど、それなら安心だもン」

 

この推測を伝えると、彼女はほっとした様子でかけていった。

ルーナは神無と親しくしてくれているようで有り難く思う。

神無はあの性格だから学校という環境では交流に困りそうだからな。

 

「神無の学校生活を心配するとは…我ながら優しくなったものだ」

 

自分の変化に苦笑しながら寮に戻り、その日は早めに床に着いた。

 

 

 

 

2月24日は第二の課題の日だ。

ホグワーツの生徒達から激励を受けながら湖に向かうと、既にデラクールとクラムは到着していた。

わしが来たことを確認し、バグマンが「ソノーラス(響け)」で声を拡大させる、

 

『それでは、これより第二の課題を開始いたします!各選手は水中人に囚われた人質を奪い返さなければいけません!制限時間はわずか一時間!危険な水中人や水魔を相手に、選手たちは大切な人を取り戻すことができるのか、ご期待あれ!』

 

代表選手たちは3メートル間隔で桟橋に立たせられ、ホイッスと同時に第二の課題が始まった。

クラムはサメに変化して凄まじい速さで進み、その後を泡頭で顔を覆ったデラクールが続く。

 

「アクシオ。薙刀よ来い」

 

あらかじめ湖の傍に配置しておいた薙刀を呼び寄せる。

競技は杖だけを使用することが望ましいとされるが、ホイッスルが鳴った後に杖以外の物を手にするのはルール違反ではない。

わしは泡頭呪文で頭を覆い、クラム達より少し遅れて湖に飛び込んだ。

 

…泳ぎ始めてから5分ほどたったが、拍子抜けするほど何も出てこない。

安全なルートを進んでいるからか、それとも見当違いの方向に向かっているのか…。

不安を抱きながら泳いでいると、前方でデラクールが水魔の集団に囲まれているのを目にした。

彼女は懸命に呪文を唱えようとしているが、水中では威力が弱まってしまうので中々ダメージを与えられない。

微かな隙を突かれて杖を奪われ、デラクールは絶望の表情を浮かべる。

杖を失っては魔法使いに手立てはない。

 

わしが襲われなかったのは、水魔たちがデラクールに群がっていたからか。

…ここで奴を見捨てて先に進めば安全に目的地にたどり着けるだろう。

だが第一の課題が採点方式であったことを思えば、この課題もそうである可能性が高い。

わし等の行動は監視されていると考えて良いだろう。

ならばわしのすることは一つだ。

 

わしは薙刀に力を込めて元の大きさに戻し、杖を弄んでいる水魔を柄の部分で殴り飛ばした。

彼が手放した杖をキャッチすると、突如現れたわしを水魔たちは警戒の表情で睨みつけてきた。

一匹の水魔が長い腕で掴みかかろうとするのを躱し、首元に刃の部分を突き付けて睨みつける。

水魔は怖気づいてすごすごと引き下がり、他の水魔たちもわしに恐れをなして距離を置く。

その隙にデラクールの腕をつかみ、薙刀で水魔たちを威嚇しながら距離を取った。

あの数まともに相手取れば勝ち目はないと分かっていたので一撃離脱の戦法を取ったが、上手くいったようだ。

 

美しい瞳に困惑の色を浮かべるデラクールに杖を返し、わしはその場を去った。

わし等の競技に点数を付ける者達は、今の行動を見て「スポーツマンシップに満ちた行為」と認識して評価を上げてくれる筈だ。

薙刀の腕を見せることは出来るだけ避けたかったが、優勝がかかっているのでやむを得ない。

…久しぶりに薙刀を思いっきり振るって見たかったというのも理由の一つだがな。

 

 

 

歌声に導かれるように進むと水中人の村らしき場所に辿り着いた。

中央のスペースには巨大な水中人の像が立っており、2人の女子が縛りつけられている。

1人は神無で、もう1人は豊かな銀色の髪の少女だ。

彼女たちはぐっすりと眠り込んでいて、口元から細かい泡が立ち上っていた。

 

「1人足りないと言うことは、クラムは既に人質を救出したということか」

 

してやられたな、と思いながら薙刀を取り出して神無を縛る縄を切る。

周りには水中人が居るが、あくまで監視役なのか邪魔をする様子は無い。

神無を右腕で抱えながら泳ぎ出すと、入れ違いにデラクールがやって来た。

1位はクラムに取られてしまうだろうが、2位を渡すわけにはいかないと懸命に泳ぎ始める。

わしに恐れをなしたのか水魔は出なかったので、十分後には湖畔に辿り付いた。

少し遅れてデラクールが湖の中から浮かび上がり、バグマンが課題の終了を意味するホイッスルを鳴らした。

 

ある程度練習はしたが、1時間近くも泳ぐのは初めてだったので少し疲れてしまった。

水中人の長からダンブルドアが報告を聞き、審査員たちが点数を話し合っている間に、神無を初めとする人質たちが目を覚ました。

デラクールは妹の無事を確認して涙ぐんでおり、クラムとグレンジャーは親し気に話している。

 

「神無、大丈夫か?」

 

コクリと頷き、いつもの無表情でびしょびしょになった顔を拭く神無。

さっきまで水中で人質状態だったのに、こいつは相変わらずだな…。

 

やがて点数が発表された。

デラクールを助けた武士道精神は評価されたものの、クラムを抜くには至らなかったようで2位になってしまった。

不貞腐れて足元の小石を湖に投げていると、さっきまで妹に付きっきりだったデラクールが駆け寄って来た。

 

「あなた、わたーしを助けてくれまーした。見捨てることもできたーのに」

 

「…気にするな。少し良い子ぶってみただけだ」

 

二位となったことへの悔しさから投げやりに返すと、デラクールはニッコリと笑った。

 

「あなたが助けてくれなかったーら、わたーしはガブリエルを助けられませーんでした。だから…ありがーとう」

 

彼女は瞳を閉じてわしの両の頬に口づけを落とした。

ヴィーラの血を引いている彼女のキスは、全身が燃え上がるような錯覚をわしに与えた。

ガブリエルという娘からも頬に口づけを受け、2人は手を振って去っていった。

それを見ていた男子生徒から野次や罵声が飛ぶのを呆然と聞いていると…全身に悪寒が走った。

恐る恐るスリザリンの観客席を見ると、とても冷たい目でわしを見下ろしているダフネがいた。

今後の運命を悟ったわしは静かに頭を抱えた。

 

 

 

「ダフネ。あれはわしが求めたことではないし、彼女たちにもその気はない。あくまでお礼だ」

 

「その気はない…。その割にはデレデレしていましたわね。こーんなに鼻の下を伸ばして…」

 

「わしは鼻の下など伸ばしていない!…だが、不愉快な気分にさせてすまなかった。口づけされたのはわしが迂闊だったからだ」

 

翌日のダフネの機嫌は最悪で、朝から邪険な態度を取られるばかりだった。

このまま彼女がへそを曲げてしまったら困る。

 

「…今度の土曜日、2人でホグズミート村を回らないか?…2人きりで」

 

この提案は、ダフネの機嫌を少し回復させる効果があったようだ。

女子寮に戻っていく彼女の足取りが先ほどより軽かったのを見て、安心してソファーに座りこんだが、ドラコやザビニの冷やかしを受けてさらに疲れることになった。

わしは第二の課題で疲れているというのに、容赦のない奴らだ。




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