「連載開始当初はDIOにやられっぱなしで、アンケートで人気があまり出なかったぞ」
「常にプラス方向で終わるのがコツだぞ」
わかってはいたんだけれどねぇ……
モモンガさんが謎の敵に一方的にやられてるのは、見たくないんだろうなって。
だけどストーリーの流れ上、仕方が無いのよこれはぁ~~っ!
モモンガさんの意識を「お前を殺すのに罪悪感無し!」って方向に持っていかないといけない。
「こんなヤツなら、モモンガさんに殺されても当然だ」って読者が思えないといかんのよ。
殺すにも、殺されるのにも理由が要るんだよなぁ……
ゴ ゴ ゴ
モモンガ……いや、鈴木 悟の心には恐怖があった。
ユグドラシルではPVPなど日常だった。 やって、やられて、やり返して。 全盛期の、勝ちまくっていた頃なんて…… 何十通の
だが…… 今は現実。
ゴ ゴ ゴ
目を閉じ暫くして、異変に気付き開いたら。 味方のハズのNPC達に囲まれて「こんにちは死ねェ ッ!」と、なっていた可能性もあったのだ。
円卓の間へと飛ぶ。 そして、何度かの沈静化を経て、ようやく冷静さを取り戻したモモンガは罠と奇襲を警戒し、飛行を解除して早歩きで向かう。 ……焦る心を抑え付けながら。
NPCを配置していなかったからだろう。 赤い絨毯の敷かれた通路は、無傷の状態を保っていた。 やがて円卓の間へたどり着き、走り出す寸前の勢いをそのままに、荒々しく扉を開く。
ドグァァアアン
開ききった扉が、勢いを殺しきれずに壁に打ち付けられ、轟音を響かせた。 普段のモモンガならば、こんな行儀の悪い行いなどしないだろう。 だが、今現在の、余裕の無い精神状態では、
「ハァ…… ハァ…… ハァ……」
ド ド ド
アンデッドの体は、酸素など求めていないというのに。 鈴木悟の
モモンガに呼吸を強要する。
「う…… うう……ッ!」
ド ド ド
円卓を挟んで真正面に飾られているハズの、ギルドの象徴は。
「ク、クソッ……! 一体、誰が…… こんな……!」
山吹色に、
「くそォォッ!! この『敵』ッ!! 絶対にブッ殺してやるぅぅぅぅゥゥ ッ!!」
ド ド ド
現在のナザリックを体現するかのように、その身体を恥辱と屈辱に濡らしていた。
「うわあああああああああああああああああ!!」
深く深く刻まれた、縦に走る一筋の亀裂によって。
同時刻、9階層ロイヤルスイート通路。
「今の声はッ!」
<エコーズact1>の優れた聴力を、レーダーのように使っていた康一が、モモンガの叫び声を
先行するシズに導かれ、開かれたままの扉を
(金の杖! コッチが本物だったのか! これがねーと、白い服を着ていたアルベドって人を、蘇生できねーんだな!)
「大丈夫だ、サトルさん! 俺の<クレイジー・
ガシィッ!!
仗助のスタンドが、白い腕で杖をしかと掴む。
「そして<クレイジー・
そして、発動させた癒しの力は、仗助の精神力をパワーに変えてスタンド能力を発揮
ズギュン!
「う、うおおおッ!? な、なんだこりゃあッ!」
すると同時。 <クレイジー・
「す……
「手を離せ仗助ッ! スタンドが消滅してしまう!」
「そうです! 仗助さんが、ここまでするメリットなんて無いはずです!」
異変に驚き、承太郎とモモンガが肩を掴み止めようとするが。 仗助は、震える手で振り払い。 それでもなお、裂けた杖にスタンドパワーを注ぎ込む。
「い…いや…… もう少し…ッ!」
自分自身。 存在そのものと言ってもいいだろう『それ』が削られていくような感覚が、仗助の心を襲う。 そう、まるで巨大なプールを、小さな水道から引いた水で満たすような感覚だった。 注いでも注いでも、一向に見えない終わり。
「 !! そうか……理解したぜ……ッ! シズちゃんを直す時、スゲエ時間かかったのは…… LV差があるからだ! ガゼフのおっさんが、承太郎さんのスタープラチナに脇腹殴られてブッ飛ばされず、痣だけで済んだのは…… LV差の所為だ!」
やがて、その『感覚』と、モモンガとの会話で知り得た『知識』が…… 点と点が、1本の線へと繋がった。
そして気付く…… 事態の深刻さに。 スケールの規模に。 この世界は
「……これだ! 今まで感じていた、違和感の正体は…… これだッ! 魔法だけじゃない…『この世界』ッ!
グラリ
仗助の身体から力が抜け。
ドグシャァァアアッ!!
「い、いかん! 仗助殿ッ!」
「仗助君!」
「おい仗助ェ!」
倒れこむように、身を床へと投げ出した。 仗助の身を案じる声と同時、モモンガは仗助を助け起こす。
大量に精神力を使い、見事。 ギルド武器、スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを、元の状態に戻す事に成功した仗助。 への字に曲がった口からは「疲れた」を連発し、ゴールしたてのマラソンランナーのように息は荒く、四肢を投げ出し動こうとしない。
「なんでそこまで……!」
利がないだろうと困惑する、モモンガの顔を見て仗助は薄く笑う。 疲労と倦怠感によって、泥のように感じられる身体を小刻みに揺らしている。
「さあな…… そこん所だが、俺にもよくわかんねーぜ。 俺がそうしたいから、そうした。 ただの、それだけだぜ。 …………なぁ、サトルさん。 何故っつーんなら逆に聞くがよぉ……」
イタズラが成功した子供のように、ニカッと白い歯を見せ笑顔を浮かべると。
「
「 !!」
理由の有り無しなんて、些細なことだと笑い飛ばす。
あっけに取られ、口を開いたまま固まるモモンガ。 その背後で、後先を
「休憩を挟みながら、何回かに分けて能力を発動させれば済む事だろう」
「…………あ~~」
今頃気付いたのか、との承太郎の言葉に仗助は、眼をそらし表情を引きつらせ、苦笑いをこぼしたのだった。
「……ぷっ、くっ あははは!」
突然室内に、楽しげな笑い声が響く。
「い、いやすみません…くっくくく…… 同じ事を、仲の良かったギルドメンバーの人も言っていたなって 思い出しちゃいまして」
モモンガの感情は、残念ながら途中で抑制された。 それでも、ジリジリと燻るような気分の良さは少しだけ残っていた。
鼻歌のひとつでも歌いだしそうな気分の中、右手を虚空へと手を差し込んだモモンガ。
ズッ
手首より先が闇に消え、再び現れた指先に。 赤い
「回復薬です。 効くかどうかは5分5分ですが、無いよりマシでしょう?」
「おおっ、気が効くぜサトルさん。 しかし…ク、クスリかぁ~~っ! やっぱよぉ~~…… 『良薬口に苦し』だよなぁ……」
大理石の床の上に
「色は赤いし、シャバシャバしてんな」と、仗助はモモンガから受け取った小瓶を振って、チャプチャプと音を立てたり。 「……あのキッツイ匂いはしねーのか」と、ガラス製の栓を抜いて、匂いを嗅いだりしてモタついていたが……
やがて覚悟を決めたのか。
グイィィッ!!
仗助は眼を閉じ、一気に薬を
「 おおっ!」
変化は劇的だった。
仗助は驚きに眼を見開き、感嘆の声をあげる。 見た目こそ変わらないが、全身の気怠さは全て霧散していた。 まるで「10時間熟睡して目覚めたような、モノスゲー爽やかな気分」だったのだ。
「どうやら効果あり…のようですね?」
モモンガは満足げに頷く。 無意識的に魔法は使えたが、ユグドラシルのアイテムが、問題なく効果を発揮するのか一抹の不安があった。 どうやら、多少古くても問題なく作用する様だ。
「グレート! トニオさんの料理食った時みてーに、身体のワリーもん全部ブッ飛んだぜ!」
「それは良かった。 負属性のアンデットには、逆にダメージを受けてしまうので使い道がなかったんですよ」
ユグドラシルにおいて、アンデットは負属性のアライメントに属する。 マイナスの数値にプラスの値を加えると、数値がゼロの値に近付いてしまうように、マイナスにはマイナス。 プラスにはプラスの効果がある行動を取らなければならないのだ。
そして 深く傷付いたスタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンは……<クレイジー・
「……よし。 それじゃあ、サトルさん」
「 はい。 色々と借りが出来てしまいましたが…… お返しは
「いーっていーって…… 見返りなんて、期待しちゃあいねーぜ」
「そう言う訳にも行かないのですよ。 『私がそうしたい』のですから、そうさせてください」
「……それじゃあ、あまり期待せずに待ってるぜ。 ほらよ」
背伸びをし、立ち上がった仗助は。 もう一人の自分から、黄金の杖を受け取ると。 持ち手をモモンガに向け、差し出した。
モモンガは左手で杖を受け取ると、感触を確かめるように握った手に軽く力を込める。
オオオォォォ……
実際には、何も効果音等は出ていないが。 ギルド武器から立ち上った
コンソールやHUDは、隠れてしまって見えない。 それでも、自身のステータスがメキメキと上昇していくのが感覚で解る。 本物のギルド武器を手中に収めたモモンガは、左手の杖に視線を向けたまま、満足そうに数度頷くと。
カシイイィィン
鋭く尖った
「では、我がギルド…… アインズ・ウール・ゴウンの拠点、ナザリック地下大墳墓の守護者を復活させるため、宝物殿へ金貨を取りに行きます。 ……その前に」
1本の杖に、2匹の
「この指輪を差し上げます。 これは装備者に、毒の完全耐性を与える指輪です。 必ず装備して下さい」
階層守護者NPCなどに装備させている、毒や病気を無効化するアイテムとは違い、この指輪は毒無効の効果しかない。 課金で増やせる、指輪の装備枠に限りがある 実際にモモンガは左薬指以外全てにリングを装備している 上に、その耐性を貫通してくるプレイヤーだっている。 モモンガにとってこの指輪は、捨てるのも勿体無いなぁ~~くらいの物でしかないのだ。
「ありがとうサトルさん。 そして宝物殿……ですか。 『敵』が真っ先に狙いそうな場所ですね……」
中指に装着しながら康一は、果たしてNPCを蘇生させられるだけのリソースが残っているだろうか? 待ち伏せされないだろうか? と、不安そうな表情を浮かべる。
そんな康一の不安を払拭しようと、モモンガは努めて明るい声で否定する。
「大丈夫ですよ。 宝物殿は物理的に隔離された場所にあります。 この……」
モモンガは、紅玉が
「ギルドサインが刻まれた、マジックアイテムの指輪が必須なんです」
「ギルドサイン……『家紋』の様なものですね」
「ええ。 そしてナザリックには転移を阻害する仕掛けが施されています。 リング・オブ・AOGを装備し魔法を発動させるか、指輪を起動させないと宝物殿へ進入できません。 ですが」
視線を逸らし、少し考え込む仕草で言い淀む。
「宝物殿最奥には、私が作成したNPC…… パンドラズ・アクターが詰めています。 …………もし、戦闘になったら。 私が相手をしますので…すぐに離脱してください」
「加勢は必要ねーのかよ? サトルは一人で戦うつもりなのか?」
モモンガは、億泰の申し出を首を振って否定した。
「パンドラズ・アクターはLV100…… プレアデスのシズですらLV46です。 LVの差が絶望的過ぎて、戦闘になったら一瞬でやられてしまうでしょう」
とはいえ、まだ襲撃者が潜んでいるかもしれないナザリックで、5人に円卓の間で待機してもらうのは愚策だ。 とりあえず固まって行動し、自らの手で護衛する。 もしくは、隔離されている宝物庫で待っていてもらうだけなら安全だろう。
「なるほどよぉ~~。 足手纏いにならねーよーに、大人しく離れていた方が良さそうッスね。 サトルさんも、危なくなったら離脱するんだぜ」
「はい、十分警戒します。 では、
モモンガは振り返り、仗助達に背を向けると、手馴れた様子で魔法を発動させる。
「<
モモンガの目の前の、何も無かった空間に亀裂が走り。 亀裂は瞬時に楕円形に広がると、暗黒の渦が虚空に現れた。 あざ笑うハロウィンカボチャの口穴のように、暗黒の渦がガッポリ開いたのだった。 どんな豪胆な
ズブリ
身長2メートルを越すモモンガの身体は、呆気なく暗黒の穿孔に飲み込まれ、消えた。
「…………」
たっぷりと十数秒待機し。 仗助が空間の亀裂を通り、ついつい閉じてしまっていた眼を開くと。
「 す…すげえ……」
「床に直置きって…… いいのかよ……」
無意識の内に、感嘆の声が漏れ出した。
「雑然としていますが、此処にあるのはレア度の低いものばかりなので心配要りませんよ」
次々と上がる感嘆の呟きに、モモンガは機嫌の良さそうな声で「もっと凄いアイテムが奥にある」と、言外に指摘した。
目に痛いほど一面金色だが、この宝物殿表層にあるのは莫大な量の金貨だけではない。 眩しくて良く見え無いが、良く観察するとルーブル博物館に展示されるような、見事な美術品の数々が無造作に放り出されているのだ。 例えば黄金の食器、様々な宝石を埋め込んだ王笏、白銀に輝く獣の毛皮、つるりとした埴輪の頭
「……ン? 埴輪の頭?」
記憶にない物がモモンガの視界を
「……はぁ?」
一瞬、何が金貨に埋まっているのか理解に苦しんでいた。 その時であった。
なんと! 金貨の山が、モコリと盛り上がり! 出て来た長細い4本の指を、真っ直ぐに揃えた手で敬礼をしたのだ!
「ようこそおいで下さいましたッ! 我が創造主たる、モ・モ・ン・ガ様ッ!」
「お前そこで何をやっているんだパンドラズ・アクタ ッ!
行為はともかく
自作NPCの常軌を逸した行動に、思わず声を張り上げたモモンガは、パンドラズ・アクターに、ビシィッ! と人差し指を突き出し、何のつもりだと問いただす。
モゾモゾと、金貨の山から這い出して来たパンドラズ・アクターは、踵を打ち鳴らし再び敬礼をすると
「マジックアイテムの山に身を滑り込ませ、圧迫されていましたッ!」
オペラ歌手の様に、非常に良く通る声で「圧迫祭りです!」と。 さらに、胸に手をかざしたり振り上げたりして踊る様に話す。
「あれは、数日前の事でした…… 宝物殿奥にて待機する
「………それで、わざわざ此処まで圧迫されにやって来たのか……レア度の高いアイテムだと気が引けるから。 俺、そんなフウな設定にしてたっけ?」
「まさに! この気持ちはモモンガ様から頂いたものッ!」
「アッハイ」
宝物殿の安全確認の道すがら、自慢もかねていろいろ紹介して行こうと思っていたのだが。
(う~~ 何だかなぁ……)
出鼻を挫かれ、そんな気分ではなくなってしまった。
ざっと見た所、モモンガの作成したNPC、パンドラズ・アクターが攻撃して来る様子は無い。 狂っているようには 設定通りと言う意味で 見えなかった。
「ところでモモンガ様。 宝物殿へはどのようなご用件で参られたのでしょうか?」
「ああ、お前は隔離されていたので何も知らないのだな」
モモンガは右手を顎にやり、今の状況を整理しながら話し始めた。
「正体不明の敵プレイヤーに一瞬の隙を突かれ、ギルド武器を狙われたようだ。 間一髪の所で完全破壊は免れ、修復に成功したが……守護者達が犠牲になってしまった。 傷付いたナザリックを元の姿へと修復し、守護者達を復活させる為に、宝物殿の金貨が必要なのだ」
「なんと! 我らが栄光あるナザリックに楯突こうなどとは…… 笑止! 必ずや、然るべき報いを与えてやりましょうッ!」
「それで…… 今はどうなんだ? その、妙な精神の動きは」
鬱陶しく動いていたパンドラの動きが、ピタリと止まる。
「それが……奇妙な事に、マグマのように熱く煮え滾っていた、愛が! 先程、急激に冷え込んでしまいました。 私にも何が何やら、見当すらつきません」
「サトルさん、これって……仗助君がギルド武器を直したタイミングと重なりませんか? 精神異常が現れたのも、武器が破壊されたタイミングです!」
(いや…… ギルド武器の破壊にそんな効果はないハズだ)と、康一の推理に納得しかねていると。
「 ! ああっ、そうか……ギルティー武器……!」
ガゼフが「ようやく思い出した」と悔しげに顔を歪め、額に手を当てた。
「子供を寝かしつける時に聞かせる、ただの寝物語かと思っていた……! まさか、あの伝説は事実だったのか!」
全員の視線が、一斉にガゼフヘと注がれる。
「数百年もの昔、突如として現れた人智を超える力を持つ魔人が…… この世界に現れ、討ち倒されたと言う話だ。 その際に、ギルティー武器なる宝が破壊されると、魔人が狂い出し仲間割れをし始めた…… と、知人が言っていた」
「人智を超える力……ですか。 この世界の平均LVが分からない事には、どの程度なのか判断がつきませんね」
考え込むモモンガの耳に、カツンと踵を打ち鳴らす音が聞こえた。
「モモンガ様! 私の見立てによると、彼は30LVでございます。 そして彼らは20LVに届くかどうかの値です」
尚も続ける、オーバーな所作に。
(能力は優秀なんだけどなぁ……)
パンドラズ・アクターを半目で 出来ないが 見る。
「……そうか。 王国最強の戦士が30LV前後と言うのならば、現地勢の脅威は低い…か。
やはり警戒するべきは、他プレイヤーだな…… ご苦労だった、パンドラズ・アクター」
「ハッ! 恐悦至極にござ 」
「ところで! ストロノーフさん。 その伝説を知っている、知人の方と話せませんか?」
「 あ、い、いや…彼女はかなりのご高齢だった。 話を聞かされたのも、何十年も前。
恐らくは……」
力になれず、申し訳ない。 と、ガゼフは頭を下げた。
「そう……ですか。 いや、ギルド武器が修復されたなら、NPCの精神異常は解決された。
それが判明しただけでも良しとしましょう」
宝物殿最奥、武器庫の方角へと踵を返そうとしたモモンガの背に。 パンドラズ・アクターの呼び止める声が掛かる。
「モモンガ様。 不敬を承知で申し上げたい事があります。 よろしいでしょうか?」
一歩踏み出そうとしていた足を止め、向き直ると。
「……なんだ?」
と、短く返答した。
「ナザリック初の緊急事態なのでしたら、この私めも宝物殿を出て働くべきかと愚慮します」
パンドラズ・アクターの提案は、グウの音も出ない正論だった。 モモンガは、しばらくの間パンドラズ・アクターを眺めていたが。 やがて決心したのか、虚空から取り出した指輪をパンドラズ・アクターに投げ渡した。
「おお……! これはリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウン。 至高の御方のみに所持を許された 」
アイテムの事を語らせると、延々と話し続けるのでモモンガは片手を上げ黙らせる。
「持ち主の決まっていない予備だがな。 今から宝物殿最奥のワールドアイテムが保管された武器庫に、異常が無いか調べに行く。 私の身を護れ、パンドラズ・アクター」
瞬間。 モモンガにもハッキリと感じ取られるほど、空気が変わった。
(まずい…… 早まったかもしれない……)
指輪を握り締め、小刻みに震えるパンドラズ・アクターを見て、モモンガはそう思う。
ピンク色の卵に、マジックで丸を描いただけの顔に喜色を浮かべ。 キレッキレの動きで踵を打ち、敬礼をすると。
「
モモンガの悪い予感通り、気合の入りまくった声でこう宣言したのだった。
モモンガの一人称は、仲の良いギルメンに対しては『俺』
パンドラに対しても『俺』で、独り言も『俺』
だけど余所行きとか、緊張している時とか、NPCに対しては『私』を使っているっぽい
――没ネタ――
~~山河社稷図が暴発して、閉じ込められました~~
モモンガ「時間経過で外に出られる
仗助 「なぁ~~んだ、じゃあゴロゴロしようっと」
億泰 「俺と同じリアクションするなぁぁああッ!」
すきなとこ:やっぱり親子ですなぁ ジョセフそっくりだわ
ボツりゆう:ラリホ~~っと、敵の攻撃じゃあないとただの事故じゃん