デート・ア・無限サバイブ・鏡像の戦士   作:にゃはっふー

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戦う理由はけしてブレません。世界、精霊とは何か?
それだけを知る、それ以外に彼は戦いません。
ではどうぞ。


鳶一タイム
第18話・騎士の覚悟


 休み時間、それは突然現れた。

 水晶のような瞳、長いポニーの黒髪、夜刀神十香。

 彼女が突如、隣のクラスから流れ込む。

 

「どうした十香?」

「神衣、士道を知らぬか!?」

「?」

 

 話を聞きながら、その時、インカムからも連絡が入る。

 士道の行方が分からなくなった。

 話によると、鳶一折紙が突然転校になり、それを聞いた士道が飛び出したらしい。それを聞き、少しばかり焦る。

 ともかく表面上、十香達を何事もなく過ごさせるが、時折隙を見てはモンスター達を町に放ち、士道を捜索する。

 

(抜かった・・・士道のあの性格は、精霊だけでない)

 

 鳶一折紙、士道に好意(かなり重度)を抱き、盗聴器と発信器を独自に設置する我が校の美少女の一人。

 士道の日常が彼女に把握されていても気に止めるほどではないので無視している。

 無視できないのは、彼女の両親は精霊に殺され、彼女は精霊を殺す事を人生の生きる活力にしていると言う事態。一時期私は破棄しようとしたが、現状できない。

 私自身の考え方もそうだが、いつの間にか、鳶一は士道達の友になっていたのだ。もうその関わりを断ち切れない。

 できるのは、多生の暴走を止めてやることだけだった。まあ、私物の回収など止める要素もなく、放置していた。

 だが、今回はどうだろう?

 いま考えれば彼女の立場を考えていなかった自分がいる。彼女はすでに命令違反を度々しているため、どう言ったことがあっても不思議じゃない。

 そして彼女はその原動力により、危険度の高い顕現装置を使用できると言うスペックを持つのだ。

 嫌な予感がするなと思いながら、士道を考える。

 

「・・・まあいい、流れに任せるか」

 

 独り言のように呟く、その通りであり、いま万由里も鞠奈もモンスター達を指揮して探してくれている。

 いま俺はノートくらい取るくらいか・・・

 

 

 

 現在、五河家への帰路。美九に遭遇中、

 

「さあ、挨拶ですよ十香さん♪ この胸に飛び込んでくださいな」

「待て十香、そんな挨拶ないからな。美九、十香をからかうな」

「ああん、ひどいですぅ。ところでこの前の士織さんの写真集はまだ完成してませんか神衣さん?」

 

 とこのように、異常な子に成りつつある美九に、目線を逸らす。

 最近は何も知らない十香に抱きついたりと、色々とスキンシップが強めであり、苦手なはずの男性も、何か、

 

「・・・もうどうでもいいです、ですから神衣さん、これください・・・」

 

 ハイライトが消えると言う言葉が似合う美九の顔で、士織の写真を求めるようになりながら、もう何も言えなくなる。最近、重度の愛情を持つ過去のライダー達を思い出す機会が増えている。

 そんな思いにふけっていると、美九はすでに五河家を訪問していて、士道がいないことがバレてしまう。

 そして鳶一が転校と聞き、推測が正解にたどり着く。

 

「ダーリンのことですから、折紙さんに捕まって、今頃は・・・ああっ、ぜひ混ぜて欲しいです!!」

 

 聞かなかったことにして、

 

「ともかく落ち着けみんな、とりあえずいま」

 

 その時、空間震警報が鳴り響く。

 それに驚きながら、ミラーワールドから反応が鳴り響く。

 

「ドラグレッター!? ダークウイング!?」

 

 この反応は違う。

 

「ん? 新たな精霊か?」

「違う、これは人為的に鳴らされたもんだ!? まさかこれは」

 

 そして、

 

「・・・」

 

 顕現装置、精霊達と対抗する武装を纏う、彼女、鳶一折紙が、姿を現した・・・

 

 

 

「鳶一折紙!?」

「下がれ十香ッ」

 

 そう言って前に出て、デッキを構える。ベルトがまかれ、静かに対峙する。

 その反応に驚く精霊達だが、鳶一折紙が静かに、

 

「なぜ」

「?」

「貴方はなぜ、精霊の味方をする?」

「・・・愚問だ、俺がそうすると決めただけだ」

「精霊は世界を壊す、貴方のその力があれば、世界を救える」

「・・・鳶一」

「鳶一折紙?」

 

 十香は怪訝な顔をしながら、その様子、いつもの様子と違うことに気づく。

 それに精霊達も気づく中、モンスターが二匹現れ、精霊達を守るように立ちふさがる。

 

「ちょ、神衣!?」

「疑問、どうしたのですかマスター折紙!?」

「冗談にしてはひどいぞ!?」

「冗談ではない、私は、精霊を倒す」

「変身!!」

 

 ナイトに成り、すぐにサバイブが発動し、爆炎と共に、紅く染まる騎士を睨む。

 その瞬間、モンスター達も強化され、精霊達を連れて行く。

 

「待て神衣!?」

「そのまま安全なところまで連れて行け!!」

「させない!!」

 

 エネルギーブレードと剣がぶつかり合いながら、鳶一は俺を鋭く睨む。

 

「貴方が何故精霊の味方をするか理解できない!? なぜこんなことを」

「俺の方こそと言いたいが、ここ最近、少しだけは理解できる・・・」

 

 剣と剣がぶつかり合いながら、後ろから悲鳴のような声が聞こえるが、無視して二匹に任せる。

 向こうは空を飛び、空中戦に持ち込みつつ、こちらを牽制しながら戦う。

 

「貴方のその力があれば精霊も容易く倒せる、それが多くの人達を救う」

「違う、そんなことしても意味は無い。いい加減にそれを理解しろ」

「ふざけないで」

 

 そう言った途端、無数の弾幕が放たれるが、ドラグランザーがいないいま、ガードがこの盾とマントしかない。

 マントが硬化して、幾分かマシだが、攻撃を防ぎながら、空を飛ぶ相手を殺さずに戦うのは無謀過ぎる。

 

「精霊は世界にとって害しかない、それをなぜ理解できない?」

「いい加減にしろ、そう言っているのは精霊、空間震で誰かを失った者達だけだ。そしてそれを利用されているとしか、俺は思えない」

「なに?」

 

『トリックベント』

 

 偽物が何人も現れ、壁を蹴り、跳び、そんな風に対処する中で、俺は叫ぶ。

 

「精霊の中には元々人間がいる以上、精霊は消えない。なにより、どこのどいつが精霊を倒せば世界が平和になると言った? その理由は、明確な理由はあるのか? 無いだろ!!」

「精霊がいる限り、空間震が起きる!! それだけで」

「足りないな、そもそも精霊がなんなのか分からないと言うのに、なぜそう断言できる!!」

 

 ユニットへの攻撃が届かない。それでも、戦いは続く。

 弾薬の嵐を抜けながら、鳶一折紙がこちらを睨む。そして、

 

「貴方が精霊の味方をするというのなら」

「俺も倒すか? それが世界の正しい答えか?」

「私は」

「お前は両親を殺された事を利用されているだけだ!! だがお前は知っているはずだ、十香達精霊が、無害だと言うことに」

「!!? 黙れ!!」

 

 攻撃の嵐が激しくなる。

 もう周りを気にしていない中、アドベントでモンスターを呼び、空中戦に備えたいが、精霊達の身が第一。単体で挑み続けるしかない。

 

「悪いが、俺はどかない。彼奴が、士道がお前を救う」

「士道・・・彼は来ない」

「来るさ、あのバカが他人が、ましては友達が泣いているところに来ないのなら、俺が殴る」

 

 それまで持ちこたえればいい。

 

 ただそれだけだ。

 

「さあ、俺は倒れないぞ。もう決めた、俺は俺の戦いを続けると決意した」

「・・・なら」

 

 静かに顔を上げる鳶一折紙、その顔は、歪んでいた。

 

「貴方を倒して、その力を回収する」

「させないさ」

 

 本気の戦いの中、その時、一降りの剣が振り下ろされた。

 それに驚愕する。

 

「十香!?」

「!?」

「・・・悪いが、お前にだけに任せられない」

「・・・精霊」

 

 静かに睨んでくる鳶一に、十香は静かに、その姿を見せる。

 それはまさに、

 

「霊力を取り戻したのか十香」

「ああ、生半可な力では、止められない」

「・・・なにを」

 

 静かに剣を構えている十香は、

 

「昔の嫌いと、いまの嫌いは、少し違う・・・全力で行く、死ぬなよ、折紙」

 

 その言葉を聞き、静かに苦笑する。

 

「行くぞ十香」

「うむっ」

 

 二人の猛攻の前、鳶一は歯を食いしばるが、

 

「俺に力を使いすぎたな鳶一!!」

 

 ユニットからアラームと煙が出る。それに十香のために、二つの剣を構え、一部を刺し壊す。

 その瞬間、剣をたたきつけた。

 地面に激突して、吹き飛ぶ鳶一に、二人はやっと一息ついた。

 

 

 

「二人とも!!」

「驚愕、十香、神衣その姿」

「お二人とも、とくに神衣さん!?」

「神衣!?」

 

 変身が解けると共に、吐血と血が流れる。

 やはりと言わんばかりに、仕方ない。

 

「流れ出る攻撃力やら、弾幕を防いでたからな・・・町の被害は、無いか」

「血ぃ、血出てるって!! 生身の人間なんだか無理しないでよっ」

「呼応、耶具矢の言うとおりです、さすがに怒りますよ神衣」

「そうですよ神衣さん、ぷんぷん、です」

「そうだ神衣っ」

「ったく・・・」

 

 精霊達に文句を言われながら、鳶一の方を見る。まだ土煙が晴れない。

 

「質問、マスター折紙は」

「問題ない、剣の腹で叩いたからな。死ぬことはないだろう、確かテリヤキーってものが、あやつらの周りにあるからな」

「・・・訂正、随意領域(テリトリー)ですか?」

「そう、照り鳥ー(テリトリー)だ」

『・・・』

 

 双子の精霊が何か疑問に思うが、

 

「いいか十香、照り焼きの照りと、鳥の鳥で照り鳥ーじゃないからな」

「ん? そ、そうか!?」

「なぜ分かるの神衣!?」

「戦慄、驚きです」

「いいですね~神衣さん、十香さんと仲良くて~」

 

 そんなわいわいする中で、怪訝な顔をして周りを見る。

 

「・・・おかしい」

「? 疑念、どうしたのですか?」

「ここまで派手なことをして、琴里、フラクシナスが何もしない。琴里達にも何かあったのか?」

 

 それに聞き、みんなが驚く。

 一斉に電話などするが、応答はない。

 

「ともかく、いまの状況だと色々まずいな。耶具矢達・・・」

 

 その時、妙な力を感じ、十香と共に振り返る。

 突如、煙を払い、光と共にそれは現れた。

 光り輝く、純白の衣装に身を包む、鳶一折紙。

 

「・・・へん」

「待て、これ以上神衣は戦うな」

 

 十香が止めにはいるが、それに首を振る。

 

「俺は士道ができないことをしなきゃいけない、お前らと鳶一を争わせたくないんだ・・・だから頼む、十香」

「神衣・・・」

「他のみんなは自力で逃げてくれ、今度はモンスター無しはきつい」

「・・・分かった」

 

 半精霊達はそう頷き合い、飛び去る中、十香と共に残る。

 その姿は烈火のナイト、モンスターは二匹。オーディンのモンスターは町の警護に回す。

 

(鞠奈達にも、そう伝えろ)

 

 鏡の中でモンスターが走り出す。静かに剣を構えながら、純白の精霊と化した、鳶一へと向かい合った。

 

 

 

 結果論から言おう、琴里との連絡が付かない。鞠奈と万由里は向こうにいるから、けが人は出ないだろうと思い、連絡を待つ。

 いまは我が家ではなく、学校の保健室にいる。現在、避難はまだ解かれていないため、多くは地下シェルターにいる。

 そして戦いの中で、士道の出現に、鳶一は去った。

 

「おそらく、精霊の姿をお前に見られたくないんだろうな」

「神衣・・・」

 

 全員が椅子に座る俺を見る。心配そうに見ていた。

 この中で軽傷な十香は、すでに霊力を取り戻したこともあり、すでに傷らしい傷はない。

 だが俺は違う。少しばかり傷が多く、目立つが、

 

「問題ない、問題があるとすれば鳶一だ。ファントムがまさか、あんな側にいたのか・・・」

 

 そう、一番の失態は、鳶一折紙を精霊化させてしまった俺だ。

 その結果、鳶一折紙は精霊を殺す力を手に入れた、精霊を憎みながら精霊に成る。果たしていまの彼女はどんな心境か分からない。

 

「すまない・・・」

 

 完全なミスに、士道は、

 

「そんなこと言うなよ神衣ッ、お前がいなきゃ、もっとひどいことになってただろ!?」

「だが、それでもだッ。ファントムの野郎・・・鳶一がどれほど精霊を憎んでいると知らないのか!?」

 

 歯を食いしばる様子に、精霊達は落ち着かせる。

 

「おにいちゃん、おちついて・・・」

『そうだよお兄ちゃん、あまり怒っちゃやだよ~』

 

 鳶一に捕まっていた士道を助け出した、四糸乃、よしのん、七罪であり、全員が俺を止めている。

 

「・・・分かった、いまは感情的になるのを止めよう・・・」

 

 

 

 しばらく騒動は軽いもの、士道から霊力を取り戻したため、十香は再封印が必要になり、キスするので、色々あった。

 避難勧告が解かれ、俺を見つけた保険の先生から、病院に行くように言われたり、色々説教が起きた。

 そんな中、いまだ連絡がない。

 

「契約モンスターども、町の様子は?」

 

 鏡の中でうなり、分からないらしい。

 カードの反応からして大事はないと思うが、

 

「神衣」

「万由里、鞠奈!?」

 

 病院から抜け出していた俺のもとに、二人が現れ、霊装を解く。二人とも半精霊状態じゃなければいけない事態だったらしい。

 

「そっちもなにかあったのか?」

「ああそうよ、あの年増ッ。義妹を落とそうとしたの!!」

「鞠亜を!?」

 

 フラクシナスは年増によって、妨害され、二人とモンスターの援護によって離脱、いまは格納庫で休んでいるらしい。

 鞠奈は完全にお怒りだが、万由里はそれと共に、

 

「神衣、貴方もケガ」

「!? 神衣それ」

「俺はいい、この程度の痛みはいい。鞠亜が気になるが」

「そっちは無事よ、あの子のこと考えるのなら、自分の身も考えなさいよ!!」

 

 二人に怒られながらも、渋々大人しくなる。

 だが包帯を取り、血か止まったこと確認した。二人の抗議の視線を無視して、前を見る。

 

「ともかく、オーディンとして鳶一を探すか」

「精霊化・・・鳶一折紙が・・・士道、大丈夫なの?」

「その、食べられない?」

 

 二人が心配する、確かに何か食われるような気がする。キスなんかした日には、士道が終わる気がするが、

 

「この際、士道の人生なぞ関係無い。全ては精霊と世界のための必要な犠牲だ」

「色々間違ってるからねあんた」

「一人の人間の人生と、世界の人々の人生、どっちを取る?」

「・・・もういいわ」

 

 優しくしてやろうと鞠奈は呟き、万由里も静かに頷く。

 そして、

 

「「「!?」」」

 

 世界が黒く染まった・・・

 

 

 

『変身』

 

 オーディンになり、その力でそれを防ぐ。

 黒い羽根、その精霊の力は、反転と言う、精霊が絶望して成り果てた姿。

 

『鳶一折紙!? なにがどうなっている!? ブラックドラグライザー』

 

 無差別な攻撃を防いだり、精霊達も出てくる。

 フェイクで烈火のナイトも作りだし、それで対処しているが、無理は元々出来ない。

 オーディン体であるいまもだ、傷に響く。

 

『だが止めるしかないか!!』

「オーディン!! 琴里がフラコシナスに無茶させてるから、そっち行くわね!!」

「私もそっちに」

『ゴルトフェニックス、お前は半精霊達を守れッ。私は前に出る!!』

 

 盾を構え、飛翔する中で、それを見た。

 完全に絶望に身を包み込み、何者の声も届かない顔の鳶一折紙。

 あれはまずい。だが、

 

『やるしかないんだぞ、し・・・』

 

 だがその時、全てが変わる。

 銃声と共に、世界が砕かれた。

 

『!?』

 

 空が変わる、鞠奈、万由里も驚き、すぐに空にいる私に近づく。

 

「ちょ、これって」

『・・・タイムベント?』

 

 壊れだした町は壊れておらず、私達は困惑しながら、鏡の世界に身を潜めた。

 いま、自身の物語が大きく動き出すとも知らずに・・・




カットが多いですが、そろそろ異常事態に対して、おかしなことが露天します。
このまま彼はどういった時を歩くか、お楽しみに。
では、お読みいただきありがとうございます。
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