「暑っ今10月だよな?」
「そのはずだにゃー」
30分程だが、歌っている本人以上に盛り上がってしまい3人とも若干汗をにじませていた。
「いや〜参った。んじゃわいらは店の時間が来るから行くで」
「おお、後で顔出しに行くからな」
「と言ったものの、案外面白そうなものが多いから行けるか分からないな。まあ、吹寄も同じクラスだって言ってるから食べ物の類は我慢しよう」
今は文化祭の中、気になる店も多い訳で寄り道をして行くことにした。
「パンチングマシーンですか」
「普通高校だって聞いてましたけど。文化部の方にも力が入ってますね。部活だけでも40以上あるとか」
「よし、私から行くわ」
「はいはーい、わたしも行きます」
「あ、佐天さん」
「よし、勝ったー」
「「「「ええ!!」」」
体育系の推薦者で集まったクラスの出し物があると知って訪れてみると入り口に大々的に腕相撲挑戦者求む、と面白そうな看板があったので参加していたのだ。確か、相手はレスリング部だったかな。
「あれ、次は?」
「俺だ、さあ来い!」
とりあえず一通り相手をしてもらい次のクラスにふらっと歩いて行った。
あとには腕を押さえるガタイの良い男が数人程の倒れていたそうだ。
「おっとここか」
「お、かみやんやっと来たか。一名追加だにゃー」
中はどこかの文化祭を参考にしたのか、服装はメイド服か執事服。しかし、テーブルなどは使える費用が足りないのか自作になっている。ん、なんか見覚えがある。
「なぁ、このテーブル見覚えがあるんだが」
「かみやんが前に作ったやつを参考にしたからにゃー」
「・・・相当前の話だよな」
「中学の頃だからにゃー。じゃあここに座ってくれ」
客に対して雑だと思うが礼儀正しくされても変な感じがするので何も言う事はなかった。
「んーメニュー内容吹寄が考えたよなこれ。しっかりしてるのは変わらないか」
「ご注文は?」
「へっあ、姫神か」
突如声をかけられ、変な声を上げれしまった。影が薄くて気づかなかったとは間違っても言えないが
「変な事考えてる」
「・・・そんな事はないですよ?」
「それはそうと注文は」
「あ、ああこのオススメを」
メニューを書き取ると、仕事は済んだとすぐに歩い行こうとしていた。
「姫神」
「何?」
「メイド服、似合ってるぞ」
「・・・ありがとう」
「姫神さん大丈夫?顔が赤くなってるわよ」
「大丈夫。ちょっと休めば元に戻るから」
「なあ、吹寄。このメニューって全部お前が考えたのか?」
「ええ、そうよ。多すぎても少なくても困るし、あんたみたいな料理上手がいないから余計にね」
「・・・でも、美味しかったし結構売れんじゃないか?」
「そうなるように頑張るつもりよ。あと、お代ならここで受け取るからゆっくりにして行きなさいよ」
「助かる、委員長」
先にお代を渡しのんびりとしていると次々にお客さんが入って来ていた。値段もリーズナブルで、量も程よいのか教室内は賑わっていた。
「次はどこに行くか。あ、外はほとんど行ってないし・・・」
「ちょっとそこの」
「シャットアウラに席を譲って貰えたんだし、何かお礼もした方が。でもな」
「そこのあなた」
「寮に帰っても勉強か。テストとか面倒だな」
「あら、聞こえないのかしら!」
いかにも、苛立ったような声が聞こえてくる上についでに足音もこっちに近づいて来ていた。
そして、不意に右手が動き顔に当たる寸前の花瓶を押さえていた。
「なんだ、騒がしい」
「あら、聞いてないの?そこどけって言ったのよ」
「あっそ。なら、外で待ってろ。いい年した人間が待つ事も出来ないのか?」
「待つ必要もないわ。あなたが出て行けばいいから」
溜め息を吐きそうになったが、余計に面倒になる上に騒ぎそうなのでさっさと出るのが一番だとした。
「じゃあさっさと出て行きますよ」
別にパンフレットくらいなら外でものんびり眺められるので出て行く。
「祭りみたいだな。このくらいの賑やかな感じの方が俺は好きだ」
「お客さん、一本どうですか?焼きたてですよ」
「じゃあ、一本お願いします」
ついつい、焼いていた人の言葉に乗せられ一本買ってしまい一口。最初はうまいと思ったが次の瞬間に冷や汗がだらだらと出てくる。
「やべっこのタイミングありかよ」
外食すれば大体食中毒をするがここ最近妙に当たらないため不審に思っていた為、治ったかと本気で思っていたが最悪のタイミングで降って来た。
「教員のようのやつでも使おう。いやな風潮だ、男子のなんて校内の端っこにしかないとか。勘弁してくれよ」
それから2分後、なんとか勘でトイレを見つけほっと安堵した。
「あ〜もう勘弁してくれ。上条さんもこれが何回も続くのは耐えられそうにない」
「やめて下さい。あなたはもう関係ないでしょ!」
「いやいや、僕が頼んで大学に入れるようにしたのに。あの程度じゃ釣り合わなくてねえ」
はぁ、きりがないな。
「ん、どこで話してる?裏か?」
周りを見渡しても姿は見えない。裏に回っても見えなかったし、あたりを探してもいないな。
「君は何もしなくていい。ただ受け止めれば」
「おーい、そこで何やってんだ?」
おいおい、女子トイレで何やってるんだ。初めて見たぞこんなやつ
「・・・君はこの学校の生徒ではないね。ここは立入禁止の場所のはずだが?」
「それはあんたも一緒だろ?女子トイレに入る男なんて相当な命知らずだ」
実際まだ一歩も入ってないし。俺は問題ない、はず
「なぁ、君は僕に喧嘩を売ってるのかい?」
何故そうなる。あ、もしかして怒らせると面倒なタイプの人だ。
「待ちなさい。何をやっているんですか?赤木先生」
声に反応し振り向くと黒髪をのばした凛とした女性が近寄って来た。
「これはこれは生徒会長。実は」
「そこの人が脅してるのを注意してました」
とりあえず先にやっていたことを告げる。変な見方をされると面倒になりそうなのでさっさと自分のやったことを言っていた。
「赤木先生、先日も不祥事を起こしていますが、何か弁解はありますか?」
「生徒と話をしていただけだ。そうだろ?」
おい、普通なら聞かないだろ。つーかこっちから顔を見えないようしてると脅してるようにしか感じない。本人は怖がってるし
「1度目は間がさしたと。次はどんな言い訳をするのか楽しみです」
「まあ、待ってくれ黒川さん。僕だって私情でこんなことをするような人間じゃないんだ」
駆け寄り両肩を掴みながらあくまで涼しい顔をして訴える。まるで何かの演技を見てるようだ。
「浮気のばれた人間のセリフにしか見えないな」
「君には関係ない」
「自分は目撃者なんですが。僕が大学に入れるようにしたのに。その程度じゃ釣り合わない、だっけ?そういう奴よくいるよな。特権を持ってるから大概のことは許される人」
「これは僕と黒川さんの問題だ」
「はいはい、とりあえず手を離せ。全く言葉に説得力がない」
「君は年上に対する言葉遣いや敬意と言うものがないのか?」
「俺はどうも敬語を使えない人間なんですよ」
「そうか、まあこれから覚えていくといい。使えないと苦労するからね」
手を離し近づいてくる。そして通り過ぎる瞬間
「あまり調子に乗るなよ。後悔させてやる」
と呟き去っていった。
「では、無断で非公開の場所にまで入ったあなたにも事情を聞かせてもらいます」
「・・・はい」
そりゃそうだ。まあ、いいや腹痛は治ったし。
「生徒会室?」
「はい、流石にお客さんの迷惑にも行きませんし。あなたも人目のある場所で注意を受けるのもいやでしょう」
「まあ、嫌ですね」
校舎は4階建でその一番上の非公開の場所に生徒会の部屋が置かれていた。
「では適当にかけて下さい。名前と今通ってる学校名をこちらに」
「明日あたりに説教だなこれは」
「生徒を助けていただいたのは良かった事ですが。これも仕事です」
まあ、仕方ないか。非公開部分に入ったのは事実だ。
「おお、これはこれは生徒会長。私の可愛い後輩に何をしてるんだけど」
ちょうど対面していた黒川さんの横にあった扉が開く。
「雲川さんまたサボりですか?」
「つまらんことに体力を割きたくない。それに時間は有意義に過ごすべきだ。何処かの馬鹿は都市伝説を一通り検証するなんてことをしていたがな」
「それは言うな!」
とりあえず書き終えた用紙を渡す。要件も2つだけで対して時間もかからなかった。
「これでいいですか?」
「ええ」
「じゃあ、先輩行きますか?」
「そうだな、お前のおごりで」
「さいですか、何処に行くかも決めてないのに」
「中学の時にお前の勉強を手伝ったのは誰だけど?」
「分かりました。もう何も言いません」
「いちゃいちゃするなら外でお願いします」
若干イラっとした口調にも聞こえたのでさっさと出て行くと適当に廊下を歩いているうちに公開されている場所まで戻っていた。
「お前は食べないのか?」
「俺にもう一度腹痛を起こすつもりですか」
「おい、アリサ。立ち食いはやめろ」
「少しくらいはいいでしょ、シャッちゃん」
「いいや、ダメだ。そうでなくても浮かれ過ぎだ」
仲良しの姉妹だな。あれを見てると楯無さんと簪も思い浮かんでくる。
ちょうどその頃、生徒会室では
「名前は上条当麻。通学先はIS学園・・・IS・・まさか、あの人も・・・」
慌ただしく立ち上がり走り出す。
「ようやく見つけられる。あの人を」
「お、一夏久しぶりだな」
「弾、屋台で働くほうが似合ってるな」
「うるせえ、じいちゃんに仕込まれちまってるんだよ」
確かに文句を言ってる間も常に手は動いていた。実家が食堂という事もあり手つきもムラがない。
「結構賑わってるな」
「お前のとこと違って男も半分くらい混じってるからな。大体、文化祭があるなら誘えよ」
「それが招待券が1人一枚しかなくて誘えなくてな」
「くあー来年は絶対に誘えよ!」
蘭は受験するって言ってたしそれなら招待券も出せるな。問題は不審者扱いされないだ。
「なあ、ここにアリサってアイドルがいるのって本当なのか?」
「ああいるぞ。今は休憩中だからもしかしたら会えるだろ。あ、ファンクラブのやつがよく監視してるから気をつけろよ」
「なんでだ、少しくらいは話せるだろ」
「それがな、前のマネージャーが誘拐する事件が起きて。それ以来アリサさんのお姉さんと一部の人間か普通に話せないんだよ」
「そっか、じゃあまた後でな弾」
座るところなく困っていたアリサとシャットアウラを呼び、同じテーブルの席に座ったが
「ありがとう当麻君。何処も空いてなくて困ってたんだよ」
「アリサがお願いすれば誰でも退くと思うが?まあ、お子様のお前がそんな事をする訳ないか」
「先輩みたいに歪んだ性格じゃありませんからね」
「頼むから喧嘩はやめてくれ」
「お前の性格が原因だろ。こんな時にばっかり優柔不断になるから」
なんで、味方がいないんだー。あんた一番年上なんだから助けてくれよ。
「で、向こうの生活はどうなんだ?最近は行方不明なんてニュースにまでなったが」
「まあ、現に飛行機ごと海面に叩きつけられて。・・・久しぶりに会った会話が人の怪我の話なのはどうなんですか?」
「会話のネタがポンポン出てくるから退屈しないんだ」
「はぁ、元気に過ごしてるし。特に変わったことはないですよ。精々風呂に入れないのが困った事だな」
「女子校に入った時点でそこは我慢するものだろ」
「シャワーだけは限界もあるのですが」
毎日入ってる女子と違って俺たちは2週間に1回使えるか使えないって所だし。先生が見張りに立ってないといけないから長く入れるわけでもない。男性用とか出来ないのか1回聞いてみるか。
「そこの男、席を譲りなさいよ」
「あらら、目をつけられちゃったな」
「そうか?私にはお前に向かって言ってるようにしか見えないけど」
「え、でもそこそこ離れた場所から」
「よく見てみろ」
まさか、明らかに違う人に言ってるようにしか聞こえないな。と半信半疑で振り向くと指を指ししっかりと女性がこちらを見ていた。
「そこの席を譲りなさい」
「そんな見下すよう言われても動きませんよ」
「あら、私に逆らうの?」
典型的な女だな。もう相手なんかしたくないのに。
「逆らうつもりないし、従う道理もない。たかだか性別が違うだけでそんなに偉そうにされても困ります」
「ISも動かせない男がよく言うわね」
「動かせる男性も3人はいますが」
「あんなのまぐれよ。2人は千冬さんの弟だから、あと1人は機械の誤作動で偶々乗れるようなインチキみたいな物。私達とは違うわ」
確かに誤作動だったあれは。まあ、いいや。訓練機も乗れるしとりあえず操縦出来るくらいなは適正だってあったし。
「まるで乗ったことがあるような言い草だな」
「ええ、これでもIS学園から出たエリートよ」
自分で言うのかよ。俺の知る限りのエリートは1人を除いて謙虚だ、今はその1人も治ってきてクラスに馴染めている。
「なら、自称エリートさん。使えない男性が目の前にいるんだ、少しは多めに見る気は無いんですか?」
「それは元から考えてないわ。だって、大活躍してるアリサさんが隣に座ってるのに」
「なんだ、大の大人が子供に嫉妬しただけか。そのくらい我慢してくれ、その内話せる機会だってある」
「みんなのアリサを独り占めにするの?あなたみたいな男なんかよりは数倍増しよ」
「今まさに独り占めにしようとしたやつがみんなの、なんて言ってもな」
「・・・いちいちうるさいわよ。さっさとその席を退きなさい!」
こんなので怒られても。これが男なら理由くらい興奮して熱弁してくれそうなのに。男よりも気が短いなんて、プライドだけかよ。ん?でも男でも気が短いやつもいるか。
「うるさいのは貴方の方かと」
「誰か、この男を通報して!」
「迷惑だな」
「そこまで煽ったのはだれだ?」
「俺です。はい」
と何故か数分後には警官がいかにも面倒だと顔でアピールしながらやってきた。
「あの男よ。私を侮辱したわ」
「しかし、周りの人はそんな言葉を一切聞いていないと言っています」
「私に逆らうの?あんたも職を失いたくないなら逮捕しなさい!」
もう警察署に行くのは嫌だな。散々な目にあったし、交番なら警官の人とのんびり話せるから暇つぶし出来るのに。
「逃げないのか?」
「逃げられますけど・・・先輩、助けて下さい」
「分かった。あとで1つ言う事は聞いてもらうけど」
その時、隣のアリサがむっとしたのは気のせいだと思いたい。
「あの男にようか?」
「あんた、あの冴えない男と座ってた女ね。何か用?」
「あいつに関わるな、さっさと去れ」
「随分と口が悪いわね」
「お前に1つ忠告しておく。あいつは疫病神と言われている不運の塊だ。そんなに輝かしい人生を棒に振りたいなら、今すぐにでも近づいて警官にでも差し出せ」
「疫病神?何の冗談よ」
「すぐに分かる」
と言って一歩下がる。あまりに唐突な動きに何かと思った時には、そばを通りかかったカップルの飲み物が自分に掛かっていた。
「これで分かったけど。これ以上の災いを受けたくないなら何処かに去れ」
「・・・ちっ、分かったわ」
イライラが溜まっているが言ったそばからこんな目に合うくらいならと考えたのか渋々去っていった。そんな女の背を不敵な笑みを浮かべ見送っていた。
「なんて言ったんですか?」
「そんなに聞きたいか?」
「やっぱりいいです。言わないで下さい」
原作ではほとんど雲川芹亜さんもちょくちょく使います。