IS学園の異端児   作:生存者

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第20話

深夜、消灯時間を過ぎてアリーナに1人の少女がたたずんでいた。篠ノ之箒だ。もちろんこゆな時間に出ているのがバレれば罰則があたえられふのだがそんな事は今の彼女の頭にはそんな事よりもここ数日苦しむ秋十の姿が映っていた。

 

「・・何故だ、何故秋十ばかり苦しまなければならない」

 

「全ては奴等のせいだ。奴等さえいなければ秋十は」

奴等と言うのはもじとうり、上条当麻と織斑一夏の事だ。秋十はこれまで起きた事件に先陣を切って敵を殲滅ししようとした。神に選ばれたと言っても過言ではない程の才能と、それを物語ような本物の実力を持っており、勝利を掴むのは当たり前の事だと思っていた。だが実際には途中から来た上条や一夏ばかりが賞賛された。

 

「・・・力がいる。秋十を苦しめる者を蹴散らす力が!」

天才である秋十は頂きに立つべき人間。凡人はその下で踏み潰されるはすだ。怒りをおぼえながらもある人物の携帯番号を見つけると迷いなく電話をかけた。いまの世界を創り、織斑千冬と同様に世界中の女性から神と崇められている人物、篠ノ之束に。

 

「もすもすひねもす?ハァ〜イ、みんなのアイドル篠ノ之束だよ!」

自分の気持ちとは釣り合わないほどテンションの高い'登場に思わずきりそうになったが、今の彼女の望みを叶えられる人物はこの人しかいなかった。ISの生みの親にして箒の実の姉で世界中から指名手配されている天災科学者の彼女にしか。

 

『ふっふっふ〜、掛けてきた理由は分かってるよ。欲しいんだよね〜箒ちゃんの望みを叶えられる力が』

 

「な、何故それを!」

 

『この束様に隠し事は通用しないのだ〜』

すでに自分の考えが読まれていたのには驚いたが、望みを叶えるには可能性が一番高い姉に頼むのがもっとも妥当であり、天才の姉を持つ妹の特権だった。

 

『ちゃ〜んと用意してあるよ。箒ちゃんの誕生日プレゼントに作っておいたんだよ〜』

 

「で、では・・」

 

『例の臨海学校の時に持っていくから、その時まで楽しみにしてね〜バイビー』

通信が切れると箒は思わずガッツポーズをしていた。これであの自分の立場を分かっていない者どもを排除出来ると思っているが、その欲望にまみれた気持ちも姉の束に気づかれているとは思っていなかった。

 

 

 

臨海学校当日、IS学園を出発したバスが長いトンネルを抜けると目の前には海が広がり、それを見た女子生徒らは興奮して大声を上げる。

 

「海、海よ〜!」

 

「少しは落ち着かないと怒られるよ。けど、私も早く行きたい!」

 

「言ってるあなたが、興奮してどうするの」

 

 

学園でも一大イベントでもあるのか、乗った時から女子生徒達のテンションは上がり、その盛り上がりで目が覚めたのか上条も海を眺めた。僅かに喜んだような顔になったが、すぐに表情は元に戻り別の事を考えていた。

上条にとっては海にいい思い出がなく少しずつ、不安を感じていた。1つは御使堕し(エンゼルフォール)、もう1つは第三次世界大戦。どちらも海に関係した事で、前者は天使が落ちてきた事により、すべての人の外見が入れ替わり、終いには術式が発生した儀式場を壊すか、まぐれで術式を発動した父親を殺すかの二択になり、同級生と殺し合いをする羽目になった。後者は戦争の首謀者を倒し、別の生き方をさせるために残り1つの脱出用のトロッコで脱出させた後、北極海に沈みかける神殿の中で大天使と勝負する事になるなど。本人にはあまり経験したくない事があったからだ。それを考えているうちに次第に表情が暗くなっていた。

 

「上条君、大丈夫?顔色が悪いけど」

声を掛けてきたのは鷹月静寂さん、クラスでも真面目でしっかりとしている人だ。いまは人数の関係で隣で座っている。

 

「ん、ああ大丈夫だよ。少し酔っただけだ」

軽く礼を言うとまた窓の外を見て海を眺めながら、いやな事が起こらない事を願っていた。

 

 

「此処が今日からお世話になる旅館だ、くれぐれも失礼のないように。問題行動を起こして仕事を増やすような事はしないようにな」

挨拶を終えると、部屋割りの関係で男子3人は織斑先生に案内をされていた。まあ、就寝時間無視してでも女子生徒が入って来そうだし普通か。そんな事を考えながら歩き少し離れた場所まで来ると急に止まった。

 

「此処が上条、一夏の部屋だ。秋十お前は私と同じ部屋だ。間違っても就寝時間を過ぎても遊ぶなよ」

 

「分かりました」

 

「分かったよ千冬姉」

 

「織斑先生だ」

いつもなら、出席簿が振り下ろされるが他には人がいないのか注意だけで、それぞれ部屋に入り海に行く準備を始めた。2人は着替えるために別館まで移動したが、途中で女子が着替えて部屋の前を通らなくてはならないのでかなり気まずく、耳を塞いで通っていき更衣室で着替え始めた。

 

「・・・やっぱりこれは隠せないか」

上に着ていたシャツを脱ぐとそこに出てきたのは上条の体に亀裂のように刻まれている傷だ。かつて、オティヌスの弩に貫かれ胸のあたりから上下に引き裂かれ、それが未だに体に残っている。

 

「はぁいつまでも、あの事を考えるな。とりあえず今を楽しむか」

 

 

更衣室を出ると、偶然にも同時に着替え終わっていた女子生徒と鉢合わせいていた。

 

「見て!腹筋、割れてるよ!」

 

「あの傷も漢って感じがする。カッコいい!」

 

「ああ、これでいいネタが撮れた。これで購買でがっぽり儲けられそうだわ」

あ、思ったよりも普通の反応で助かった。まあ、うちのクラスの男子だしどんなやつかもある程度は分かってくれてるしな。

 

「かみやーん!」

ドタドタと走って近づいてくるのが聞こえ、振り返るとのほほんさんが走って近づいてくる。制服と同じで動物ものでダボダボの着ぐるみのような水着を着ていた。そんなカッコで走ったら危ないんじゃないか?と思った矢先に目の前でつまずいて転びそうになっていたが倒れる前に受け止めた。

 

「こんなところで走ると危ないぞ、のほほんさん」

 

「うへへーごめんね〜。ずっと探してて、ようやく見つけられたからつい。あ、そうだ。かみやん一緒にビーチバレーやろう〜」

 

「いいけど、後でいいか?少しは泳ぎたいから」

 

「大丈夫だよ〜、じゃああとでね〜」

上機嫌になってまた走り去っていく、着替え終えた一夏が出てくると合流して一緒に浜辺まで歩いて行った。何人かに遊ばないかと誘われるが、先に自分で1人で楽しみたいので断り、海に入った。なるべく1人になりたいのか自然と泳ぎ始めあっという間に砂浜から離れ、水面にプカプカの浮きながら、さっき気になった事を考えていた。途中敵視するような視線を感じ見ると、あまり接したことのない3組と4組の人がこちらを見ていた。多分、最近になって出回った噂だろうと思った。情報はどこから出たのか分からないが、上条当麻が事件に率先して戦いに出るのは疫病神という名を払拭するため。目先の欲にか興味がなくそれを叶えるためなら誰が犠牲になってもなんとも思わない人間だ。まあ、他にも色々あるのだがここに来てまで考える自分も馬鹿みたいだと思いまた泳ぎ出した、その時サメの背びれが見えたのは気のせいだと思いたい。

 

 

「あれ、上条はどこに行ったんだ?」

 

「あいつなら、泳いでどこかに行ったけど。何かするつもりだったの?」

 

「いや、そろそろビーチバレーをやろうと思ったんだけどまだ来ないんだよな」

 

「ふ〜ん、随分心配するのね」

 

「まあ、上条は恩人でもあるしな。・・・なあ鈴。あの背びれってサメだよな」

一夏が指差すとまだ遠いが水面に浮き上がり少しずつこちらに近づいてくるように見えていた。

 

「なんか、すっごく嫌な予感が」

 

「大丈夫よ。ここまで来ることなんてまずありえないんだから」

 

「・・・そうかな」

不安がありながらもまた泳いだが、その数分後に何処からか現れたのでホッとしたが、少しやつれているようにも見えた。

 

「すまん一夏、遅れた」

 

「気にするな、さっきまで俺も遊んでたからな。それより、顔色が悪いけどなんかあったのか?」

 

「・・調子に乗って沖まで泳いでたらサメの大群に追い回されてな、ついさっきまで死に物狂いで泳いできたから」

さっき来てたのは上条を追い回してたやつと考えるとなんとなく、納得がいった。それによく見ると手足の一部に噛まれたような傷も少し残っていた。

 

「いっちー、かみやん〜。一緒にビーチバレーやろう〜」

 

「おう、分かった。それで簪も来てたのか」

 

「う、うん。本音に連れてこられたから」

なんなくだけど納得した、内気な性格の簪が自分から来ることはないと分かったし、そうなると仲の良いのほほんさんに連れてこられた以外はないな。それにしてもフリル付きの水着か、普段はおどおどしてる簪が着るとかなり可愛い。

 

「似合ってるな、その水着」

 

「あ、ありがとう。でも個人的には控えめのが良かった・・」

 

「けど、その方が可愛いと思うぞ」

上条に立て続けに褒められ顔を赤く染め恥ずかしいそうにしながらも、笑っていた。

 

「一夏、ここにいたんだ」

 

「うおっ!な、なんだそのおばけみたいのは」

着いたばかりのシャルロットに声を掛けられ2人同時に振り向いた。一番気になったのはシャルロットと隣にいる、全身を白いタオルで巻かれた人だ。

 

「ラウラじゃないか?帯眼も付いてるし」

 

「あ、言われてみれば。なんで隠れてるんだ?見せればいいのに」

 

「は、恥ずかしいからに決まっているだろう」

 

「本当に見せなくていいの?」

 

「うう、私にも心の準備が・・」

 

「なら、先に一夏達と遊びに行くよ?」

 

「そ、それはダメだ。・・ええい!」

自分だけ仲間はずれにされるのが嫌なのか、兄と慕っている2人から離れるのがいやなのか、掛け声のように声を出し巻いていたタオルを脱いだ、と言うより剥がした。髪は前のようにストレートに伸ばすではなく、途中で束ねツインテールになっていた。着ていたのはビキニタイプの黒い水着。まだ恥ずかしいのかもじもじとし、顔は赤くなっている。

 

「笑いたければ、笑って下さい・・・」

 

「・・何処もおかしくないし、可愛いぞ」

 

「ああ、可愛いぞラウラ」

 

「か、かわ、可愛い・・・そ、そんな事を言われたのは初めてだ」

 

「〜ラウラ可愛い!」

ラウラの可愛いらしい反応に思わずシャルロットが抱きしめていた。すると、さっきよりも顔は赤くなり、湯気まで上がっていた。

 

「いっちーそろそろ始めよう〜」

 

「分かった。あ、シャルロットもやるか?」

 

「え、いいの?」

 

「こっちのチーム人が足りなくてな。ラウラは気絶してるし」

 

「いや、ちゃんと起きて・・・あ、確かに倒れてるね」

シャルロットも同意してくれたところで3対3で始めようとしたがそこに第三者の声を入ってきた。

 

「ねえ、僕もそのビーチバレーに参加させてもらってもいいかな?」

ピキッ!といや音が上条には聞こえ周りを見ると、一夏と簪の額に血管が浮き上がっていた。

上条は知らないが簪は今使っている専用機、打鉄弐式の製造が秋十の白式の製造のため、開発凍結に追い込まれた事の因縁がある。それ以外にも性格面でも合わず、自分が専用機を持つのは当然だと思っていることにも腹を立てている。一夏が怒っているのは過去の事情をある程度は知っていたがここまで嫌いだったのには気づかなかった。

 

「ほう、ビーチバレーか面白そうだな」

ん、織斑先生も来たのかやっぱり綺麗だなラウラと同じ黒いビキニだけど着る人で随分変わるもんだな。普通の人なら一目で惚れるような姿だけど、俺にはその感覚は分からん。あれ?一夏からすっごい殺気が出てる。その間に相川さんらは山田先生、秋十と織斑先生と変わっていた。

 

「よし、殺るか」

 

「そうだな、手を抜いたら簡単に負けるかもしれないし、本気でやるか」

 

「え、そこ?!一夏の字、少しおかしくなかった?」

シャルロットの困惑をよそに試合が始まり、千冬からのサーブでスタートした、そのサーブのなんなく上条は取ると殺気で満ちた一夏の全力サーブを叩き込み、偶然?にも前にいた秋十がその餌食になった。試合自体は一夏のチームが有利で終わったが、その試合を見ていた女子が全員やりたいと言い始め、何組もやる事になったが上条は最後まで楽しい一時を過ごした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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