デート・ア・無限サバイブ・鏡像の戦士   作:にゃはっふー

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 殺した。

 殺された。

 それでも巻き戻す。

 意味はない、勝つのは我々だ。

 そんな中で戦う戦士を見た。

 分からない、彼はなぜ戦い続ける?

 理解不能、意味がある行為とは思えない。

 だが、なぜだ。

 なんでなんだ・・・


閉ざされた楽園・思い

 ガーディアンを倒し、士道達を見るオーディン。いや、

 

「神衣・・・」

「この空間はもうすぐ壊れる」

「神衣、いまそんなことじゃなく」

「もうすぐこの空間が壊れる」

 

 動揺する者は無視して話を続ける。

 この世界、町を閉じこめる空間はもうじき壊れる。だから支配者は調整のために、士道を殺そうとした。

 その前に空間、結界を壊すため、コアを破壊する。その場所は繰り返しの中で知り得ていた。

 

「お前達はコアを破壊しろ、私は黒幕に会いに行く」

「待ってくれよ!? お前がオーディンって、ずっと俺達のことを騙してたのかよ!?」

「・・・どうでもいい」

「なっ」

「先に行く」

 

 そう言って、天宮市タワーへと向かう。彼らには彼らの戦いがある。そう考えながら、急いで向かう。

 

 

 

 この空間の特徴として、A地点にセーブポイントがあり、ある条件下になると、A地点に逆行するシステムになっている。言ってしまえば自動タイムベント。

 そのシステムを管理する、支配者、ルーラーは誰かは分かっている。

 だが理由は分からない、条件もわからない。

 だから監視、管理していた。だがここまでだ。

 ガーディアン達を倒しながら、奧へ奧へと歩く。

 そして一人の少女がいる、そこにたどり着く。

 

「凛祢」

「あっはは・・・まさか、神衣がオーディンだったんだね、知らなかったよ」

 

 苦笑する凛祢だが、それに僅かに黙り込む。

 本当に始めはそうかと思う。始めの頃は、こちらの誘いに何の躊躇いもなく乗り、接触していた。

 だが途中からはどうだろうか、向こうから接触する機会が多かった。

 

「記憶は引き継いでたの? そんなそぶり無かったと思うけど」

「それくらい動作ない」

「そっちが素? 似合わないよ」

 

 苦笑する凛祢は、いつもの調子だった。

 少しだけ、信じたくないと言う顔をしている。

 なぜそんなことがわかる?

 そう疑問に思いながら、デッキを取り外し、素顔を見せた。

 

「・・・神衣」

「凛祢、もうこの世界は終わりだ。結界を解除しろ」

 

 何かを言おうとする凛祢にそう告げる。

 だが静かに首を振る。

 

「それは無理だよ、それだけは、できない」

「なら私は君を殺す」

「・・・本気?」

「それが私のするべきことだ」

 

 そう言った途端、少しずつ歩き出すが、

 

「待てよ神衣!!」

 

 士道が呼び止めた。後ろを見れば全員いる。

 その様子を見ながら、苦笑する凛祢。

 結界のコアが壊された以上、もう維持は不可能だろう。

 

「凛祢、コアはもうない、もう維持する必要はない」

「けどごめんね神衣、それでも無理だよ」

「逆行でまた繰り返す気か、繰り返したところで記憶を持つ私がいるぞ」

「・・・なら念入りに消さないとね、貴方の記憶を」

「凛祢!?」

 

 士道が驚き、全員が近づく。

 だが気にせず、神衣は凛祢を、凛祢は神衣を見つめる。

 

「何度でも繰り返すよ、何度でも」

「もう意味はない、ここで繰り返しは終わりだ、もう諦めろ凛祢」

「・・・」

 

 なにも言わず、精霊の姿、霊装を纏う凛祢。それに全員が身構えるが、士道は前に出る。

 

「どうして戦おうとするんだよ!? 神衣、お前だって凛祢のこと大事だろ」

「・・・大事か」

「シドー!!」

 

 無数の光弾が放たれ、それを防ぐ精霊達とモンスター達。

 そんな中、静かにたたずむ。

 凛祢の顔を、静かに見つめながら、

 

「・・・捕食しろ、ドラグブラッカー」

「!?」

 

 ドラグブラッカーが鏡から飛び出て、凛祢へと襲いかかる。

 凛祢の顔がゆがみ、それを防ぐ。

 士道はすぐに神衣に掴みかかった。

 

「神衣!?」

「このまま繰り返しの中にいるつもりか士道・・・お前には精霊を救ってもらわなければいけない」

「だからって、凛祢を、殺す気か!?」

「ああ」

 

 即答だった。

 それに士道はなんでと絶望に歪む。

 

「なんでお前がそんなこと言うんだよ!? なんでお前が」

「私は私の為に動くだけだ、私の為、研究のため、世界の真理を知る為に」

「そんなことのため、そんなのに意味があるのかよ!?」

 

【意味なんてないさ】

 

 全員が驚き、それを見る。

 それは奴だった。

 邪悪な笑みを浮かべ、ドラグブラッカーとドラグブラッカーをぶつけていた。

 

【それは意味なんてもうない、虚像でも、鏡像でも、何でもない。意味も何もない、言葉すら無い、無い無い尽くしの存在だ】

「お前は」

「あれは城戸真司のまがい物、私の知る限り、偽物だ」

【ああそうだ、俺は偽物だ。この世界で形を得た、偽物だ】

「えっ・・・」

 

 驚いたのは凛祢だった。

 それは静かにデッキを構え、ドラグブラッカーを呼び寄せた。

 

【俺は影、鏡像の城戸真司。そこにいるそれが、城戸真司の鏡像を取り込むことで生まれた偽物であり、まがい物だ】

「ああ、私は危険視した唯一無二の男、城戸真司の鏡像を取り込み、私自身が虚像になることで成り下げた、偽物だ」

【だが、この世界で俺は俺と言う自我を手に入れた】

 

 デッキを構えながら、オーディンのデッキも構える。

 お互いデッキを構えながら、静かににらみ合う。

 

【そこにいる者は何者でもない、何でもない、意味もない。だから俺がお前の存在を手に入れて、俺が本物の城戸真司になる】

「悪いが、お前は私に勝てない、私を倒せるのは最後の一人だけだ」

 

 そうつぶやき、戦いかけたとき、凛祢が動く。

 霊力を感じ取り、凛祢は叫ぶ。

 

「『凶禍楽園(エデン)無へと帰す者(パラダイス・ロスト)』」

 

 

 

 凛祢は幸せだった。

 

 始めはただ何もすることもあり、断る理由もなかった。

 

 だからか、自分を見てくれる彼の存在がうれしかった。

 

「どうした凛祢」

「ううん、なんでもないよ♪」

 

 そしていつしか彼がオーディン、異物である可能性があった。それらしい反応も探るために、関わるようになった。

 

 そして毎日彼と共にいる時間が、いつの間にかうれしく思えた。

 

 私は士道のためなら、どんな役割も演じ、成るつもりだ。

 

 そう思えた、彼の為に、彼が大事で、彼の幸福のためなら、神衣を殺そうとさえ思っていたのに、

 

「ふふっ」

「どうしたんだよ」

「なんでもないよ♪」

 

 いつからだろう、彼と一緒に過ごすのがうれしくなったのは。

 

 彼だけが自分だけのもの、彼だけが、偽りがない気がした。

 

 偽りの関係ではなく、初めての関係。

 

 そう思えたときから、何かが変わった気がした。

 

 夕焼けの中、彼と共に手を繋ぎ、町を見下ろす。

 

「今日も平和だな」

「うん、平和・・・」

「こういう時間が長く続けばいいもんだ、幸福な時間なんて、ずっと続けばいい」

「うん、そうだね・・・」

 

 そう、続かせる。何が何でも続かせる。

 

 士道の幸福のために? 違う、自分のためだ。

 

 彼と一緒にいるために、私はずっと繰り返す。

 

「凛祢、そろそろ帰るぞ、士道達が待ってる」

「うん」

 

 その時、風が吹き、少し髪の毛に触れる。

 

 彼が私だけにくれた髪留め、それに触れた。

 

 うれしかった。私だけのものが、それだけで、何度も、何度も繰り返し、自分の物にしてしまうほど、愛おしかった。

 

「まだそんな安物つけてるのか?」

「えっ・・・」

 

 驚きながら、神衣を見る。

 

 神衣は静かに、

 

「そんなんより、本物を買うよ、凛祢」

「神・・・衣・・・」

 

 そう言いながら手を伸ばす神衣。

 

 だが、

 

「ふざけるな」

 

 

 

 鏡が割れるように、二人の神衣が現れる。

 凛祢はコードのようなもの、天使と繋がりながら、その様子を見ていた。

 

「私の、力を破る・・・ううん、それよりも上回って書き換えられた!?」

【貴様・・・】

「・・・」

 

 偽物は【城戸真司】の姿に戻り、神衣は静かに睨む。

 その様子を見ながら、それは叫ぶ。

 

【ルーラーよ!! お前は閉ざされた楽園の支配者だ、そのお前なら分かるはずだ、俺が生まれた理由、それはこいつが願ったからだ】

「願った・・・」

【そうだ、こいつは城戸真司、俺に成りたがっていた】

「・・・」

 

 その言葉を否定せず、静かに聞き、頷いた。

 

「そうだ、私は城戸真司、彼に成ろうとした」

【だからこそ俺が生まれた、だが本物に壊された。だがここには本物はいない、だからお前を壊し、今度こそ、俺は城戸真司に、俺に成る!!】

「そうかお前は、凛祢の天使によって生まれた、私か」

【ああそうだ!!】

 

 その叫びを聞きながら、ドラグブラッカーもまた咆哮を上げた。

 

【俺はお前によって創り出された鏡像であり虚像ッ、だがお前は違う。何者でもないお前は、存在する意味は無い】

「・・・」

【俺がこの世界を存続させる、凛祢、お前の世界は、俺の物だ!!】

「気安く凛祢の名を口にするな!!」

「【変身!!】」

 

 黄金と暗黒がぶつかり合う、凛祢はその様子を見るしかない。次元が違う。

 干渉できない次元の戦いであり、自分の力が弱りつつある。

 もう何も出来ない。彼らは、自分の世界から飛び出たのだ。

 

「貴方もね、士道・・・」

「凛・・・祢・・・」

「お願い・・・彼を、黒い彼を」

「・・・」

 

 

 

【うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ】

「吼えるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 黄金と暗黒がぶつかり合う中、暗黒は舌打ちする。

 やはり勝てないと判断して、距離を取った。

 

「タイムベントか!?」

【まだだ!! まだ調整すれば俺が勝つ】

 

 そう叫んだとき、一筋の剣撃が放たれる。

 それを避けるリュウガは、すぐにそれを睨み叫ぶ。

 

【十香!?】

「いまだ神衣」

「!?」

 

 すぐにゴルトバイザーを取り出し、デッキからカードを取り出す。

 リュウガも察して、諦めてカードを取り出し、暗黒龍召機甲ブラックドラグバイザーを構える。

 

『【ファイナルベント】』

 

 二つの技が鳴り響く、一つは黄金の不死鳥を背に、無限の光を輝かせながら、羽根をまき散らし、もう一つは黒い龍と共に飛翔する。

 そして力の勢いのままに、お互いが跳び蹴りを放った。

 

【ダァァァァァァァァァァァァ】

「消えろ」

 

 無数の羽根が一点へと集まり、黒い炎を吹き飛ばした。

 断末魔を上げて、建物の外へと吹き飛ぶリュウガ。

 翼を纏い、そのまま凛祢を天使から切り離す。

 

「凛祢」

「・・・凄いね、神衣は」

 

 

 

 地面に降りて、変身を解く神衣。

 凛祢は天使も霊装も纏わず、力弱く笑う。

 上着を脱ぎ、かけてあげながらも、ただ無表情に、

 

「もう諦めろ、天使の技も、何も効かない」

「・・・」

 

 その言葉を聞きながら、静かに、

 

「どうして私を殺さないの?」

「・・・」

 

 そう言われて黙り込む。それに微笑む凛祢。

 

「神衣、貴方は優しいね」

「優しい?」

 

 それに疑問に思ったとき、体を起こし、凛祢が顔を近づけた。

 それを静かに見ていたら、不意に、唇になにかがあたった。

 

「・・・なにを」

「えっへへ・・・いつからだろうな、士道じゃなくなったの・・・」

 

 うれしそうにそう言う凛祢、その身体が少しずつ消えかけている。

 

「凛祢」

「私は霊力だけの精霊なの、器がないから、あとはもう消えるだけ」

「・・・そうか」

「神衣、凛祢!?」

 

 二人の元に駆けつけるみんな、その話を聞いて驚く士道。

 

「どうにかできないのか、他に方法は」

「ううん、ないよ士道・・・」

「そうか、無いのか」

 

 そう淡々と聞きながら、身体を支え続ける。

 凛祢は静かに、ずっと微笑んでいた。

 

「ありがとう、偽りの私のことを、思ってくれて」

「偽りって、いまからでも遅くないだろ!?」

「あっははは、士道は優しいね・・・」

 

 そう笑いながら、髪留めを手に取り、静かにこちらに渡す。

 

「ねえ神衣、貴方は、神衣だよ」

「・・・」

「私のように、偽りの中にいたのかもしれない、本当じゃない世界にいたかもしれないからこそ、言える」

 

 静かに、そう言いながら、薄れていく凛祢を見つめる。

 

「貴方は神崎神衣、私の、本当の意味で好きになった、大切な人だよ・・・」

 

 そう言って、彼女は光の中に消えていった。

 ただ残ったのは、安物の髪留めだけだった。

 

 

 

【あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ】

 

 それは咆哮、雄叫びを上げていた。

 暗闇の中、壊れていく世界を睨みながら、叫んでいた。

 

【まだだ!! まだ消えてなるものかッ、俺は城戸真司!! 俺こそが有るべき存在、幻なぞではない】

 

 リュウガがタイムベントのカードを取り出し、壊れていく中でカードをセットしようとして、はじかれた。

 

【なんだッ!?】

 

 その後ろに、黄金の不死鳥を背にする、神衣がそこにいた。

 ゴルトフェニックスの前には、三つのカードが光り輝いている。

 

【三つのサバイブカード・・・それでゴルトフェニックスを強化して、タイムベントの発動を阻止したか!?】

「もう繰り返しは、閉ざされた楽園は終わりだ」

【ルーラーがどうなろうと知ったことか!? 何者でもないお前が、ゴルトフェニックスの力無しで何が出来る!?】

「・・・もう一つ力はある」

 

 ドラグブラッカーが雄叫びを上げる。

 闇のドラグブラッカーも現れ、それにニヤリと笑う。

 

【バカな、存在がないお前が、俺に勝てるか!?】

「・・・知らん」

「【変身!!】」

 

 片方は黒い闇を纏う、リュウガサバイブ。

 

 片方は漆黒の戦士、仮面ライダーリュウガ。

 

 それにあざ笑いながら、迫るサバイブだが、リュウガは静かに、戦いを始めた。

 

 

 

 リュウガはガード、ストライク、ソード全部を纏い、サバイブはソードを使い、斬りかかっていた。

 ドラグブラッカー同士は激突し合い、瞬間移動して斬りかかるが、

 

【バカな!? なぜ届かない】

「・・・」

 

 静かに斬り返し、黒い炎が激突する。

 弱っているとはいえサバイブ体である自分が押されていることに、それは驚きを隠していない。

 

【あり得ないッ、何者でもないお前が、俺に、城戸真司に勝てるはずがない!?】

「お前は城戸真司ではない」

【黙れぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ】

 

 剣と剣がぶつかり合う中、ドラグブラッカー同士も激突する。

 そちらもまた、赤い眼光の龍が押していた。

 

【バカなバカなバカなバカなバカなバカな!!?】

「もういいだろう」

 

 凛祢の世界、楽園が終わりを告げようとしている。

 一枚のカードを取り出す、それにあわてて取り出すサバイブ。

 

【【ファイナルベント】】

 

 攻撃力はサバイブが上だ。間違いなく倒せる。

 なのに、それはただ腕を組み浮遊する。

 見下ろしながら、静かにとどめを刺すために、

 

【俺は負けない、俺はもう幻ではない!!】

「・・・」

【なにより、何者でもないお前に、負けるものかァァァァァァァァァァァ】

 

 二つのドラゴンライダーキックがぶつかり合う。

 それと共に、世界が砕け散った。

 

 

 

 真っ昼間だった。

 元の世界の時間は、昼間らしい。

 二つの黒い戦士は地面に立ち、そして、

 

【バカ・・・な・・・】

 

 黒い炎をまき散らし、爆発するサバイブ。

 リュウガはそれを見下ろしながら、デッキを取り出す。

 

「私を倒せるのは・・・最後の一人だけだ」

 

 黒いドラグブラッカーもまた砕け、それを捕食するドラグブラッカーは、上機嫌に私の周りを飛翔する。

 静かにポケットの中、髪留めを見つめる。

 

「・・・」

 

 唯一残ったものを見ながら、急いで学園に戻る。いま学園にいない方が問題だろうと、足を動かす際、気づく。

 黒い炎の中から、五枚の白紙カードが、私の元にとんできた。

 

「・・・カードだと」

 

 そのカードを見ながら、静かに考え込むが、それを懐にしまい。学園へと戻った。




 精霊ルーラーこと、園神凛祢の目的は、五河士道の暴走を止めることだった。
 士道は知らず知らず、ストレスを貯め、霊力逆流を起こし、封印済みの精霊達を暴走させていた。
 結果、士道は危険な状況下に陥り、凛祢は天使による結界内に飛び込めることで、最悪な事態を阻止する。
 最悪な事態、五河士道の死。それこそが時間逆行の条件である。
 その可能性が無くなるほど、時間の繰り返しの耐性により、士道の精神は安定。
 凛祢の正体は、霊力の固まりと推測。どのような過程で精霊になったか不明だが、器がないという点において、接触済み精霊達よりも純度の高いエネルギー生命体と判断される。
 そう研究メモにまとめ上げて、一息つく。
 現実の世界、いつもの一人しかいない家。
 凛祢のことは誰も知らない。自分以外、その存在がいたと言う事実すらない。
 だが、いた。
 ここに、確かに、いた。

「・・・」

 静かに黙り込み、髪留めを机の引き出しにしまう。
 そして、

「私は私の考え方、生き方は変えられない」

 利用できるものは利用して、真理を知る。
 意味もない行為、それでも、

「それでもお前は、私を認めるか、凛祢・・・」

 静かに、そうつぶやき、そして二つのデッキを手に取る。

「お前が認めるなら、神崎神衣は有る・・・私を止められるのは、最後の一人だけだ・・・」

 もう誰もその言葉に微笑まない中、彼は前へ進む。意味もなく、何もなく、それでも、有ると言う理由から進む。
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