相手の女に向かって走り出す。
跳躍をし、女の頭上を取ると、矢を放つ。
女は矢を躱し、俺に向かって杭を投げつけて来る。
それを新たな矢で弾くと、再度矢を装填する。
あの女はかなり早い。
普通に矢を打っても、簡単に避けられる。
なら…………策を練るだけだ。
短剣を抜き、地面に突き刺す。
地面を抉り、土を手の平に握る。
素早く近づき、短剣を投げつける。
もちろん短剣は躱されるが、距離を縮めれた。
「くらいな!」
握りしめた土を顔目掛け叩き付ける。
『グッ!?』
目隠しで覆われているが、顔に細かい粒が叩き付けられれば、一瞬だけ怯む。
そして、その瞬間、俺の姿は消えていた。
イリヤSIDE
「り、陸が消えた!?」
陸があの女の人、英霊に土を投げつけたと思ったら、次の瞬間、陸の姿は消えていた。
「ちょっとイリヤ!どういうことなの!?アンタの弟何者よ!?」
「し、知らないよ!私だって初めて知ったもん!」
「なら、ルビー!アンタなら分かるでしょ!あれは何なの!?」
『私も詳しくは分かりませんが、今の陸さんは英霊の力を使っている。今分かるのはそれだけです』
ルビーの言葉が信じられず、私は女の英霊の方を見る。
英霊は辺りを見渡し、陸を探す。
だが、見当たらないと知ると、目隠しの目の部分が怪しく輝き、それを中心に黒い魔法陣みたいなのが現れる。
「な、なにあれ!?」
「ますい!宝具が来るわ!見失ったからここら一帯を無差別に攻撃する気よ!ダメもとで防壁を張るわ!」」
凛さんは宝石を取り出し、防壁を張ろうとする。
「待って凛さん!まだ陸が!」
「悪いけど………今は自分の命が優先よ!」
凛さんは悔しそうに、そして申し訳なさそうに言うと、防壁を張る。
「………陸」
無意識の内に陸の名前を呟いていた。
『
英霊が宝具の名前を言おうとしたその瞬間――――――――
「させると思ったか?」
陸がいつの間にか英霊の背後に立って、弓を向けていた。
至近距離から放たれた矢は英霊の首に刺さる。
英霊は苦しそうに表情を曇らせると、陸から距離を取り、矢を引き抜く。
「不意打ちの一発。卑怯者とでも言うか?悪いけど、これは戦いだ。卑怯だなんだって言われる筋合いはないぜ」
陸はフードを取り、にやっと笑う。
陸SIDE
この宝具は所謂ステルス機能の宝具だ。
触れられると効果は消えてしまうが、触れられない限り、完全なる透明化、背景との同化で、俺の姿は誰にも見られない。
英霊は俺を睨みつけ、杭を構える。
「もしかして怒ってる?俺が英霊にあるまじき戦いをして?悪いけど、俺の中の英霊も生前はこんな戦い方してたみたいだし、許してくれると嬉しいんだけど」
言葉が通じてるのか分からないが、兆発気味に言う。
英霊はそれに起こったのか、目隠しを取ろうとする。
「奥の手を使うみたいだな…………でも、使うのか遅かったな」
すると、急に英霊は膝から崩れ落ち、倒れる。
「今打った矢には麻痺毒が塗ってある。遅行性だから、影響出るまで時間が掛かるかと思ったけど、思ったより早く出てくれて助かったよ」
弓に矢を装填し、向ける。
「いっちょ、いきますか!」
魔力を込め、もう一つの宝具を発動させる。
「弔いの木よ、牙を研げ!」
英霊に狙いを定め、矢を放つ。
「“
放たれた矢は英霊に刺さり、その力を発揮する。
だがもし、対象が毒を帯びていると、その毒を火薬のように爆発させる効果がある。
つまり……………
英霊は体内で爆弾が爆発したかの様に、爆発し消えた。
爆発の中心地には一枚のカードが残ってる。
これがクラスカードか。
“ライダー”って書かれてるな。
「凛さん、これがお目当てのカードですか?」
カードを手に凛さんに近づくと、凛さんは物凄い形相で俺の肩を掴む。
「アンタ何者よ!英霊の力を使うわ、英霊相手に一歩も退かない戦いするわ………有り得ないでしょ!」
「そう言われても、俺自身、こんな力があるって今知ったばかりだし」
「たった今!?じゃあ、アンタぶっつけ本番で宝具使って英霊倒したって言うの!」
凛さんはぎゃーぎゃーと騒ぎ、そして、急に落ち着き出す。
「落ち着きなさい、凛。遠坂の家訓は「常に余裕をもって優雅に」…………よし!ともかく、詳しいことはまた後日にしましょう。とにかく回収も済んだし、すぐにここから「遠坂凛!!」
凛さんが〆ようとした瞬間、何処からか声が響く。
「この癇に障るような声は……!」
凛さんは心当たりがあるのか、顔をしかめる。
すると俺達の背後から青いドレスに金髪の縦ロールの女性と、イリヤの持ってるルビーと似たステッキを持ち、何と言うかイリヤよりも露出が多めの衣装を着た少女だった。
「ルヴィア!」
「遠坂凛!その少年はなんなのですか!」
ルヴィアと呼ばれた人は俺を指差して凛さんに聞く。
「それはこっちが聞きたいわよ!行き成り乱入して来て、そしたら、英霊の力を使ったりするわで、こっちだって一杯一杯なのよ!」
凛さんとルヴィアさんはぎゃーぎゃーと言い合い、急に俺の話から相手の悪口になり、そして、とうとう取っ組み合いの喧嘩を始めた。
その時、急に地響きが起き、地面が揺れる。
「うわっ!今度は何!?」
『カードを回収しましたから鏡面界が閉じようとしてるんです。急いで脱出しないとですね』
ルビーがそう言うと、
「……サファイア」
『はい、マスター』
少女は持っていたステッキ、サファイアに呼び掛けるとサファイアは返答をした。
『虚数軸を計測変数から排除。中心座標固定。半径六メートルで反射路形成。通常世界に帰還します』
地面に六芒星の魔法陣が現れ光り輝き、そして、俺達は元の世界に戻ってきた。
「戻ってきたの?」
『はい。一先ず今晩はこれで終了ですね』
「ふぅ~」
ルビーから終わりと聞き、イリヤはその場に座り込む。
そして、凛さんとルヴィアさんは未だに喧嘩してた。
「で?さっきから気になってたんだけど、そっちの子は何?なんでサファイア持ってんのよ?」
「それはこっちの台詞ですわ!」
「………アンタ、まさか………」
「……ええ、そうですわよ!あの後、サファイアを追い掛けたら「この方が私の新しいマスターです」とかわけのわからないことを!」
大体ルビーと同じ展開って訳か。
「ともかく!勝つのはこの私ですわ!覚悟しておくことですわね、遠坂凛!行きますわよ、美遊!」
そう言ってルヴィアさんは少女もとい美遊に声を掛ける。
だが、美遊はルヴィアさんの呼び掛けに答えず、ただ黙って俺を見ていた。
「……えっと、俺の顔に何か付いてる?」
そう聞くと、美遊は一瞬泣きそうな表情になり、俯く。
その行動に、俺だけでなくイリヤや凛さん、ルヴィアさんも首を傾げる。
「お、おい……大丈夫か?」
肩に触れようと手を伸ばすと、行き成り美遊は俺に抱き付いて来た。
え?これどういうこと?
別に振り解いても良かったんだが、美遊の肩が震えており、おまけに「良かった………」っと訳の分からないことを涙ぐんで言われた。
これ振り解いたら、俺悪役だよね。
慰めるつもりで、抱きしめ返し、頭を撫でる。
暫くそうしてると、我に返った美遊は顔を真っ赤にして離れた。
一体どうしたのかと尋ねると、美遊は「何でもない……忘れて」と言う始末。
まぁ、言いたくないなら言わなくてもいいけど、イリヤは俺の足を蹴るのを止めろ。
その後、ルヴィアさんと美遊は引き上げ、俺たちだけが残された。
「とにかく今日はご苦労様」
そう言って凛さんはイリヤに手を差し出す。
「あ、いえ」
「次もよろしく頼むわね」
「え?まだあるんですか!?」
「当然よ」
マジですか…………
翌日、眠たい体に鞭を打ちながら俺とイリヤは学校に登校した。
流石に夜更かしは体に悪影響だな。
席に着くなりイリヤは顔を伏せ眠り、俺も同じように眠る。
暫くすると藤原先生がやって来て朝の会になる。
俺は眠たい目をこすりながら前を見る。
「今日は転校生を紹介します!入って」
「はい」
聞覚えのある声に俺は眉を寄せ、イリヤも起きる。
そして、昨日会った美遊がそこに居た。
「美遊・エーデルフェルトです」
昨日出会った謎の魔法少女は転校生ってアニメかよ……………
ロビンフッドらしい戦いがちょっとイマイチだった気がしてならない。
次回はもっとロビンフッドらしい戦いをさせます。