「じゃあ頑張ってくれよ鈴」
クラス対抗戦当日になら一夏は鈴の応援ため2組のピットを訪れていた。
「あんな奴に負けるつもりなんてないわよ。それと昨日約束守りなさいよ」
「分かってる、であれってどう言う意味なんだ?」
「そ、それは終わったら言うわよ」
「そうか、でも実力はほぼ同じなんだ油断はするなよ。出し惜しみは無しで全力でな」
「そんなに心配されるほど弱くないわよ!じゃあ行ってくるわ」
リンはそれだけいいアリーナに入って行った。一夏は入っていくまで手を振り見えなくなると観戦するため客席に戻った。その時にはすでに始まっていたのか歓声が上がっていた。
「お、押してるな。これは問題なく行けば勝てるかも知れないな」
「そうでもないぞ、零落白夜があるんだからなあいつには。終わるまでは分からないからない」
上条が言うとうり剣の扱いではほぼ同等にやっており秋十が零落白夜を当てられれば戦況を変えられるような状態だった。
「上条、今更だけど。どこに居たんだ?」
「さっきまでトイレに行ってたけどついさっき戻ってきてな。丁度前に一夏が居たんだよ」
その間にもアリーナの中では激しい戦いが続いていた。
「は、凡人のくせによくやる。僕はやっぱり選ばれたものだよ」
「自称天才が何言ってるのよ。あの上条とかいう奴に秒殺されたようなやつが」
「あれはあいつが僕に機体に細工をして動きづらくしたんだよ。そうでなければ負けることは絶対にない!」
「あら、そうなの?どうせまた、あんたは嘘でもついてるんでしょうね!」
リンの振りかぶった、二刀流でもてる青龍刀を連結した一本の大きな剣を遠心力を利用し重い一撃を入れた。
「それで終わると思ったのかい、そんなんじゃ僕は止められないよ暴力女」
大振りになり大きな隙が出来た瞬間に剣を横に払い切り込んで行った。とっさに回避しようとするがそれよりも速くその剣が届き僅かに姿勢が後ろ向きになりもう一太刀入っていた。
「神童なんて呼ばれただけはあるわね、けど剣道の動きばっかりが染み付いてるわよあんた。しかも武器はそれだけしかないみたいね、なら私も戦い方を変えるわ」
「はっ凡人が調子に乗っちゃダメだよ!」
「そんな馬鹿正直に相手をするわけないでしょ」
リンが止まった瞬間まっすぐに突っ込んで来た秋十は不可視の砲弾によって後ろに吹き飛ばされていた。
「衝撃砲か威力はそこそこあるな。あれの名前ってなんだろう」
「分からん、けどあんなの初見じゃ避けられないだろう。上条の攻撃をそうだけど」
「俺を人外扱いしないでくれ、普通の人間だ。ん、話してる間にじわじわ差が広がってるな。変に動きが染み付いてるのか遠距離からの攻撃には対応出来てないな」
「俺も上条にしごかれてなきゃ負けてたかもな」
「俺は1年分やっただけだ。それからは自主訓練でどうにかしただろ。俺はできる事を教えただけだ」
「一か八か勝負するか」
秋十は零落白夜を残り少ないエネルギーで発動し、攻撃に間が出来た瞬間に一気に距離を詰めた。リンも意外だったのか対応が遅れ当たってしまった。しかし、少しでも避けようと身を捻っていたお陰か当たった場所は急所から離れた場所になり、ゴッソリと削られたが致命傷になるほどエネルギーは減っておらず、すぐに止めを刺そうと青龍刀を振り降ろしたが当たる寸前で、シールドを突き破りズドンッ!とアリーナに何かが落ちてきた。
「な、なんだあれは」
「知らないわよ、大体このシールドぶち破るなんてどんな質力で落ちてきたのよ」質力→質量?威力?
そらからアリーナと客席の間をシャッターが閉まり生徒達が逃げようと扉に集結していたが通路に逃げる扉も閉まっていた。
「大変です織斑先生!外部からのハッキングによりアリーナと通路をつなぐ全ての箇所が全てロックされています。これでは生徒達も避難させる事は出来ません」
千冬はアリーナにいるリンと秋十に通信をしていた。
「リン、秋十そちらで未確認機を出来るだけ足止めしてくれ。現在アリーナの全箇所の扉を封鎖され生徒達も避難できていない、終わり次第教師部隊を送るそれまで耐えてくれ」
「どのくらいかかる、千冬姉」!」
「15分くらいだ。こちらも尽力する」
「絶対ですよ千冬さん」
それだけ言うと連絡が切れ通信が途切れた。まだ慌ただしく動き回りロックの解除に追われている教師がたくさんいたが何故か全て通信側のドアが急に開き。通路に設置されたカメラには生徒が避難する映像が映った。
「なんだ今のは、ピットは開けるか?」
「いえ、まだです。通路の扉だけが急に開いたみたいで他はまだ開いてないです」
「そうか、・・とりあえずは一安心だがこっちはもちそうにないな」
管制塔にはまだアリーナ内部の映像が流れていたがその映像には少しずつ追い詰められていくリンと秋十が映った。
「もう少しそれをあてろ暴力女!」
「うるさいわね、まともに攻撃すらしてないあんたなんかには言われたくないわよ。ってやば!」
リンに未確認機からの特大のビームが飛んできたが少し反応が遅れ、当たると覚悟し目を閉じたがいつまでたっても当たらず目を開けるとさっきまでいまさなかったはずの一夏に抱えられていた。
「え、い一夏?!」
「リン大丈夫か、助けに来たぜ」
「あ、ありがとうってどうやって入ってきたのよ。アリーナは全部シャッターで包囲されて誰もないれないはずでしょ」
「どこってあの機体が開けた穴から入ってきたんだよ」
一夏が真上を指差すと丁度1人が入れるくらいの穴が開いているのが見えた。いつの間に上条も入っており地面で弓を構えていた。
「少しばかり遊んでやるか」
上条は動き出した瞬間に機体に向け矢を打ち込んでいた。放たれた矢は光の速さで手を離れ、バコンと機体の片手に刺さり音が聞こえた時には爆発が起こり発射口の1つが吹き飛んでいた。
「少し張り固くしすぎたかな、前より数倍張りを強くしただけでこの速さかよ」
「あんた本当に人間なの?」
「失礼な、これでも人間ですよ。ただ少し鍛えすぎただけだ」
「いや上条、十分に人外になってる」
はぁと、ため息をついている間にさらに銃撃が襲ってきた。一斉に全員はバラけた、上条は生身だが銃撃を走って避けていた。攻撃を仕掛けたせいか上条をずっと狙い銃撃をし続けていたが一向に当たらず飛んできたビームも右手で起動を捻じ曲げていた。それを見ていたリンからはただの人外にしか見えておらず言葉に詰まっていた。その内、ISを繕い始めたが疲れた様子は一切なかった。
「おい、余裕があるなら厄病神こっちも助けろ」
「そのくらい元気があるなら逃げられる、大丈夫だ」
「上条、別にそいつ助けなくてもいいから速く終わらせましょう」
「この暴力女、あと覚えてろよ」
ISの通信で話し合っていると一夏は違和感を感じたのか一旦止まっていた。
「なあ、あのIS俺達が話してる間攻撃してこない気がするだけど」
「まあ、最初に来た時もそうだったな。もしかして無人機かあれ?」
「それはないわよ、ISは絶対に人が乗らないと動かないんだから」
「さっきから避け方が一定なんだよな、3回連続で全く同じ避け方なんて人間じゃ出来ない」
「だとしてもどうやって倒すのよ」
「・・・武装を1個ずつこわしてやるか、木っ端微塵にするか・・」
「まあ、無人機だとすれば容赦なくやってもいいから苦労しないな」
「あんた達以外と物騒ね」
「理不尽な暴力を受けてるせいで、ストレスが少し溜まってるからな。潰したくなる」
「とりあえず両手足を切り落とすか。そうすればあとはリンでもどうにかできるだろう」
「ちょっと待ちたまえ、僕を置いてきぼりにされては困るね。少しくらいは手を貸してあげるよ」
「どうも、じゃあ囮役でもやるか?」
「なんでそんな役を僕がやらなきゃいけないんだ。それは厄病神がやればいいだろ」
「そうだなじゃあやる。一夏あとは頼んだ」
「え?まじでやるのあんた」
そんな事をしていると、
「秋十!男ならそれくらい倒せなくてどうする!」
管制塔のスピーカーを使いアリーナ全体に響きわたるような大声で叫んでいる箒がいた。それに気が付いたのか無人機からのビームが発射された。
「箒!何やってるんだ」
「一夏もうやるぞ、あれじゃ標的は篠ノ之に向いてる」
上条は無人機と管制塔の間に一気に加速しはいりそのビームを真正面から受け止めていた。出力が大きいのか打ち消し切れず、受け止める事しか出来なかったがその隙に一夏が無人機に接近しブレードで両足を切り落としていた。足についていたスラスターがなくなり体が落ちかけ、その後ろから遅れたリンが青龍刀でまだ使える腕を切り落とし、更に龍砲を打ち込み地面に落としていた。そのまま落下したがリンはその後ろからのんびりと飛んできた秋十はまた上から目線で話しかけてきた。
「う、うん。作戦どうりよくやったよ、君達。でも僕が本気を出せばこのくらい
「何もやってないようなやつが調子に乗るんじゃないわよ!この役立たず!」
その言い合いをしている間に上条と一夏は地面に降りて無人機を見ていたがまだ動けるのか立ち上がり残った片腕を振りかざし上条に襲いかかろうとしたが上条はそれ片腕で受け止める、誰かと通信をしていた。
「セシリア打てるか」
「はい、狙いは完璧ですわ」
「じゃあやれ」
アリーナの端にいたセシリアのライフルが無人機のど真ん中を撃ち抜き、機能を失ったのか前に倒れた。
「これで終わったな」
「そうだな。ありがとうセシリア、助かったよ」
「いえ、こちらこそお役立てて光栄ですわ」
「そんな光栄のかな。まあいいか、戻るか」
上条達は全員はピットに戻った。リンは秋十とさっきと変わらず口喧嘩をしおり、それに途中から見ていたセシリアも加わり収集が付かなくなり、一夏と上条が収めようしていると奥から織斑先生と篠ノ之箒の言い争いがきこえてきた。
「何故です、私は悪い事は1つもしていません」
「あれでもし上条が入ってこなかったら私達は全員死んでいたかもしれないんだぞ。周りの人間が巻き込まれることも考えろ」
「男が女を守るのは当たり前です。それにあれは注意を向けさせて秋十にとどめを刺させるためです」
「その為に教師を何人も巻き込んだのか。・・一夏達か、全員お疲れ様。無人機の方は私達でどうにかするからお前達は休め。それと一夏、上条よくやった」
「あありがとう千冬姉」
「学校では織斑先生だ。あと、すまないが今日も頼む」
「わかった。何がいい?」
「お前の好きにしてくれて構わない。あと、篠ノ之お前には反省文30枚と謹慎一週間を与える逆らうなよ。それと上条お前には話がある来てくれ」
「わかりました」
上条は一夏達と別れ管制塔に連れて行かれ、上条は千冬先生と山田先生前に座らされていた。
「一体なんですか?織斑先生」
「上条、お前のその右手だが一体どうなっているんだ?」
「少し変わっただけの右手ですよ。まあ、そのせいで不幸な目に遭いますけど。先生達が気にすることじゃないですね」
「お前がよくとも、こちらが困る。上条その右手はなんだ」
さっきまでの緩んだ空気からガラリと変わり千冬の目付きも鋭くなっていた。その目を見てか、別に話しても特に問題はないと思い上条は口を開いた。
「…俺の右手には幻想殺しと呼ばれる力が宿ってます、力は言葉の通りですけど。メリットよりもデメリットの方が多いものですけど」
「そのメリットはさっき見た通りのもので分かるがデメリットは一体なんだ」
「メリットは触れたビーム兵器を無効することが出来るだけで、デメリットは単純に不幸になるだけです。それも厄病神と呼ばれるくらいにまで。あ、話は変わりますけど先生方は神の奇跡なんてものを信じますか?」
「ようするに幸運とかそんなところですか?」
「はい、俺の幻想殺しは空気に触れてるだけでそれを打ち消します。そのせいで俺の周りでは幸運が絶対に起こることはありません。例えると100、1000ある中に1つだけ混ざっているハズレを一発で引くくらいの悪さですね。そのせいで初めて出来た友人と遊びに行った帰り自分を除いた2人が交通事故に遭って大怪我を負いました。自分は彼らと一緒に横に並んで歩いてましたけど偶然当たりませんでしたよ。その内、酷くなりましてね、ある日歩いていると急に前を歩いていた男性が包丁を刺してきて、捕まった後に理由を聞いたんですけど笑いましたよ。誰でもいいから殺したかった、偶然俺がいたから刺したなんて言ってましたよ。はは、馬鹿馬鹿しい」
辛い話をしているにもかかわらず、笑っている上条に2人は寒気を感じていた。上条にとってはこんな話は笑い話に過ぎず、話したところでもっと辛い思いをした時に比べれば心は全く痛くなかった。
「なんとかしたいと思った事は無いのか?相談しようとは思わなかったのか!」
「相談?何馬鹿のことを言ってるんですか、俺は町では厄病神として顔が知れてる人間ですよ。そんなやつの相談を受けたいと思う奴なんていません、実際に居ませんでしたし」
「じゃあ家族にはなんでしないんですか?!」
「それくらい自分でどうにでもなりますよ、家族に相談するような問題じゃありませんから。女尊男卑の世の中でも俺は自分の生き方を貫くだけです、俺の前に出てきた障害は排除するだけです。例えそれがブリュンヒルデだとしてもです。では俺は帰ります」
「上条、…お前は一体どんな人生を送ってきたんだ」
「普通の人間より変わった人生なだけです。それ以外に言う事は無いです」
上条はそう言って出て行った。がその部屋にいた山田先生と織斑先生は複雑な気持ちになり千冬に限っては頭を抱えていた。
「はぁ、どうして私のクラスには困った生徒が入ってくる」
「でも、生徒の悩みを聞くのも仕事ですから」
「悩みが多過ぎて困るのがだな」
そろそろ更識楯無を出してみます。