[1]ノーゲーム・ノーライフの世界にチート転生者がきたようです   作:型破 優位

13 / 49
機知になること
これは今目指しているもの。
文才
これは今欲しいもの。

それではどうぞ!


獣耳っ子

--------エルキア図書館------

 

三人称side

 

ジブリールから取り戻した図書館のキッチンに、ステフはいた。

 

だが、その顔は疲労困憊、まともに寝てない様子が見てとれる。

 

「これじゃあ、王の寝室にこもってくれたほうがマシでしたわ・・・。」

 

図書館を取り戻したあと、今度は王の寝室(小屋)でなく、図書館に引きこもった空達。

 

内政をしながら、報告に遙々図書館に来て、しかもお茶入れまでやらされている。

 

「何故私がここまでやらなきゃいけないんですの・・・お茶くみじゃないんですよ?というか、どれが何処にあるのかわかりませんし、言語も読めm「おやドラちゃん。お勤めご苦労様です」ひゃっ!?いつからいたんですの!?」

 

唐突に声をかけられて思わず悲鳴をあげるステフ。

 

「ていうか、ドラちゃんって言わないで貰えます!?」

 

「マスターからの伝言です。」

 

「はい?あの、質問に・・・」

 

「えー『ジブリールのキッチン、砂糖とかバターとか色々あるらしいぞなんでも俺たちのものらしいから、まぁ、自由に使っていいぞ、好きにしろ』以上でございます。」

 

「・・・え?」

 

砂糖とバターが使える?

 

な、なら、作れるお菓子の種類も大幅に増え・・・

 

「って、それ間接的に美味しいお菓子作れって命令じゃないですのっ!どこまで私をこき使えば気が済むんですよのっ!!それより休んでいいよの一言が欲しいですわっ!!」

 

ガンガンガン。

 

「額を鍛えてらっしゃるところ、失礼しますが」

 

と、メモを取り出して、ジブリール

 

「私の蔵書のレシピ本に、マスターが興味があるというお菓子のメモが・・・」

 

「あ、是非いただきますわ♥ありが・・・はっ」

 

面白いものを見る目のジブリールに、バタバタと赤い顔で手を振るステフ。

 

「ちがっ・・・これは・・・」

 

「話は伺っております。なんでも、マスターに"惚れろ"と命じられたとか。」

 

「そ、そうですの!しかもイカサマ同然の詐欺で!?信じられないですわよね!?」

 

そう、国王次期選出のとき、[ ]と初めて会った日に行われたジャンケン。

 

それで負けたステフ。

 

そのときに惚れろと命じられたのだ。

 

自分の行動を正当化する言い訳に飛びついてまくしたてるステフ。

 

だが、こういう言葉があるのだ。

 

騙される方が悪いと。

 

「それは空にも言われたましたわ!?詐欺師の言い訳にじゃないですの!!」

 

だからなんであなたは地の文が読めるんですか。

 

「どうでもいいから黙ってなさい!」

 

作者「すみません。」

 

その一方で、なおも興味深そうにジブリール。

 

「なるほど、そういうのを恋愛感情と言うのでしょうか。我々天翼種にはないものでございますね。」

 

「え、そ、そうですの?」

 

「はい。我々は必要がない限り繁殖をしない種族ですので。私自身も主に対する愛があれば十分だと考えていました。人類種の恋愛感情という、今のところ心の機微は伝え聞く程度でしか理解できません。」

 

さらりと主。つまり、空と佑馬に対して。

 

『愛』とキッパリ言いきったジブリール。

 

何かひっかかることはあるのだが・・・

 

「え、あ・・・えっと、愛って・・・主従愛、ですわよ、ね?」

 

「その区別は、私にはうまくつけられません。通常の愛とはどのようなもので?」

 

「そ、そうですわね・・・こう、他の人と仲良くしてると胸が苦しかったり、一緒にいないと不安になったりとか、そういう・・・あれ?」

 

ふと、自分の初恋は、強制的に惚れさせられた空だと気づき。

 

つまり、今語った全ては、空に向くものだと気づき。

 

ニコニコとそれを眺めるジブリールには、全ては筒抜けだとも気づき。

 

トマトより赤い顔で、慌てて、

 

「い、いいい、一般論ですわよ一般論!わ、私はそういう経験は・・・」

 

と、全く説得力のない言葉で取り繕うが、ジブリールはただ微笑する。

 

「そうですか。あ、最後に、1つ。佑馬から伝言です。」

 

「あ、はい、なんですの?」

 

「『このキッチン、俺も少し使わせて貰うからよろしく』とのことです。」

 

「佑馬が・・・?いったい何するんですの?」

 

「私のために料理を振る舞ってくれるそうです♪それでは、伝言はお伝えしましたので、これで。」

 

「あ、ええ・・・ご苦労様で、あれ?」

 

いない、目を逸らした一瞬で、何処に?

 

(にしても、佑馬に料理を作ってもらえると言ったとき、若干楽しそうにしてたのは気のせいですの?)

 

まあ、さっき本人が言ってたとおりなら、気のせいだろう、というわけで。

 

「・・・・・・・・・・・・ちらっ」

 

机の上に置かれた、空の気になったお菓子のレシピとやらをみるステフ。

 

「まぁ、砂糖が使えるならら私も食べてみたいお菓子がありますし?一人分も全員分も作る手間は変わらないですしね。ええ、うんそうですわ。ついでですわ、ついで。」

 

そう、ガサゴソと、ジブリールのキッチンをあさり始めるステフ。

 

「えっと、そういえば何処に何があるのか聞くのを忘れていましたわ・・・。」

 

「それはですね」

 

「ひぃゃっ!?」

 

再び、音もなくぬっと背後から現れるジブリール。

 

「必要な調理器具はあちらの棚にございます。食器はあちら。材料や調味料は上の棚に。ティーセットはこちらでございます。オーブンはアヴァント・ヘイム製ですので、使い方は人類語でこちらにまとめておきました。それでは、ご自由に。」

 

「え、あ、はい・・・至れり尽くせり、どうも、ですわ」

 

ヒキ気味にステフが言う。

 

「いえ、全ては主と佑馬のためでございます、では」

 

またふっと消える。

 

「私の!ためですわ!!うん、では、自分でもびっくりするくらい美味しいお菓子を作ってやろうじゃないですの!!」

 

脳裏に過ぎるのは、空のいい笑顔と

 

『良く出来てるなステフ。さんきゅ』

 

「だ、か、ら、っ!」

 

がっ、とテーブルに手を当てて。

 

「違うと言ってるんですのよぉぉぉっ!」

 

と、ガンガンとテーブルに頭を打ち付けるステフを。

 

それを、扉の外でジブリール。

 

「"俺に惚れろ"とは、流石はマスター、面白い要求をされますね」

 

しかし、それ以上に面白いものを見る様子で。

 

人類種の感情には疎いジブリールだが、知識としての恋愛感情の性質は知っていた。

 

「惚れるのも一瞬なら冷めるのも一瞬。"惚れ続けろ"と命じられてないドラちゃんに、はて、なぜ恒久的影響が出ているのか。ふふ、興味はつきのうございますね。」

 

そう、小さく笑って、

 

「にしても、恋愛感情ですか...対等と言われたときのなんとも言えない気持ちも、佑馬のことを考えたら少しだけ気分がよくなるのも、恋愛感情というものでしょうか...わかりませんね...」

 

そう呟き、再び虚空に溶け込むように消えた。

 

「へ、赤・・・ひゃあああ血ですわぁぁぁぁッ!?ひぅん・・・」

 

自分の血で気絶するステフのお菓子は、もう少し完成に時間を要しそうだった。

 

side out

 

佑馬side

 

俺たちは今、図書室にいる。

 

そこには、空、白、俺、ジブリール、

 

そして、扉の奥から気配を感じる・・・ステフだろう。

 

そして今、

 

「では、ジブリール君」

 

これ以上にないほどシリアスな顔で、ジブリールを問いただしている空。

 

「俺に征服される獣耳少女達の国、"東部連合"について、聞かせて貰おうか?」

 

いつもの空だった。

 

「かしこまりました、東部連合は、複雑な事情を抱える国でございます。」

 

東部連合、位階序列十四位『獣人種』の国。

 

獣人種と一言で言っても、その身体的特徴の差異から、無数の部族が存在し。

 

そのため長年、内戦と不可侵を繰り返していた、統一性のない小国の島々だったが。

 

それが突如"巫女"と呼ばれる者によって、わずか半世紀で平定、併合されていき。

 

いまや世界第三位の大国とまでなった、巨大な海洋国家である。

 

「身体的特徴の差異って・・・猫耳とか狐耳がいるってことか」

 

真顔でそこに反応する空に、ジブリール。

 

「はい。ですが見た目以上に、性能面も大きいです。獣人種という名からケモノじみた身体性能、と思わないよう。部族や個体によっては物理的限界に迫る性能をもち、思考さえ読むのは常軌を逸したその性能故。また『血壊』と呼ばれる個体は、それすら・・・」

 

「ふむ、まあいい、だいたいわかった、で。」

 

「獣耳っ子達は俺のもんだ。さぁ、どう東部連合を攻め滅ぼそう!」

 

ぶれないな、と思わず苦笑。

 

「残念ながらマスター、おそらくそれは不可能でございます。」

 

水をさしたのは、意外にも空を主と呼び、従うと口にしたジブリール。

 

「な、ジブリール、何のためにおまえを識者として迎え入れたとっ!?個人的欲望と国家と利益を満たす神の計画、即ち、獣耳少女をもふる為なのに、どういうことだっ!」

 

すがすがしいまてまの私利私欲と公私混同に、しかしジブリール。

 

「申し訳ございません。ですが、いくらマスター達でも、東部連合には勝てないかと。」

 

その言葉に、空と、隣で本を読んでいた白までもが。

 

眼を細め、ジブリールを睨む。

 

今のは俺も見過ごせない。

 

「ほう・・・それは[ ]が、負けると言いたいのか?」

 

「いえ、語弊がありました。ご期待に添えられない、という意味でございます。」

 

ああ、と思い出す佑馬。

 

そういえばジブリールは......

 

「私も、一度東部連合に挑み、負けております。」

 

空達の目が驚愕の事実により見開いた。

 

俺も知らなければ驚いてただろうな。

 

「・・・マジ?え、しりとりで?」

 

「いいえ、仕掛けたのはこちらですので、おそらく、相手の指定したゲームと思われます。」

 

おそらくといった瞬間空の頭から?が見えた気がした

 

「付け加えますと、森精達、エルヴン・ガルドも、東部連合に対し過去五十年で四回、公式に『対国家戦』を仕掛け挑んでおりますが、そのいずれも、敗北しています。」

 

認めたくはない、だが認めざるをえない事実を口にするように、ジブリール。

 

だが、それより、と。

 

空はなにかに気づいたようだ。

 

「・・・まさかとは思うが」

 

「東部連合は・・・『ゲーム内容の記憶消失』を対価として要求するのか?」

 

そう、現状、これなら勝つことは不可能であることを意味する。

 

・・・・

俺以外は

 

恭しく頭を垂れてジブリールが言う。

 

「さすがはマスター、その為、ゲーム内容の一切が不明でございます。」

 

話が終わるまで待とうと思ったが、さっきのことが気になって仕方がない。

 

「なあ、さっきのマスター"達"というのは俺も入ってるのか?]

 

「はい...いくら佑馬でも、厳しいかと。」

 

「なら、一つ面白いことを言ってあげようか?」

 

「「「?」」」

 

みんな何を言うのかわからないっぽいな。

 

「俺さ、ゲーム内容、知ってるんだよね。」

 

・・・一瞬の沈黙

 

「な、佑馬、冗談ですよね?」

 

先に言ってきたのはジブリールだ。

 

自分でも記憶がないのに、何故か気になるんだろう。

 

「いや、本当に知ってるぞ。それに前も同じこといったよな。これくらい気にしてたらこれからがもたないぞ?」

 

「じゃあ、教えてくれますか!?」

 

「ああ、だが、空と白には言わない。」

 

「当たり前だ。ヒントを貰うなんていう屈辱的なことはされたくないからな。」

 

「というと思ってたよ。ジブリール、おまえにはちょっと手を貸してほしいこともあるから教えるんだ。他のやつらには内緒だぞ?」

 

「はい、わかりました。」

 

そんじゃあ、

 

(それはな、電子ゲームだ。)

 

耳打ちした。

 

「ひゃぁ!///」

 

いきなり顔を赤くして声をあげるジブリールにカメラを構えている空と白。

 

いつの間に......

 

(あの、電子ゲームというのは...?)

 

(そうだな、それは俺たちの世界の文献に書いてあるとおもうぞ。)

 

(なるほど、それで何をすればいいのでしょうか?)

 

(それは日を追って連絡する)

 

さぁて、楽しみが増えたぞ!

 

これから起こることにニヤリと口を吊り上げる。

 

さて、どう調理しようか。




今回のメインはステフ。

開幕からゲーム内容を知られている獣人種。

ドンマイ

次回、獣人種編、いきます!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告