ただ、果南ちゃんより台詞のある新キャラが二人ほど出てくるので影が薄いです。申し訳ない。
オリキャラではありません。そこら辺は次話で。
…え?TOKYO?ちょっと何を言ってるのか分からないんですが…。
「東京でライブ?」
「そうなんです!この前のPVがネット上で人気が出たみたいで、お誘いが来たんです。有名な人たちも来るそうで、その人たちも一緒に!」
Aqoursの練習に顔を出したら、いきなり千歌ちゃんが「プロデュ-サーさん!ライブですよライブ!」って駆け寄ってきた。俺はPじゃない。
しかし黒澤さん(姉)の言うとおりになったな。となると、約束した通り俺も動くべきなんだろうか。
「それは凄いじゃん。それで?そのライブってのはいつなの?」
「今週末です!」
今週末…。スケジュール帳を開いて確認してみると、学校で模試が入っていることが分かった。いかん、スケジュール帳を開くまで模試があるという事実を忘れてたんだが。
ってかマジか。ついて行けなくね?
先日生徒会長と話したことを思い出す。
『彼女たちがもし失敗したり、打ちのめされることがあったら必ず助けになってあげてください。』
う~ん。必ずしもライブにくっついていく必要はないかな…?まぁでもこの子たちのライブを見たことが無い身としては一緒に行きたいんだが。
「徳丸さん、どうですか?予定は空いてますか?」
梨子ちゃんが遠慮がちに尋ねてくる。
「…ちょっと厳しいかも。日曜日に学校で模試を受けることになってた。ずらせないかどうか聞いてみるけれど…。」
………。
「…あ、徳くん受験生なのか。」
「今『この人何で模試とか受けてるんだろう?』って間があったんだが。代表して罰を受けるのはよっちゃんで良いな?」
「い、いや、ごめ、いたたたたた!」
堕天使に頭グリグリをしながら見れば、他のメンバーも気まずそうに目をそらしている。まぁ本人にもあんまし自覚がないし良いんだが。というか、年齢設定上こうなっちゃっただけで、この設定が生きるときはほとんど無いからなぁ…。
「って言うかなんだ?梨子ちゃんは俺についてきて欲しかったのか?」
「なに勘違いしてるの?梨子ちゃんは荷物持ちが欲しかっただけずら。」
まるが間髪入れず訂正してきた。
…そうなのか。ははは、一瞬でも調子に乗った俺がバカだった。というかちょっとからかってやろうと思っただけなのに…。
「…生まれてきてすいません。」
「い、いや違いますよ!あと一人くらいAqoursの常識人枠が増えないと、東京でなにか問題が生じそうだなぁって思ってただけです!」
梨子ちゃんズバッといくな。隣で常識人(笑)の千歌ちゃんが『そんなこと考えてたの!?』みたいな顔して地味に傷ついてるぞ。
「あぁごめん千歌ちゃん!別にあなたのことを言ったわけじゃないのよ!」
「…ホントに?」
「ホントにホント!」
「えへへ。じゃあ許してあげよう。」
そう言って笑顔に戻る千歌ちゃん。なんだこの茶番は。ほのぼのしたから許す。
「じゃ、じゃあ徳丸さんはライブ見に来れないんですか?」
うぅ…ルビィちゃん…。涙目で見ないでくれ。一瞬『サボっても良いか。』と思ってしまった。
でも…そっか。一年生トリオにとっては初めてのお客さんがいるところでのライブになるんだ。
どうしよう。ものすんごくついていきたい。
「できるなら行きたいんだけどね…。まぁギリギリまで先生と交渉してみるよ。だからひとまず君たちはライブを成功させることだけに集中しなよ。」
そう言うとしぶしぶながら皆準備体操を始めた。
さて。ちょっと生徒会長に報告してきますかね。
応援には行けそうにないことを話すと、机に座る黒澤さん(姉)は溜息をつきながら
「模試ならしょうがないですわ。その代わりできることはお願いしますよ。」
と言ってくれた。
「了解。俺にできることなら何でも言ってくれ。」
おちゃらけて言う俺にあきれたような目を向ける黒澤さん(姉)。
だが、その心配そうな表情は隠しきれていなくて。
「そんなに…怖いのか?」
ビクッと。
体が震えたかと思うと、そのまま動かなくなる。
しばらく考え込んだかと思うと
「何を…何を知ってるんで……!いや……マリーさんから聞いたのですか。」
一瞬声を荒げたが、すぐにいつもの冷静な生徒会長に戻った。
「いや。何も聞いてねぇよ。ただ、今の君はなんだかおびえているような気がするんだ。違う?」
互いの目を見つめて数秒。
観念したのか目をそらすと
「…違いませんわ。」
とだけ呟いた。
そして再び沈黙。
…うん。そろそろ沈黙を表したりとか、シリアスな雰囲気に合う語彙が無くなってきたから、切り上げようか。
「大丈夫だよ。」
唐突に。されど空気に溶けるような優しい声をかける。
「彼女たちは傷ついたり壁にぶつかったりしても、そこで折れることはないよ。」
「…なんで言いきれるんですの?あなたそんなに付き合いも長くないでしょう。」
「ん~。なんとなく。でも付き合いの長さだったら黒澤さんも同じくらいでしょ?だったらあの子たちが失敗するとも言いきれないと思うんだけど。」
そう言い返すと、黒澤さん(姉)はぽかんとした後微笑み、「そうですね。」と肩の力を抜いたようだった。
よしっ。
「あ、私のことは下の名前で呼んで頂いて良いですわよ。ルビィとこんがらがるし、いちいち黒澤さん(姉)と書いて字数を稼いでいるのは見てて見苦しいですわ。」
地の文を読むな。
「わかったよ。ダイヤ様」
「何故みんな…『様』で呼ぶんですか…。」
さてさて。放課後を練習に費やし、迎えた週末。
千歌ちゃん家に集合し、沼津駅まで車で行くそうだ。俺も旅館前まで見送りに行った。
「徳丸さん、何か応援の言葉ありますか?」
「千歌ちゃん。それは自分たちから求めるものじゃないんだよ。」
みんな東京に行けるということで舞い上がってはいたが、緊張してるわけではなさそう。ひとまず安心。
しかし何か声をかける雰囲気ができあがってるな。何を言おう。
いや、まぁ
「そうだなぁ。落ち着いて行きなさいってぐらいかな。ライブもライブ以外もね。」
東京にたどり着けるかが心配である。
「「「「それじゃあ行ってきまーす!」」」」
行ってらっしゃーい。
その日の午後。明日の模試に備えて勉強してたら久々に体を動かしたくなってブラリと馴染みの店に来てしまった。こらえ性なさすぎるだろう、俺。
「いらっしゃい。お、国木田くんだ。今日予約してたっけ?」
そこはダイビングショップ。高校に入り、趣味の一環として始めたダイビングができるお店。
店番をしていた…というより今から海に潜る準備をした女の子が声をかけてきた。
女子にしては高めの身長を持ち、青みがかった長い髪を後ろで一つにまとめ、年上のお姉さん感を出している彼女は実は同い年。名を松浦果南という。
このダイビングショップは彼女のお爺さんが店長をしているそうだが、今怪我だか体調不良やらで店に出られず、代わりに孫の彼女が店に出ているらしい。
俺ももう二年も通う常連さんなので、そこら辺の事情は教えてもらえた。
「いや、予約はしてないよ。潜れるかなと思ってふら~っと寄ってみただけだから。」
潜る準備をしているということは、お客さんがいるのだろう。そこに交じって潜ろうとまでは思っていないため、帰ろうとするのだが。
「あ、ちょっと待って。今いるお客さん達は部活で来ているみたいだから、私もつきっきりって訳じゃないんだ。一人くらいのバディならできるけれど。」
と、引き留められた。
どうしよう。ここまで来たからには潜りたくなってきたし、お言葉に甘えさせてもらおうかな。
松浦さんのダイバースーツ似合ってるしね。…おっと
うん。ちょっと運動した後くらいが勉強もはかどるし!
「じゃあ、お言葉に甘えさせてもらうよ。ちゃっちゃと準備してくるね。」
「うん。更衣室はさっき言ったお客さんが使ってるから、ひとこと言って入ってね。」
「うーい。」
店主がお爺さんからお孫さんに替わってから、俺の来る頻度が上がったのは気のせいである。
気のせいと言ったら気のせいである。
コンコン。
「すいませーん。一緒に更衣室使わせていただきまーす。」
そう言いながらドアを開けて中に入ろうとすると。
ぬっ、と。
ドアの影から伸びた4本の腕によって口をふさがれた。
な、なんだ?
目を向けると金髪長髪でガタイの良いイケメンと、これといった特徴は無いが普通にイケメンなイケメンが得物を狙う目でこちらを見ていた。
「おい…。自由にして欲しくば俺たちの質問に答えろ。」
な、なんだって!?自由にしてほしくば…自由に…。
……いや両手両足自由なんですけど。
「おいバカ!二人とも口しかふさがないってどういうことだよ!」
「お前も両手使って口ふさぎにいってんじゃねぇか!使えねぇな!」
俺の口を全力でふさぎながら口論する男二人組。
どうでも良いけど離してくれないだろうか。口周りだけ異常な熱気に包まれてきたんだが。
というか、これ危ない流れとかじゃないよね?
「あなた方が一緒に潜るお客さん?」
口をふさがれながらの発声であったため、「ふぁなたがたがふぃっしょにふぉぐるおふぁくふぁん?」みたいな感じになっちゃったが彼らには通じたらしく
「ん?一緒に潜るかどうかは知らんが一応今から潜ることになってるぞ。もしかしてお店の人か?」
この人達が松浦さんが言ってたお客さんか…。お店の人ではないです。
とりあえず「ふぉなふぁふぁえは(お名前は)?」とだけ尋ねると、やっぱり通じたらしく返事をくれた。
「俺は北原伊織。こっちの金髪で背の高い方が今村耕平。伊豆大学ダイビングサークル『PaB』で予約してるんだが…。」
そうか。北原さんと今村さんね…。ふ~ん…。
自分で聞いといてなんだがそんなこと知るか!手を離せ!というか目的は何だ!
「目的…?あ、そうだった。」
ちょっとポカンとしていた北原さんは思い出したように目を開いた。
こいつ忘れてたな。
北原さんは最初のように真面目な顔に戻り
「さっきこの部屋から出ようとしたら見ちまったんだが…。お前あの美人店員さんと知り合いか…?」
と聞いてきた。
続く。
「え?続くの?夢オチとかでもなく次話に続くの?」
はい。続きます。
続いちゃいました。ダイヤ回?いえいえ果南回への導入回でし…あ、間違えた。
コメディ回への導入回でした。
えぇと「次はTOKYOですよ!」とか自信満々に言ってすみませんでした。オリ主お留守番というね。まさかの展開。
次回はAqoursのAの字も出てこないかも知れないですねぇ~(無責任)
すいません嘘です。次回は前半でドッカンドッカン笑わせて、後半は真面目に行きます(なぜハードルを上げる)
あと、三題噺のお題も引き続き募集しておりますので。何でもいいので。1人1個でも3個でも良いので。お願いしますので。