[1]ノーゲーム・ノーライフの世界にチート転生者がきたようです   作:型破 優位

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悪いものは悪いと言ってくれる読者さんが多くて助かってます


激闘の末に

 あれからもう一時間以上は経っただろうか。もしかしたらもう約束の二時間にいっているかも知れない。それほどの激戦が行われている。戦力差は全く変わらず、お互い数だけが減っていた。そう、戦力差は全く変わっていないのだ。()()()()()()()()()()にも関わらず。

 [  ]サイドの機凱種は残り連合体一つに対して佑馬サイドは四つ。同じ機凱種のはずなのに、[  ]サイドの機凱種が連合体一つで四つ分の働きをしているのだ。

 同能力の状況下において、あまりに不自然な働き。攻めより守りの方が有利とは言うが、ここまで戦力差を覆すのか佑馬ですら冷や汗ものだ。一秒を八時間に凝縮しているため、佑馬も全ての戦況を詳細に知ることは不可能。だが前戦が拮抗しているのは分かる。

 しかしそれだけであのリクとシュヴィが負けるなら大戦は終わってなどいなかっただろう。ここで一つ何をしでかすのか、これなら大戦を終わらせられる訳だと()()()()()()()()()()一手。これを佑馬は期待している、いや、やってくれると信じている。その為の二時間なのだから。

 

 

 しかし、当の本人たちはそんなこと微塵も考えていないだろう。目の前のゲームをただ楽しんでいるだけだ。

 ただ、こうなることは予想していたとはいえ、ここまで拮抗するのは予定外だった。これにはリクとシュヴィも舌を巻く。

 

 

「このまま押しきらせてはくれないか。やはりというべきか、さすがというべきか、とりあえず今の世界にも俺らみたいな奴がいるんだな」

 

「……リク……嬉しい、の?」

 

「……まあな。シュヴィは嬉しくないのか?」

 

「……嬉しい」

 

 

 ゲームを開始してからずっと笑顔でプレイしている二人。そこには何処か、余裕すら感じさせる。あの[  ]に対してすら余裕を見せる。それだけでも大戦を終わらせたのは伊達では無いことが伺える。

 

 

「だがシュヴィ。そろそろ終わりだ。時間ももう無いしな」

 

「……後三分」

 

「じゃあこの指令書を全部投函だ。()()()()()()()()()()()()()、魅せて貰おうぜ?」

 

「……りょー、かい」

 

 

 リクから渡された指令書を全部投函するシュヴィ。その瞬間、戦況が一変した。

 今まで前戦にいたのは機凱種。リクとシュヴィはそこになんと、()()()を投入したのだ。

 それも生半可な数ではなく、()()

 まさかの行動に誰もが目を剥き、その作戦の効力を知ってさらに目を剥くことになる。[  ]サイドの機凱種が人類種に被害がある攻撃を否定しているのだ。そのため人類種の近くにいる機凱種は攻撃されず、逆にスナイパーの如く[  ]サイドの機凱種を倒していく。

 勿論人類種がついていない機凱種に対しては攻撃を仕掛けてはいるが、戦力差は再び広がり始めた。たった二つの連合体で八つの連合体相手に現実の時間で六年強。あまりにも長い戦い。それがついに、終止符が打たれようとしている。

 

 

「さぁ、ここからどうする」

 

「……魅せて……みるの」

 

 

 与えられた時間は残り二分。このまま行けばほぼジャストで相手の戦力を削りきれる。天翼種が一体いるため全滅のルールは適用されないが、[  ]サイドを全て焼け野はらにすれば勝ちは揺るがない。

 残り一分。[  ]サイドの連結体の大半が殲滅された。後退を余儀なくさせられ、さらに全機凱種に人類種がついたため攻撃もできない。既に戦闘状態にあるためエルキアを攻撃する名目で攻撃させることもできない。

 後三十秒。機凱種が全滅した。人類種はほっておいてももう害はない。よって指令書に[  ]サイドの全てを焼け野はらににするよう書いて投函しようとしたリクとシュヴィは、次の瞬間に起きた出来事に目を開いた。

 

 ――月が、落ちてきたのだ。

 

 

◆◆◆

 

 

 二回戦目、ゲーム終了。

 月詠種(ルナマナ)が盤上のど真ん中に月を落としてきたのだ。それにより地上のもの全て破壊され、左右対称にできている盤面で地上にいた全ての種族は全滅。月を落とした月詠種も全滅。首都破壊のルールは引き分け。つまり()()()()だと断定できた訳になるのだが、佑馬の目の前に表示されるのは「Lose」の文字。つまり二回戦目は負けたのだ。

 

 

「なるほどな。俺らとは違うと言いたいのか」

 

「……良い、答え」

 

 

 今回の手。自爆にも近い攻撃をどうやって行ったのか定かではないが、知っていてもリクとシュヴィは使わなかっただろう。彼らは今回、大戦と近いゲームができるように()()()()()()()、それでいて使うように立ち回っていたのだ。それを全て壊す一撃。それが[  ]のリクとシュヴィに対する答えだ。

 

 

「すまん。負けてしまった」

 

「……ごめん、ね?」

 

「謝ってる割には顔が笑ってるな。良い笑顔だぜ」

 

 

 ものすごく良い笑顔で謝る二人に、佑馬は苦笑。だが負けは負け。これでカウントは振り出し。しかも残り三戦で残り五時間弱。[  ]も使い方をだんだんと理解し始めてきたため容易には勝てなくなる。画面には開始まで残り二十秒と表示されている。

 

 

「ジブリール」

 

「何でございますか?」

 

「今からは()()()()()()()()()()の行動に気を付けろ。あの二人は今のゲームを見て何か刺激されたみたいだ。場合によっては二人が()()()()()()することも考えられる。俺は盤面把握をする必要があるから逐一見ていられない。頼めるか?」

 

「なるほど。お任せください」

 

 

 リクとシュヴィの戦いを見てスイッチが入ってしまったのか、明らかに二人の目付きが、雰囲気が変わった。ただでさえ仲が悪い二人。特にドラウヴニルとニルヴァレンはその元凶と言えるほどだ。

 口では考えると言ったが、正直なところ()()()起きると踏んでいる。犬猿の仲にして思考回路が似かよってる二人。むしろ何故起こらないと思えるのか。

 

 

「アズリール」

 

「なんだにゃ?」

 

 

 次に呼ぶのはアズリール。呼んだ瞬間に転移で目の前に顔を覗かせる彼女。ラフィールも数枚予め指令書を投函してから、転移は使わず指令書を書き込みながら歩いてこちらへと向かってきている。

 

 

「確認だ。アズリールの()はこのゲームに適用されているか?」

 

「……されてないにゃ。アヴ君がいないからうちの()()()()()もいないらしいにゃ」

 

「となると、残るのはただのポンコツか……」

 

「にゃ!? 聞き捨てならないにゃ! うちの何処がポンコツだって言うのにゃ!?」

 

「落ち着けアズリール。ポンコツではない証拠が今まで何処にあった。お前がポンコツではなくて、一体誰がポンコツだと言うんだ」

 

 

 佑馬に貶され、ラフィールに止めを刺されたアズリールはガーンとでも言いたげな表情で落ち込んでいる。しかも本人にとっても痛いところなのか、反論できていなかった。

 

 

「ラフィールちゃんまで酷いにゃ! 分かったにゃ! 次のゲームでポンコツじゃないところを証明するにゃ」

 

「おう。期待してるけど、この調子で証明できるのか?」

 

 

 気合いは十分。しかし、彼女は一番大事なことを見逃している。

 

 

「ゲーム。()()()()()()()()?」

 

 

 今までの会話は残り二十秒で行われるはずがない。当然ゲームはもう始まっている。

 ラフィールはもう十数枚という指令書を書き終えて時を待ちながらの会話という感じだ。佑馬は指令書を投函しながら、対してアズリールは、まだ何もしていない。

 

 

「……にゃ? あー! 本当にゃ! なんで早く言わないにゃ!?」

 

「逆になんで早く気がつかないんだ」

 

「私がこんなに指令書を書いている時点で時間の確認くらいはするべきだったな」

 

 

 うにゃーと言いながら持ち場に走って戻っていくアズリール。今こそ転移を使うべきだと思ったのは佑馬だけではない。

 やれやれ、という表情をしながら持ち場に戻るために佑馬に背を向けるラフィール。しかし、それは佑馬によって止められてしまった。

 

 

「ラフィール」

 

「ん? どうした」

 

「お前さ。大戦のとき、アズリールに――」

 

 

◆◆◆

 

 

「やった、やったですわ! さすがソラとシロですわ!」

 

「うるさい。少し黙れ」

 

「……しゃ、らっぷ」

 

 

 敗北を覚悟していたステフは、目の前に光る「Win」の文字を見て大はしゃぎ。空と白によってうるさいと言われるまで喜んでいた。そして、ステフを諌めながらも空と白もやりきったという表情でお互いを見つめあっている。

 

 

「これが俺たちの答えだ……あんたらとは違い、偉人様は俺らに任せて安心して成仏……いや、俺らに大人しく()()()()()

 

「……なむー」

 

 

 画面には開始まで残り二十秒と表示されている。本当は一日単位で休憩が欲しいレベルの激戦だったが、ゲームがそうさせてくれない。まだ後二勝もしないといけない。しかも今度はリクとシュヴィに加え、大戦を生き抜いた偉人に佑馬、ジブリール、アズリール、空の記憶を持ったクラミーにフィールときた。こんな難易度のゲームがでたら即クレームの嵐間違いなしの、[  ]至上最高難易度のゲーム。

 

 

「ほんま、やってくれんなぁあんたら。巻き込まれるこっちの身にもなってみや」

 

「ちょー()()()()()、です」

 

「巫女様を生き返らせてくれた少しはマシなハゲザルと思ってたが、こっちのハゲザルよりももっとクソじゃねえかクソがッ!」

 

「いのさんはもうちょっと語彙力というものを持った方がいいと思いますぅ。クソには同感ですけどぉ」

 

 

 それぞれが思い思いの言葉を呟いて、なんだかんだ、次のゲームへと備える。ちなみにライラとアミラだが一心不乱に指令書を書いている。

 内容は二人とも違ったようで、ほぼ同じ。

 

 アミラの内容。

 『ヤれヤれヤれヤれヤれヤれヤれヤれヤれ』

 

 ライラの内容

 『ダーリンを襲え』

 

 

 海から出られないため害はないが、これが大戦と同じで吸血種の力を借りていたとするなら厄介極まりない。気がついたら喰われてるとかシャレにならない。

 

 そして、第三戦が開始。一斉に指令書を投函していく中、本当に開始の一瞬で、なんの脈炉も無く――元から空と白には見ることはできないが――いきなり赤い月が盤上へと降り注いだ。

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