『スイッチ』を押させるな――ッ!   作:うにコーン

4 / 27
荒木先生「キャラクターを作る上で、重要なのは動機だぞ」
    「動機が曖昧だと感情移入できないぞ。 あと早めに伝えないといけないぞ」

動機かぁ~。
共感できる動機ってなんだろう? こんな理由なら殺人も許されるっていう動機。
侵略戦争…… 善性キャラでは厳しいか。 盗賊がいたので殺っちゃいました…… 偽善かな? うーむ……

モモンガさんの動機はナザリックを不滅にするために「殺られる前に殺る」っていう行動的な理由だよね。
殆どの善性主人公が、正当防衛な受動的理由で動いている中、先手先手で動くモモンガさんマジパネェッス。

デミウルゴス「俺たちに出来ない事を平然とやってのける! そこに痺れる憧れるゥ!」
こんな感覚なんだろうか。

受け身な理由ってーと復讐とかかな? 攻めな理由ってムズカシイよね。
反社会的な動機で行動する夜神月さんを、主人公にするのはスゲー難しかったと思うぜ。


カルネ村襲撃警報! の巻

「ハァ、ハァ、ハァ…… な、なんて大量のゲロを出すんだ…… まさかこれがコイツの能力!?」(ドキドキ)

 

 一拍置いて、大量の冷や汗が康一の全身から溢れる。

 

 全身にゲロをおっ(かぶ)った騎士は、2日酔いにうなされる酔っ払いのように、(うめ)き声を出しながら地ベタに転がっている。 泥まみれで汚らしい。 それを康一は、道に転がっているクソを見るような、近寄りがたさと嫌悪が混ざった視線で騎士を見る。

 

「そんなワケ無いか…… あっ! 億泰君のことを忘れていたッ!」

 

 振り返る。 康一のスタンドの射程ギリギリ外に、彼が立っていた。 抜き身の剣を億泰へ突きつける騎士。 スタンド<ザ・ハンド>を出現させ、臨戦態勢に入っている億泰。

 

「マズイ! 億泰君のスタンドは『空間を削り取る』能力ッ!」

 

                  ド ド ド

 距離が遠かった。 射程の長い<エコーズact1>や<エコーズact2>ではパワーが足らない。

 

 『ドッヒュゥゥゥッ!』の文字を投げつけ、風の実感で騎士を吹き飛ばすか? 不可能だ。 距離が離れすぎている。 <エコーズact1>や<エコーズact2>はスピードが遅い…… 絶対に間に合わないだろう。

                  ド ド ド

 <エコーズact3>で『重く』して取り押さえるか? 不可能だ。 近距離パワー型のACT3では、距離が離れすぎていて射程外だ。 射程内に入るまで走ったとしても7~8秒掛かる。 (なか)ばまで走ったところで、騎士は穴開きチーズのようにされてしまうだろう。

 

「削り取ってしまったら、例え仗助君のスタンドだろうと()()()()()! 『存在しない』ものは治せないッ!」

 

 考えている暇は無い。 康一は地を蹴り、全力で走り出す。 もしかすると、億泰が『削り取っちまう』までに、何かが起きて間に合うかもしれない。

                  ド ド ド

「止めなければ! 抑えなければッ! このままでは…… このままではッ!」

 

 白刃を輝かせ、騎士が剣を振り上げる。 棒立ちの億泰に、剣を振り上げたまま突撃し、2人同時に切りかかる算段だろう。

 

   ゆらり、と  スローな動きで<ザ・ハンド>がその必殺の『右手』を引き、構えを取る。

 

「億泰君が人を殺しちまうッ!」

 

 

 

 

 

 

 

ガオン! ガオン!

 

 空間ごと()()()()()()特徴的な音が2回響く。

 

「ま…間に…合わなかった……」

 

 (なか)ばまで走ったところで振られた『右手』。 やはり間に合わなかったのか。 走るスピードは急速に失われ、ついには足を止めてしまった。 額に汗を浮かべ、絶望に表情を歪ませる康一。

 

 

 

   だが。

 

 

 

 シュゥゥゥ

 

  えっ?」

 

 空間が『(えぐ)られた』跡が、空中に2条出来ていた。 そう、騎士の手前で。

 

 目の前に現れた2本の傷跡。 削り取られた空間は急激に閉じ、元に戻ろうとする。

 

「『ナナメ前方に』空間を削り取るッ! するとぉ~~……」

 

ドン!

 

「壁に向かって瞬間移動するッ!」

「なッ! なんだと!」

「瞬間移動!? 」

 

 騎士の体が閉じた空間に引っ張られ、強力な慣性によってフッ飛ばされる。 2人の騎士は、交差しXの軌跡を描き空を飛ぶ。 億泰の横を通り過ぎて、後方へ。 そのまま両脇にある(へい)や壁に激突した。

 

「ぶげ!」ドゴ バゴォ!

「ドピ!」バガ  ッ!

 

 (したた)かに顔面を強打した騎士は、不思議な悲鳴を叫んだ後地面に転がった。 鼻をぶつけたのだろう、兜の隙間から血が垂れていた。

 

 兜の上から鼻を手で押さえ、騎士が転がっている。

 

  痛みに震える騎士の背へ、影が差した。

 

 太陽を背に、騎士を見下ろす億泰の影だ。

 

「さっきオメーよぉ~~…… 殺すっつったか? なあ? ()()()()()()()()ってのはよぉ……」

 

 億泰の表情が、一気に険しくなった。

 

「どぉーいうことだコラァァア! タダじゃあ死なせねぇぞ、ダボがァァア!」

「うひいいいいい!」

 

バゴ! バギ! ベキ! ベキ!

 

 激昂状態の億泰が、倒れた騎士に追い討ちせんと、連続で蹴りを入れた。 鉄骨すら歪めてみせる億泰のスタンドは、騎士の鎧をベコベコに陥没させた。

 

 血が頭に上り、血圧が()して額に血管が浮き出た億泰。 額には深い溝が刻まれ、獣のような形相は、康一ですら一瞬ギクリとしてしまうほどだった。

 

「億泰君!」

「あ゛あ? ……おう、康一。 オメーのほうは大丈夫だったかよ?」

 

 再起不能になるまで、ボロボロの状態にした騎士から視線を外し、億泰が振り向く。

 

「う、うん僕は大丈夫だけど……」

「じゃぁ問題ね  な。 こっちの鎧も再起不能にしたことだしよぉ~~ ……こいつらど  すっかな」

 

 ピクピクと痙攣している騎士を見て、康一がう~んと唸りながら考える。

 

「とりあえず縛っておけばいいんじゃあないかな? 武器を取り上げて村の人たちに縛っておいてもらおうよ」

「そーだな。 俺たちじゃあ何処にロープがあんのかワカんねーしな」

 

 億泰は<ザ・ハンド>を出現させると、スタンドで騎士2人の片足を掴んで引きずって行く。 そして適当に近くに居たおっさんに縛っておくように頼んだのだった。

 

   そして、もう一方の騎士はというと……

 

「そういえば…… 僕のほうの騎士はゲロまみれなんだった……」

「うへぇ~~~ッ! チ、チタネ   ッ!」

 

 うわぁ~~っとでも言いそうな表情で遠巻きに覗き込む億泰。 康一がどうしようかと悩んでいると、ポンと手を打ち、

 

「良いことおもいついたぜ!」

 

 と言い出した。 余計なことの間違いでは。 そんな言葉が脳裏に浮かぶが、他にアイデアも無いため、そのまま億泰の話を聞くことにする。

 

「こうやって空間を削り取ればよぉ~~ ()()()()移動させられるぜ!」

 

 手前の辺りを狙って、少し空間を削り取る。 空間が元に戻る際の、ドンという音と共に騎士が移動した。

 

   が、ミスをしてしまった。

 

「あっ!」

 

 空間が閉じる際の慣性で、スッ飛んでいく汚れた騎士。 億泰のミスで方向がズレてしまい、村人が集まっている場所の近くへと飛んでいく。

 

 いきなり飛んできた汚物を避けようと、あわてて移動する村人。 ゴキブリが飛んだ時のような、必死さを含んだ悲鳴をあげて、群集が真っ二つに裂かれる。

 

ドザアァァッ!

 

 悲しいかな、だれにも受け止めてもらえずに顔面から着地する騎士。 シャチホコのような姿勢で、数メートル滑走した後、道端に積み上げられていた木箱に突っ込んでしまったのだった。

 

「………」

 

 辺り一帯は静まり返り、気まずい空気が流れ…… 黒い鳥が、アホーアホーと鳴きながら通り過ぎていった。

 

 億泰はおっさん2人を適当に選ぶと、縄で縛っておいてくれと後始末を押し付けて逃げた。

 

「わりぃ わりぃ ナナメに削んの まだあんま慣れて無くてよぉ~」

 

 承太郎達が戻ってくるまでの間、護衛を継続しておかなくてはならない。 苦笑いしながら自分のミスを反省しつつ、警戒の任務に戻る。

 

 そこへ丁度、剣を落としたのか…… 鞘だけを腰に付けた鎧の男がヒィヒィ言いながら走っているのが見えた。 他の騎士と意匠が違う、顔が確認できるように開いた兜を装備した男だった。 その男は、こちらへ向かってくるのではなく、2人の前方を通り過ぎるだけのように見えたが……

 

「あの野郎~~ 下痢したニワトリみて  に急いでるぞ…………」

「あれ……どうする? 逃げてるっぽいけど……」

「そりゃぁ決まってんだろ  がよぉ…… ブチのめして………………そしてまたブチのめすッ!!」

 

 <ザ・ハンド>が右手を振った。

 

 わけもわからず、引き寄せられる男。 手足をバタつかせながら億泰の方向へと、真っ直ぐに引っ張られる。 首を動かし、進行方向を確認すると、見えたのは拳を握り締めた億泰の姿だった。

 

バガン!

 

 野球の4番バッターの如く、的確にその開いた兜の隙間に拳を叩き込む。

 

「おげぇぇぇええッ!」

 

 悲鳴を上げながら、滝のように鼻血を流す男。 その男の胸倉を掴む…… のは、鎧なので出来ないため首を握る。 めまぐるしく変わる状況に付いて行けない男は、首を絞められたためかくぐもった声を出す。

 

 億泰は、左手で男の首を掴んだまま、右拳を脅すように少しオーバーな動きで頭上に掲げる。 言うことを聞かないと、殴るぞと。

 

「オメーこの鎧共の仲間だな? 何でオメーらはこの村を襲うんだコラ」

「な、何だお前らッ! ここ、この村に、やっ雇われた、ワーカーか!?」

 

 問答無用で億泰の右手が振り下ろされた。 

 

メシャアッ!

 

「いいかこのゲロ野郎~~ 質問すんのはこのオレだぜ。 オメーは答えるだけに集中しろ。 いいな?」

 

 顔を近づけて凄みを利かせる。 顔が逆光になり、睨みを利かせる億泰の形相は、鬼を連想させた。 完全にブルっちまった鎧の男は、全てを諦めポツポツと喋り始めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 大地を蹴り、疾走する足音が聞こえる。 ダダダと踏みしめる音の発生源は、奇妙な髪形をした1人の男。 東方仗助だ。 彼は、この騎士達の隊長と呼ばれていた男を追っていた。

 

  隊長。 超の付く、重要人物。

 

 鎧を着た騎士の集団に、防御力を犠牲にあえて顔が見えるようにデザインされた、2人の男が居た。 その内の1人…… ロンデスと呼ばれていた副隊長が、突然現れた2人に混乱している部隊員を素早く立て直し、連携して攻撃してきたのだ。

 

 仗助と承太郎によって、次々と顔面に拳を兜ごとブッ込まれ昏倒していく騎士。 その隙に乗じて、戦意を喪失した   ベリュースと呼ばれていたもう一人の男が、逃走を図った。 こいつが仗助が今、追跡している男だ。

 

「ちくしょおおおッ! 鎧着てるっつーのに、ヤケに足がはえー野郎だぜ!」

 

 自分の方が身軽なのに、逃げるベリュースに追いつけない悔しさから、悪態をつく。 病み上がりで万全とは言えない体調も、走る速度の低下と不快感をなおさら増加させる。

 

 障害物を利用しつつ、器用に蛇行して逃げるベリュース。 ヤツが十字路を右に曲がると、家屋の影に入り視線が遮られる。 やや遅れて仗助が右に曲がった時には、ベリュースの姿は見えなくなっていた。

 

「ヤベー! 逃がしちまったか!? クソッ 何処行きやがったアイツ!」

 

 息切れと、走ったため痛む脇腹を左手で押さえる。 家屋の壁に寄りかかりながら、噴き出す汗を右腕で拭い、呼吸を整える。 それと平行してベリュースの姿…… もしくは足跡などの形跡を探す。

 

   すると、仗助の耳に特徴的な音が聞こえてきた。 ガオン と、空間を削り取る特徴的な音。 今まで走っていたため気が付かなかったのだ。 

 

 確かに騎士の集団と接触した際、ロンデスが数人に指示を出し、別行動を取らせていた。 承太郎が投擲したソフトボール大の岩で、全員再起不能になったものと考えていたが…… やはり数人逃がしていたのだろう。

 

 バガン。 という何かが衝突する音と、先ほどの男の声がする。

 

「億泰のヤツ…… あの腰抜けを捕まえたのかよ。 やっぱり頼りになるヤツだぜ~~ あいつはよぉ~~」

 

 なんとタイミングの良い事であろうか! 頼りになる仲間の存在に、心が軽くなる。 少し休んだためだろう、なんとなくだが……疲労が軽減され、体も軽くなった気がする。

 

 歩き始めるが…… まだ息は上がったままだ。 痛む脇腹を押さえつつ、壁に手を付いて音のした方向へ進む。

 

「確か…… この角を曲がれば、音のした場所だぜ」

 

 一応、待ち伏せを警戒しつつ角を曲がる。 

 

 

 

「 !! 」

 

 

 

   が、目に映ったのは予想外の光景だった。

 

                  ゴ ゴ ゴ

 

 追っていた騎士の隊長、ベリュースが捕まっている。   まぁそれは良い。

 

 そのベリュースを捕まえているのが、億泰。   それも良い。

 

 問題なのは。 この状況が問題なのは。 それは   

 

「億泰テメ―何やってんだああああッ!」

 

 億泰が、鼻血を出したベリュースからカネを受け取っている事だッ!

 

「いやいや、仗助。 勘違いすんなよ? コイツが ()()()() カネくれるっつ  からよぉ  

 

 億泰が右手をチョップの形で左右に振る。 チガウチガウ、といった感じで!

 

「どっからどー見てもカツアゲじゃあねぇかテメ  ッ!」

「人聞きのワリ―こというなよ仗助ェ~~ これはアレだよ。 なんつ  かよぉ、腰が抜けて立てねぇっつ  から、立たせてやってるだけだぜェ~~」

 

 ベリュースに視線を戻す。

 

「なあ゛?」

 

 ベリュースを睨み、ドスの効いた声で……どっから、どー見ても脅している億泰。

 

「うひいいい お、おがね! おがねあげましゅううう!」

 

 ベリュースが狼狽しながら後ずさる。 涙と鼻血に……濡れたと言うより(まみ)れた顔を、くしゃくしゃに丸めて。

 

「やかましいッ!何度も同じセリフはいてんじゃあねェ  ッ! てめ  オウムかコラァッ!!」

 

 釈然としない表情の、仗助と康一が見守る。 あとはロンデス(ひき)いる騎士達をブチのめし終わった承太郎を待つだけだ。

 

「……まぁ、あとは承太郎さんにまかせようぜ、康一」

「……そうだね」

 

 丁度そこへ、ロープを持った村人がこっちへ駆けてくるのが見えたのだった。

 

 

 

 

 

to be continued・・・




――没ネタ――

~アインズが聖なる遺体扱い~

オバロ世界で大陸横断レース開催!
実は聖なる遺体(骨)を揃えるために仕組まれたものだった!
パーツ(骨)が揃うたびに強力な魔法が使用可能に!?

揃うとマッパのアインズ様爆誕。
WEB版ならちゃんと遺体っぽくなるかな?



すきなとこ:遺体をめぐって繰り広げられるガチバトル!
      5部位揃った! ドラゴンライトニング!
      9部位揃った! グラスプハート!
      遺体を多く集めた時、超派手バトル化待った無し!

ボツりゆう:せ、聖なる? カルマ値-500なんですけれど。
      眼球無くね? 耳も無いっつーか骨しか無い。
      250のパーツに分かれた~とかで尺伸ばしとか、スゲージャンプ漫画っぽい。
      あれ? なんかそんな玉っころの破片集める漫画が…
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告