デート・ア・無限サバイブ・鏡像の戦士   作:にゃはっふー

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さてと、このあとはユートピアです。申し訳ございませんが、番外編挟みますが、ほぼオリ主の物語になります。
それでは、イフリート編はこれで終わり。


第10話・私は

 私はフラクシナスの人に頼み、過去の映像を一人で見ている。

 どうやらラタトスクが、あの時の、琴里が精霊化して引き起こした事件現場の映像を持っていた。

 私はそれを借りることはできず、だが画面が大きい部屋を借りて、映像の解析に入る。

 映像を手に入れることは出来ないが、私の調べたいことは別にあった。

 

「・・・」

 

 士道達の前にノイズのような固まりがある。それを見て士道は倒れている。いまは医務室で安静中であり、私以外のこの部屋には、誰もいない。

 士道がコレを見て気を失ったことを考えれば、記憶操作はこれがしたのだろう。

 

「何者かは知らないが、いまは」

 

 もっと時間を巻き戻したり、色々と調べる。

 と、目的の映像が出てきた。

 

「・・・」

 

 いつの間にかそこにいた。子供がそこにいて、辺りをキョロキョロして、士道達を見つけて背負い、その場を去る。

 いつの間にか、何度も見たが、いつの間にかだった。

 私はやはり、その瞬間に現れたらしい。

 

「・・・」

 

 思案する。私がここに来た、しかも若返っているが、思い出せない。

 私の幼い頃はこんなのだったか、過去を思い出す。

 過去?

 

「・・・私の、過去」

 

 空白、真っ白な世界が広がる。そう言えばと思う。

 仕方ない、私は【神崎士郎】として生きていたため、私を失った。

 無くなった、存在もない、名前も、立場も、意味も、何もかも【神崎士郎】となり、タイムベントの影響により、消え去った。

 そう、元の世界で私の居場所なぞない。消滅は確定済みだった。

 

「まあどうでもいい」

 

 過去なぞ不要と切り捨て、立ち上がる。だが、映像を切り前に止まる。

 いま過去は必要なのではないか? 精霊の研究、真理を知るためには、この事態を知る必要がある。

 私は誰だ?

 

「・・・」

 

 しばらく沈黙する。自分が無い。あるのは研究することだけだ。

 それでいいと思っていたが、いまはどうだ? このままでいいのか?

 

「私は誰だ」

 

 誰も問いかけに答えず、時間だけが過ぎる。

 

 

 

 オーシャンパーク、巨大なプール施設。そこで十香と四糸乃も交えての、琴里デートだが、途中で別れて、いま面倒を見ている。

 

「おにいちゃん、たのしいです」

「そうか、よかったよ」

「神衣!!、あれはなんだあれは!?」

 

 精霊二人と共に辺りを見渡す。ドラグブラッカーは念のために士道のもとに、二人が屋台の方を見ているとき、背後に従者モンスターが控える。

 

「そうか、別の場所でデートか。そのまま監視しろ」

 

 その言葉に下がる従者モンスターを見ながら、精霊二人を見守る。

 

『おにいちゃ~ん~楽しんでる~?』

「よしのんか、楽しんでいるというより、俺は見守ってるからな」

「おにいちゃん、は、たのしく、ないん、ですか?」

「そうだぞ神衣、せっかくだ。楽しもうぞ!!」

 

 そう言われ、二人に手を捕まれ、引っ張られる。

 楽しむ、その言葉の意味がわからない。

 いや、そもそも私は、なんなんだ?

 

「神衣?」

 

 十香が顔をのぞき込む、私の顔を見て不安そうな顔で見ている。

 

「どうした神衣? いつもより難しい顔をしてるぞ」

「あ、ああ・・・」

「おにいちゃん、琴里さんの、ことですか?」

「!?」

 

 四糸乃はいま琴里が危険な状態だと知っていて、だから士道と一緒にさせているらしい。十香もそれを知り、なんとと驚く。

 

「なんで言ってくれなかったのだ、そうすれば私だって」

「十香」

「私とてシドーや神衣、みなの力になりたい。神衣とてそうだろ?」

 

 違う。

 

「十香、私は」

 

 その時、後方で爆発音が響く。

 それにみんなが驚き、悲鳴が聞こえる。

 

「これは」

「シドー!!」

 

 士道達のいる場所が攻められている。精霊二人を止める。

 いま向こうは無謀と伝えるが、その時、限定的に精霊の力を取り戻した。

 僅かだが霊力を取り戻し、こちらを見る。満面の笑みで向けてくる。

 

「わかった、頼んだぞ二人とも」

「うむ!!」

『任せて~』

「いって、きます。おにいちゃん」

 

 そして向かう二人を見送り、周り、カメラなどを気にして、控えている従者モンスターを見る。

 どうやら鳶一折紙が一般人を含めて、琴里、精霊に攻撃を仕掛けた。

 

「それが答えなら、貴様は破棄するだけだ」

 

 デッキを構え、静かに告げる。

 

「変身・・・」

 

 

 

 重火器装備、鳶一折紙の猛攻に、ドラグブラッカーは吼える。

 

「くっ、邪魔だッ」

「黒いドラゴン!?」

 

 ドラグブラッカーは全ての攻撃を受けながら飛翔して、鳶一折紙へとからみつく。

 それを何度も引き離して、琴里を目指すが、士道が止めている。

 

「士道放しなさい!! あんな人がいるところで使っていいもん使う以上、私も出るわ」

「ダメだ!? 精霊の力を使えば琴里は」

「そこまで知られてるのね、けど、あの黒いのだけ・・・」

 

 その時、琴里は辺りを見て気づく。様子に気づく士道も辺りを見る。

 ミサイルを始めとした重火器の攻撃が放たれているのに、建物が無傷などが多い。

 

「これってまさか」

「あの黒い龍が」

 

 ドラグブラッカーが吼えながら、攻撃を避けずに向かう。

 その姿は、

 

「彼奴、人や物を守るために、攻撃を避けずに折紙を止めようとしてるのか」

 

 雄叫びを上げて、ドラグブラッカーが向かう。

 だが、それに黄金の羽根が鳶一折紙ごと吹き飛ばす。

 

「なっ」

『なにをしているドラグブラッカーッ』

 

 腕を組み、光りから現れたオーディン。その側に、従者モンスターが現れ、苦傷だらけのドラグブラッカーを見下ろす。

 

『貴様の命令は士道の監視だ!! なのにこの体たらく、ドラグブラッカー!! 命令だ、鳶一折紙を捕食しろ』

「捕食って・・・」

 

 だがドラグブラッカーは吼えて首を振る。それにオーディンは驚く。

 

『貴様、我に従えドラグブラッカーッ!!』

 

 カードを取り出す。それが暗闇を放ち、ドラグブラッカーが苦しみ出す。

 従者モンスターもそれと共に、鳶一折紙へと襲いかかる。

 それに対応し出す鳶一折紙。その隙に琴里もまた、精霊の力を使う。

 

『まずい、五河琴里、その力を使うな。ドラグブラッカー』

「やめろ!?」

 

 ドラグブラッカーの前に士道が現れる。それにオーディンは叫ぶ。

 

『邪魔をするな五河士道。ドラグブラッカーは我が力、換えがきかないものではあるが、役に立たないのなら切り捨てるのみ』

「切り捨てるだって、役に立ってるだろ!? こいつがいなかったら、琴里は精霊の力をもっと早く使っていたし、建物だって壊れていた」

『違う、もっと効率を考えれば、鳶一折紙を殺すべきことだ』

「!? それを、本気で言っているのかよ!?」

『私の目的は世界の真理を知ることだ。その邪魔になるのなら、ただ憎しみのみに囚われた者なぞ、邪魔でしかない』

 

 その時、鳶一折紙が琴里に叫ぶ。

 どうして私の両親を殺したのと、それに私も士道も驚く。

 いや、士道は僅かだった。可能性として知っていたのか?

 そう視野した瞬間、一斉放射が琴里に放たれるが、

 

「!?」

 

 ドラグブラッカーが飛翔して、琴里にまきつき、全て自分の身で防ぐ。

 

「ドラグブラッカー!?」

『貴様、なにを』

 

 ドラグブラッカーは僅かな粒子、砂のように身体を消滅しかけながら、琴里を見る。

 琴里はそれを見て、僅かに動揺するが、急にドラグブラッカーが苦しみ出す。

 

『貴様、我が命に背くのならもういい。ドラグブラッカー!! 鳶一折紙を捕縛しろ、あとはゴルトフェニックス、お前で消す』

 

 ゴルトフェニックスが現れ、鳶一折紙がそれを聞き、攻撃を私に向けるが、

 

『遅い』

 

 瞬間移動し、その装甲に手を入れ、無理矢理引き離す。

 

「ぐっ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ」

「折紙!? やめろオーディン!! あんたの目的に俺が必要なら」

『全て貴様の思い通りになると思うな、この娘はいるだけで今後に支障をきたす。ここで破棄するのは決定事項だ』

「わた、しは」

『両親を殺された? だからここで武器を乱射するのが正しいと? それで誰かを殺してでもやることか愚か者め』

「!!?」

「や、やめ」

 

 何かを察して叫ぶ士道。

 だがその言葉よりも早く、私の言葉が鳶一折紙に刺さる。

 

『貴様は精霊を殺すための道具、そのために人を殺す道具。貴様は人殺しの精霊とかわらない、人殺しだ!!』

「!!?」

 

 その言葉に驚愕する。愚かものだと思いながら離れ、ドラグブラッカーを操り巻き付かせる。

 

『愚かな娘、親を殺されたからと言う理由に、人を殺すことが許されたと錯覚した者よ。いまここで破棄する!!』

 

 ゴルトフェニックスが光りを纏いながら、ドラグブラッカーごと鳶一折紙を殺すかのように飛翔する。

 士道はそれを見て、叫び声を上げるが、

 

『力無き叫びは、何者にも届かぬ』

 

 そう宣言して、トドメを刺す。はずだった。

 

「『鏖殺公(サンダルフォン)』」

 

 その一撃を止める剣が現れ、ゴルトフェニックスはすぐに下がる。

 

「十香、四糸乃、よしのん」

『おっまたせ~士道くん』

「待たせたなシドー」

 

 ドラグブラッカーはそれを見て、まだ苦しみ出す。カードで強制させているからだったが、こちらを士道が見た。

 

「二人とも、オーディンからあのカードを取ってくれ!!」

「うむっ、わかったのだ」

『五河士道、わかっているのか、このまま』

「ふざけるな!! このまま折紙が死んでいいはずないだろっ」

 

 その言葉を聞きながら、十香の天使が迫る。それを従者モンスターで防ぐが、一撃で粉々に砕かれた。

 それを見ながら、カードを持つ今ではソードもなにも使えない。

 

『くっ、ドラグブラッカー!! なぜ鳶一折紙をかばう、私は精霊を、五河士道のみだッ。他を捨てろドラグブラッカー!!!』

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 十香の攻撃を避けながら、士道を見る。

 士道は琴里の側、急いで封印する気かと思いながら、その隙を見逃さない。

 いまここで鳶一折紙を破棄しておかなければ、殺しておかなければいけない。

 

『邪魔をするな、ドラグブラッカーッ』

 

 ドラグブラッカーは言うことを聞かない。こんなことは初めてだ。

 そして仕方ないと動こうとしたとき、巨大なウサギと化したよしのんが現れ、氷のつららが迫り、避ける。

 

「悪いが、あの黒い龍も、シドーもやらせはせんぞ」

『私が殺すのは鳶一折紙だ、これ以上あれは必要ない』

「・・・」

 

 それを聞いた十香だが、その剣を構え、こちらを睨む。

 

「それでも、やらせはせぬ」

『くっ』

 

 攻撃を避けながら、琴里の方を見ると、封印が終わり、鳶一折紙もその場に倒れる。

 活動限界、そうつぶやき気絶した。いまが好機だった。

 無数の従者モンスターが鳶一折紙の周りに現れるが、士道が前に出て下がる。

 

「やめろ」

『仕方ない』

 

 私が従者モンスター達に、殺さずに士道を押せと命令、武器を構えながら、迫る。

 その様子に四糸乃達が飛び出そうとするが、ゴルトフェニックスが前に出る。その光が氷を溶かすため、よしのんはくっと苦悶の顔を見せる。

 

『引け、五河士道。鳶一折紙は、私の研究の邪魔だ』

「研究って、あんたはなんのために研究するんだよ」

『・・・』

 

 なんのため?

 

『私は』

 

 ナンノタメ?

 

『私は』

 

 モウイミナンテナイ

 

『それしかもう意味がないからだ』

「なっ」

 

 驚愕する士道達に、そうだと理解する。

 

『もう私には研究、真理への研究しかない。それ以外に興味はない』

「興味がないって、そんな理由・・・」

『精霊を私欲のために、他人の犠牲を承知で動かす世界や、私情でこんな場所を戦場に変える者達よりマシだろう? 世界はたった一人のわがままで変わる、君のわがまま、精霊達を救いたいと言う願いだけで、世界を変えることもできる』

 

 そう言いながら、士道は引かない。

 

『どけ、私は私のために、鳶一折紙を殺す!!』

 

 その宣言に、士道は拳を握りしめて、こちらを睨む。

 

「どかないッ、ここでどいたら彼奴に、神衣に顔向けできるかよ!!」

『!?』

 

 まさかここで私を引き合いに出すか。この愚か者が。

 

『ならば貴様を殺して、貴様の力を知ることにする』

「させるか」

 

 天使を構える十香だが、私はカードを構えたまま、それを見る。

 だが変化が起きた。

 ゴルトフェニックスが従者モンスターを下げさせた。

 

『!? ゴルトフェニックス』

 

 その時、ゴルトフェニックスはドラグブラッカーを回収して下がる。まさかの事態だった。

 モンスター達が契約者を見切ることはそうそうない。ましては食事を与えている状態でだった。

 

『バカな!? モンスター達がなぜ』

 

 その現象はわからないが、こうなると分が悪い。

 士道を見下ろしながら、静かに告げる。

 

『ここで鳶一折紙を殺しておかなければ、後悔するぞ』

「しない、なにがあろうと・・・俺は後悔なんかしない」

 

 その時、烈火の戦士が横切る。彼が、まるで、自分の中にいるように。

 

『・・・それでも、私は私を変えることはない。私は間違っていようと、なんであろうと、もはや私は私しかない。私は私である限り、今度、鳶一折紙が市民に危害を加えるのなら殺すだけだ』

「・・・あんたは」

『言ったはずだ、私は研究者。それ以外に何もない』

「なに、も・・・」

『ない』

 

 そう宣言してその場から去る。

 黄金の羽根が降りてくる。十香はそれを拾う。

 

「・・・シドーあやつは」

「・・・」

 

 迷い無くないと宣言したオーディンの言葉が、彼らの胸に刺さった。

 

 

 

「・・・ドラグブラッカーはしばらく使えないか」

 

 傷を癒させる。ラボ内で謎の行動を取ったモンスター達だが、どうでもいい。

 琴里はいつも通り、鳶一折紙はどうなるか知らない。

 私には研究しかない。

 そうそれしかない。

 

「・・・私は私だ」

 

 ゴルトフェニックスは目を細めて主人を見る。

 もはや存在する意味が無い自分達、それでも人と関わる主を思いながら、彼は静かに目を閉じた。

 




次回は番外編、そしてついにゲーム編であり、オリジナル要素、オリ主目線での話です。
オーディンである彼の物語、がんばります。
それでは、お読みいただきありがとうございます。
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