白紙のカード、あの日、園神凛祢の天使で生まれた【城戸真司】を倒して得た物だ。
何故、カードが生まれたのかは、あれは私の願望が、彼女の力を借りて生まれたからと言う憶測は立てられる。
だが白紙なのはわからない。
静かに、そしてただ考える。
これはいずれ、何かの役に立つ、そんな気がする。
「・・・お前が力になってくれるか、凛祢・・・」
ただ静かに、時は過ぎる・・・
電脳空間・始まり
それはある日の出来事だった。当初ある計画がフラクシナスで行われる。
「士道強化計画?」
「そ」
司令席に座る琴里に頼まれ、その計画に情報を提供する予定だが、プログラムなど手を貸せたので貸した。元々その手は強いのは琴里達の前で見せていたので、度が過ぎない程度に手を貸して、このプロジェクトに参加した。
内容は顕現装置を使い、電脳世界で疑似体験、精霊とデートする。
そのために、色々、準備した。
「それで、士道は」
「もうそろそろよ、先にカプセルで電脳世界で休んでる?」
「そうさせてもらうよ、電脳世界ってものに、興味があるからね」
「うん、わかったわ」
琴里からの許可がおり、私は専用のルームに移動。そこで横になり、電脳の世界にはいるのだが、僅かばかり期待はある。
今回ばかりは琴里には悪いが、色々と利用させてもらう予定である。そのために琴里などに前もって、電脳世界である程度自由に出来るようにしたり、念のための保険も持っている。保険の方は令音さんが言ってきてくれたおかげで、琴里に知られていない。
そして私は電脳世界に先に入り込む。
「・・・ふむ、システムに問題はないな」
町並みは天宮市そのものであり、NPCとしてのキャラもいる中で、私は士道が来るのを待つと、突如士道が現れた。
向こうとこちらの時間の流れは違う、これも計算内である。
「よお士道」
「神衣、先に来てるってこういうことか」
「そういうことだ、これがフラクシナスの技術と、俺が提供した情報を元に創り出された仮想世界だ。気分はどうだ?」
「気分って言われてもな・・・」
「微かに天宮市にはない出来事も入れてみたが、カフェとか、店とか」
「自答販売機缶コーヒー専用ってなんだよ!?」
そんなことを言いながら、辺りを見て回ると、一人の男性とぶつかる士道。
「あっ、すいません」
「あっ、ごめんごめんっ。こっちも急いでたから」
「なにしてるの早くして、もうすぐ時間よ!!」
「わかりました!!」
そう言って、カメラと機材を持った男女が去っていく。その様子にへえと驚いている。その光景を見ながら、私は内心まずは問題ないようだと思いながら、町中を見渡すことを提案する。
「しかし、まるで本当の天宮市だよな」
「そういうものにしたんだ、ここからお前用に色々イベントも用意した。ヤンデレルート、士織ちゃんルート、本当に女の子になるルート、謎のバトルロワイヤルルートなど様々だ」
「ちょっと待て、ヤンデレとか、士織ちゃんルートってなんだ!?」
乾いた声で、震える士道。別に気にしないで欲しい。
別に鳶一折紙に監禁されたり、度が過ぎた精霊が謎の空間に幽閉したり、本当に女の子になったりするルートだが、言わないでおこう。
大変だった。
「とりあえず気にする・・・ん? あれは」
「おい神衣!? こっち見ろ神衣さん!!」
「いや、少し待て」
その時、一瞬見たこともない白いワンピースの少女が見えた。
それに疑問を持ち、私はそちらを見続けた。さすがに士道も気づいて、首を傾げた。
「どうした?」
「いや、NPCに知らない子がいたから」
「知らない子って、さすがに全員わかるのか?」
「特徴的な子は分かる、あれくらい特徴的な子なら覚えているはずだが、少し様子見に行くか」
「ん、わかった」
二人してその子を追いかける。
するといつの間にか人気が無くなり、その子と出会う。
白い、無機質な少女と、
「君は」
「・・・」
「・・・」
士道は疑問に思い、私はその子と見つめ合う。
そして、そっと優しく、頬に触れた。
「か、神衣!? なにしてるんだよ!!」
「いや、触ったらどうかな? と思っただけだ」
「だからって女の子にいきなり」
「まあ普通はな、だがここは電脳の世界だ。俺にとっては娘のようなものだ」
「・・・」
撫で撫でモフモフされている少女はなにも言わずにこちらを見ていて、私もつい楽しくなる。
専門がほとんど触れれば死ぬのが目に見えていたのだから、だからこれはおもしろいなと思っていた。
そしてら、静かに澄み切った瞳でこちらを見る。
「五河士道、神崎神衣」
「ん?」
「?」
「貴方達に問います『愛』とはなんですか?」
そう言われたとき、なんだ?と思いながら、撫で撫でしている。
士道は?マークが浮かんでいると、
「なにしてるの神衣兄!!」
琴里がスカートだろうと気にせず、私の頬にドロップキックを放った。
さすがに命中して、すぐに襟を捕まれる。
「お兄ちゃん? なに平然と女の子のほっぺ触ったりしてるの? いつ士道みたいなダメ人間にランクダウンしたの?」
その目から光が消えていて、新たに現れた中から、四糸乃もまた、目から光が消え、僅かに空間から温度が下がる。
よしのんも怖い。
「琴里、NPCに対して嫉妬はどうかと・・・士道ならともかく、俺の場合はどうだろうか?」
「うるないよお兄ちゃん」
「琴里、琴里のお兄ちゃんは俺だよな・・・」
そんなやりとりの中、他の精霊達と共に、時崎狂三や鳶一折紙まで来るのに、少々真剣にならなければいけない。
そしてすぐに司令官モードで振り返り、白い少女を睨む。
「それと、どうやらあんたみたいね不法侵入者さん」
「不法侵入者? フラクシナスはハッキングされたのか?」
その言葉に琴里は頷く。どうも自分達はいまログアウト不可能な事態になっているらしい。
そんな中、それを仕掛けた人物が自分達も招き入れて、何かするつもりのようで、それがおそらく、彼女の仕業らしい。
「君が?」
「・・・」
無機質な少女は反応は無く、静かにたたずむ。
「えっと、君は・・・」
「五河士道、愛とはなんですか?」
そう聞き返されて、彼女はなぜか、愛と言うものを理解しようとしている。
それに各々が、各々の答えを出す中、私は考えていた。
どうもバレている訳ではない様子だが、まさか、
(フラクシナスの最も浅いセキュリティー部分が狙われたか・・・)
フラクシナスのセキュリティーは、この電脳世界が一番低い。低いと言っても顕現装置と言う、他の比較できないレベルのものだ。そう簡単にハッキングなどできない。
それを考えながら、少女はこちらを見る。
「神崎神衣、貴方にとって、愛とはなんですか?」
「そんなものはない」
即答して、私は色々と考える。
その答えに、少女は少しだけ、反応した。
「神崎神衣にとって、愛とは無いものなんですか?」
「ん、いや・・・少し言葉足らずだな。愛なんてもの、答えなんて、ない。それが俺の答えだよ」
「?」
私は区切りながら答えた。それに食いついたのか、袖を掴む少女。
「どういう意味ですか?」
「人にとって愛なんて言葉は曖昧なものだ、家族愛、姉妹愛、兄弟愛、同姓愛、独占欲、保護欲、言ってしまえば千差万別。誰にでも愛はあるし、無い者もいる」
それがライダーバトルを裏で見続け、研究した私が知る答えの一種だ。
その問いかけに、真っ直ぐに見てくる。
「貴方にとって、愛は多くあり、無いもの・・・興味深いです」
「神衣さんは現実主義と思ってましたが、存外と詩人家さんなんですね」
狂三がくすくすと笑い、他のもの達も感心している。
俺らしく無い、私の答えがまずかったかと少し思う中、まあどうでもいいと切り捨てておこう。
「私は愛が知りたいです」
そしてこれが、白い彼女との出会いである。
「五河士道、神崎神衣、私に、愛を教えてください」
「了承した」
「折紙さん!? なんで連れて行こうとするの!?」
「鳶一折紙!? シドーになにするつもりだ!!」
「士道、死ぬな」
「ところでお兄ちゃん、私、お兄ちゃんとお話ししたいな♪」
「わた、しも、です」
『覚悟できてるお兄ちゃ~ん~』
「・・・あれ?」
死ぬかと思った。何があったか思い出したくもない。ああ言うものは士道の担当のはずだ。
深夜の電脳世界を歩く、缶コーヒーが切れた。買い出しに出向く私は、公園で一杯飲むつみりで足を運ぶ。
すると、
「くすくす」
そう聞こえ、振り返れば、月明かりの下、黒い少女と出会った。
「・・・君が侵入者かい? もう出てくるとは」
「あら? 気づくの」
「ああ、あの子は違う。イレギュラー辺りだろう?」
「そうね、その通りよ」
侵入者はあっさりと認めて、私の側に近づく。
その姿は黒い服装だけでなく、持っている感情らしきものが違う雰囲気だが、白い少女とかわらない、姿格好をしていた。
黒い少女は月明かりの中でこちらを見つめる。
「どうやら、権限は貴方も少し持ってるのね」
「さすが、よくわかる」
電脳世界における、支配者とも言える権限をいくつか所持している。それを見抜かれながら、私は彼女を見る。
よくできている。感情と言うものを感じながら、僅かに好奇心が刺激されていた。
「そうだ、俺と勝負しないか?」
「勝負?」
少女は怪訝な顔でこちらを見る。私はシナリオを考えながら、少しばかりハードではあるが、可能だろうと判断して、持ちかけた。
「簡単だ、君は戦艦フラクシナスの支配権を手に入れたいのだろう? 俺が持つ権限、この世界からのアクセス権が欲しいはずだ」
「・・・」
なにも言わず、何を考えているか思案している様子で見ている。
それを見て、ますます思う。
「なにが望み?」
「君が欲しい」
そう、願望を口にする。
それにははあ?と呆れている。面白い。
「あんた趣味悪いわね」
「俺は少しばかり学者でね、君のようなAI、いや、もういい、君が欲しい」
そう言いのけたとき、凛祢の顔がよぎる。
だが気にせずに、少女を見る。
「勝負方法は、戦艦フラクシナスの主導権を君が先に手にして、フラクシナスを使った事件を引き起こし、君の黒幕のシナリオが通るか、我々がそれを阻むかで勝敗を付けようか?」
「いいの? すでに勝敗は決してるわ」
「むしろ俺の方が聞きたいな」
その話し合いにくすくすと笑いながら、ニヤリと笑う。
「いいわ、できるものならやってみなさいよ」
「ああ、望むところだ」
そう呟きながら、月明かりを踊るように服を翻し、静かに去っていく少女。
その反応、感情表現。私の世界でも知り得ない技術。
「私の悪い癖だ、だが仕方ない」
電脳の世界、月の明かりの下で、私は笑う。
「さあ戦いを始めよう、私を阻めるのは、最後の一人のみだ」
これが電脳世界の初日、開戦の始まりであった。
神衣くんの欲望爆発、女の子欲しい宣言。
そんな中、まじめな話もしますよ。
ちなみに琴里と四糸乃的には、彼は完全な兄です。士道とは違った意味での大事な異性ですので、二人を不機嫌にしました。
お読みいただきありがとうございます。