IS学園の異端児   作:生存者

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第83話

 

 

「今日はここまでだ。まあ、マシにはなっているが手を抜けるは考えない事だ」

 

「手を抜ける余裕があれば補修なんてやりたくねぇ」

 

「そうか」

 

いつもの補修、そして苦し紛れに放つ言葉も一言も軽くあしらわれ、教室に1人残って必死にペンを動かしている。もう何回目かも覚えてほどこんな問題も分からないのか。と厳しい指摘をする教師の方から、何故か早めに切り上げると言われた。

 

 

「さて、修学旅行の準備で明日以降は他の教員も手が回りそうにない。そこで」

 

辞典と同じ厚みのプリントを机に置いて、後は分かるよな。と顔で語ってきた。ようはこれ全部を帰ってくるまでに終わらせておけと言いたのだろう。幸いにも両面印刷までされていないのが救いだが、内容はまあ難しくて見ただけは手に負えなかった。

 

「あとは自分の力で頑張れ、終わったら私の机に。今度は裏面を使うからな。間違っても捨てたり破くなよ」

 

「げ、これをもう一回やるのか・・・」

 

「いやなら一人で頑張るか?」

 

「いえ、受け取らせていただきます」

 

ありがたく受け取ると軽く笑顔を見せて出て行く教師を見送り、扉が閉まると同時に盛大に溜め息を吐いた。

 

「はぁ、また大量に作らてるし・・・ん、待て待て苦手な問題しかない!」

 

このくらい出来るようになれ。と応援されてるのかこれも出来ないのか。とあざ笑っているのか分からないが全部終わらせるのに苦労するのは決まった。

 

 

「今からやるにしてもこの量はな。明日から・・やっぱもう始めよう」

 

「おーい上条いるか」

 

「一夏?どうした、こんな時間に。また楯無さんが逃げたのか」

 

「いや、それはいつもの事だ。そっちじゃなくて書類整理手伝ってくれないか。抗議文がやたら届いて片付けきれない」

 

ちょうど時間が出来てしまった為、暇つぶしがてらに寄って行く事にしたが

 

「ちょうど終わったタイミングで来たよな。狙ったのか?」

 

「会長がもう終わるから呼んできてくれって頼まれたからな。まあ、狙ったようなもんだろ」

 

 

 

 

 

 

 

「また抗議、はいはいまたか」

 

生徒会室に入ってそうそう書類の山に手を掛ける。楯無さんは簪とISのメンテナンスでしばらく不在、のほほんさんはいつも通りサボり、嘘さんは楯無さんの監視に一緒に同行して男2人で仕事を始めていた。

 

「なあ、さりげなくお前の無断外出の抗議文も混じってる。なんで知ってるんだ?」

 

「・・・こっちから抗議文送っていいなら分かるだろ」

 

どんなお偉い人が送ってくるのかこっちは全く分からないが仕事を押し付けているだけなのはここでしばらく手伝いをしているうちに分かった。国家代表あるいは代表候補生の成長の確認、ついでに専用機のデータの提供、それと俺たち3人のうちだれか1人でいいから自由国籍をぜひ国の代表にならないかと言う招待。

 

「なあ、一夏はなりたいと思うか?」

 

「俺はまだ迷うな。千冬姉の後に続くのもありだけど」

 

「まあ、就職してもまともに過ごせるとは思えない」

 

名前に戸籍の偽装、引っ越しまでしても熱心な人達にはあっさりばれる。本気で静かに過ごすなら秘境ような場所しかないが、些細なきっかけで場所が分かりそうだ。

っと余分な事を考える前に片付けないと。書類の山も半分近く終わり、もうしばらく我慢すれば負担も減らせるだろう。終わったら腕が落ちないように自炊でもするか。

 

 

「一夏君、ごめん遅れちゃって。あれ、なんで上条君まで」

 

「楯無さんが仕事を置き去りにして何処か行った、なんて一夏から聞いて手伝いに」

 

「え、一夏君、今日はかんちゃんの整備の手伝いって・・・待ちなさい!」

 

楯無が部屋を見渡した時には文句を言う相手はいなくなっていた。とっさに生徒会室を出ると簪に鉢合わせたが

 

「あれ、お姉ちゃんどうしたの?」

 

「上条君見なかった?少し言いたい事があるのよ」

 

「さっきすれ違った。でも、走ってたからもう追いつかないよ」

 

足の速さに自身のあるの楯無も全力で逃げたであろう運動馬鹿に追いつけるわけもなく大人しく生徒会室に戻った。

 

 

 

 

 

何か言われそうな予感がした時にはもう部屋を出る準備を済ませて飛び出した。まあ、先延ばしにしただけで数時間後に酷い目に合うだろう。

 

「話してると飯の時間も無くなりそうだし、それに食堂が混み始める前に」

 

部活もそろそろ終わり時間帯なので気持ち速足で向かう。

「お、今日は早いね。自炊でもしに来たのかい?」

 

「まあそんな所です。余ってる物ってないですか?」

 

ちょっと待ってな。と奥に行ってしまった。自分が行くのが1番だが、数分で何やら袋に入れて戻って来た。

 

「こんなもんしかないけど使いなさい」

 

「え、こんなに大丈夫なの?」

 

「年頃の学生があの量で満足出来る訳ないでしょ。ほら、みんな来る前に行きな」

 

「ありがとうおばちゃん」

 

軽く礼をするとすぐに立ち去った。中身を確認しながら何を作るか考えていたが、明らかに1人で消費しきれる量には見えなかった。

 

「これ、余ってるものだよな。こうなると全部使い切るしかないし、

あまり時間を掛けないで作らないとまた注意されちまうな」

 

度々寮の簡易キッチンで自炊をしていると部屋の前に人だかりが出来る為苦情が届いているのだ。まあ、学生で料理をやる男子なんてそうそう居ないし物珍しさで見物に来んだろう。

 

「よし、始めるか」

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日も疲れたわ。個人に出せば済む案件まで生徒会に回されると困るのよね」

 

「律儀に返してるからじゃえねのか」

 

「むしろ無視しても仕事を増やすだけで解決しないの。こっち個人の意思は関係なく押し付けるから・・・」

 

日頃、相当溜め込んでいるのか止まる事なく楯無の口から不満が出る。

 

「にしても変わったよなぁお前」

 

「そう?私はいつも通りよ」

 

「一度も愚痴言ってる姿なんて見た事ないし、気軽に話しかけて来なかっただろ?」

 

以前から話しかけてくる機会は何度もあった。しかし、愛想を浮かべた笑顔は見る人が見れば貼り付けたようなもので安心どころか気を許す事も出来なかったが、今では時間があれば部屋で他愛もない話をしていた。

 

「そう言えば来週から1年は修学旅行か、寂しくならないように毎日来てやろうか?」

 

「来なくてもいいわよ。慣れてるから」

 

「そりゃそうか」

 

と扉に手を掛けたが途中で何かが引っかった。どうやら部屋の簡易キッチンを使っていたらしく、慌てて調理道具をどかしている。

 

「はいはい、今開けますよ」

 

面倒臭そうにゆっくり開けた先にいたのはエプロン姿の主夫だった。暇つぶしに一緒にフォルテも一緒に入ってきた。

 

「あら、今日は自炊?」

 

「珍しく補習がなくなったのと、あとは偶には自炊しないと親に置いてかれそうなんです」

 

と作り終わった物を机に置くが、高校生にしては出来過ぎた完成度に楯無は感心しフォルテは呆れていた。使った物は軽く汚れを拭き取ってはいるが何度も使用しているのか取りきっていない跡が付いていた。

 

「何処でそんな女子力付けたんだ。あと一口食わせろよ」

 

念の為用意してい予備を取り出すとどうぞ、と直接口まだ運び食べさせていた。

 

「ん〜家事は手伝ってる間に気がついたら出来るように、料理は厳しく教えを受けたくらいです。俺は疫病神なんて言われる前から迷惑を掛けてたのもあって少しは負担が無くなれば、なんて気がついたら必死になってやりました」

 

「疫病神ね、なら私達にも不運とやらに巻き込まれるのか?」

 

「・・・ここなら、せいぜいスプリンクラーが誤作動を起こすか。それか偶然にもコンセントから火が出るか」

 

「どっちも嫌だな。妙なくらい現実味がある」

 

ものしろ半分で聞いているフォルテは上条の言葉を楽しげに聞いていた。この程度なら日常的に起こっているお陰で笑い話で済んでいる。

 

「そうなると修学旅行で行った先は何が起こるか分からないわね」

 

「なんとかなるだろ。学園最強のメンバーが出揃ってるし、そこらの犯罪者なんて逃げていくんじゃないのか?」

 

現に世界を暗躍していたような亡国企業を潰しているくらいなので、知っている人間ならまず近付くことはないだろう。一部の人間は合わないように逃げていく事もあり得る。

 

「は!そうだ、上条君かんちゃんの着物姿をこれで撮ってきて!」

 

一眼レフのカメラを差し出されたのだが、クラス内で既に撮影係としてカメラを支給される事になっている。

 

「そんな準備しなくてもデジカメで十分・・・」

 

「勉強の手伝いしないわよ?」

 

「ありがたくやらせていただきます」

 

この手の要求をされるとどうしても下手にしか出れないのが情けなったがその分面倒を見てもらっている為、大人しく受け取った。

 

「はは、こき使われてんな」

 

「元はと言えば俺が授業を理解出来てないのが悪いんですよ。こっちとしては助かってる分、雑用くらいやりますよ」

 

 

 

 

 

 

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