時計があれば、その針は午後九時を指しているだろう時間帯。 辺りはすっかりと暗くなり、田舎を除いて不夜城と化した日本では決して拝むことの出来ない星空が広がっていた。
農村であるカルネ村は、太陽が姿を隠したら早々に寝台へ潜り込み、太陽が顔を覗かせるより少し前に、朝を迎えるのがあたり前だ。
朝が早い、農業に従事する村人達の迷惑になるからと、ガゼフ率いる戦士団と承太郎達4人だけで、広場で惨殺された騎士と陽光聖典の特殊部隊員四人の遺体を回収した。
基本的に、魔法の力を用いる光源を使用出来ないこの村で、光源となる
「放置すると、彷徨う死者の魂が悪霊となり、アンデットモンスターへ変質する恐れがある」
と口を揃えて言った為だ。
「お、おおお、お化けなんて! ぜぇ~~んぜん! こっ、怖くなんかないもんね!」
悪霊という単語に、過剰に反応した億泰が、明らかに挙動不振な動きで否定する。 そんな億泰を見かねてか、承太郎が助け舟を出す…… が。
「魔法なんてワケがわからん物があるんだ。 易々とは信じられんが…… そんな2次災害が起きても不思議じゃあないな。 まぁ、猛獣といった意味で…… モンスターだとか、悪霊だとかの表現を使っているかもしれんがな」
助かったかどうかは定かではなかった。
村から十分離れた、立ち木や低木などの可燃物が無い、土が剥き出しになった場所。 こんな事に使うとは思いもよらなかった大量の薪が、遺体と一緒に運ばれて、剥き出しの土の上に下ろされる。
棺までは用意できなかった。 板も、加工するための道具も技術も無かったからだ。 4人は無言で、死者に手を合わせる。
「こんな奴等に、祈りを捧げる必要なんてないだろう……!」
呟くように発せられた、その震えた声には、明確に怒りの感情が込められていた。
「やめないか副長!」
「言わせてください戦士長! こいつらは…… こいつらは戦士長の命を奪うためだけの理由で! 何十人…… いや、何百人もの村人を殺し! 村々に火を点け! 孤児をあえて増やしたのですよ!」
それは…… と、ガゼフは言葉に詰まった。
戦士団の人や、副長の気持ちもわかると、仗助は心の中で呟く。 日本人の価値観を押し付けている事はわかっていた。 だが、「憎くても死ねば仏」の価値観を持つ日本人には、死人に鞭を打つような真似は、どうしても出来なかったのだ。
仗助も康一も、口を開けずに居る中。
「ガゼフのおっさんはよ…… 貴族ってヤツらに狙われてたんだよな」
ガゼフの隣りにいた億泰が沈黙を破った。 静かに話す億泰の表情は、能面のように真顔で、感情は読み取れない。
「ずっと前からちょっかい出されてたんだろ? ……早い内になんとかしていれば。 王様に相談していれば、無関係の村人は殺されずに済んだんじゃあ無いのか? おっさんが手を
「…………その通りだ」
無関係の村人が襲われた、その原因の一端がガゼフにあるだろうと、侮辱とも受け取れる発言に殺気立つガゼフの部下達。 怒りに任せ、声を張り上げようとした副長を、ガゼフは片手を上げることで制した。
「この1件は…… 私の
「本当にわかったのかよ?」
責任を感じているのだろう。 眼を閉じたガゼフは悲痛な表情を浮かべ、頷く。
バギィィッ!!
振り向きざまに、億泰の肘がガゼフの顔面に打ち込まれた。 避けることも、防ぐこともしなかったガゼフの鼻から、少なく無い量の血が出る。
「それは仲直りの『握手』の
億泰の眼には涙が浮かんでいた。 理不尽な理由で失われる命に、やるせない思いがあったのだ。 殺人と能力者を増やす事を、繰り返す兄に対し。 彼と同じように何も出来ず、止められなかった無力感が、億泰に涙を流させたのだ。
「あ、ああ。 か、感謝する。 億泰殿」
メラメラ メラメラ
鮮やかな。 眩いオレンジ色の炎によって…… 遺体が焼かれていく。
土葬が一般的なこの世界で、火葬をするという選択は、非常に勇気の要る判断だった。 40名を超える大量の遺体。 放置などすれば、たとえ運良くアンデッドにならなかったとしても、腐敗し、疫病が蔓延する原因になる事は明らかだ。 腐臭は、腐肉を食らう獣を呼び寄せ、鼠などの病原菌を撒き散らす小動物も増やす。 病原菌に汚染された鼠が蚤を介して、
それでも土葬を選択したとしよう。 安全に埋葬するには2メートル以上の、深い墓穴が必要だ。 野生動物の嗅覚は鋭敏であり、1メートル程度の
だが、火葬といえど良い事ばかりではない。 燃料を大量に使うということだ。
現在、火葬に使われる燃料は重油を使用する。 高温で燃焼する重油は、たとえ死を運ぶ殺人ウイルスであっても、カスすら残さずに焼き殺すことが出来る。
そして、仏教が広まったからだとという面も存在する。 『御焚き上げ』という言葉を聞いたことがあるだろうか。 煙が空へと昇っていく事から、炎には浄化の力があり、燃やせば天へ届くと信じられていた。 天上、雲海のさらに上におわす神の元へ行ける様にとの、願いが込められているのだ。
遺体を埋葬し、簡素な墓標を立て終わった頃には、深夜などとっくの昔に過ぎていた。
チチチ チチ チ
翌日の朝はよく晴れていた。 小鳥が数羽、さえずりながら空へ舞い上がっていく。
仗助は目覚めると、大きな欠伸を噛み殺して寝台から起き上がる。 家の中は既に静かで、エモット夫妻の姿も見えない。 恐らく、すでに農作業に出ているのだろう。
朝食用に、机の上に用意されていた干し果物を練りこんだパンを、口いっぱいに頬張ると水で胃に流し込む。 身支度を整え、<クレイジー・
「殺せ! どうせお前等は俺が憎いんだろう!? さっさと殺したらどうだッ! 例え拷問されようとも、俺は何も吐かないぞ!」
唐突に聞こえてきた怒声。 首を回し発生源を探すと、魔法を使えないように、手を自分の体に向けるように縛られた エジプトのファラオみたいだ ニグンがわめいている。 趣味の悪いローブも、長旅のはずなのに袋が1つしかない荷物も没収されており、着ているのは何の効果も無い(と、ガゼフが言っていた)服だけだった。
大きな町か、王国の首都に連行するためだろう。 縛られたニグンのロープを掴んでいるガゼフが、口を開く。
「いいや、お前は殺さん。 尋問したり、拷問したりもしない……」
「やれやれだぜ…… まだ理解出来ないのか。 お前は『餌』だ! ニグン・グリッド・ルーイン! お前が生きていると都合の悪い奴が、お前を口封じする為に寄って来るだろう…… それが『餌』の役目だぜ。 それ以外は何もしなくていい」
ニグンは、人差し指を突きつける承太郎に、怒りのこもった視線を向け睨みつけた。
「何故我々の邪魔をするッ! 人間種には、ビーストマンのような鉄を切り裂く鋭利な爪も! 石を粉砕する強力な牙も無いのだぞ! 綺麗事では何も解決しないのだ! わかっているのか!?」
「爪も牙もない? お前は噛みついたり引っ掻いたりして戦うつもりか? まるで子供の喧嘩じゃあないか。 私は遠慮しておくぜ」
「承太郎殿は、襲ってきた貴様を返り討ちにしただけだ。 邪魔をしたのはむしろお前達の方だ」
顔を真っ赤にして吼えるニグンを、冷ややかに見下ろす承太郎とガゼフ。
「お前は何も知らないからそんな事が言えるのだ、異世界人! 我が法国の隣国、竜王国は度重なるビーストマン共の襲撃によって、既に3つもの都市が陥落している! あのおぞましい獣どもが『ご馳走』と持て
「さあな。 お前の口振りからして、碌な物じゃあ無い事は確かだな」
肩を竦める承太郎。 興奮して喋り続けたからか、口に泡を浮かせたニグンが、話題にすることすら嫌だとでもいいたげな表情を浮かべ。
「妊婦の腹を
と、心底不快だと言いたげに吐き捨てた。
「…………」
承太郎は答えず、(成程な。 だからあの状況でさえ、撤退せずに戦おうとしたのか)と、思う。 ニグンの戦い方が、どこか幼稚で焦りが見えていたのは、こういうことだったのかと。 この男は、実のところ…… 対人戦闘の経験は
心の、感情の制御も…… 甘い。 興奮させれば、聞いてもいない事をポロポロと喋る。 簡単に、この世界には
「その獣に対抗する為に、何の罪も無い村人を殺したのか。 『大きな善の為には、僅かな悪は
視線を上げ、周囲を見渡す。 眼に映るのは、日々の暮らしの中で小さな幸せを見つけ、平和に暮らす村人達。
「その悪への対抗が更なる血を流す事になり…… 報復の連鎖が始まる。 そこに最早大儀は無く、あるのはただの恨みつらみだ」
「ではどうしろと? 亜人や異形の者は、人の力を生まれながらに凌駕するのだぞ!」
「やれやれだぜ…… 魔法なんて技術があるんだ。 力で適わないなら、知恵で凌駕すればいい…… 俺達がやって見せたようにな。 10の為に9を切り捨てるなんて事をしていたら、いずれ切り捨てた数が…… 救った数を上回るぜ。 犠牲ゼロで救ってみせるくらい言って見せろ」
「 !!」
用は使い方だぜ。 との言葉に、ハッとするニグン。
「こ、この俺が言えた事ではないと! そのような立場に無い事はわかっている! だが! だが! 貴方がたのその知識、少しだけでもこの俺に教えていただけないだろうかッ!」
ドグシャァッ!!
膝を地につけ、頭で地を打つ。 鮮やかに思えるほどの土下座スタイルだった。 離れて見ていた仗助の耳にも聞こえてくるくらい、強かに打ちつけられた頭。 地面に擦りつけたまま、「どうか、どうか」と言いながらにじり寄る。
(おおっ! 承太郎さんが少し後ずさった! 珍しいモン見れたな……)
当然の事ながら、ニグンが欲しているのは軍事技術だ。 そんな情報を、さっきまで敵対していた人間に渡せるはずも無い。 鬼気迫る雰囲気を纏った、異様な格好のニグンに物怖じせず、康一は諭すように語りかける。
「僕達が居た世界の基本原理は『等価交換』なんですよ。 便利な生活や強力な武器、ものスゴイパワーが出せる機械も…… 星の汚染っていう悪影響との等価交換なんです。 たとえ今は勝てても、遠い未来か近い将来か…… 将来僕達が教えた技術で、自然と世界が…… 毒と廃棄物に覆われるなんて、僕はイヤです」
それに…… 敵を滅ぼして人間だけの世界に成ったとしても、人間が新たな敵になるだけだろう。 最後の最後、たった一人になるまで殺しあう、『人間の本質』は変えられないのだ。
「攻撃するために用意された魔法を、攻撃だけに使うのではなく別の使い方を考えろ。 その獣と戦う前に、罠だとか役に立つ道具を準備しておくとかな」
だが、同情の余地もあると。 あやふやなアドバイスをしておく。 言っている事は、自分で何とかしろといっているのと同じだが。
「もし…… 仮定の話だが……」
ガゼフが、彼らしくなく遠まわしに承太郎へ質問する。
「異世界の技術でこの私の命が狙われたら…… 承太郎殿。 私はどうなっていたと思う……?」
「…………」
眼を閉じ、疲れたように溜息を1つ。 好奇心とは恐ろしい物で、たとえ
「そうだな…… こんな何も無い草原をダラダラ移動していたら、空爆されてオシマイだっただろうな」
「……空爆、とは?」
「矢も魔法も届かないくらい高いところから、一方的に攻撃を仕掛ける事だ。 上を取ってしまえば、石だろうが爆弾だろうが落とすだけだからな。 あとは…… 遠くから狙撃をしたりだとか、
予想以上の答えに、ガゼフは青い顔をして絶句する。
「何故、だ。 何が原因でそこまでの事をさせる!?」
「まだ、解りませんか? ニグンさん。 僕達の世界に、
康一の『さらに良くない状況になりますよ』との言葉に、ようやく諦めたニグンは、ガックリとうな垂れる。 そして、そのまま俯いてなにやらブツブツと呟きだしたのだった。
手持ち無沙汰に、しばらく歩き回っていた仗助は、井戸端で何かの作業をしている億泰とネムに気が付いた。
「う~っす なにやってんだ億泰。 そんなところでよォ~~」
「あっ! おはよう、おじちゃん!」
「おーう。 おはようネムちゃん」
「よぉー仗助ェ。 見りゃぁわかんだろ? じゃが芋摩り下ろしてんだよ」
「じゃがいもだぁ~~?」
なんで芋なんて摩り下ろしてんだよと、表情だけで器用に表現する仗助。
「デンプンだよデンプン。 甘いものあんま食ったことねーっつーからよぉ~~ 水アメ作ろーって思ってよぉ~~」
「はぁ~? 芋で水アメがつくれんのかよ?」
まあ見てろって~~と、作業を再開する億泰。 摩り下ろした芋の汁の濁った水を捨てると、確かに白く沈殿したものが見て取れる。 何度か綺麗な井戸水で洗うと、雪のように真っ白な片栗粉ができた。
日本で売られている水飴の原料はサツマイモであり、馬鈴薯ではないが、馬鈴薯は澱粉を取り出しやすいので今回はこれでいい。
「億泰さん、芽が出た大麦を砕いておきましたよ。 でも、本当に麦とじゃが芋で砂糖なんて作れるのでしょうか?」
しゃがみこんで覗き込んでいた仗助(いわゆるヤンキー座り)の背後から、エンリがやってきた。 仗助と軽く挨拶を交わし、砕いた麦芽の粉末を入れた陶器の器を億泰に手渡す。
「おうともよ~~ せーかくには水アメだけどよ。 んじゃぁ材料も揃ったことだし、かまど貸してくれよエンリちゃん」
エモット家にやってきた億泰達は、手早くかまどに火を入れると、片栗粉に水を加え焦げ付かないように混ぜながら加熱する。 すると、最初は白く濁っていた液が透き通り、粘りのあるドロドロした状態になった。
「少し冷ましたら麦を入れて、冷えすぎねぇように布巻いて6時間ほっといたら完成だぜ! 薄かったら煮詰めりゃいいからよ。 ガッカリすんじゃあねえぜ~~」
大体60度まで冷まし、麦芽を入れる。 すると、ドロドロしていた液の粘度が下がっていく。 これは、麦芽に含まれるアミラーゼという酵素の働きで、唾液にも含まれている消化酵素だ。 甘くなるのは、澱粉が糖化されているために起こる現象であり、ちなみに大根でも可能だが、風味が変わってしまうぞ。
ちなみに、同じような原理を利用してトウモロコシを糖化させたものがある。 コーンシロップだ。 果糖ぶどう糖液糖という名前で、食品添加物として殆どの加工食品に入っているほどメジャーな材料だ。 アイスにはほぼ入っていると見て間違いない。
食品添加物ではあるが、単に鎖状に繋がった、炭素と水の化合物である糖がさらに繋がり、鎖状になった澱粉を再び分解しているだけなので、健康被害など起こりようが無い。 ……太るという結果意外は。
この方法で作られた糖は、蔗糖(テンサイ・サトウキビ等から作られる天然糖)の半分くらいしか甘みを感じないという欠点があった。 だが、この欠点を日本の科学者が解決し、トウモロコシ澱粉(コーンスターチ)が豊富に手に入る国で爆発的に広まった。
あとは皆さんにもお分かりだろう。
そう、はち切れる寸前の風船みたいな、太った国民がワンサといる、肥満大国アメリカ。 そんな肥満の原因を作り、国庫を医療費でパンク寸前に追いやったのは、日本だったのだ!! ……いや、そんなワケ無い、ただの食いすぎだ。 コーラSサイズが、日本のLサイズよりも大きいとかナメてるとしか言いようが無い。 ジャガイモは野菜だから太らないとか頭沸いてるのかと言いたい。 ただの自業自得なのに、人のせいにするのはアメリカっぽいともいえる。
「こんな簡単に甘いものが作れるなんて、異世界の知識というのはすごいのですね。 砂糖は高価ですし、大きな町にまで買いに行かないと手に入らないので助かります。 ネムの為にここまでしていただけるなんて、なんてお礼を言ったらいいのか……」
「ありがとー!」
億泰は、笑顔を向けるネムの頭を撫でた。
「おう、どういたしましてだ」
残りの作業は、数時間待った後煮詰めるだけになった。 なので、出立の準備でもしようかという流れになった。
「あの…… これを。 あまり量はありませんが……」
仗助の手に、塩漬けにした鹿肉の干し肉が手渡される。 乾燥しているためだろうか、赤黒い色をしている。 大きな肉が5枚ずつ4セットあり、これだけの量の食料があれば2~3日はサバイバルせずとも良いだろう。 ウサギだの、ヘビやカエルだの、イナゴだとかの、食べ慣れない物を食う覚悟をしていた仗助達にとっては渡りに船。 ありがたく受け取る。
「サンキュー、エンリちゃん」
「さんきゅ?」
少し困った顔をして、首をかしげたエンリに別れを告げ、億泰と共に外へ出る。
「なぁ億泰。 今のうちに承太郎さんに、これからどーすっか相談しにいこうぜ」
「おう、それじゃあそうすっか。 杜王町に戻る手がかりもほしいしよぉ~~ でっけー街が近くにあるらしーから、ソコ行くのかなぁ~~?」
億泰は歩きながら手元を見る。 両手に抱えている、重さはともかく
「なぁ仗助ェ~。 食い物とか水筒とかを入れるよぉ~~ 袋かカバンが欲しいなぁ~」
「そういやぁそうだなぁ~。 確か魔法使いが袋持ってたよなぁ。 それでいいんじゃあねえか?」
「あー! そうそう!」
急に大きな声を出し、重要なことを思い出したと、ポンと手を打つ億泰。
「あの袋スゲーんだぜ! ものスゲーいっぱい物が入るのに重くないんだよ!」
「はぁ~~?」
楽しそうにしている億泰と対照的に、仗助の表情は渋い。 魔法使い1人に付き、1つ。 ドラ○もんの4次元ポケットを持っているなんていわれても、そう簡単に信じられない。 いくらなんでもSF過ぎたからだ。
「いやマジな話だぜ仗助ェ~~ 魔法使いって何持ってんのか気になってよぉ~~ ひっくり返したら出るわ出るわでよぉ~~!」
「ヘェ~~ 魔法っつーのはなんでもアリなんだなぁ。 そういやぁエニグマっつー奴が似たような能力を持ってたなぁ~~ 人質取るよーなクソヤローだったがよぉー」
「ヘェー マジかよ。 便利な能力だなぁ~~」
「オメーの能力も結構便利だぜ? TVのリモコン取ったりよー」
「マジックハンドかよ!」
「ハンドだけにか?」
しばらく歩いていると、馬の
「戦士長! よくぞご無事で!」
「ああ、お前達もな。 到着早々で悪いのだが……」
「いえ! 我々は戦士長の部下であります! お気遣いなどしていただかなくても、ただ命令してくだされば!」
若く、利発そうな男性が、見た目通りのハキハキとした受け答えで返答する。 ガシャンと小気味良い音がして、手甲をつけた腕で胸甲を叩く。 独特な敬礼の仕方だった。
「そうか。 では新たな任務を命ずる! 法国特殊部隊員の捕虜を捕った。 捕虜をエ・ランテルへ移送し、準備が出来次第、首都リ・エスティーゼへ護送せよ! この捕虜は第3位階魔法の使い手だ。 油断するな」
「ハッ! 了解しましたッ! 捕虜を首都まで護送します!」
熱意に満ちた彼の返答に、満足そうに頷くガゼフ。
「ストロノーフ。 聞きたいことがある。 いいか?」
「いかがなされた、承太郎殿」
「北東に10kmほど離れた所に、石造りの神殿のようなものがあるのだが…… 何か知っているか?」
ふむ…… 神殿、か。 と、眼を閉じたガゼフは腕を組み、長考する。 眉間に深い
「申し訳ない。 私は、この近辺に神殿が建てられている…… とは聞いたことが無い。 この付近は確かに王国領だが…… 見ての通り、人間の生存圏ではないのだ」
「そうか。 ……私はその神殿を調べてみたい。 もし古代文明などの文化遺産だった時の為に、盗掘や破壊をしていない事を証明して欲しいのだが、頼めるか?」
「ふむ……」
チラリと副長の様子を伺う。 今までの会話が聞こえていたようで、コクリと頷き、後の事は任せて下さいと引き受けてくれた。
「良かろう。 私でよければ力になろうと思う」
「そうか。 助かる」
「貴殿には返しきれないほどの恩がある。 少しだけでも恩を返させてくれ」
そう告げると、ガゼフは
承太郎達四人は、騎士達が使っていた離れ駒に騎乗する。 見送りに来てくれた村人達に分かれを告げ、この世界から杜王町へ帰還する方法を求めて旅立ったのだった。
えー 世界観の説明はよって声があったんで、活動報告にざっと書いておいたズラ。
これは超ネタバレだから自己責任で見て欲しいズラ。