[1]ノーゲーム・ノーライフの世界にチート転生者がきたようです   作:型破 優位

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前半数十話が今の自分の戒めになっています。
もう絶対にあのような文章は書きません。


想い

『理屈なんか全部無視して――同じ道を歩いてくれないか。俺の妻として、さ』

 

 

 今目の前に出された手に、どれほどの"モノ"を貰ったのだろうか。どれほどの可能性を、見出だせたのだろうか。どれほどの『既知』を『未知』にさせられたのだろうか。

 

 ――機凱種(エクスマキナ)は、対応する種族。必要とあらば必要なように自己を作り替える。

 

 いつから、そんな機能がついたのだろうか。

 そんなことは、今はどうでもいい。

 

 頬を伝った一筋の涙に、シュヴィはようやく理解することができた。

 これが、今まで自分が解析しようとしていたもの。

 

 だが、今なら分かる。

 "これ"を解析することは『不可能』であったと。

 

 

『……リク』

 

『うん』

 

『……文字、通り……見た目、通りの……不束モノ――だけど』

 

『バカな俺には出来すぎた嫁だと思うけどなあ』

 

 

 何故なら"これ"は理論そのものが通用しないもの。

 シュヴィの言葉に苦笑するリクだが、まだ表現の仕方までは分からない"それ"にシュヴィは、うずくまり、濡れた声で――絞り出すように、答えた。

 

 

『……ずっと、ずっとずっと――側にいさせて、くだ、さい……』

 

 

 即ち――『感情』と。

 

◆◆◆

 

 明確に、戦力差が出てしまった。

 リクとシュヴィの策略により、[  ]陣営の連結体(クラスタ)二つが行動不能。未だに原因は分かっていない。

 

 

「まぁ、そうなるわな……あの時(・・・)もそうだったんだろ?」

 

「……そう」

 

 

 この場でこれを理解出来ているのは、リクとシュヴィのみ。例え大戦のことを知っていたとしても、この原因不明の出来事を説明出来るほどまで理解することが出来るのは、リクとシュヴィ、原作を知っている佑馬のみだろう。

 

 

「こちらの機凱種に"それ"が対応出来たのが時間にして約五分。つまり、ゲーム内では約百日は必要だったってことか」

 

「……予想、以上」

 

「ああ。恐らく、"それ"だけ渡されて解析方法や使い道を実際に見せなかったから、それだけ時間が必要になったのかもな」

 

「……あの時……『番外個体(ジブリール)』、と……戦って、いた……のも……ある、と……思う」

 

「なるほどな。まぁ、シュヴィが何年も俺と一緒に居て手に入れたものだ。そう簡単に解析出来るわけが――そもそも、解析そのもの(・・・・・・)が出来るわけがないからな」

 

 

 そう、彼らが渡した猛毒。

 それは、『感情』

 

 リクとシュヴィは、開始早々動かなかったのではなく、動けなかったのだ。

 シュヴィがプレイヤーとして存在している以上、機凱種と繋がってしまうのは、必然。

 

 そこで開幕から味方の機凱種は、『エラー』を吐き続けた。

 本来、こんな戦い方をするつもりなど毛頭なかったのだが、開幕で強制的に繋がってしまうのなら、どうしようもない。

 

 後は、『ゲームだから』と括って『武器』として使うだけだ。一人知ろうが何千人知ろうが、ゲームでは同じことなのだから。

 

 

「さてシュヴィ。連結体二つはここから約四分はまだ足止めされる。ここからが本番だぞ」

 

「……りょー、かい」

 

 

◆◆◆

 

 ゲームは正に、熾烈を極めていた。

 機凱種の性質を未だによく把握出来てない上に先手を打たれた[  ]陣営。対して、リクとシュヴィも巧みな[  ]の指示により、攻めあぐねていた。

 

 しかし、差は着実に開いていく。

 

 

「……にぃ、次はこれ――!」

 

「分かった!じゃあ白はこれ頼む!」

 

 

 指示語のみで行われるやり取りに、誰もが黙って見ることしか出来なかった。

 

 機凱種同士と戦いは、正に泥沼と言っても良い。模倣した技を次々に放ち、さらにそれを模倣して――を繰り返すだけのもの。

 

 そこに、進歩などあるはずもない。

 

 なのに、何故か[  ]陣営よりも、佑馬陣営の方の機凱種の方が毎回の損害が少ない。性能差がないのにも関わらず、だ。

 

 時間で言えば、もう一時間は経つであろう時間。

 ゲームないでは、三年以上の時間が経っていることになる。

 

 盤面は明らかに佑馬陣営が優勢。戦力差は四倍にまで広がろうとしていた。

 

 だが、不思議なことも起きている。

 リクとシュヴィによって一時行動不能にさせられた二つの連結体は、何故かほぼ無傷に等しい損害しか出していないのだ。

 

 というよりも、その二つしか『連合体』として機能しているものは残っていない。

 それに比べて、相手側は八つの『連合体』を所持している。

 

 模倣が模倣を呼ぶこの戦いにおいて、数は必要不可欠な勝利要因だ。即ち、[  ]の絶望的な状況を意味している。

 

 

「白、次の攻撃で恐らく最後だ。俺らに必要なあと一つの手札(・・)。ここで見つけられなければ勝ちはないぞ」

 

「……大丈夫……絶対、に……見つかる」

 

「白が言うなら、間違いなさそうだな」

 

「な、何か作戦でもあるのですわよね?大丈夫ですわよね?」

 

「……ああ」

 

 

 最早不穏としか言い様が無い会話に、堪らずステフが入り込んでくる。

 だが、返ってきた返事は、今までに聞いたこと無いほど弱々しかった。

 

 

「さしあたって、まずはこれを投函しようか」

 

「……こくこく」

 

「えーっと、『全軍がむしゃらに攻撃』……って、正気ですのおおおぉぉぉぉぉ!?」

 

 

 空が差し出した指令書に、ステフは絶叫、巫女やいの、いづな、プラムまでもが驚きながら空たちを見た。

 

 

「言っただろ?これは賭けだって」

 

「……狙う、なら……大穴♪」

 

 

 ここに来て見せた二人の笑顔に、ステフの背筋に悪寒が走った。

 分かっていたとはいえ、この二人はこの世界を『ゲーム』と信じて止まない。

 

 

「さてさて、吉と出るか凶と出るか♪」

 

唯一神(テト)、の……言う、通り♪」

 

 

 このゲームを動かす一手が、今投函された。

 

◆◆◆

 

「……諦めたのか?」

 

「……わから、ない……でも……それは、ない」

 

「だよな……面白いじゃねぇか」

 

「……こくこく」

 

 

 空たちが指示書を投函してから数秒、異変を感じ取った二人は言葉少なげに確認する。

 明らかに、攻撃が適当になった。

 

 佑馬側の連結体にはほとんど攻撃が届いておらず、佑馬陣地の土地、挙げ句の果てには、自陣の土地すら攻撃しているのだから。

 

 動きが読めない。

 だからこそ、今まで通りに行くしかない。

 

 狙いが分かるまでは、動けないのだ。

 

 

「後、何分だ?」

 

「……二分、と……十二秒、かな?」

 

「よし、それならこちらも行くとしようか」

 

「……わかった」

 

 

 この会話は、この二人にしか理解ができないもの。

 彼らもまた、二人で一人なのだから。

 

 

「シュヴィ、"あれ"投函してくれ」

 

「……うん……した、よ」

 

「次は"あれ"だ」

 

「……分かった……三秒、後に……入れる――入れた」

 

 

 指示語だけで次々と指令書を投函していく二人の顔は、とても笑顔だ。本当に心からゲームを楽しんでいる。

 

 それは、離れてみていてもハッキリと分かった。

 分かってしまったからこそ、心を痛めている者もいる。

 

 

(私も、あの時に今のような『感情』があれば何か変わっていたのかもしれませんね……)

 

 

 そう、ジブリールだ。

 あんなに楽しそうにゲームをしている二人。

 その二人を切り離したのは他でもなく、自分なのだから。

 

 今だからこそ、分かってしまう。

 本当は、もっと責められるのかと思っていた。

 相手は人類種と機凱種。自分よりも格下だ。なのに、喋りかけるのが怖いと思ってしまった。

 

 大切な人を失う辛さ。

 それを思うだけで、ジブリールに『恐怖』が襲いかかり、身体が震えてすらくる。

 ただただ、怖いのだ。

 

 

「ジブリール」

 

「――ッ!」

 

 

 そして、肩に手を置かれたことにより、ジブリールの思考は現実へと戻ってきた。

 

 

「あまり変なことを考えるんじゃないぞ。何かあったら、俺でいいなら力になるから」

 

「……はい。心配かけて申し訳ありません」

 

「そうじゃないだろ?」

 

「……有難う御座います」

 

「ああ、いつでも頼ってく……」

 

「……?どうしました?」

 

 

 佑馬は、いきなり言葉を切って一点をみていた。

 

 よく見ると、離れてみていた全員の視線が、一斉にある一点を見ている。

 

 何だろうか、とジブリールもその視線の先に目を追いかけていくと――突如佑馬側のエルキア上空に現れた、一体の天翼種から、一筋の光が、即ち、『天撃』がエルキアに撃たれようとしていたところだった。




リゼロはこれが終わったら執筆開始です


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『テスト?知らない子ですね』

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『拝啓、この手紙。読んでしまった僕は異世界で魔王を倒しにいきます』

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