デート・ア・無限サバイブ・鏡像の戦士   作:にゃはっふー

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十香編終わるの早い、カットが多いからか、少し彼視線での価値観を語らなければ。


第3話・世界への評価

 学校は普通に休校になっていた。やりすぎたと、半壊した建物を眺める。

 アドベント、ゴルトフェニックスの出現により、大きく半壊していた。

 その様子を見ながら、士道は瓦礫から、十香と書かれた(刻まれた)黒板を手に取り考えにふけっている。

 

「・・・!?」

「シドー」

 

 瓦礫の山、そこにプリンセスこと、十香がいる。神衣は驚き、士道を引っ張る。

 

「おいな・・・!? 十香っ!? おまっ、どうしてここに?」

「お前が言ったではないか、デェトすると・・・ところでお前、何者だ」

 

 こちらに殺気を放つ十香だが、士道があわてて前に出て止める。

 

「こいつは神崎神衣っ、俺の親友だっ」

「むぅ、シドーの友人・・・カムイか、私は十香だっ」

 

 鎧姿の十香に対して、半ば呆れる。周りにASTがいないか、ドラグブラッカー達に警護させながら、話をする。

 どうやら彼女は、士道とデートするために、現れたらしい。

 

「そうか、なら俺はおじゃまだな」

「お、おい神衣っ」

 

 士道を置いて去ろうとする瞬間、

 

「好きに使え、俺は琴里に連絡する。精霊を助け出せ」

「!?」

 

 そう言われた瞬間、神衣は財布を士道のポケットに忍ばせ、その場をすぐに去る。

 士道は何か言いたげだが、覚悟を決めて頷いたのを見ればいい。

 後は人気を気にして、ミラーワールドに移動し、琴里に連絡する。

 いまはそれでいい、ここから彼らの動向を監視、保護すればいい。

 

 

 

 とある喫茶店で、村雨令音と琴里の話し合いがだいたい終わりを告げていた。

 

「一つ気になることがある」

「ん? なぁにぃ?」

 

 琴里はいまは白リボン。令音は静かに琴里を見ながら、

 

「シロウのことだ」

「・・・・・・・・・・・・・・・神衣お兄ちゃんのこと?」

 

 士道がシンになり、神衣はなぜシロウになったのだろうかと琴里が思案する中、令音はああと頷きながら訪ねた。

 

「なぜ彼を外部協力者にした?」

「う~んとね~・・・」

 

 少し言いにくそうにだが、少し考えた後、

 

「神衣お兄ちゃんって、私らにとって、ヒーローなのだ~」

「ヒーロー?」

「そ、お兄ちゃんにとっては目指す目標」

 

 神衣はあのとき、自分達を助け出した後も冷静に対処していた。

 他に救護者がいないか見たり、泣きやまない自分に優しく話しかけたり、説明できない状況下で、神衣は代わりを勤め、その後も兄のように頼りになった。

 だからこそ、精神的な支えとして、招き入れたのだが、

 

「まあ、いまはすこ~し後悔してるけどね・・・」

「オーディン、北欧神話の創造神か」

 

 精霊と対処、互角かそれ以上の強さを見せ、あまつ自分達が知らない技術を使用している謎の人物。

 分かるのは彼が名乗った。精霊の研究と言う、無視できない言葉であり、精霊の剣を腕で防いだと言う、事実。

 この存在は、自分達にとって予想外すぎる。

 

「わかっているのは、あの光は鳥のようなものが放ち、石化の方は黒い龍だが、どちらも生命反応ではなく、強大なエネルギー反応としかわからない。カードのようなものが力を呼び起こすキーになっているのは明白だろうが、邪魔するのは困難だろう」

「いったい何者なんだか・・・」

 

 そんな話を琴里達がしているのを、ミラーワールドから聞いている。

 いま店の前に士道達がいるのだが、気づくか電話に出てほしい。

 

「入ったか・・・ん、琴里が気づいたか、携帯にも気づいて欲しいが」

 

 盛大に飲み物を吹いた琴里、連絡するために色々と取り出して気づく。

 リボンを付け替えながら、電話に出てくれた。

 

「神衣兄っ!? いま忙しいんだけどっ」

「士道と十香が出会っているんだ、その報告のために電話してたんだ」

「!? あっちゃ~神衣兄には直で連絡できるようにしておくべきだったか・・・こっちでいま士道を確認したわ。いまいるのは」

「この前の精霊、後で聞いたけど、十香、だったね。彼女だよ」

 

 それを聞き、インカムなどを取り出しながら、司令官モードになる様子を見る。

 

「いま俺の財布を渡してあるが、どうしているかわからない。うまくしてればいいが・・・」

「そう、さすがお兄ちゃんっ、グッジョブっ♪」

 

 士道は自分の財布を、すまなそうに見ながら、お金を取り出して数えている。確か今日は念の目に十万ちょい持ち歩いていたが、それでも見ていて不安になるくらいに、十香はよく食べている。

 士道から「どうすれば神衣に金返す・・・」という言葉がもれているが、気にするなと言っておこう。

 研究に金はかかるものだ。

 

「いま神衣兄の財布見て、青ざめてるわ、だいぶ使ってるみたいね・・・これは早くサポートしないと」

「そうか、彼奴には金を気にするなら、精霊十香を救え、救えないのなら倍返しか琴里を担保にもらうと伝えてくれ」

「ええ、わかったわお兄ちゃんっ♪」

 

 いたずらっぽくウインクして通話を切る琴里。冗談が流されたので、少し苦笑しておこう。

 とりあえずフラクシナスのサポートを受ければ、彼らのデートはしばらくは無事だろうと思い、店の外に出る。

 

「ん? ドラグブラッカー?」

『ガアァァァァァァァァァァア』

 

 ドラグブラッカーが何かに咆哮して見ると、少しばかり見過ごせない者を見つけた。

 それはASTの白い髪の少女。名前は知らないが、同じ学園で士道のクラスメイトである。

 彼女は明らかに、十香に気づいていた。

 どうするか思案するが、ふむと考え込む。

 

「・・・いや、ドラグブラッカーはこのまま十香達を見張れ、私は遠くで見ている。彼女は捨て置け」

 

 その言葉に、空中でとぐろを巻きながら、士道達を追っていく。

 腕を組みながら、その様子、少年少女達の様子を観察しながら、苦笑する。

 

「さてどうなるか・・・静観させてもらうぞ士道」

 

 

 

 はっきり言おう。士道が撃たれた。

 ASTが遠距離狙撃して、十香をかばい、士道に風穴が空いた。

 

「・・・はあ」

 

 それを見下ろしながら、激昂する十香。鏡らしきものがないから、すぐに反応できなかったとはいえ、これは後味が悪い。

 実験はここまでかと思うと、士道を見下ろす。

 十香がかけた上着で穴が隠されているが、血の流れから見て即死かと、冷静に見た。

 

「・・・」

 

 その様子は、烈火の戦士を思い出される。だが、烈火の戦士のように、意志を継ぐ友なぞいない士道。

 その様子は悲しいと思いながら、咆哮する十香を見る。

 いま彼女は、士道を殺した者を殺すことしか考えていない。

 

「・・・仕方ない、俺はお前のように優しい方ではない。あの世で後悔してろ」

 

 そう言い、デッキを構え、光りが彼を包み込む。

 

 

 

 巨大化した十香の剣は、巨大なエネルギーを内包していて、それが大地を切り裂く。はずだった。

 

『ガードベント』

 

 ただの盾、ゴルトシールドでその剣撃を防いだ。片腕で。

 全てのもの達が、その光景に驚愕して、オーディンを見る。

 いまだ巨大な剣を盾と片腕で防ぐオーディンに、十香は憎しみを向けた。

 

「貴様、なぜその女をかばうッ!?」

『かばったわけではない。私にとって、彼女の生死なぞどうでもいい』

 

 剣をはじき、十香は身の丈を越えた剣を構え、オーディンは盾のみを構え、悠然と空に浮遊する。

 

『私は研究者でね、ただ単純に、君の最大の火力がどれほどか気になっただけだ。そういう意味では、彼はいい犠牲だ』

「・・・・・・・・」

 

 その言葉に、目が禍々しく光る。

 

「貴様、いま誰を、なんと、言ったッ」

 

 言葉一つ一つに憎しみが込められているが、オーディンは気にせずに、

 

『あれが殺されそうになったとき、君が激昂してよかった。君のその一撃、ファイナルベントクラスと知れただけで、彼を見殺しにした価値はあった』

 

 まるで助けられたが、助ける気はないと宣言する。

 その言葉に、十香は雄叫びのように叫び、斬りかかった。

 全ての攻撃を盾で防ぎ、時には空間移動して避ける。空中戦、精霊と黄金の戦士は、冷静さをかく精霊には届かない。

 

「撤回しろッ、士道を、我が友をッ。いますぐ撤回しろッ」

『連続ファイナルベントか、ははっ、この程度で世界の災いか。この世界は墜ちたものだ、やはり救う価値はない』

 

 そう笑いながら、カードを取り出す。黒い龍が描かれたカード。

 

『アドベント』

 

 現れた黒い龍は、紫の炎を吐きながら、オーディンに使役されている。

 

『ドラグブラッカーよ、力を貸せ』

 

『ソードベント』

 

 ドラグブラッカーの尾のような剣が現れ、黒い炎を纏い、ぶつかり合う。

 彼女たちが言う、霊力なるものが石化されている。これはすでにASTの実験で知れたのだが、どうやら石化の能力は有効らしい。

 

『いまの君が見られただけ、彼の死には意味がある』

「やめろ・・・」

 

 怒気を込めながら、力がまだ増す。それには少々感心する。

 

『君の力は感情に左右されるのか、ますますこの世界は愚かな選択をしたな。彼の死が報われる』

「止めろッ、我が友の死を、さも有意義のように語るのは止めろッ」

 

 その言葉に、オーディンは静かに、苦笑する。

 

『ただの個が一つ消えただけだ、問題ない』

 

 その言葉に、霊力が跳ね上がる。

 それはまずいと、内心笑いながら構えたオーディン。

 その時、

 

「とぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉかあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 それにはオーディンも驚き、空を見た。

 死んだはずの士道が、空から落下してきている。

 

『バカな、死んだはずだッ!?』

「シドーッ」

 

 十香が空中で士道を受け止め、その二人の様子に困惑しながらも、すぐにある可能性に気づく。

 

『そうか、問題ないから彼・・・いや』

 

 まだなにかある。そう考え込みながら、十香は彼に任せ、自分は自分の戦いをしようとASTを見る。

 

『ファイナルベント』

 

 黒き龍がとぐろを巻きながら、黒いオーラを放つ。

 ドラゴンライダーキックを待機するASTへと放ち、撃墜しておく。

 

『蹂躙しろ、ドラグブラッカー・・・ただし殺すな』

 

 雄叫びと共に、炎を吐きまくりながら、いくつかの装備を回収。

 それで顕現装置のメカニズムの把握も早まるだろうと思案するが、

 

『無駄だ』

 

 後ろから白い髪の少女が斬りかかるが、瞬間移動して避けた。

 舞い上がる黄金の羽根が、彼女の装備を破壊する。

 

『貴様達消耗品では、私を倒すことも、まして戦う資格もない』

「消耗品・・・」

 

 明らかに敵意を向けるASTだが、関係ない。

 

『自分らがどういう役回りを課せられているかも理解できない道化には理解できないだろうな』

「待て・・・」

 

 立ち上がるのは白い髪、あの子だった。

 だが、彼女にデッキを与えたとしても、結局噛ませ犬程度の価値しか見いだせない。

 彼女の目、その原動力は復讐心。その程度では私達の研究の糧にすらならない戦いの原動力。

 そんなものでしか生きていられないもの達に、価値を見いだせない。

 

「あなたの力があれば精霊を、世界を救える・・・」

『世界を救う? くっ・・・くっはははは』

 

 つい笑いをこらえられない。世界を救う?

 おかしなことを言うものだと思いながら、オーディンは笑い終えた後、ドラグブラッカーにトドメを刺すように咆哮を放たせる。

 

 

 

 鏡の世界から十香達を見る。向こうは向こうで大丈夫らしい。

 しばらくしてから、連絡が入り、助かったと士道が言う。

 

『神衣には助けられてばかりだな』

「謙遜だな士道、なにがあったか詳しく知らないが、お前はお前の役割を全うした。なにより俺だけの力ではなく、フラクシナスの人達、琴里だっていただろう?」

『それは』

「詳しい話はあとで聞く、いまは難しいことを考えるのは止めて、十香、彼女をあとで紹介しろ。俺も、親友の友達なら、彼女も友達だ」

『神衣・・・』

 

 そう言い、連絡を終えた。

 琴里はチュッパチャプスを口にくわえながら、その様子を見る。

 

「カム兄なんだって?」

「俺にも十香と友達させろって・・・彼奴はやっぱ、すげぇな」

「そうね、士道にも見習って欲しいわ」

 

 そんな話をしながら、モニターを見る。オーディン、精霊の本気をさばききった男。

 

「琴里、あれは」

「わからないわ、精霊でも、AST。私達が持つ顕現装置、それに関する技術ではない、全くの別技術の力・・・」

 

 十香に対しても辛らつな言葉を放つそれに、周りは息をのむが、冷静なものがそれを分析した。

 

「彼の目的はいまだわからないが、今回の件で少し分かったことがある」

「なんですってっ!?」

 

 令音の言葉に、みなの視線を集めながら、戦いの様子を静かに見る。

 

「彼は十香を挑発したのは、被害を抑えるためだろうな」

「どういうことですか・・・」

「シン、考えても見なさい。十香の本気の一撃が、何度も地上に放たれればどうなるか? 彼はそれを、空中戦に持ち込むことで、最小限にとどめた」

 

 空間移動で避けるのも、衝撃波が町や地上に墜ちるのではなく、空へ放たれる攻撃のみであり、盾でほとんど防いでいる。

 その様子を見て、全員が黙り込む。

 

「敵か味方かまだ判断できないが、ASTよりかは精霊よりの考えだろうな。良いも悪いも含めて、ね・・・」

「・・・どういう意味?」

「簡単だよ、彼は、冷静に状況を見ているんだ。この世界で起きている事変に対してね・・・」

 

 

 

「・・・」

 

 十香の一撃を防いだ腕を見る。少ししびれるが、問題ない。

 一撃はファイナルベントクラス、それを連発できるのだから、その点は素晴らしいものだろう。

 だが、サバイブ状態であるオーディン。その防御力の前では意味もない。

 

「トリック、フリーズ、アクセル、リフレクト。カードはまあまあ揃った、精霊の戦闘力も、ASTの戦闘力並び、本拠地も把握。次はゴルトフェニックスの従者創造程度か・・・」

 

 研究室でデッキを持ちながら、椅子に座る。

 AST、彼女たちを思い出しながら、笑いがこみ上げてくる。

 

「愚かだ、シザースとて、もう少しうまく立ち回ったものだが」

 

 仮面ライダーシザース。彼は主の役割は、さほどない。

 あえて言えば、欲深い人間に仮面ライダーの力を与えて暴走を誘発、そして戦いを加速化させることだけだ。

 つまり、彼女達のような私利私欲なもの達に渡す機会が多かった。

 

「とはいえ気づいていないのか? 世界を守ると言っておきながらその実、実際は精霊を殺したいだけの有象無象の集団と化していることを?」

 

 それを考えれば本当に被害者なのだろうと思う。

 仮面ライダーによる戦い、これは元々最後の一人たるオーディンが最後に勝ち残る、出来レースである。

 それ故に、すでに戦士も契約モンスターも決まっていたのだ。

 デッキを渡す者も、何人かは過程の中で決めたり、避けたりした。

 

「この世界と私の世界、果たしてどちらがマシか・・・」

 

 この世界は選択肢を間違えた。

 精霊と言う災いに対して、研究せず倒すと言う名目しか考えない。その結果が十香だろうか。

 彼女は自己防衛以外に力を振るわなかったというのに、彼女に攻撃を続けた結果、ついに牙を向けられた。

 彼女たちはそれがどれほど民間人を危険な目に遭わせる行為だと、理解しないだろうなと苦笑する。

 災いに対処するには、知ることは大事だ。なぜ精霊が空間震を起こすのか、なぜこの世界に現れるのか、現れた際にどうしてそのような爆発が起きるのか?

 考えること、思案すること、そして試すことは多くある。話すこともまた必要だったはずだろう。

 それなのに、世界を救うために精霊を殺す? 結果がこれでは矛盾極まりない。

 

「足りないな、ああ足りない」

 

 世界は人類ではなく、己の地位と命を守るのに必死なのに、彼女たちは気づいていない。

 分かるとも、それくらい。

 本当に空間震を止めたいのなら、精霊がなんなのか研究するべきであり、十香の様子を見る限り、話しかければ多少なり結果が変わる。

 世界各国、協力して精霊と対話するなりなんなりすればいいものを、他国の力独占を危惧したり、明らかに個人の意志が反映されすぎている。

 精霊と言う天災に対して、個人の意志が反映されすぎるのなら、五河士道を支援しよう。それが一番、精霊の力、その心理に近づく安全かつ、最も最良の手だ。

 彼らは足りない。個人として欲望、道理が足りない。

 

「シザーズには防御力が高いものを渡したが、それなりの成果は果たした。だが彼女たちは渡す通りはない」

 

 ある者は己の命、ある者は愛する者の命、ある者は運命を否定するため、ある者は巻き込まれた結果。

 欲望のためにデッキを渡すのは、戦いを激化させるため以外に使用しない。

 最も目的を達するには、目的のためなら個人も自分の意志すらも捨てることができる戦士のみ。

 そう、烈火と疾風。二人を除けばそう言ったもの達こそ、自分達の手のひらで踊らせやすかった。

 そうだ。真に危惧すべき人物はこの世界にいない。

 

「私を倒せるのは、最後の一人だけだ・・・」

 

 確信を込めて宣言する。それがいないいま、自分を止める者はいない。

 ならばやることは一つ、空間震、精霊の謎を解明する。

 研究者として、彼はいま初めて、この世界で役割を決めた。




十香編はこれにて終わり、早い。
次はみんなのエンジェル登場、その前に番外編のような始まり方を選びます。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございます。
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