『スイッチ』を押させるな――ッ!   作:うにコーン

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熱さを出すのが難しいぜ。


荒木先生「キャラクター・世界観・ストーリーを纏めるのがテーマだぞ」
    「テーマとは作者が何を描きたいかだぞ。作品の基礎だから初心一徹だぞ」
    「同じテーマでも作者ごとに考え方が違うぞ。表現も千差万別だぞ」
    「興味のない事をテーマにすると、途中で飽きるので長続きしないぞ」

この作品にも大きなテーマと小さなテーマがあんのよ~~?
大きなテーマは『不屈』『再起』。 んで、小テーマは『受け継ぐ』で『科学的』表現に沿って書いてるぜ。 説得力も出るしね。

オバロを題材に、色んな作者が色んな視点で書いてるテーマがあるよなー
例えば、ウマメシが食えないアインズ様に、食いもん飲みもんの紹介がてら食える様になりましたっつー作品。
NPCが一人で転移したらどうなるか、どう行動するか、暴走するか否かを書いた作品。
背負った物、守らないといけない者、足枷になりうる立場が無い一人で転移したら……を書いた作品。
同じ世界観で生きるモブキャラ外伝の作品。
自分が42番目の仲間で冒険したい。敵プレイヤーとして出会いたい。救いのないキャラを救いたい。

言ってみれば2次小説ってのは、D4Cの平行世界みてーなもんなのかね?

まぁ、自分はどんなテーマでも良いと思ってるし、書いても良いと思ってる。 話のテーマに下等上等なんて無いんだからね。



射程距離『内』まで 残り200メートル の巻

ダダダッ ダダダッ

 

 馬が駆ける。 限界まで速度を出しているからだろうか、息が荒い。 射程距離内まで、残り約200メートル。 流石は法国の特殊部隊だということか…… これ以上は近付けなかった。 馬が疲労で潰れる前に、陽動役のガゼフ部下に後を任せ、反転し突撃をかける。

 

 姿を隠し、戦力を分散させることには成功した。 部下の戦士達のおかげで、半分までの距離まで詰めることができたのだから。 後はニグン本人とその取り巻き、4名からの迎撃を搔い潜り、()()()()()()()ッ!

 

「ヤケを起こしたか…… 子供騙しの策が通じぬからと、真っ直ぐ突っ込んでくるとはな。」

 

 ニグンが、部下に攻撃魔法使用の指示を出す。 短い返事と共に、取り巻きの部下が魔法陣を手に浮かべた。 膨大な魔力の氾流が、魔法陣へと集まり暴力へと姿を変える。 

 

「そしてストロノーフは単なる犠牲者。 役立たずの騎士も多くの村人も…… 目的達成には必ず付きもののな…… 試練と犠牲なのだ」

 

 ニグンに余裕と侮蔑の笑みが浮かぶ。 揺れる炎の光と、黒煙によって視界が悪い。 研ぎ澄まされた集中力は、命中率を限界まで上げてゆく。 

 

「放てッ!」

 

 号令が発せられると同時、様々な色彩の光球がガゼフへと迫る。

 

(……避けない、だと?)

 

 不可解だった。 まるで回避運動を取ろうとしないのだ。 まるで、そんな魔法は避けるまでも無い…… とでも言うかの如く。

 

 光球が殺意を持って、ガゼフの生命を終わらせようと眼前に迫る。

 

 

 

     が。

 

 

 

「「「 !! 」」」

 

 『それ』は一瞬だった。 迫り来る光球と擦れ違っていたのだ。 場面が切り替わったのかと錯覚するほど不自然な移動。

 

 ガゼフは馬を降りていた。 いや、()()()()()()()。 もう一人の、馬に乗っていた男の手によって。

 

(転移魔法か!? いや、次元の移動(ディメンジョナル・ムーブ)の動きではないッ!)

 

 光球が、あさっての方向へと飛んでいく。 馬から飛び降りたのだろうその男は、ガゼフを抱えるようにして空中を滑空し、地面を捲くれ上がらせながら着地する。 

 

 大剣を両手で構え、疾走する。 攻撃魔法を、()()()()回避した2人は馬を捨て、自身の足で突っ込んでいく。

 

 マントと覆面をつけていたもう1人の男は、もう用が済んだそれを脱ぎ捨てる。 現れたのは、白いロングコートを着た長身の男。

 

 手に握られているのは4本の剣の柄。 再び、ガゼフの後ろから光が飛来し、()()()()()()()()()()()

 

 

ドォ          『スター・プラチナ ザ・ワールド』           ン!!

 

 

   『世界』が暗転し、時の流れが停止する。

 

 

「お前達はその魔法で、これからガゼフを必死で迎撃するのだろうが…… 時は最大で2.2秒ほど止まっている。 この投げられた剣の動きにお前は気付かない」

 

 矢とは比べ物にもならないほどの質量を持った剣が、承太郎のスタンド<スター・プラチナ>の手には握られていた。

 

オラァッ!!

 

「1秒前……」

 

 時が止まった世界で、全てを置き去りにする速度で剣が投げられる。 数メートル滑空した剣は、時が止まっていたことを思い出したかのように停止した。

 

    そして時は動き出す」

 

 魔法陣が浮かび上がった腕をガゼフへと向け、次弾発射の構えを取っていた四人の部下。 彼らには、このように見えただろう。

 

 

  突如として剣が空中から現れ、自分の肉体へ突き立った  

 

 

ブシッ! ブシブシッ! ブシッ!

 

「うおおおおおおおおおおおおおおッ!」

 

 ニグンの表情が驚愕に染まる。 一瞬で4人の部下が殺られたことに。

 

「騎兵は天使に任せ、ストロノーフに絶えず魔法を撃ち込めッ! 急げッ!」

 

 包囲を諦め、短期決戦へとニグンは舵を切った。 36人のマジックキャスターが、その手に様々な魔法陣を浮かべ、攻撃魔法を放つ。

 

「<火炎球(ファイアーボール)>!」

 

 オレンジ色の燃え盛る炎が、2人を焼き尽くさんと空中を飛ぶ。 絶えず迫り来る攻撃魔法に、回避行動を取らざるを得ず、2人が進む速度は見る見るうちに衰える。

 

 火炎の球が、承太郎の足元で爆ぜる。 直撃が難しいと見るや、足元を狙った攻撃に変わりつつあったからだ。

 

(ぐうっ!)

 

 承太郎の表情が、苦痛に歪む。

 

(火の玉が爆発する範囲は…… 40mmグレネード弾くらいか。 やれやれだぜ…… 範囲がそこまで広くないのが救いってとこか…… だが……ッ!)

 

ボワッ  ゴアッ

 

 さらに2発の火球が爆ぜた。

 

「ぐうっ! HE-F(破片榴弾)のように、鋭利な破片も叩き付ける衝撃波も無いがッ! この『熱』ッ!」

 

 着弾すると燃え上がる火球の攻撃は、ジリジリと体力を削る。 蒸し風呂などとは比べ物にならない熱の渦が、2人の身体を灼いていくのだ。

 

 高熱によりガゼフの足がもつれ、膝をつく。 致命的なまでの、大きな隙。

 

「ストロノーフ!」

 

 承太郎は叫ぶ。 危険が迫っていると。

 

 ガゼフは痛む頭を持ち上げ、眼前を睨む。 迫る光球…… その数20以上。

 

 万事休すか。 せめてもと、煙の欺瞞効果で攻撃が反れる事を期待して、腕を犠牲に防御する。 が、そこへ承太郎が   

 

「立てッ! 突っ切るぞッ!」

 

ウォオラアアッ!!    バゴォァッ

 

 <スタープラチナ>の豪腕が地面を穿(うが)ち、深く抉る。 噴火のように吹き上がる大量の土砂が、2人の前方にカーテンの如く扇状に広がった。 大量の土砂と接触し、次々と手前で爆発する<火炎球(ファイアーボール)>。

 

「『接触』して『爆発』するなら、金網すら装甲足り得るんだぜ……」

 

 『金網』で作られた装甲。 その名も  

 

 

   スラットアーマー   

 

 対、成型炸薬弾防御のために考案された、金網に似た形をした追加装甲だ。 元々はHEAT弾の信管が隙間に挟まり、起爆させないようにすることを狙った追加装甲だ。 しかし、角度によっては信管が爆発してしまうので、無効化できる確率は60%ほどだといわれている。 もちろん、メインの装甲と離して取り付けるため、空間装甲としての効果も期待できるのだ。

 

 

フワッ

 

「 !! 」

 

 再び突進する2人の前の煙が不自然に揺れ、見えない何かが通り過ぎたように、円形に避けていった。

 

バグォアッ

 

 その見えない何かは、ガゼフの側頭部を掠めるように直撃し  

 

  !! グウゥッ!」

 

 衝撃がガゼフの脳を揺さぶった。 飛んできていたのは<衝撃波(ショック ウェーブ)>の攻撃魔法てあった。 視認が極端に困難な、重いハンマーで打撃を受けるような衝撃を与える魔法。 これでは…… 土砂程度では貫通されてしまう。

 

 大体の位置に、さらに数十発の魔法が闇雲に打ち込まれた。 後の事など考えない全力攻撃は、機関銃の乱射の如く黒煙の暗幕に空洞を作っていく。 そして…2人はついに…… 後残り僅か…… 20メートルの距離で地に膝をついた。

 

(止まったか……)

 

 ニグンは、予想以上に食い下がって見せたガゼフを前に、深呼吸を1つ吐き、安堵した。 背中を冷や汗が流れ、心臓は早鐘を打っていた。

 

「ガゼフ・ストロノーフ…… 貴様を始末する。 お前は最早、人類にとって害悪となった」

 

 右手を上げる事で、魔法による攻撃を停止することを部下に示す。 次に行なうのは、飽和攻撃。 対処能力を超える物量を、1度に叩き付ける事により一切合財に決着を付けるつもりなのだ。

 

「貴様がいるせいでリ・エスティーゼ王国は…… 他種族から生存が脅かされているというのに無駄な政争を繰り返し、国民は無駄な出血を強いられている……」

 

 右腕を持ち上げ、懐にあるクリスタルを握り締める。 超貴重なアイテムを下賜された意味は、自身が受けた任務の重要性を明確に物語る。 しかし、人間の護り手であらんとしてきた自分が、敵対しているとは言え人間の命に直接手を下すというジレンマが、ニグンの口を開かせた。

 

「貴様さえいなければ…… やがて、あの皇帝によって王国は帝国に併呑されるだろう…… 王国の民は無能な王からの愚政から開放され! 人類は1つに纏まるのだッ! 抵抗する事無く(かばね)を晒せ! ストロノ  フッ!」

「私は『正しい』と思ったことをした。 後悔はないッ! ……こんな世界とはいえ、私は自分の『信じられる道』を歩いていたいのだッ!」

「安っぽい感情で動いているんじゃあないッ!」

 

 ニグンの付近に、小型の天使が合計6体集まっていた。 MPを温存しつつ、決着を付けようと言う魂胆だろう。

 

「『神』のご意思だッ! これは『神』が望んだ未来なのだッ! ガゼフ・ストロノーフッ! 人類はお互いに手を取り合い、他種族からの侵攻を防ぎとめねばならぬッ! 人類同士で争っている場合では無いのだッ! やがて訪れる『平和』な時代のためにッ! 人類の未来のためにッ!!」

 

 上げた腕を振り下ろし、天使達に突撃を命じる。

 

「これが人類の為なのだぁ   ッ!! 消えろストロノーフゥゥゥウウウッ!!」

 

 空中を滑るように飛行し、2人へ殺到する小型の天使。 四方八方から迫り来る上位天使は、燃え上がる火炎を凝結させたかのような、美しく(きら)めく剣を振りかざし2人に襲い掛かる。 振り上げられた炎の剣が、まるで彗星のように軌跡を描く。 重力を感じさせない動きで、舞うように同時に切りかかった<アーク・エンジェル・フ(炎の上位天使)レイム>の剣が、2人を切り刻    

 

   何ッ…… 嗤ったッ!?)

 

 承太郎の体が2重にブレる! 獰猛な笑みを浮かべたその亡霊は、半透明の体を滑らせるように動かし…… ()()()()()()()()()()<アーク・エンジェル・フ(炎の上位天使)レイム>に、ラッシュを叩き込む。

 

ガン     ガン      ガン      ドゴ      ガゴ      バゴ      バゴ

                                           

オラ オラ オラ オラ オラ オラ オラ オラ オラ オラァァア!!

                                           

   ドゴッ     ドゴッ      ドガ     ガギ     バキ      ガコ

 

 音速を超える拳が、小型の天使に次々と打ち込まれる。 たった6体では、<スタープラチナ>のスピードをオ-バーフローさせられなかった。 承太郎は、拳が十分な威力でもって的に届く距離まで、あえて近付かせラッシュを叩き込んだのだ。 至る所にクレーターの装飾が施され、無数の罅割(ひびわ)れに覆われた天使は、痙攣しながら(ただよ)っている事しかできなかった。

 

(な…ぁ……! あ、ありえんッ!)

 

 ニグンは眼を見開き、顎を限界まで広げ、戦慄する。 眼で追うことすら出来ない、そのスピードに。 たった数発の拳で、強化された天使を無力化した、その威力に。

 

(白服のヤツも、しもべを召還するマジックキャスターだったのかッ!)

 

 ムクリ。 と、地に伏していたガゼフが突然起き上がる。 ()()()()()()()()()()()()()()()()

 

<流水加速>

 

 限界近くまで同時発動させた武技により、プチプチと、ガゼフの耳元で鳴る異音。 限界など、とっくに過ぎていた。

 

 取得している武技を発動させ、人が徒歩で移動したとは、到底思えない速度で天使の四肢と羽を切り落とす。

 

<即応反射>

 

 1刀の元に切り捨てられた羽が地に落ちるまでに、全ての天使が重力の呪縛を甘受せざるを得ない姿となった。

 

「くそっ…… 往生際の悪いッ! 天使を再召喚せよ! …………どうした! 何故やらぬ!」

「た、隊長! 召還した<アーク・エンジェル・フ(炎の上位天使)レイム>がまだ消えていません! 『再』召喚できません!」

「なんだとッ! 予備の天使達はどうしたッ!?」

「そ、それが…… 村へ逃げる騎兵を追わせていた天使に、戻ってくるように命令しているのですが…… 何かに捕らえられているのか、戻ってきません!」

 

 カルネ村へと視線を移す。 眼を凝らして観察すると…… ()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 時は数分遡る。 承太郎が刀剣を投擲し、焦ったニグンが騎兵への対応を天使に任せ、集中攻撃するように命令を出した。 

 

 陽光聖典の特殊部隊員。 召還系マジックキャスターの彼らは、手数の豊富さを得意としている。 天使へ細かい指示を出せ辛くなる事に目を閉じれば、2つの目標を同時に攻撃することも不可能ではない。

 

「騎兵は天使に任せ、ストロノーフに絶えず魔法を撃ち込めッ! 急げッ!」

 

 彼らは訓練通りに、ニグンの指示に従って動けばよい。 何時も通りに、極々普通に…… ()()()()()()()()()()()()。 それがたとえ、深追いしろという命令であっても。

 

天使達に 騎兵を追わせ 突撃させよ!

 

 状況は戦闘中であったのだ。

 

 多少、イントネーションや発音が変であっても、彼らは不審に思わない  ()()()()()()()()()()()

 

 普段と異なる命令であっても異を称えない  ()()()()()()()()

 

 騎兵は村へと逃げる。 天使は騎兵を追っていく。 多数の天使を引きつれて村に入って行き、石造りの家屋が破壊されている箇所に差し掛かる。

 

 天使が命令通り騎兵を追い、瓦礫の上空を滑るように飛ぶ…… すると、ニヤついた笑みを浮かべた仗助が、影になっていた場所から姿を現す。

 

「飛んで火に入るなんとやら。 ってヤツかね~コリャ…… <クレイジー・(ダイアモンド)>ッ!」

 

 と、気合を入れた叫びと同時にスタンドの拳を瓦礫にブチ込んだ! 

 

「ドラァ……! まっ、何度でもヒリ出せるっつーんならよぉ~~ 倒さずに捕まえちまえばいいってことだよなぁ~~」

 

 フワリと瓦礫が浮き上がり、()()()()()()()()()()()()。 天使の体を巻き込み、癒着しながら歪な形へと直ったのだった。

 

「フン。 バカな分、アンジェロよか楽だったぜ」

 

 

 

 

 

to be continued・・・




ショックウェーブの発音だけ流暢で笑える。 ショッウェイ!


――没ネタ――

~~アルシェちゃんがモモンガにビビってゲロ~~

アルシェ院くん おそれることはないんだよ 友だちになろう
           ↓
オゲエ!
           ↓
ゲロを吐くぐらいこわがらなくてもいいじゃあないか… 安心しろ… 安心しろよ、アルシェ院


すきなとこ:モモンガ様がマジで友達になりたそうなとこ
      ジエットくんがそんな感じ?

ボツりゆう:主人公の出番食わないでください
      見られて吐かれるってきついわ。 モモンガさーんが何したっていうんだ!

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