デート・ア・無限サバイブ・鏡像の戦士   作:にゃはっふー

26 / 51
 集められたデータの中、整理している少女。
 ここしばらくの間、彼らから感情を学びながら、それを眺めている。

「?」

 一つだけ、見知らぬデータがあった。
 誰かの記憶である。
 誰かが分からない、名前が無いデータ。
 彼女はこれも『愛』を知るための一環として、そのデータを見る。



「貴方、今日も満点よ」
「そうか」

 少年がテストの点数を親に見せる。

 母親は大喜びであるが、レポートらしき紙を持つ父親は見向きもせずに、告げた。

「私の子供なら当然だ、完璧でなければ意味がない」

 そう告げて、彼は研究所へと帰っていく。

 母親は困った顔をしていたが、少年は気にしていない。

 完璧でなければいけない。そう知りながら、完璧として生きることを決めた。



「・・・これは、誰の記憶?」

 少女は首を傾げながら、その記憶を自分の中にしまい込んだ。


電脳空間・初日

 電脳世界の中、私はぼーとしていた。

 はっきり言うが、私にとっては暇でしかない。

 電脳世界で士道が精霊とデートしているようだが、その期間、私はやることはないため、空間を歩く程度のことはしている。

 と、

 

「神崎神衣」

「或守」

 

 或守、白い彼女の名前、それにはいと答えながら、静かに近づいてくる。

 

「神崎神衣、貴方はここで何をしているのですか?」

「何もしていないよ或守、君は」

「私は五河士道達を見守ってます。愛を知るために、神崎神衣も、愛を私に教えてください」

「俺が愛? 生憎と相手はいないよ」

「そうですか? 五河琴里や四糸乃やよしのん。その他の精霊とも仲がいいと結論で出ています」

 

 そう言われても困るが本音だ。

 簡単な例を言えば、十香とデートしたら最後、鳶一がどんな風にはやし立てるか分からないからだ。

 精霊達と接する際、確かに二人っきりになるときもある。買い食いなど、買い物も共にしたりする。

 フラクシナス側にとっても、一般人とのスキンシップは歓迎であるため、士道のデートのような扱いで、彼女達と触れ合う時がある。

 私の場合は、選択肢は無い。一般人による、一般人の反応に慣れてもらうためだ。

 好感度を上げると言うより、一般人との触れ合い目的での友好関係を上げる目的であり、士道のように、愛情のためのことはしない方がいい。

 なにより、する気がない以上、本人に悪い。それが最終結論だ。

 

「悪いが俺は参加しないぞ」

「ですが、私は愛が知りたい。神崎神衣、貴方の愛が知りたいです」

 

 そう彼女に言われ、はあとため息をつく。

 なら仕方ないと思いながら、その手を取る。

 

「なら、俺とデートするか、或守」

「? 精霊ではなく、私とですか?」

「ああ」

「わかりました、愛を知るために、私は神崎神衣とデートします」

 

 そう言ってから、彼女と共に町を歩く。

 色々なものがリアルにできている中、私達は見て回り、歩いている。

 

「・・・神崎神衣」

「なんだ?」

「これは、デートですか?」

「散歩だな」

 

 そう簡単に返す、彼女は散歩ですかと呟くが、嫌と言う訳ではない。

 散歩もまた、デートだろうし、問題ないらしい。

 こうして夕暮れまで彼女と過ごしながら、静かに日々を過ごす。

 

 

 

「で、どうして私のもとにいるのかな、君は?」

 

 黒い彼女はそう言いながら、私は買い物袋から買ってきたパンなどを取り出す。

 

「夜の町を見ておきたいと思い、こうして出ただけだ。君とはたまたまだよ」

「ふ~ん」

 

 そう言いながら、食べ物を彼女に渡す。

 その時、不機嫌そうな顔になり、こちらを睨む。

 

「なによ、餌付けのつもり?」

「君も『知る』と良いと思ってね、せっかくだ。この電脳世界を楽しむという選択肢はないのかい?」

「貴方はバカなのか、天才か分からないわね。一応、ここの構造に関わってるはずなのに、知るとかって。私はもう、知ってるわ」

「君の知ると、実際知るは違うものさ、俺はそう思うから渡しただけだ」

「・・・ふん」

 

 そう言い、あんパンを食べる。少しもぐもぐしてから、少しずつ食べていく。

 牛乳も渡して、静かに晩餐を楽しむ。

 

「そう言えば、君も或守らしいが、下の名前は無いのかい?」

「・・・鞠奈、或守鞠奈」

 

 そうつぶやき、静かに去っていく鞠奈。

 その様子に少しだけ笑みを浮かべる。

 月を見上げながら、静かに黄昏れた。




 少年は中学生の時、大学に入った。

 大学で少年は、エネルギー論、粒子や光子など、エネルギーに関する学問を専攻していた。

 少年は天才と言われ、完璧と言われ続けた。武術もまた、人並み離れていた。

 そしていつの間にか、妹ができていたが、彼にとってはどうでもよく、自分の実験のみに、研究していた。

 だがある日、

「父さん、確かに分かりますが、与えられた環境下、与えられた資金での、機材購入ですが、どうして貴方が止めるんですか?」
「ふざけたことを言うな!! お前のしている研究は理論は確かに合っているが、実現するはずがない!!」
「それを実現するための機材です、私は研究所内で与えられ、貴方以外の人からの許可も得て、購入を視野に入れてます。明確な理由を仰ってもらえれば納得します」
「うるさい!! お前は私の子供だぞ、いい加減にそこを自覚しろ!!」

 話にならないと思い、少年は引き下がると共に、妹らしき少女とすれ違う。

「お兄さま」
「? どうした」
「いえ、そろそろお兄さまの誕生日です。誕生日は空いていますか?」
「私にそんなものは不要だよ、父さんが機材購入を許可しないのなら、それ無しで研究を進めなければいけないからね」
「えっ・・・で、ですけど」
「どうした? たかが生まれた日程度、私にはどうでもいい、お前もそんなこと考えている暇があるのなら、自分の為に使いなさい」
「お兄さま・・・」

 少女は寂しげに呟き、何事もなかったかのように部屋に戻る。

 そして結果的に、機材無しで時間はかかるものの、彼は研究を完成させた。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。