[1]ノーゲーム・ノーライフの世界にチート転生者がきたようです 作:型破 優位
佑馬の空間転移によってオーシェンドへと行くことが出来た一同がまず最初に視界に入れたのは、
「まぁ、こうなるんやねぇ・・・。」
ジブリールの天撃によって割れた海が、海底の土砂や岩をミキサーのように巻き上げながら、荒れ狂っている光景。
その場の空間ごと転移して膜を張ってあるため、その中に水は侵入することはなく、水族館のみたいな空間となっていた。
「へぇ、こいつは凄いな。」
「・・・きれぇ・・・。」
眼下に広がる珊瑚や真珠によって形成された、綺麗な水中都市が広がっていた。
「なんだよ、馬鹿だ馬鹿だ言われてる割に、大した都市じゃねぇか。」
「・・・はは、ありがとうございますぅ・・・」
空の呟きに答えたのは、諦観と自虐を含んだ苦笑のプラムだった。
「これ、作ったのも、管理してるのも吸血種ですからぁ・・・あはは・・・。」
それにかける言葉が見つからず、空は視線を後ろに向ける。
物珍しそうに周囲を見回すジブリールといづなとステフ、落ち着いた様子の巫女といの、そして、
「・・・あいつは何やってるんだ?」
佑馬は膜の外で一人の海棲種と楽しそうに談話していて、周りには誰もが目を奪われるようなダンスを披露するその他の海棲種達。
「佑馬様と喋っている海棲種は、全権代理者の代理のアミラ様ですぅ・・・。」
「ほぅ、あれが海棲種か、よし、イメージ通りで何よりだ。」
クトゥルフとか出てきたらキレて佑馬とジブリールに亡き者にさせてやろうか考えていた空は安心したが、
「でも、あいつら何喋ってるんだ?」
さっきから何喋ってるのか聞こえない空達には、一体何をそんなに楽しそうに話しているのか理解できなかった。
「さぁ・・・あ、終わったようですねぇ・・・。」
そして、佑馬は空気の膜に入り、一言。
「馬鹿の申し子と言って良いほどの大馬鹿だった。」
「・・・。」
豪速球で貶した。
「何をあんなに楽しそうに喋っていたんだ?」
「なんか、『あなたすごいイケメン!私と一緒に遊ばない!?』とか言ってきたから、『遊ぶならあそこの獣人種が相手してくれるぞ。』と言ったら、『あんな汚い爺さんは嫌だー☆』なんて言うもんだから、ついいのについて語り合っただけ。」
「おい!!」
簡単に言えば、いのを貶しあっていただけという事実にいのがキレれるが、汚い爺さん呼ばわりされたためにかなりショックな表情を見せる。
「あ、女王のとこには案内するから膜壊して待っといてーだとさ。」
「なら、今から血を貰ってきてその力で皆さまに水中呼吸の魔法をかけますからぁ、その後この空気の壁を解除して下さいねぇ・・・。」
と言って、膜を出るプラム。
戻ってきたプラムから呼吸魔法をかけてもらって、アミラに女王の元へと案内されて貰った。
オーシェンドに入ると、海棲種から割れるような歓声に出迎えられたが、奥の方にいる吸血種の少女からは、『遥々ご苦労様です』という表情をしていた。
そこからしばらく歩き、ある扉の前でアミラが止まり、
「到~~~~~~~ッ!着ううウウッ!」
いきなり甲高い声を出し始めた。
「お待たセ~っ!ここが女王さまの間ダヨ~♪」
とアミラが扉に手をかけ、ゆっくりと押し開け。
光が零れた。
女王の間はかなりの広さがあり、ピンク色の天幕と絨毯が使われていた。
壁には淡く光を放つ藻が装飾的に、規則的な藻養状に編まれ部屋を照らしていた。
高い天井はステンドグラスが填め込まれ、海底まで届く陽光を部屋に取り込んでいた。
しかし、その真下にある玉座。
それらを不要に思わせる、眩いまでの存在感を放つ巨大な水晶。
いや、そう見えるほど美しく透明な・・・氷の塊があった。
「・・・。」
それを目にした一同から、言葉が消える。
粛々と、少なくともそうしようと努めながら、アミラが告げた。
「ご紹介します。海棲種の女王さま・・・ライラ・ローレライ陛下でござ・・・です。」
氷の中には美女が眠っていた。
あまりの美しさに言葉を失った一同の後ろで、プラムとアミラが何か話しをして、部屋を出ていったが、それを気づく様子もなく、女王が眠る氷を見つめていた。
「な、なんて綺麗な方ですの・・・」
ステフが同性であることを忘れたように、熱っぽい言葉をこぼす。
実際、その艶姿にはいのはもとより、巫女やいづなをしてさえ、ただ呆然と目を奪われるばかりだったが。
「うーん・・・?そんな言うほど美人か、白?」
「・・・よく・・・わから、ない・・・」
「「はあああっ!?」」
首を傾げてこぼした空と白の二人に、一同が目を剥く。
「お、お二人とも正気ですのっ!?こ、この方が美人じゃなきゃなんですのよっ!?」
「落ち着けよステフ。うるせーぞ。」
「全くドラちゃんはこれだからオモシロオカシキャラなのでございます。」
そして、ステフの剣幕に答えたのは、佑馬とジブリール。
「なるほどねぇ。『水精』ってやつだっけ?」
「その通りでございます。見えるのですか?」
「ああ。まぁ、いのとステフは無理だとして、巫女さんはそろそろ戻ってもいいんじゃない?」
佑馬の一言で我に返った巫女は、やれやれ顔で頭をかいた。
(空と白はお互いがお互いに好きだから効かなかった。俺もジブリールが好きだから効かなかったが、ジブリールが効かなかったとなれば・・・。)
何故ジブリールが効かないのか。
それは・・・
「ジブリール、ありがとうな。」
「ん?いきなりどうされました?」
「何もないよ。」
笑顔で、照れ臭そうに呟いた佑馬に、ジブリールは首を傾げるが、巫女は心臓の音でも聞き取ったのか、少しニヤっとしながらこちらを見ていた。
「おっ待ったせしましたぁああぁ~~~っ!」
と、そこで騒がしく、アミラとプラムが戻ってくる。
「じゃ、今からプラムちゃんたちの魔法で、女王さまの夢に入って貰うネェ。」
「あ、そういえばそんなことあったな。」
なんで寝ているのか忘れていた佑馬は、今思い出す。
あるお伽噺を読んで、ある男が現れるまで寝ていることを。
そして、今から行うのはその眠りを解くゲーム。
「女王を起こす人はぁ、"盟約に誓って"全てを賭けて、水晶に触れてネェ~。」
・・・・・。
「は?え、なにを言ってるんですの?」
沈黙を破って、声を上げたのはステフ。
だがきょとん、とアミラが告げる。
「え、なにか問題?」
「問題に決まってますわよ、何言ってるんですの!?」
「落ち着けステフ。勘違いしてるのはおまえだ。」
何故そんな必要があるのかわからないステフは抗議をするが、空によって止められる。
その言葉でステフは振り返ってみると、
空、白、巫女やジブリール、いのやいづなや佑馬まで、当然という顔をしていた。
「ステフ、気になることはわかるがとりあえず始めるぞ。」
その佑馬の言葉、ではなく顔を見て、
心配するな
というのを読み取ったステフは、渋々了承した。
「誰かが女王を惚れさせ、起こせば『勝ち』、フラれたら『負け』敗者は抜け、賭けた"全て"を支払う、と。以上を盟約で誓えばいいんだな?」
「は、はいぃ・・・で、でも。」
「プラムの惚れ魔法がある、仮に負けてもアミラから取り返せるだろ。安心しろ。」
不敵に言う空に、何か引っ掛かりを覚えるステフ。
「このメンツ、条件で、負けることは万に一つもない、さっさとやってくれ。」
「はいぃ・・・では空さま、シチュエーションを思い描いてくださいぃ、そして、宣言を、お願いしますぅッ!」
「"盟約に誓って"ッ!」
空、白、佑馬、ジブリール、巫女、いの、いづな、そしてプラム。
一斉に、全員がそう口にすると同時、全員の意識が白く染まった。
次はいちゃいちゃ要素入ります。