そんな中で手に入った神崎神衣と言うこの存在、そして多くの私を知る者達。
私は神崎神衣、精霊を研究するオーディンであり、友人でもある者。
夜飯を作ってあげながら、鞠奈は玄関を開けた。
「って、なんでいんの!?」
「べ、別に良いでしょ、八舞耶倶矢こそ、どうしたのよ」
エプロン姿であり、私は缶コーヒーも飲まずに食事が出来るのを待っていた。
それに驚く中、鞠奈は頬を赤くして、調理に戻る。
「か、神衣、お願いがあるの・・・その」
「デートの助言か?」
「・・・」
色々と要望を聞く中、鞠奈も興味在るのか聞き耳を立てている。
ゴルトフェニックスやドラグブラッカーも見守る中で、私も苦手意識があるが、耶倶矢の意志を第一にして、話を聞く。
「まず耶倶矢、お前の持ってきた参考書は一年前のだ、もう使い物にならないぞ」
「えっ、ま、マジで!?」
「それと、そう言うもの参考にするのはいいが、耶倶矢らしさがいいだろうからな、変に背伸びせずに、普通にデートしたらどうだ?」
「ふ、普通って」
「耶倶矢らしく、考えて動けばいい。とりあえず、オシャレでマナーを気にしない洋風の店を選んで渡すから、それから考えて、プランを決めるんだな」
「あ、ありがと神衣・・・」
静かに値段もそこそこで、オシャレなレストラン。無論、色々と裏を見たりと、精霊など、監視役など関係なく、ただの人としてのデートを意識して、そうなるようにしてやる。その程度でいいと思いながら、耶倶矢にお店などを教えて、分かれる。
その様子を見ながら、食事の準備をしている鞠奈。
「意外ね、あんたなら、フラクシナスの息がかかってる店とか勧めそうだけど」
「今回は問題ないさ、俺がどうこうすること事態、もはや無意味」
「五河士道のこと買いかぶりじゃないの?」
「いや、それはないさ」
そう言いながら、食事を見る。よく煮込まれたシチューであり、鞠奈はサラダも置きながら、前に座る。
「精霊と結婚するなり、なんなりしろとか言う話なら心配したが、ただ精霊の力で悪用する者か否かを決めるだけの問題なら、俺は士道は問題ないと思っている。ただの流れ作業、気にかけること自体無意味。俺はそう結論している」
「ずいぶんね、審判でギルティーってこともありえるのよ?」
「無い」
いただきますと言い、シチューを食べる。うまいとちゃんと伝えると、少し目線を逸らしながら、嬉しそうに続く鞠奈。
「俺が危険視されても仕方ない、俺はこの世界では異物でしかない。だが士道は違う、俺は彼奴なら問題ない、むしろ妙なことしなければ問題ない。ただ過ごせばいい、もはやこの事件は終わりを告げている」
「・・・ホント、自信満々ね」
「・・・似ているからな、俺を、神崎士郎である俺達を止めた者達に」
そして静かに、
「問題ない、俺は士道を、精霊達との関係を信じる」
「・・・そう」
そう言いながら、一日過ぎる。
鞠奈は自宅待機を頼み、オーディンとして万由里の方を見に行く。
「ついていくのはありなのか・・・」
デートの邪魔はしていない。二人っきりなのだが、その後ろから様子を見る精霊達に、少しだけ呆れている。
鏡の中からそれを見ていて、万由里はそれを静かに見ていた。
こちらに気づいているらしく、少しだけこちらを見る。
「貴方は五河士道を信用しているのね」
「・・・信用してると言うより、考えられないだけだな」
鏡からそう声を出しながら、腕を組み、ゴルトフェニックスの力で浮遊する。
ビルの屋上から見ている万由里。そんな状態で静かにしていた。
「考えられない?」
「時々、私は彼奴が烈火、城戸真司。疾風、秋山蓮のように思える。私を唯一倒し、阻める者達。彼らは諦めない、悩み、立ち止まることがあるが、諦めることだけはしなかった・・・彼奴は彼らに似ている」
「・・・」
「だからこそ、私は信用できる。始めは、覚悟を決めなければ殺し、その仕組みを知ろうとはしたがな」
ただ偽り無く答える中、万由里はそれを聞く。
こちらも監視対象だが、気にしない。
「貴方は、もしも自分が有害と判断されたら、どうする?」
「抗うさ、私の目的は世界を知ること、真理を知る。だが・・・」
鏡の世界の空と、現実世界の空を見ながら、万由里を見つめる。
「いまはただ、精霊達の平穏な日々と言うものを見ていたい。いや、関係ないな」
少し言葉足らず、というより、理解できない。
凛祢の顔がよぎる中、静かに、
「十香達が生きていれば、もうそれでいいさ」
そう、いまはそう思う。
「それならば研究ははかどるからな」
「・・・」
それを静かに聞きながら、士道を見続ける監視者。
「貴方のことがよく分からない」
「私は一度、消滅した。意味も無いことに執着していたから、仕方ないだろうな、だが抗う時は抗うよ。ただ一つ言えるのは、精霊の敵にはけしてならない。私の敵は、精霊の敵、己の欲望に気づかない者達だけだ」
そしてデートもそろそろおいとまするかと思い、背を向ける。
「正直に言う、士道の監視は無意味だ。彼奴は、問題ない」
そう告げて去る中、万由里は静かに、ガラスを見つめていた。
耶倶矢のデート成功にて、球体内の耶倶矢に似た霊力が安定したと言う話を聞きながら、二日目。今度は美九だが、美九らしく、士織モードでのデートである。
苦笑しながら、万由里を見ていた。
「・・・ねえ」
「ん?」
万由里はその様子を見つめながら、彼もまた監視する。
「貴方は何故、城戸真司になろうとしたの?」
「・・・」
その言葉に黙り込むが、静かに思い返す。
「確かに、私は城戸真司を危険視した。あの男はタイムベント、繰り返しに対抗し始めたのもあった。だが本当は」
その日、ある家族を見た。幸せそうに娘、難しい顔で手を繋ぐぶっきらぼうの父親、それに苦笑する母親。
その様子を見た時から、城戸真司の言葉が、存在が目障りと思えていた。
だからこそ、奪い取ろうとした、その力を、奴自身へと変わり果てて、その姿、力を手に入れようとした。結果、リュウガが不規則な形で生まれ出す。
だが実際は、
「本当は、私はもう見失っていたのだろう。神崎士郎になる前から、私は私と言う存在が無くなっていた。だから存在を求めた、偽りでも紛い物でもいいから、存在が欲しかった。だが、結局それすら諦めたら、私は神崎神衣になっていた。というわけだ」
「・・・」
その話を聞きながら、今度は彼女の方が先に去る。
様子を見つめながら、私もまた帰っていく。
実は精霊達から色々と相談されたりするが、気にするななど、深く考えるなと言うことしか言わない。
それ以上、士道や彼女達の関わりに、関わるのは無粋だろう。
問題ない、彼らとの絆は信用できる。
「で、無ければ先に私が士道を殺していたからな」
そんな裏表無く答えながら、球体を見続けていた・・・
解析結果、誘宵美九の安定を確認。それをフラクシナスのモニターでみんなが安堵していた。このままなら問題ないと、全員が思う。
「しかし、神衣くんの手助けは雑に見えて、的確ですね。どこかの人と違いますよ司令」
「そうね、どこかの副司令官とはえらい違いね」
「ああ♪ みなさん、そんなにほめないでくださいよ♪」
そうくねくねと動くそれに、嫌悪を抱いた際、モニターから目を離す。
その時、一瞬、ノイズが走ったことに、誰も気づかなかった・・・