料理人の極   作:暁美ほむら

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そ、ソーマの口調が…
難しいよぉ


弍話〜俺の姉さん〜

2話

創真はあれから風呂やら何やら済まして自室に戻り、ベッドの上で考え事をしていた。

 

「姉さん……今どこで何をしているんだろうな…」

 

創真はそう呟くと自分の右手の甲を撫でる。

 

「懐かしいな……また料理を教えてほしいぜ。よっと」

 

ベッドに横になり目を瞑る。電気も消していたし、しばらくすると創真は寝息を立てて寝始めた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

創真side

 

「やりました!また私の勝ちですね、お父様!」

 

「あーあー俺の負けだよ、たく。なんでこんな早く俺の料理が抜かれるんだか」

 

両手を上げて歓喜を表現しているのが俺の姉 幸平 奈緒。髪の毛は銀髪で腰まで伸び、瞳はは透き通るようなブルーである。出るとこは出、引っ込むところは引っ込んでいるモデルも羨むプロポーションの持ち主なので、そんな姉さんが無邪気に喜ぶ姿は弟から見ても普通に可愛い。で、もちろん敗北してるのは親父だ。俺はこの2人の戦いを椅子に座って見ていた。

 

「しっかし奈緒、お前どこでそんな『料理の極意』を覚えやがった?俺は教えてないと思うが」

 

父の問いかけに、姉さんはエプロンを外しながら答える。だが、料理の極意ってなんだ?

 

「私、思ったのです。本当の料理人ってなんだろうなって。私、料理人は自分の自己満足のために料理をする訳ではないって思うのです。世界中のみんなを幸せにできるような料理を作ることが私にとって『料理人』のあるべき姿だって。そう考えてたら自ずと上手くなっていったのです。どこか、変でしょうか?」

 

エプロンを綺麗にたたみながら、自分の言っていることに少し心配気味に父に問いかける姉さん。

 

「まったく、お前には驚かされるな。15歳にしてそこまで考えてるとは……我が娘として誇らしい限りだぜ」

 

「ふふ、ありがとうお父様」

 

俺はそこまで黙って聞いていたが我慢できず椅子から降り姉さんに声をかける。

 

「姉さん!おめでとう!」

 

「ありがとう創真君。創真君は自分の料理をちゃんと極めているかしら?」

 

俺の頭を撫でながら問いかけてくる。もちろん、こう聞かれることは予想内だったから練習を怠っていない。

 

「もちろん、しっかり練習してるぜ!親父とだって勝負をずっとしてるんだ!」

 

「ほぼ負けてっけどな」

 

「うるせぇ親父!今姉さんとはなししてんだよ!」

 

「へいへい…たく。創真は姉さんのことになると本当怖いな。俺はお邪魔だろうし先に部屋にでも戻っとこうかな」

 

親父は苦笑いしながら奥へ消えていく。姉さんのことで俺が怖くなることなんかない。ただ、姉さんはふわふわした性格してるから誰にでもついて行きそうで不安でもあるが……

 

「創真君は負けると悔しい?」

 

姉さんはおれにそう優しく問いかけてくる。その言葉に迷うことなく首を縦にふる。

 

「もちろん!親父に負けるってのも癪だが、何より料理人として俺の料理が負けることが悔しい!」

 

そういうと、姉さんは「ふふ…」と言って俺の頭から手を退ける。ちょっと残念に思ったのは内緒だ。

 

「確かに自分の出した料理が負けるのは悔しいと思うわ。だけど、負けるのにはちゃんと理由があるの。分かるかしら?」

 

「そりゃ食材や味付けじゃないの?」

 

俺がそう答えると姉さんは目を瞑り「うーん」と顎に指を当て悩む。

 

「確かにそれもあるかも知れないわ。けどね、それだけじゃないのよ」

 

「それってどういうことだ?」

 

「ふふ、まだ創真君には分からないかもしれないけど、それはきっと『想い』だと私は思うのよ」

 

「想い?」

 

姉さんの言葉に全く理解できず首をかしげる。そんな俺の様子に姉さんはクスッと笑う。

 

「そうよ。いつか必ずわかる日が来るわ。それまでは料理の腕を磨きましょうね♫」

 

「おう!俺はこのゆきひらを背負い立つ男になるんだ!いつか親父だって抜いてやる!」

 

燃えている俺をニコニコと微笑んで見ている姉さんを見て俺は顔が赤くなる。しまった、また熱くなりすぎた。姉さんの笑った顔を見てしまうといつも調子が狂う。

 

本当のところを言うと姉さんは本当の俺と親父の家族ではないらしい。所謂養子というやつだ。父さんがフラッと立ち寄った店で下働していた少女が姉さんで、その時に色々あったらしいんだが、俺には教えてもらえていない。どうも姉さんは早くに両親共亡くし、親戚の人達に迷惑をかけないために1人で働きながら旅に出たらしい。それで色んなところを旅しながら料理人として修行していたらしい。本当にすごいと思う。

 

まあつまり、姉さんは血が繋がっていないわけで、ほんのちょっとした動作とかで凄く意識してしまうのは仕方ないことだと思う。

 

「ほら、創真君!さっそく新作料理の練習、一緒にしない?また2人で手を重ねて包丁を」

 

「あああ!そんなのもうしないって!ほら、行こうぜ!」

 

「ふふ、照れなくてもいいのに♩」

 

まったく本当に調子が狂う。俺がここまで心乱されるのは姉さんくらいだ。

 

 

 

だって俺は姉さんが好きだから。




次話も宜しくお願い致します!
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