フラクシナス船内、カチャカチャと多くの人達が準備している中、缶コーヒーを飲みながら、静かにプログラムを見つめる。
そこに静かに琴里が尋ねてきた。
「どう? いまのところ」
「彼のおかげですでに終わりかけです司令。あとは本番を待つのみです」
「念のためのセキュリティーなどの権限など、すでに書類上のものも完了しておりますです」
そう後ろからの声が聞こえているが、いまは忙しい。あと少しでいいから待っていて欲しいのが本音だ。
静かに私の背後に近づき、だきつくように後ろからモニターを見る琴里。
「琴里か」
「いまのところ、司令って呼びなさい神衣お兄ちゃん」
「なら琴里もだろ、頼まれたデータはいま終えたところだよ」
「さすが私のお兄ちゃん♪ みんなもご苦労様♪」
そのほほえみで私と共に仕事していたもの達は歓喜にむせている。それでいいのかと思いながら、缶コーヒーを飲む。
その様子に、少しだけ呆れる琴里がいる。
「神衣兄、それ何本目?」
山積みになっている缶コーヒーに対して呆れながら、私は気にせずに飲む。
その様子にため息をつきながら、そだと言って、懐から音楽プレイヤーの最新式を取り出す。
「神衣兄これ」
「それは音楽プレイヤーだが、俺はいま聞いてないぞ」
「・・・士道が言ってたとおり、気づいてないのね」
「?」
缶コーヒーを飲みつつ首を捻ると、琴里はそれを渡す。
中身を全てみると、私がよく聞く曲だけが入っているが、それに疑問に思う。
前々、中学頃まで缶コーヒーと音楽を聴きながら、作業に没頭するのがスタイルだったが、気に入った曲が、機種替え時になぜか見つからず、壊れかけを使うのもなと思い、放っておいたものだが、その曲がある。
「どうした、どこで見つけたんだ?」
「気づいてない? その曲、宵待月乃、つまり誘宵美九の曲よ」
「なに?」
さすがに驚いた。
彼女は昔、アイドルしていたが、業界の闇、虚言などで潰れてしまったアイドル歌手が正体であった。
彼女はその際に声が出せなくなるが、精霊の力を与える『なにか』により、いまの力を手に入れ、そして過去の自分を消していたようだ。
だが士道のおかげで、過去と向き合う強さを手に入れた。
「それで、本人にも実際確認したらビンゴ。ラタトスクの技術で完璧にコピーっていうより、本人が新しく入れたから気にせずにだって」
「そうか」
そう言いながら、飲み終えた缶を置く。
「しかし、俺の場合は」
「むしろその方が本人的にいいらしいよ、歌しか興味ないの。実際誰か知らずに聴いてたんでしょ?」
「そうか」
そう納得して、プログラムを見ながら、琴里は次に聞くことを聞きだした。
「そう言えば、オーディン、彼から渡された力、どんな感じ?」
「そうだな・・・」
それには事前に用意していた答えを言う。
手に持った時に使い方が、頭に流れてきたと言う嘘。まあ、実際はそうなるようにはされているため、嘘ではない。
そしてモンスターとの関係、カード能力。所持カード等々。そう言いながら、ふむふむと聞いている琴里。
「暗黒龍ドラグブラッカーの能力も前に言ったとおりだな、後は分からない」
「そう、けどね神衣兄。緊急事態だからって、あんな得体の知れないのに協力とかしないでよね。私達がいるんだから」
「わかっているよ、今回は全力で関わっているし、中での俺の権限は?」
「要望通りに通ってるわよ、問題ないわ」
「そうか、なら後は当日の楽しみだ」
「楽しそうね」
「こういうのは好きな方だからな」
そう言いながら、お疲れさまと、話し合う研究者達に、私は苦笑する。
(計画に支障なし・・・悪いな琴里、私としては、フラクシナスはともかく、ラタトスクは信用に値しない)
そう思いながら、また缶コーヒーを開けて飲み始める。
せっかくだから、渡されたプレイヤーも聞く、クラシック、オルガンの音を聞きながら、静かに思う。
この中によくアイドルの曲を入れたなと思いながら、苦笑して、明日に備える。
「さあ、楽しみにしてろよ士道」
そうつぶやき、少しだけ悪巧みをするのだった。
だが私だけでなく、他の者もまた動いていたのには、当日驚くことである。
なんかする気の神衣くん、ついでにオリジナル視点で物語です。
色々なことやりますよ、なんて創造に関わってますから神衣くん、色々とバレないようにしてます。
それでは、お読みいただきありがとうございます。