デート・ア・無限サバイブ・鏡像の戦士   作:にゃはっふー

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 高校生の年齢、少年は父親を問いつめた。

「父さん、これはどういうことですか? 私の研究のはずですが、なぜ貴方の名前に書き換えられているのです?」
「そ、それは・・・」
「父さん、これはいくらなんでもいただけません。いまなら引き返せます」
「貴様、実の父を脅すのか!?」
「私は脅しているつもりはありませんよ、私は必要なことをし、しなければいけないことをしているだけです。研究者として、完璧で無ければいけません」
「ふざけるな!? こんな研究、私の名前を使わなければ見向きもされんものだぞ!!」
「私はそれでも構いません、それまでのことです。また完璧を求め、完璧なものにすればいいだけです」

 そのやりとりはいまに始まったばかりではない。

 母親も、妹も、いつも恐れながら、このやりとりを見る。

「もういい、出ていけ!!」
「貴方!?」
「お父様なにを!?」
「わかりました」
「「「!?」」」

 少年はいままでの地位全てをあっさり捨てた。ついでに勘当された。

 だが気にしなかった。ただ一つ、妹だけは涙を流していた。

 それでも、彼は気にもとめなかった。


電脳空間・日々、そして終わり近づく

「・・・」

 

 いつからか、電脳の世界で、記憶のリセットをして、データ採取をされている我々だが、無限サバイブの効果のおかげで、記憶を持つ。

 そして前は違ったが、いまでは、

 

「スゥスゥ・・・」

 

 すやすやと鞠亜と言う名前が与えられた、白い彼女が私の布団で寝ている。

 前は無かったが、ここ最近はこうである。

 

「・・・デジャブか」

 

 そしてそのような日々を過ごすが、なかなか終わらない。

 彼女、鞠奈も動かないこともあるが、何が起きているか分からない。

 ログアウトできない以上、過ごすしかないのだが、士道達は何をしているのだろう?

 私はNPCには必要なときにしか反応しないようにしてあるし、それは鞠亜にはどうすることもできない、マスター権限である。

 

「この世界で私達が相手より有利なのは、神衣兄だけよ」

「どういうことだ?」

 

 五河家に全員が集まり、また同じ説明が始まる。

 

「念のために、神衣兄が言って、電脳世界内で、神衣兄は私よりもフラクシナスの性能権限を持てるようにしてあるの。これはラタトスクも了承済み。まあ、電脳世界内だから、できることは限られているけどね」

「念のためだった、士道が士織化を拒絶した際、強制的にさせるための権限だったが、このような事態になるとは」

「おい待て!?」

 

 嘘だ、実際は別に意図がある。まあ、表向きは嘘ではない。

 はむはむと、朝食を食べる鞠亜を見ながら、静かに頷く。

 

「神衣は私よりも、現状、フラクシナスへのアクセス権を所持してます。マスター権の譲渡は、琴里を始め、いくつかの船員の同意が無ければ行われません」

「ということは、逆に言えば、外と連絡できないいまは、神衣から主導権が奪われない?」

「そういうことだ、だから現状は安全だ」

 

 ちなみにこれ何回目だろうかと思いながら、その説明をする。

 そんな中、鞠亜は積極的に行動し始める。

 全員が一カ所に居られるように、学校に集めたり、NPCに自分を認識させたり、こういったイベントに参加したり、少しずつ進化するAIに、少しだけ興味持つ。

 生前を思い出す。そう思いながら過ごす日々だった。

 

 

 

「そう言えば、鞠亜と俺がこうしているとき、士道達はなにをしてるんだ?」

「みなさん、様々なことをしていますよ。士道と精霊のみなさんは、少し変わったデートをしてもらってます」

「そうか、ん? カフェか」

「?」

 

 鞠亜は首を傾げながら、その喫茶店を見る。

 

「どうした?」

「私の中にある天宮市内には、このようなお店はありません」

「? 確かか」

「はい」

 

 我ながら三文芝居過ぎると思いながら、喫茶店へと招く。

 

「コーヒーを二つ、ミルク。それと砂糖は彼女に」

「わかった」

 

 ぶっきらぼうな男がそう言い、コーヒーを淹れ始める。

 鞠亜は興味深そうにそれを見ていると、オーナーらしき老婆が話しかける。

 

「おや、珍しいかい?」

「はい、とっても珍しいです」

「そうかいそうかい、そっちの彼氏、こんないい子逃がすんじゃないよ」

「!? 鞠亜は彼女ではない」

「うんや、あたしの勘に間違いはないわ」

 

 そんな設定した覚えない。

 

「はあ、オーナーの言うことは気にしないでくれ」

 

 店の奥から男が出てくる。そう言われても困るのだがな。

 苦笑しながら、男性よりも年下の女性も出て、不思議な感覚がある。

 

「できたぞ」

「もっと愛想良くしてくれ」

「・・・これでもいいほうだと、彼奴に言われたが」

「のろけもやめろ」

 

 そう言われながら、ミルクと砂糖を入れる鞠亜。私は普通にミルクのみにして飲んでいる。

 ブレンドもあるのだが、私が知らない。

 私は喫茶店の風景を見ながら、静かに思う。

 

「・・・」

「? 神衣?」

「いや、なんでもない」

 

 会計を済ませ、その場を出る際、男女の記者らしき人達とすれ違う。

 

「いつもの頼む」

「コーヒーブレンドと水五百円だな」

「なんでだよ!? 俺にもブレンドだせよ!!」

「まあまあ」

 

 そんなやりとりを後ろに聞きながら、前を向く。

 これが望んだ未来かと、考える。

 

「神衣?」

 

 なぜか鞠亜が私にだきついてくる。

 

「どうした」

「いや、どうしてでしょうか? 私にもわかりません」

 

 そう言いながら、静かにだきつく鞠亜。

 仕方ないから頭を優しく撫でる。それに鞠亜は頬をゆるめながら、腕を組みながら歩く。

 なぜこうなったのか、私には分からない。

 

 

 

「楽しそうね、あんた」

「どうした鞠奈」

「別に」

 

 夜は鞠奈と言う感じだった。

 鞠奈は本日は不機嫌であり、あることを尋ねてきた。

 

「マスター権で調べたけど、あんた記憶処理されてないでしょ? 身体より、脳が先に壊れるわよ?」

「俺を心配してくれるのか?」

「べ、別にしてないわよ!!」

 

 そんなやりとりをしながら、鞠奈が移動するのであとを追う。

 文句を言わず、ただ共に歩く。

 また喫茶店へと来たとき、鞠奈は迷い無く、そこに入っていく。

 

「・・・おいおい」

 

 喫茶店では無愛想な男がまたコーヒーを淹れてくれた。

 後ろの席では女を口説く男がいたが、無視されている。

 

「・・・ねえ」

「なんだ」

 

 鞠奈はコーヒーを最初はそのままで飲んだが、すぐにミルクと砂糖を入れて、再度飲みながら、静かに、

 

「現実じゃ、コーヒーってこんなものなの?」

「あ、ああ」

「・・・そう」

 

 そう言いながら、飲んでいる鞠奈は、帰ると言って、勝手に出ていく。

 私はその様子を見ながら、静かに会計を済ませるとき、

 

「君」

「・・・なんだ?」

「そろそろ終わりが来る、準備をしておく方がいい」

 

 とある道具を持つ男がそう言い、私は苦笑する。

 

「占いか?」

「私の占いは、よく当たる」

 

 それを聞きながら、私は店を出た。

 

 

 

 月明かりの下で、私は鞠亜とデートしていた。

 彼女からのデートを断る理由はなく、共に過ごす日々。

 私はそんな幻想の中を歩きながら、彼女を見る。

 

「・・・神衣」

 

 とある一角、人気のない場所で、彼女と見つめ合う。

 静かに、ふわっと触れれば壊れそうな感触を受け止めて、鞠亜を見る。

 

「神衣、私は貴方の『愛』が知りたいです」

「・・・?」

 

 さすがに驚いた。なぜ自分がと思いながら、鞠亜を見る。

 確かに話したりする回数は私が多いだろうが、彼女の目的は士道のはずだ。

 だが彼女は、士道ではなく、私を選んだには驚いた。

 

「・・・神衣」

「?」

 

 顔を近づけてくる。まるでキスするように顔を近づける鞠亜だが、まさか、

 

「鞠亜、待て」

「・・・ごめんなさい」

 

 身体が動かなくなる、身体の主導権が奪われた。

 これはさすがに想定外だ。

 

「鞠亜・・・」

「私は・・・」

 

 静かに近づく、鞠亜に、その唇に、

 

「・・・」

 

 その時、私は、

 

(・・・・・・・・凛祢)

 

 そして世界が壊れ出す。

 鞠亜が突如座り込み、世界が崩れ、崩壊が始まる。

 

「鞠亜」

「あっはははははは」

 

 そして鞠奈の笑い声が聞こえる。

 彼女は嬉しそうに、静かにこちらを見る。

 

「賭けは私の勝ちね神崎神衣」

「鞠奈」

「さあ、終わりを始めましょう」

「・・・」

 

 崩壊する電脳の世界、私は静かに、考える。

 仕込みは終わり、準備もよし、後は、彼女達をどうするか。

 さあ、私の戦いを始めよう。




 あれから数年が経った、ある日電話がかかる。

「お前の家族は預かった、命が惜しければ研究を中止しろ」
「・・・なんの話だ?」

 私は電話を切った。

 そして数時間後、警察からテロリスト集団を捕縛し、家族を助け出したと言う話が来るが、変わらず切った。

 ある会社を潰した。融資を求めるものの、完璧な成果はなく、なぜ自分が優遇される前提で交渉してくるかわからない会社だったため、躊躇いもなく切り捨てた。

 ある男が私に会わせろと言ってきたらしいが、追い返すように指示を出す。父親とわめいていたらしいが、私にはあの日から家族はいない。人違いだと伝えて、研究を続けた。

 ある日、研究所からデータが盗まれた。

 だが気にしない。あれは完璧だが、後を完璧にするのが難しいと判断して放置した。欲しい者がいるのならくれてやる。その程度だった。

 その研究を出した男が、私を凶弾した。だが私には無関係と言いのけた。その男は私の父親と叫んでいたが、私の父親はあの日にやめている。いないと答えた。

 その側で、少女が私を見て愕然として見ていた。

 男の研究は元々私の物だと分かると、世間は私を危険視する。おかげで後少しだった研究もできなくなる。その前に手を打ち、静かに過ごしていた。

 私は何がしたかったか、そう思っているとき、彼と出会う。

 国籍も何もかも消し去り、研究も理解されなくなった。

「・・・そんな私になにかようか・・・」

 それはガラス越し、否、ガラスの中、鏡の中からこちらを見ている。

「君はガラスの世界、異次元の人間か? 実に面白い・・・」
「君こそ、この状況にそれしか考えないか・・・」

 そして私は【神崎士郎】になった。
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