蓬莱山輝夜がソーマファミリアに入るってよ   作:歩く好奇心

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書き始めたばかりで2話3話と文章の形が異なったりしてます。試行錯誤しておりますのでそこのところご注意を。


輝夜は意気揚々に決意する

 

「──っ!!!!!!」

 

 月人、蓬莱山輝夜は全身に肉が食い千切られる激痛に目を覚ます。

 眼前には自身の顔を食い散らかす巨大な虫の顔面が見える。

 口と思わしき虫の歯に血肉がこびりつき、それを目にした輝夜は身に起きてる異常事態に驚愕した。

 

「っいだッ!!!いだだだだだッ!!!」

 

「─ッ何コレ、虫ッ!?でかッ、つゥかきもっ。」

 

「─ッいだいいだいっ。ちょっ、何許可なく私を食ってんのよッ!離れろっつのッ!」 

 

 輝夜は月人特有の怪力をもって自身の顔を貪る巨大虫を引き剥がし、巨大虫はそのまま尋常でない勢いで地に叩きつけられ血肉が飛散し絶命した。

 

「ッ!もう鬱陶しいわねッ!」

 

 身を半身起こして喚きながらも未だ自身を食らおうとする巨大虫達を振り払う輝夜だが、彼女を中心に群がる巨大虫達は目算で三桁は群がっており、輝夜はその様に白目を剥いて硬直した。

 

「──ッいやァァァあああああ!!!!!」

 夥しい巨大虫の群勢に嫌悪感を隠せず輝夜は絶叫しシュバッと勢いよく立ち上がった。

 

 同時にいくら潰しても切りがないことを悟った輝夜は絶叫をそのままに、怪力に任せた脚力を全開にその場から駆け出した。

 

 

 

 輝夜は群がる虫の群勢から数百年のニート生活をしていたとは思わせない俊足っぷりで逃げ出し、逃げ切ったことを確信するや否やその場で壁を背にもたれてずるずると倒れた。

 

 「はぁはぁ」と息を整え、ここがどこなのか眉を寄せて考える。

 

「っ~~~あー、もうッ何だってのよッ!!!」

 

 しかし、いくら思考を巡らしても答えは見付からず、ガシガシと頭を掻いては深くため息をつく輝夜。

 

 ジャリと音が聞こえた。そちらに顔を向けると三人の男組、1人1人が眼鏡や獣耳、巨体といった特徴が見受けられる。

 

「へっへっ。おうおう、お嬢さんこんなところにいたら危ないよォ?」

 

「優しいおじさん達が安全な所まで連れてってあげようかァ?」

 

 三人の男組は下卑た笑い声とおどけた口調で輝夜に近づくが、輝夜は人と会えたことに口端をあげた。 

 

 輝夜は俯いた顔から取り繕った笑顔を三人に向けた。

 

「えぇ。そうして頂戴。丁度困ってたのよ、ここがどこだか分からなくてね。今も必死こいてキモい虫達から逃げ切ったとこなのよ。」

 

「そうかいそうかい、そいつは大変だなぁ。」

 

 三人は壁を背に座る輝夜を囲み、視線を合わせるようにしゃがみこむ。

 形だけの心配を口にする三人は下卑た笑い顔を向けるが、輝夜は意に介した様子もなく笑顔のまま。

 

「だが俺達は大人なんでな、ただって訳にはいかねぇ、対価を頂かねぇと。あんた上等な者着てんな、身ぐるみ全て渡して貰おうか。」

 

 輝夜が身に付ける着物に触れようと眼鏡の男が手を伸ばすが、その瞬間眼鏡の男の顔面に凄まじい衝撃が鳴った。

 

 続いて一拍も置かずに眼鏡の男の背中には岩壁に衝突したような衝撃が走った。

 眼鏡の男は輝夜から数十メートル離れた岩壁にめり込むように倒れ、そのままピクリとも動かない。

 

 残り二人の男はその様をみて唖然とする。

「…えっ…えっ?」と輝夜と岩壁に倒れる眼鏡の男を交互に見る男二人に、輝夜はにっこりと笑顔を変えない。

 

 当然、輝夜が近づく眼鏡の男を撥ね飛ばすように顔面を蹴り飛ばしたのだった。

 

「あらそうよねぇ。働くんだから、タダだなんて、ねぇ?見返りがないとやってられないわよねぇ。」

 

「分かるわァ、私も永淋に社会勉強なんていって安い賃金でバイト先に無理矢理行かされたもの。……ま、一時間でやめたけど。」

 最後の一節は小声で呟く輝夜。

 

「…でも早とちりしちゃいけないわ、順序が逆よ。まずは私をその安全な所に連れて来なさい。話はそれからよぉ。」

 輝夜はそばで動揺する男二人に諭すように言う。

 

「っな、このアマっ!」

 

「こんなことしてタダで済むと思ってんのかゴらァ!!!」

 状況を理解しだした獣耳と巨体の男二人はナイフや大斧を取りだし怒鳴り散らす。

 

「何をそんな顔して怒ってるのかしら?」

 眼前の男二人の怒りの形相に輝夜は心底疑問を隠せなかった。

 長年の引きこもり生活がもたらすコミュニケーション能力の低下は凄まじいものであることを輝夜の顔が物語っていると言えよう。

 

 人の一生を越えたニート生活は輝夜が人の感情の機微を読み取ることに人外の域で疎くさせた。

 

「もしかして前金が欲しいの?…ふふっ、まさかね。こんな超絶美人を背負えるのよ。こんなご褒美、むしろ私に謝礼があって然るべきだわ。」

 輝夜はクスリと笑うと共にやれやれといった素振りで眼前の男二人に呆れた。

 

「ッ!こんのッ、調子に乗ってんじゃねぇぞオらァァアアアアア!!!!!」

 

 輝夜の言葉に激昂した獣耳の男は彼女に詰め寄り、その白い首を片手のナイフで躊躇なく切りつけた。

 

 頸動脈を掻き切られた輝夜の首筋から鮮血が噴射のごとく飛び散り、辺りは血飛沫と血だまりで赤く染まる。

 

 致命傷を負った輝夜は頭部をがくんと垂れて動かなくなった。

 

「─お、おいっ!?何してやがるッ。こんな汚しちまったら売り物にならねぇじゃねぇかッ!!!」

 巨体の男は血に染まる輝夜の着物を見て獣耳の男に怒鳴る。

 

「す、すまねッ、チャンドラ。あんまりにもこのアマが生意気言うからよぉ、ついカッとなっちまった…」

 怒号にはっとすると、獣耳の男は言葉尻を小さくして言って首を掻きバツが悪そうにする。

 

 

 チャンドラと言われた巨体の男は「チッ」と聞こえよがしに舌打ちし、とりあえずまだ売り物になるかもしれないと輝夜の着物を剥ぎとろうと着物をはだけさせる。

 

「…こ、コイツ、よくよく見るとスッゲェべっぴんさんじゃねぇか。」

 輝夜の肩口をはだけさせ、間近で彼女の顔を拝んだチャンドラはごくりと喉を鳴らした。

 

「勿体ねぇことしやがってよォ。」

 更に舌打ちして獣耳の男を横目で睨み付けるチャンドラ。

 獣耳の男は「悪い悪い」と顔を引きつらせてその場を何とか誤魔化そうと試みる。

 

「誰に許可をもらって私に触れているのかしら?」

「ッ!」

 

 突然の遺体からの声に全身が凍りつくチャンドラ。

同時に着物をはだけさせる自身の腕が「ガシッ」と握られる感触がした。

 

 ドクン、ドクンと心臓の鼓動が大きくなった。

 

 ─そんなはずはない。

 

 獣耳の男と視線を合わせたまま、チャンドラは目の前にある遺体に視線を戻せなかった。

 まさかと思うもチャンドラは頭に浮かんだある思いを即座に否定した。

 あり得ない事柄への恐怖に鼓動が早く脈打つ。

 

 声を発する筈がない眼前の遺体から声が聞こえたチャンドラは、錯覚でないかと確認するように死んだ輝夜を恐る恐る見つめた。

 

 

 ──彼の目にはにんまりと笑う輝夜の姿があった。

 

 

 

 

「オーッホッホッホッホッ。」

 

 甲高い女王のごとき笑い声が洞窟内に轟き、仁王立ちで天を仰ぐように笑ってご機嫌を示す輝夜と仲良く正座してしょんぼりと並ぶ男三人。

 

「それじゃッ、アンタ達、さっさとその安全な所とやらに連れてきなさい。」

 

「あとそこのデカぶつ、私を背負うことを許可してあげるわ。傾国の美女と名高い姫をおんぶできんのよ、光栄に思いなさい。」

 

「「「…はい」」」

 

 姫というより女王を彷彿させるその振る舞いに顔面を腫らして涙する男三人は弱々しく頷いた。

 

 輝夜が死んでないことが発覚した後、その場にいた男二人は顔面が腫れ上がる程殴られ、蹴り飛ばされて気絶した眼鏡の男も意識を取り戻すや否や男二人同様に顔面を腫らすに至った。

 

 ここに至って、顔面フルボッコされた男三人は輝夜の不死性と外見に見合わない怪力性に怯え、絶対逆らわないことを内心誓った。

 

 輝夜は男三人の恭順、服従っぷりにますます機嫌を良くし巨体の男におんぶされるのであった。

 

 

 

 

「レベル?何それ、アンタ達ポ■モンとかRPGゲームでもやってんの?」

 輝夜はキョトンとした声音で言った。

 

 ダンジョンから外に出た彼ら四人は、輝夜の我が儘より宿屋の一室を借りることへと至った。

 宿の一室にて状況を整理しようとした輝夜は男三人から情報収集することにした。

 勿論宿賃を払うのは男三人である。

 

 迷宮都市オラリオ、ダンジョン、冒険者、ファミリア、ギルド、神の恩恵、等々様々なことを輝夜は男三人から知り得る。

 中でも『神の恩恵』という話では、輝夜がどこのファミリアにも属してなく、神の恩恵も授かってないレベル0である事実を男三人は驚愕した。

 

「ゲーム?ってのはよく知りませんがァ、あ、姉御本当に神の恩恵を授かってないんですかいィ?」

 獣耳の男、獣人カヌゥ・ベルウェイは輝夜がレベルを持たない事実に信じられないといった顔で尋ねた。

 

 余談だがカヌゥは輝夜の怪力を目のあたりに輝夜を畏怖の意をこめて姉御と呼んでいる。

 輝夜は輝夜でその新鮮な呼び名を面白がってそう呼ぶこと許可した。

 

「だからァ、その神の恩恵とやらも知らないし、それにレベルって。なに、アンタ達育てたら進化でもするわけ?」

 

「いや、まあ、技の技術や身体能力が向上したり新なスキルや魔法覚えたり、進歩はするかと。」

 カヌゥは輝夜の言葉に苦笑して訂正した。

 

「輝夜様が神の恩恵を受けてないってのはにわかには信じられないですねぇ。俺レベル2なんですが、冒険者でもない一般人に負ける程腕に覚えがないわけではないんですが。」

 眼鏡が粉々になった男、ザニス・ルストラは輝夜の言葉に訝しげに言った。

 

「あ"ァん、私の言ってることが嘘っぱちって言うわけ?つゥか、今アンタ私のこと凡人呼ばわりしたわねッ、またタコ殴りにされたいわけェ眼鏡?」

 ザニスの疑問にこめかみに青筋を立てパキパキと指を鳴らす輝夜。

 

「そ、そそそんな滅相もごさいませんッ。輝夜様程の常識では量れない偉大さについ疑いを。おお許し下さいまし。」

 

「あら、それなら仕方ないわ、凡人ゆえの愚行を許すのも才ある者の務め。姫足る私であれば尚更よね。」

 

「オーッホッホッホッホッホッ。」

 平謝りするザニスに輝夜は態度をコロッと変えて鼻を高くし女王様笑いをする。

 ザニスは安心からホッと息をついた。

 

 

 

 輝夜がダンジョンを出て数週間、彼女は宿の一室を男三人に宿賃を払わして借り続けた。

 宿の質はお世辞にも上等とは言えないが、以前の生活とは違い自由に歩き回れる時間ができ、知らない世界に来たことからも心中わくわくで止まらなかった。

 彼女は今の自由をとても楽しんでいた。

 

「おら姉御、今日の昼食をお持ちしたぜ。」

 巨体の男、ドワーフのチャンドラ・イヒトは昼食を手提げに入れ輝夜の一室へとお邪魔する。

 

 初日の話し合いで、誰もが見惚れる笑顔で輝夜に「養わないなら殺す」と脅された男三人は交代制で彼女の面倒を見ることとなった。

 男三人はとある事情からそんなことに金を使う余裕はなかったが、戦慄する程の彼女の怪力とその美貌から有無を言わざるを得なかった。

 

「う~い。あんがとねェ。」

 輝夜は白Tシャツ一枚にパンツ一枚と際どい姿でベットに寝そべり雑誌を多数広げて、彼らが買ってきたお菓子をバリバリと貪りながらお礼を言う。

 チャンドラは彼女の美貌とはだけた肢体に欲情するが、だらけきった振る舞いとその返事にバケツの水を掛けられた思いがした。

 

 彼の中でも彼女への畏怖はあるが、同時に彼女の生活ぶりから彼女に対する敬意も薄れつつあるのは確かであった。

 

「そういやデカぶつ、アンタソーマファミリアとか言うところに属してるのよねェ?」

 雑誌から目を逸らさず輝夜何とはなしに尋ねた。

 

「あ、ああ。そうだが。それがどうした?」

 

「神酒ってのがあるらしいじゃない。アンタ、ちょっとそれ取って来て私に献上しなさい。」

 

「なっ、ば、馬鹿言うなッ!そんなお使い感覚で持ってこれる代物じゃねぇんだよッ。」

 輝夜の突然の無茶難題にチャンドラは憤慨した。

 

「なに、私の命令が聞けないッつうの?」

 あ"あ"んと輝夜は顔を歪めてチャンドラをガンつける。

 

「い、いや、そういうわけじゃ…」 

 チャンドラは彼女のチンピラもかくやといった態度に両手を振って引いた。 

 

「最低品質でも6万ヴァリスだぜ?最上級となると1千万ヴァリス。一級冒険者でも易々と手に付けられねぇんだ。そんなもんもし手に出来たら俺1人で飲むに決まってんだろ。」

 

「最低で6…ま…ん?」

 

 オラリオに数週間過ごし、少なくともこの都市での物の相場というものが身に染みてきた輝夜としても6万ヴァリスという金額がどれほどのものか、顔が青ざめるように理解した。

 

「俺も最後に口にしたのは何ヵ月前だったか忘れちまったぜ。」

 

「ッ!」

 

「ア、アンタ神酒を飲んだことがあんじゃないッ!ズルい、ズルいわよ、アンタごときが私を差し置いて先に飲んでんじゃないわよッ。つべこべ言わずにさっさと稼いで買ってきなさいッ!」

 神酒の体験があるチャンドラの発言に居ても立ってもいられず血相を変えてつかみ掛かる輝夜に、チャンドラはどうどうと宥めた。 

 

「落ち着けッつのッ!たくッ、誰が姉御のために買うかっての。」

 

「そんなに飲みたいなら姉御もソーマファミリアに入団したらいいぜ。」

 チャンドラはつかみ掛かる輝夜の手を払って服を正す。

 

「は?なんで高貴な姫足る私が冒険者だなんて野蛮な仕事しないといけないのよ。馬鹿なの?死ぬの?」

 心の底から馬鹿にした態度を隠さない輝夜にチャンドラの額に青筋が立つ。

 

「その野蛮な冒険者に餌付けされる高貴なお姫様はどこのどなたなんだろうな。」

 

「あ"あ"ンッ?アンタちょっ…

 

「とにかくだ。」

 キレる輝夜に誤魔化すように言葉を続けた。

 

「入団すればソーマファミリア特有の洗礼でな、神酒を飲める機会を拝めんだよ。」

 

「なんですってッ!?」

 キレる形相を一変し驚きの色に染める輝夜。

 

「しかも最上級とはいかねぇが百万ヴァリス相当の神酒だ。入団時に飲んだっきりだが、あの極上の味は今でも覚えてる。6万なんて目じゃねぇ。」

 

「アンタそれを早く言いなさいよッ、全くもうッ!」

 チャンドラの語る朗報に輝夜は怒る口調でも喜色の声音は隠せなかった。

 

「ほら、なにぐずぐずしてんのよ、さっさとソーマファミリアに連れて行きなさいッ。」

 

「そんでもって今日から私の二つ名は『傾国の剣姫』よッ。バッシバシ活躍してガッポガッポ儲けてやるわよッ!」

 

「剣姫の二つ名は他のファミリアに盗られてるからムリだな。」

 意気込む輝夜にチャンドラは冷静に指摘した。

 

「うっさいわねぇ。些細なことはどうでもいいのよッ、ほら、早く早くッ。」

 

 顔を歪めて嫌々そうにするチャンドラを輝夜は無礼だなんだと喚いては彼の手を引っ張り部屋を退室した。

 

 

 




勢いで書いてしまいましたがいかがでしょうか。にわかなので原作と異なる点があるかもしれませんが、指摘、感想が頂けると嬉しいです。
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