だけど、もう一人の彼が時を戻して、またやり直す。
それでも【彼】は【彼】をやめようとしない。
世界の真理を知り、研究をし続ける。完璧を求めて尚、続けた。
何度目、もう数え切れないほどの繰り返しをした時だった。
ただの家族を見つけだした。
その家族は、優しい雰囲気の中、楽しい家族の時間を過ごしていた。
白い少女は静かに、一粒の涙を流した。
崩れていく空間の中、外から連絡が入る。どうも、フラクシナスが制御を乗っ取られて、いま天宮市に落下しているらしい。
それを聞いても尚、私は冷静だった。
全員が一カ所に集まる。私は鞠奈のことを伝えながら、外と連絡して、あることを伝えることにした。
「琴里、鞠亜はおそらく、フラクシナスのAIだ」
「なんですって!?」
その言葉に令音もまた同意する。
それを聞いた後、現在の制御権は鞠奈が握ってると聞き、しばらく考え込む。
「神衣兄のマスター権を、私と令音、神無月の三人で譲渡。これで何割か制御権を奪い返せるはずよ。できる?」
「分かりました、神衣」
「わかった、制御権譲渡『鞠亜』へ」
三人の承認後、私から権利権を会得した鞠亜はすぐに動く。
鞠奈の居場所、メインサーバーとも言える空間を見つけだして、一時的にだが霊装を取り戻した精霊達と共に、電脳の空間を駆ける。
(・・・下準備は終わった、後はシナリオ通りに進めばいいが)
そう考えながら、私は駆ける。
精霊達は、鞠奈の妨害、鞠奈のコピーによる攻撃から、鞠亜を守るために、二人ずつ残っていった。
十香と鳶一、琴里と四糸乃とよしのん、狂三と美九、耶倶矢と夕弦と残りながら、鞠亜を連れて、士道と私は走る。
「僅かだが、まだ待つマスター権所持が役に立つか?」
「はい、神衣、プログラムロックの解除コードを」
「わかった」
「あっはは、今回の俺って・・・」
苦笑する士道だが、精霊達、残ったもの達のやる気は士道の頼みからだから、役に立っているぞと伝えながら、フラクシナスの電脳空間、奥地へとたどり着く。
(そろそろ終演か)
そう思いながら、そこに鞠奈がいた。
鞠亜は鞠奈にもうやめるように説得していた。それは愛を学んだ故の行動だろうと思いながら、静かにそれを見届けることにする。
「あんたがそう言うなら・・・」
そう呟きながら、鞠奈と鞠亜が手を取り合う。
瞬間、閃光が走り、鞠亜が倒れ、士道が支える。
「鞠亜!?」
「あっはははは、ほんっとバカな子、これで主導権は私がもらったわ」
そう叫んだ瞬間、鞠奈は霊装と思われる姿へと変わり、私を見下ろす。
「これで賭けは私の勝ちね、バカじゃないかしら? 私がいまさら、お父様の願いをむげにすると思ったのかしら?」
「まあ、俺はそう思わなかったがな」
「?」
それに全員が疑問に思う。
外から、中から、突如としてモニターが現れ、時間軸が同時進行になる。
「これは!?」
「鞠奈、賭けは俺の勝ちだ」
「なにを言ってるの!? フラクシナスの制御権は私が持っているわ!! この船を町に落とすことは容易なのよ」
「・・・まず第一に、私は君を信じた、作りだした親を信じる、君の心を」
「!?」
「だからどんな手を使おうと、制御権を取ると理解していた。そして第二に、鞠亜は君を信じると信じた。おかげで、彼との取引条件は満たした」
「彼!? 彼ってあんた、誰のことを!?」
そして静かに、私は喋った。
『途中から彼と私は、同盟を結んでいたということだよ、或守鞠奈』
「!?」
全員が驚く中、すぐにプログラムを作動させる。
『オーディンの名の下に、ライダーバトルの開催を宣言する』
外でフラクシナスを支える黄金の不死鳥、ゴルトフェニックス。
それと共に、電脳空間に異変が起きる。
「祭り会場はここか」
「何者ぞ!?」
「驚愕、空間から誰か出てきました」
「やれやれ、この組み合わせは悪意があるな」
「今度はゲームオーバーしない!!」
「吾郎ちゃん、やっぱ俺のパートナーは吾郎ちゃんだけだよ」
「先生、任せてください」
「ふへっ」
『し、知らない人が突然出てきた~』
「なんなの!?」
「・・・年下しかいないのは嫌みかオーディン」
「君らを助ければ、英雄に成れるのかな・・・」
「あらあら、変な方ですわね」
「ですね、男の人ばかりです~」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「私一人ですが、任せてください」
「援軍?」
「おお、よろしくなのだ!!」
「やれやれ、面倒だが、仕方ない」
「しゃ、俺らの後ろにいろよ」
「・・・オーディン」
『彼らはデッキ所有者だ、お前含めてな神崎神衣』
そう言われ、デッキを手に持つ。
その様子に、鞠奈はわなわなと震え、確認している。
「が、外部から、神崎神衣を通してハッキング!? そんなバカな、顕現装置の処置も何もしてないはずなのに」
『元々、面白そうなことをしていることを後から察していた。黙ったまま彼を通して、見るだけにしておこうと思ったが、存外、面白いことになった』
「そして俺とコンタクトを取ったオーディンと、俺は制約を結んだ」
「制約・・・」
乾く声でこちらを見る。その制約内容は、
「『DEM本社へのハッキングの手助けする代わり、或守鞠奈を手に入れる』」
本当の狙いはラタトスクだが、この際もういい。
私として、俺として、鞠奈を手に入れる。
「まあ、フラクシナスには手を出すなとは言ってあるが」
『問題ない、ゴルトフェニックスで支えている。後は、鞠奈を通して、ハッキングを仕掛けるとしよう』
「!? させない!!」
叫ぶが、オーディンは砕け散る。ゴルトフェニックスには現実世界で働いてもらうこと、本体は外で操作している設定だ。舞台から下がってもらわないといけない。
残ったのは、デッキ所有者と精霊達、そして士道だが、私は振り返り、宣言する。
「悪いな士道」
「神衣」
「今回、精霊救うのは俺にやらせろ!!」
そう宣言する。
士道はそれを聞き、少し黙り込むが、
「ハッ、俺だってやることはまだあるんだ、そう渡せられるかよ!!」
士道の目は俺も諦めていない。その覚悟に、内心苦笑する。
「上等だ、後ろは任せた」
「話は済んだか」
「なら、行くぜ!!」
全てのデッキ所有者がデッキを構える。13人のデッキを持つ者達に、ベルトが出現する。
『変身!!』
そして全員が一斉に姿を変える。さあ、
「戦いを始めよう」
「しゃ!!」
紫の蛇、王蛇が鞠奈の偽物に剣を振るいながら、倒していて、ガイと言うライダーがストライクで貫く。
「な、なんで攻撃が届くの!?」
「知るか」
現在、鞠奈達は電脳空間の、言ってしまえば支配者だ。攻撃があらゆる手段で外れるように設定されている。
だがライダー達の攻撃、サポートでその設定が無効化されているのだ。
王蛇はそう切り捨て、ライアはムチを使い、耶倶矢、夕弦を守りながら戦う。
「疑問、なぜ攻撃が」
「我々の攻撃は、彼女達に探知されないように細工されている。彼女達は自分達の位置空間などに細工して、攻撃が届かないだけで、効かない訳じゃないからね」
『ファイナルベント』
ガイがメタルホーンを構え、メタルゲラスと共に突進する。その様子に、ライアは続ける。
「本来は座標を少しずらしたりするけど、私達の攻撃だけは彼女達は知ることはできない。だから」
「回答、ずらす前に届いてしまうと言うことですね」
「そうだ」
何体も貫くガイ、王蛇も剣を振り回して、蹴散らしている。
だが、
「危ない!!」
耶倶矢が叫ぶ、鞠奈がエネルギーの固まりを、二人に放つ。
「ん? ちッ」
そう盛大に舌打ちして、ガイを盾に防いだ。
ガイは削れたように、分解していて、悲鳴を上げるが、それを踏み砕き、カードを牙召杖ベノバイザーにカードをセットする。
『ファイナルベント』
「ちょっ、あの人仲間盾に」
「驚愕、なんですか」
「元が元だからとしか言えないね・・・」
そう言いながら、ライアもエビルバイザーにセットする。
『ファイナルベント』
現れたモンスターエビルダイバーへと乗り、突き進み、ベノスネーカーで放つ毒液で周りを倒す。
「負けていられないわよ夕弦!!」
「呼応、耶倶矢!!」
風の天使が全てを貫き、王蛇は静かに、
「こんなもんか」
そう呟いた。
「はあ、どうして俺達のところ、子供しか居ないのかな? まあ、将来有望なのはいいんだけどね」
「はい先生」
アビスはストライクで次々と鞠奈の攻撃を牽制し、銃で援護射撃するゾルダ。
炎の斧を振り回す琴里、氷を放つ四糸乃とよしのん。
だが決定打にいかない。
「ん~数が多いね吾郎ちゃん」
「はい先生」
そう言って、アビスと二人を捕まえる。
「えっ」
「!?」
『なにすんのエッチ!!』
「ははっ、ごめんごめん。かわりに一掃するから」
機召銃マグナバイザーにカードをセットする。
『ファイナルベント』
「こういうゴチャゴチャした戦い好きじゃない」
鋼の巨人マグナギガによる一斉射撃、エンドオブワールドが辺り一面に放たれる。
「吾郎ちゃん」
「はい先生」
『ファイナルベント』
巨大な鮫が大津波と共に、放たれる。
それを見た琴里はすぐに四糸乃に指示を飛ばす。凍り付いたところ、琴里が焼き尽くすと言う技を見せる。
「お仕事終わりっと」
「はい先生」
「あの、ありが、とうございます」
『ありがとねぇ~』
「いいよいいよ、大人になったらよろしくね~」
「・・・」
琴里だけ敵意を消さず、ゾルダを睨む。
こちらは無言だった。
「ああもうっ」
頬をふくらまして、美九はぷんぷんと怒っている。
「どーしてこちらは無言な人ばかりですか~?」
「ど~やら、こっちは数合わせのような気がしますわ。私達、どうやらオーディンさんにとって、興味ないようですわね。悲しいですわ」
「ええ~」
「・・・」
『ファイナルベント』
シザースのモンスターである、ボルキャンサーが現れ、後ろに跳ぶ。
ボルキャンサーは両腕を交差して、それを足場に跳び、身体を丸め、弾丸のように回転しながら敵へと突進する。
攻撃を全てはじきながら、無言で蹴散らす。それにもれた敵も、
『ファイナルベント』
ベルデがファイナルベントで捕まえ、倒し、タイガもまたそれで倒す。
数もまた、無言のインペラーのファイナルベントを使い、数で押す。
「あらあら、もういいですわ」
「そうですね、まとめてやりましょう」
そして二人による攻撃も加わるが、問題児四人のライダーの方は気にせずだった。
鳶一と十香が連携して敵を倒し、ファムは彼女達をサポートする。
『ファイナルベント』
「行きます」
「うむ!!」
「了承した」
ブランウイングが突風を放ち、鞠奈コピーを吹き飛ばし、それを三人が一気に切り伏せる。
それにより、全てを倒し切り、満足そうな顔をする。
「ふざっけるなあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
鞠奈は激昂しながら、辺り一面に、光線を放ち、降り注ぐ
だが、ここのライダー達はそれを避けながら、進み、俺はガードベントで士道と鞠亜を守る。
「行くぜ蓮」
「いちいちうるさいぞ城戸」
『『アドベント』』
蝙蝠と赤い龍が飛来し、前へと進む。
鞠奈は睨む。それは黒い戦士になった、俺に対してだ。
「全部あんたの手のひらだったのね」
「ああ、俺は賭けを持ちかけた日、あの日からオーディンと組んでいた」
「あの初日から・・・」
憎々しく睨む中、彼らの接近を許してはいけない。
そう思い、行動を変更した。
「!? いけません鞠奈!!」
「どうした、エンジンルームをオーバーヒートさせて、爆発させるか?」
全員、そう全員。鞠奈を含めた全員が驚く。
だから、タイガがカードを取り出す。
『フリーズベント』
全ての空間が、モニター画像越しに繋がる中で、行動は一人によって統一されている。つまり私だ。
表向きにはオーディンと俺だが、気にせずに行動し続けた。
「!? エンジンルームの温度が上げられない・・・なら、次は」
『五河琴里、武装兵器の凍結する。多少荒いが文句は彼に言うといい』
王蛇は楽しげに笑い、消えて、別の場所で破壊し始める。
それに令音並び、フラクシナスメンバーがオペレーションする。
「フラクシナス武装プログラムに不正アクセス!! それによりいくつかの武装兵器が使用不可レベルまで低下。は、破壊されてます!?」
『なにしてやがるのオーディン!!』
琴里が激昂する。すまないが、これしかないのだ。
戦艦を町に落とす。ゴルトフェニックスで物理的に支えられて不可能。
エンジンをオーバーヒートさせて爆発、それはフリーズで不可能。
武装兵器で町を攻撃、不可能。
次々と鞠奈の手が防がれる。
「くっ、なら貴方達の身体を・・・!!?」
何かする前に、私は姿を見せないままオーディンとして告げる。
『すでに彼らの身体、意識への干渉は私が所有している。悪いが、鞠亜へのマスター権に細工させてもらっている。君が手に入れたマスター権は、使用した瞬間から、君とDEMの関係を悪くするように設定された、ウイルスが仕込み済みだ』
「ど、どうして・・・」
「・・・それはお前を守るためだ」
「!?」
俺を睨む鞠奈だが、気にせずに静かに、
「いい加減に気づいているだろ、お前の親は、お前に愛なんてもの抱いていない。もし失敗すれば削除する。そんな連中だ」
「だまれ・・・」
「だから関係を悪くして、俺がお前を手に入れる。身勝手だが、それしかないと思った、だから」
「黙れ!!」
叫ぶ鞠奈の攻撃を、二人の戦士が盾を構え、防いだ。
マントと赤い、龍の盾。やれやれとナイトは鞠奈を見る。
「俺達もコピーだが、多少はオリジナルの思考パターンを持っている。だからこそか? オーディンとは関係なく、俺はお前の創造主のやり方が気にいらない」
「俺も戦う、君の為にも」
「ふざけるな!! 私と同じ、創り出された者のくせに」
「だからこそ」
「俺達は戦う」
「「最後まで、信念を貫く」」
二人の戦士はカードを取り出す。
一つは蒼い風を舞い上がらせ、黒い騎士は剣を構える。
一つは紅い炎、消えぬ炎を吹き荒らし、赤き龍は、情景を燃やす。
『『サバイブ』』
その姿に、烈火龍と疾風の翼へと変化するモンスター達。
たたずむ二人の戦士、鞠奈は驚く。
「なんなのこのエネルギー・・・霊力が、封印前の精霊より高い!?」
「行くぞ城戸!!」
「ああ!!」
「ふざけるな!!」
鞠奈の攻撃は、こちらにも来るが、ドラグブラッカーと俺が、前に出て防ぐ。
士道にはガードベントを渡してあるため、それで踏ん張りながら防ぐ。
その様子に鞠奈は叫ぶ。
「なんでまだ立っているの!? 神崎神衣!? あんたは何を考えているの!? オーディンなんて、フラクシナスの敵かもしれない奴と、躊躇いもなく協力するなんて」
「意外だろ、だからこそ、お前を手に入れられるし、鞠亜を救える」
「所詮は他人の力じゃない!! そんな偽善」
「偽善だろうとなんでだろうと知ったことか!!」
俺はそのまま走り出す。
「鞠亜を頼むぞ!! 士道、ドラグブラッカー」
「神衣!?」
『ガアァァァァァァァァァァァァ』
吼えるドラグブラッカーと、士道の驚愕。鞠亜はそれを見て叫ぶ。
「神衣!?」
「俺には精霊を封印する力は無い」
攻撃、光線のようなエネルギーの固まりを、ドラグセイバー黒で防ぎ、ドラグクロー黒で叩く。
「俺にできることは考えて動くことだ、なら、やれることをやり、成せることを成すのみだ!!」
「!」
その言葉に、白い少女は悲しくなった。
「だが、いまは違う!!」
「・・・えっ」
白い少女は、彼を見た。
全て、やれることをし、成すことをして生きた結果、無くなった彼を見た。
「俺は神崎神衣!! 或守鞠奈、或守鞠亜を救うのは、俺だ!!」
その言葉に、白い少女の何か、暖かい何かが響いた。
黒い少女はそれを見て、叫んだ。
「黙れ!!」
無数の光線が放たれるが、ドラグブラッカーが前に出て防ぐ。
「行け、神衣!!」
士道が後押しした。
「行け神衣お兄ちゃん!!」
「がんばって!!」
『いっけーお兄ちゃん!!』
琴里と四糸乃とよしのんが応援し、
「かかっ、突き進むがいい、漆黒の龍騎士よ!!」
「宣言、貴方に任せます」
双子の精霊は微笑んだ。
「応援しますよ神衣さん」
「貴方には、まだ生きていてもらわないと困りますわ」
美九は声援、狂三は苦笑する。
「行け神衣!!」
「殿は任せた」
普段仲が悪い二人が、揃って言った。
ならば、
「突き進む!!」
ドラグクロー黒を構え、それは黒い炎を纏う。
鞠奈は叫ぶように、こちらにエネルギーを集める。
「ドラグブラッカー!!」
「消えろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
二人の叫びと龍の咆哮が交差する。
そして、
「お前を、奴から奪い取る」
黒い炎がうち破り、鞠奈を穿つ。
「がっ」
その瞬間、オーディンがという設定のもと、フラクシナスの制御権を取り戻す。
鞠奈はまだ諦めず、制御権を手に入れようとするが、
「ダメです、鞠奈」
突如、霊装らしき姿の鞠亜が現れ、彼女を後ろから押さえつけた。
「放しなさい!!」
「放しません、姉さん・・・」
「!? これは・・・」
二人の間にある記憶が流れる。
交換される記憶、お互いが、お互いの大事な記憶を見る。
そして・・・
傷付き、傷付け、倒し、倒され、殺し、殺され、滅ぼし、滅ぼされ続けた。
何度も何度も何度も何度も何度も。
繰り返した。いつの間にか、彼は無くなった。
そして、見た。
「お父様、早く~」
「こら待ちなさい、あなた」
「わかっている」
幸せそうな家族を、見つけた。
そして、
「俺は守る、そのために仮面ライダーになったんだ!!」
まぶしいほど、変わらない願いを持つ戦士と戦う。
いつからだろうか、どこで間違えた。
どこで、見失った。どこで・・・
「・・・私の、願いは・・・」
完璧でありたい。それが・・・
俺は【城戸真司】
私は【神崎士郎】
虚像であり、鏡像であり、偽物で、紛い物で、間違いで・・・
願いなんて無い、ただの・・・
「・・・あんたは」
穏やかな顔で、鞠奈はその記憶を抱きしめた。
それはもういない、彼の記憶。
白と黒の姉妹は、神崎神衣を見つめた。同じ顔で・・・
「・・・もうダメか・・・」
鞠奈はそう呟く、それと共に、崩壊が始まる。
「これは」
「私の最後の手が発動したのよ。フラクシナスを墜落させたいからね、お父様は・・・」
そう呟きながら、私を破壊しなさいと鞠奈は言う。
「できるわけないだろ」
変身を解き、そう言うが、微笑む鞠奈。
「バカね、そうしなきゃ、みんな死ぬわよ」
「そんなことはさせない」
「そう言うことだ」
そう言ったのは、サバイブの戦士。
二匹のモンスターに乗り、どこかへと飛び立つ。それに鞠奈は驚く。
「私を通して、ハッキングを・・・まさか」
「壊すのは君じゃないってことか」
「・・・それでも、私は消えるわ」
「鞠奈・・・」
そうだ、それをどうする?
考える、まだ諦めない。諦めてなるものか。
その時、一枚のカードがデッキから飛び出る。
「なん」
そのカードの絵柄に、驚愕する。
もしかすれば、あるいはという、不確定な可能性。だが、
「・・・賭けるか」
悪くないと思い、そのカードを手にし、鞠奈へとかざす。
「それは」
「いまは休め、またな」
光に包まれる世界、その世界の中、鞠亜を見つめる。
もう帰る頃のようであり、鞠亜とはこれで最後だ。
すでに士道達も現実世界へと帰還する中で、鞠亜を見つめる。
「言ってしまうのですね、オーディン」
「・・・君にはバレたか」
「はい、ですが、誰にも言いません。これは私だけの記憶です」
それは、私ではない私の記憶。
ただ静かに見つめながら、鞠亜はそっとだきつく。
「貴方はただ、家族の愛を示していただけだったんですね・・・ずっと、いまも」
「・・・どうだろうか」
もう分からない。そんなことはもう分からない。
そんな人物は、もういない。
鞠亜は静かに顔を上げて、静かに唇を重ねた。
「鞠亜・・・」
「私は好きです、神崎神衣、貴方が何者であろうと関係なく・・・『貴方を愛してます』・・・」
静かに微笑み、光が世界を包み込む。
そして静かに、目を閉じた。
蝙蝠と龍、それに乗る二人。
静かに、カードを取り出す。
「派手にやるぞ」
「ああ、手加減はない!!」
『『ファイナルベント』』
電脳の世界で、全て壊す二人の戦士。
そして静かに変化が起こる中、戦士達の仕事は終わりを告げた。
あれから、鞠亜は一時的に士道の携帯に電子頭脳を移して、事なきを得た。
そして、
「神衣お兄ちゃん? 私に言うことがあるわよね?」
「敵を騙すには味方から」
その後もの凄く怒られた。妹が怒るのは嫌なものだ。
だが本当の恐怖は、まだ終わらない・・・
全てが終わり、一息つき、眠りにつく。
柔らかい何かを抱きしめている私。これはなんだと、目を覚ます。
「ん・・・」
それは鞠奈だった。
私は布団の中、鞠奈から離れ、その時、鞠奈は目を覚ます。
「おはよう~」
「おはようじゃない、なぜ俺の家に?」
「はあ? なにその三文芝居? あんたが契約モンスターもとい、契約精霊にしたんでしょ?」
「・・・そう軽々しく言わないでくれ」
そう、あの時、私は鞠奈にコンタクトを使用。鞠奈と契約した。
結果、鞠奈はこのように、現実世界、電脳世界、そしてミラーワールドを行き来する存在へと昇華した。
鞠奈にも全てバレてしまったが、問題はない。
だが、
「だからと言って、そう軽々しく」
「あんたの物よ私は、なにされたって、文句言わないわよ・・・」
そっぽを向きながら、頬を赤く染めて言う鞠奈。
だが、
「そうだな、可愛い娘ができたようだ」
「・・・」
「・・・鞠奈?」
なぜか不機嫌な鞠奈、その時、バーンと扉、玄関が開くと共に、部屋の扉が開く。
琴里が携帯を片手に、わなわなと震えていた。
「お兄ちゃん? オーディンの仲間と朝っぱらなにしてるの? メールが来た時驚いたんだけど」
「おにい、ちゃん・・・おはなし、して、ほしいです・・・」
『ヒュ~修羅場だよお兄ちゃん・・・』
「ふん」
そう言ってから、私の首にだきつく鞠奈。鞠奈はその気になれば機材使わずに、メールなりなんなり使える。だからだろう。
どう説明したか知らないが、携帯を握り壊す琴里は炎を、四糸乃は氷を纏う。
おかしい、こういうのは士道の役目のはずだ。
「あんたが悪いの、反省しなさい」
鞠奈はそう微笑み、私は静かに思う。
(これが日常の苦労か・・・難儀だ)