IS学園の異端児   作:生存者

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第45話

 

 

 

「はぁ、やる気が出ない」

 

「もう少しで学年別トーナメントが始まるのになんでそんなにやる気がないんだ?何となく理由は分かるけど」

模擬戦が終わり休憩の為。フォルテとケイシーが2人で座りながら話しているがいつもより少しだらけ、やる気もあまり出ていない。

 

「まあ、あれだ。やり甲斐のある相手が1人減ったせいでな。こっちとしては試合をやりたいんだが、むこうも急がしいからみたいだから」

 

「そう言えば上条のやつ、今回は出ないらしい」

 

「なんでだ、十分に勝てるだろうに」

 

「どうも部活と、ISの方の練習を並行してやれそうに無いから無理だと。まだ初めて2週間程度しか経ってないし、早く追い付きたいだって」

 

「そんな事言ったらずっと出ないんじゃ無いか?さっきも見たけど結構、熱心に練習してたけどな。朝は日が出る前から、夜は就寝時間の1時間前までやってるなんて噂もあるし」

 

「それは本当らしい、楯無から聞いた」

ほぼ初心者から始めたらしく必死に頑張っていると言う噂は学園中を回っているが実際は・・・

 

「ほら、一年。入ったばっかりの人に実力でも行動でも負けてどうするの!もっと声を出して、頑張りなさい!」

休日ともなると何処の部活も一斉に活気がで始めるが、ここだけは優しい部長が鬼のように厳しくなっていた。それもそのはず、人より劣っているから努力し、自分で考えて動き、気がつけば部内でもトップ3の実力を持っていた。型に縛られた方法でしか打てないなら、それでも打てる位置まで自分で動く。自分に出来る最低限ことだけで登りつめてしまったせいで、自然と練習が厳しくなってしまった。

 

 

「サーブ行きまーす」

キャアキャアと周りが楽しそうにやっている中で普通のサーブの練習だが、

 

「スパッッン!!」

と異常な音が響く。普通の人にはほぼ見えないほどの速さで打つため返すリターン側の人は一歩も動けずに終わってしまう。

 

「あの上条君。速過ぎるから速度落として」

いつも最初は力一杯振るため誰かがこうやって声をかけている。そうで無いと、人に当たってしまった時に大怪我をしかな無いからだ。今所、当たった人は誰もいない。

 

 

「ふぅ、やっぱりきついな。まだ、暑いし汗がすごい出る」

昼の休憩時間になり、ほとんどの女子は部室に戻って行くが上条はまだコートに残っていた。入ってもいいとは言われているがあの中に入った人は大概、ラフな格好になる為案内以外で入った事はない。行くとすればロッカールームくらいだ。

 

「お、上条暇か?」

 

「はい。あ、少し練習をお願い出来ますか?」

 

「いいよ、ついでに私の練習にも付き合ってくれよ」

自然と人と仲良くなれるお陰で、よく練習に誘われるので助かっている。前から相手の癖なんかを読み取るのが得意なので毎度、人の動きを見ながら見様見真似で技術を身につけている。

 

「では、女子大会も近いので試合に入ります。上条君は最初に審判お願い。他にも空いてる人は審判に入って下さい。1セットでは時間が掛かるのでゲームカウント2ー2からで」

見習いなので基本は審判なんどの裏方を多くやる。入って最初に覚えたのが打ち方ではなく審判とルールだったりする。

 

「ゲーム、6ー4でこちらの勝ちです」

 

「じゃあ次、入って。あ、私だった、上条君相手お願い」

 

「え、はい分かりました。あのなんで俺が」

 

「えっと、対等にやりあえる人がこの中だと少ないから。いつも同じ人とやってもつまらないでしょ」

遠回しに他は弱くてつまらないと言ってるようにしか聞こえない。毎回同じ人とやると飽きてくるのは分かる気がする。しかし、相手が結構な実力者なのは間違いないな。練習でもコートごとに強い順に分けてるあたり実力主義か、まあベタな方法だな。

 

じゃあ、俺はやれる事だけをやるか。馬鹿のひとつ覚えも悪くない。

 

 

気がつけばゲームカウント6ー6、タイブレークまだ来ていた。片方は息が上がり、片方は澄まし顔で立っていた。

 

「ええ、まだ終わってないの?」

 

「うん、部長も頑張ってるけど2人とも基本的にミスしないからね。偶に上条君が足を滑らせて打てない時以外は押されてる」

 

「え、そんなに?!」

 

「あ、サーブが速いし何処に行くか分からないのよ」

 

「え、横に曲がるとかじゃなくて?」

 

「違うわ。手前に戻ったりするのよ、あとは異常に伸びるかで」

 

 

「流石部長。なかなか勝たしてくれませんね」

 

「まだ、新米に勝たせるつもりなんてない」

なかなか白熱した試合になり本気モードになる。サーブは触るどころか体が追いつかない。自分のサービスゲームの時しかポイントが取れないのもあるが、自分も相手もラリーが続く為1ポイントをもぎ取るのでも一苦労だ。

 

「あ」

パシンッ!とボールを打ったまではいいがネットにラケットが触れてしまう。

 

「ゲーム、タイブレークの8ー6で部長の勝ちです」

何故か歓声がすごい上がる。まあ、1時間近くやって訳だしそうなるか。って危ない。

終わった途端に倒れかける。慌てて手を引っ張り引き寄せる。ネットが邪魔になってしまう、面倒なので持ち上げでいわゆるお姫様抱っこで日陰のベンチに寝かせる。こういう時は無駄に体力があるので直後でも普通に動けるのは助かるな。

 

「脱水症か?ずっと動いてたし、給水もあんまり見てなかった。意識はあるからまだ良かった。少しずつ水を飲んで行けば問題ないか」

 

 

 

1人欠けてしまったか問題なく続き部活は終了したが、それが原因で終わりに顧問から少し注意を受けしまった。あなたさっきめちゃくちゃ熱心に見てませんでした?

「有力選手なんだからあんまり無理させないように」

 

「はい、すいませんでした」

 

「でも、いい試合を見せてもらったし。これからも頑張って」

怒るのか、褒めるのかどっちなんだこの人は。まあ、終わった事だしまた残って練習して行くか。

 

「あれ、セシリアもうあがるのか?」

 

「ええ、今度の学年別トーナメントでトップに行くつもりですから」

 

「そうか、頑張れ」

現在は午後5時、長くやりすぎても良くないらしく何もなければ大体この時間に終わるが、残って練習をする人もちらほらと

 

「まだサーブの入る確率が少ないからな。どうにかしないと」

今の所、ファーストサーブの確率は約7割。セカンドサーブは9割越え。1年にしては十分な方だが、周りの人達はもっと高い為低く感じてしまう。

どうやって計ったかと言うと、試合中に外で見ている人が数えてくれるのでそれを参考に割り出している。

 

「ん〜まだ速いか。何だっけ、力を込めないで振って面に軽く打つだっけ。やってみるか、それ」

トスをあげ、優しく同じ速度で振り切る。きれいな放物線を描きサービスコートに入る

 

「こんな感じか、速すぎても対策はされない方がいいからな。あまり使わない方がいいよって言われてるし。ついで全部この速度で打てるようしとくか」

1つのサーブに1カゴ使い、徹底的に体に動きを叩きこむ。最初にコートに入れられなければ試合すら始まらないのでこれを中心にやる事にしている。

 

 

「よし、今日はここまでにするか」

日が落ち始めた頃ようやく終わり、コート整備を済ませて出て行く。念のため、部室には上条のロッカーも存在するが何かやらかしてしまいそうなのでアリーナのロッカールームで着替えをしている。

 

「はぁ、今更だけどこの時期なんて大会がほとんどないし当分は辞められそうにないな。しかも、不幸が起こるせいで勝てるかすら怪しい。何もないところで滑るとか、シャレにならないからな」

気軽に話せる男子が少ないせいでどうしても愚痴のようになってしまう独り言。

 

「ま、我慢だ。それまではゆっくり練習するしかない。相手は男子だ、こっちとはまた変わってくるだろうしそれでも勝てるようにしないとな」

明日からまた授業だ。しっかり休んでおこう、ついでに慣れない勉強もやらないと辛い。

 

 

「あ、お疲れ様」

 

「・・・どうも、あの何で当たり前のように俺のベットで寝てるんですか?」

窓側のベットを上条が廊下側を楯無さんが使う事にしたはずなのだが、よくこちらのベットに寝ていることがある。しかも、服装がいわゆる裸Yシャツのかっこなので視線をずらして話す。

 

「まあまあ、いつもの事だし気にせずに」

 

「そうですね、気にせずに・・気にしますよ!あと、ちゃんと服着てください」

一度部屋を出ると、渋々と言うか仕方なく着替え始めた。はぁ、最近の悩みの種が同室の相手になるとは。楯無さんは軽いいたずらでやってると思うけど、こっちは心臓に悪いしバレたら厄介ごとになるからやめてほしい。

 

「いいわよー」

 

「やっとですか・・・」

 

「お帰りなさいませ、ご主人様」

とっさに廊下を左右確認する。よし誰も見てないな。肩を掴み奥まで連れ行く。

 

「何やってるんですか!Yシャツの次はメイド服ですか?!」

 

「え、上条君が好みの格好になったつもりなのよ」

一瞬だけ頭を抱えそうになる。

 

「好きか嫌いかで言えば好きですよ。後ですね、普通の部屋着ないんですか!」

 

「おーい、騒がしいけど何が・・・あった・・」

運悪く偶然通りかかった、フォルテさんに見られる。

 

「ま、まあお前にもそういう趣味はあるだろうしな。邪魔したなよ」

あ、絶対誤解されている。いつもの笑顔が引きつってるし

 

 

「それで、本当に出ないのかお前は」

とりあえず、誤解は何とかとれ部屋の中にいる。

 

「もしかしたらもう出る事はないかも。まあ、一度くらいは出るつもりですよ」

 

「本気で言ったのか、あの条件は」

 

「そのくらいの意気込みじゃないとやりません。そんな浮ついた気持ちでやるつもりはないですから」

 

「そこは真面目だな」

先程から上条はイアホンを付け動画を見ながら話をしていた。もちろん言っている事は本心だが。

 

「でも、あと2ヶ月は出れそうにないのは理解してます。大会なんてそうそうあるわけでもない。それに入るしてもそこそこ面倒な手続きがありますから。それに勝てるかどうかも怪しいです」

 

「そうだよな、勝てても出れなきゃ意味がないし」

 

 

次の日、午前の授業も終わり食堂のテーブル席に一夏と2人で座っていた。

「早いな、もうキャノンボール・ファストの時期か。ISのレース、穏やかじゃないな。専用機を持ってる人間がすでに10人近く。訓練機の方は激戦になりそうだな」

 

「呑気に言ってけどお前も出るんだぞ」

 

「その前に大会があるから出れるか分からない。負けたら、そっちに出れるように・・いや、俺はどっちにしろ出れないな」

顧問の先生に頼んで見た結果、なんとか了承してくれたおかげで小さい大会に出れるまでにはなった。そのせいで目の下に隈ができてしまったが。少しでも、負担を減らせるように弁当を作って持って行ったこともしばしば。

ついでに、夏の臨海学校で機体の最高速度がマッハ8も出せるとバラしてしまったせいでその時から出場は不可能になっていた。

 

「あれか確かに無理だな。訓練機の方は出ないのか?」

 

「出ないよ。観戦するつもりだ」

 

「確か、1週間前の学年別トーナメント戦も辞退してたか」

前回のようなハプニングも起こらず無事に決勝まで終わり。1年は織斑一夏、2年が更識楯無、3年はダリル・ケイシーが優勝した。

 

「その前にそろそろテスト勉強も始めないと。頭が働かないからどうにかしないと留年にならなくても、赤点だけは嫌だからな」

 

「そうだな」

一夏の一言でバッサリと切られる。クラスでもほとんど最下位同然の成績なので、毎度赤点ギリギリになってしまう。元から理解が遅い上に、授業の速さとレベルが高いせいで余計に成績が悪くなって行く。

 

「毎日、勉強漬けか。その前に問題が山積みになってるけどな。テストの1週間前に大会とか殺す気かよ」

 

「まあ、その頑張れ。応援はしてるからさ」

 

「一夏、それを正面向いて行ってくれたら俺は嬉しいよ」

よく見ると視線が少しだけずれ、口調も速くなっている。

そんな会話をしているうちに、授業開始5分前のカネが鳴り2人は急ぎ足でその場から離れて行った。

テストも近づいてきたのを教えるためかやたら、テスト範囲について授業内で話が出る事が多くなっていった。

 

「では、今日はここまで。来週からはテスト週間なる。1番気が抜ける時期のテストだが、頑張るように。あと上条、お前は残れ」

 

「はい〜、分かりました」

なんで、残されるか大体の予想がついている為、ふざけて声を出してしまう。

 

「ふざけて語尾伸ばすな」

1組恒例の出席簿アタックが脳天に炸裂する。HRも終わり教室には上条1人が残され、副担の山田先生と向き合っていた。もちろん、勉強についてだが、普通の中学で真ん中あたりの成績をなんとか取れていた上条には超難関校の勉強になかなか頭が追いつかない。本当にどうやって前の高校生活を送っていたのか考えたくなる。

 

「で、そこの問題は。こっちの公式を使って」

優しく丁寧に教えてくれのはすごく助かる。何よりこっちがどれだけ馬鹿なのか分かって上で教えてくれるので分かりやすい説明をしてくれる。

 

「これで分かりましたか?」

 

「はい、なんとか」

たった1時間で頭から湯気が出る。珍しく、勉強をしてて時間の流れを早く感じかも。

 

「今日はありがとうございました」

 

「いえいえ、この時期に赤点は困ると思うので頑張ってやらせろと頼まれて」

 

「もしかして、織斑先生が?」

 

「はい、こちらで今までの成績と人としての評価を大体把握しているので、そろそろ追いつかなくなるだろうと」

当たってます、もう無理です。助かりました。

 

「でも、よく頑張りますね。中学の学力では完全に置いていかけると思ってました」

 

「そのくらいはなんとか食らいつきます。ん、評価?て事は俺の人柄がどんなかも見たんですか?」

 

「え、まあ。一様クラス全員の名前から性格とかも。上条君は素行が悪いって書かれてましたけど、思ったより大人しくてびっくりしましたね」

 

「素行が悪いか、中学の時は教師のほぼ全員から嫌われてましたからそんなもんですよ。じゃあまた明日」

手を振りながら、教室を後に急いで部活に向かう。全く遅れる事を先に言ってないのでボロクソに怒られたが言うだけ言うとあっさり練習に参加させてもらえた。

それから数日後、初めての試合の当日校門を練習着で通り過ぎる上条の姿があった。必要なものは先週一通り外のスポーツ用品店で買っていた。

「まっ、初めてだし結果も重要になるけど傷跡を残さないと先生がたに申し訳ないから頑張りますか。いい意味で」

 

 

 

 

 

 

 




次回はキャノンボール・ファストに入りたいと思います。
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