独眼機龍の十字砲禍《クロス・ファイア》   作:cmVkem9uZSE=

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よろしくお願いします。


砲火その1:プロローグ

◆◆◆

 

 

吹き荒れろ、全てを区斬(くぎ)る十字砲禍の嵐。

 

行手を阻む障害に、四裂きの焔を。

 

 

◆◆◆

 

 

俺の右眼は、生まれつき何も見えなかった…………らしい。

 

らしいと言うのは、その事実を泣きながら伝えてくれた父さんと母さんによって伝えられるまで、自分の視界が普通の人の視界だと思っていたからだ。

 

道理で虐められたりするわけだ…………と言うのは置いておいて。

 

最初から片目で過ごしていた所為か、脳もそれに合わせて特化したらしく、視界の範囲以外で困ったことはない。距離間も何故か摑めるしな。

当時、その辺りの事情は知らなかったけど困ったことはないので大丈夫と伝えたところ、2人とも泣きじゃくって『ありがとう』と言ってくれたことは、今となっては良い思い出である。

 

とはいえ俺は右眼以外にも呪われていたらしい。俺を大事に育ててくれた父さんと母さんを殺してしまった。

 

まだ何も知らなかった俺には理解できないことだったが、俺の中に入っていた神器(セイクリッドギア)を欲しがったはぐれ堕天使が、無理矢理俺の神器を覚醒させ、奪い取ろうとしたのだと言う。

 

そんな俺を庇い、人質となった父さんと母さん。

怒りで、神器を暴走させつつも手を出せない俺。

そして、圧倒的優位であることに慢心しきった堕天使。

 

どうすることもできないのか、と絶望する俺に、2人が言う。

 

『私達ごと撃て』と。

 

そこから先のことは覚えていない。

 

気が付けば、目の前に四裂きの死体が3つ、血の海に沈んでいた。

 

『ごめんね…………僕のせいだ』

 

右腕に装着されたガトリングから声がする。

 

『僕が、君の中に割り振られたから…………』

「…………多分、違う」

 

別に、中身のせいじゃない。寧ろ中身はそのダシにされただけだ。

 

「俺が俺だったから…………右眼も見えなかったし、親殺しをさせられた。だから、お前は悪くない。俺の、せいだ…………」

 

薄々気がついていたのだ…………多分、父さんと母さんも。

だから、最期にあんなことを言ったのだろう。

 

「むしろ、嫌な思いをさせた。ごめん」

 

ああでも、ちくしょう…………悲しいなぁ。涙で視界が歪んじまってる。

 

『…………分かった、そういうことにしておく。でも、今は思いっきり泣いた方がいい。タイミングを逃せば、泣けなくなるから』

「う、うぅ…………!!」

 

声を押し殺して、己の罪を嘆く…………伊達 政矢(まさや)、7歳の時の出来事だった。

 

 

◇◇◇

 

 

で、月日は流れ現在。齢17のガキとなった俺。

 

「へへへ、見ろよクロス! 暑宮シリーズの最新刊だぞ!」

『いえーい!』

 

パソコンとたくさんのディスプレイ、更に辺りに散らばる数多のラノベとガラクタの山のせいで足の踏み場がない、まるでニートの様な部屋で、俺と俺の中にある『神器』のクロスは歓声を上げていた。

 

なお、俺はニートではない。一応通信制の高校2年だし、月給100万の仕事にも付いてる。ただ、部屋がニートなだけだ。

 

『早く読んでよマサやん! 僕もう待ちきれないよ!』

「まあ待て! 取り敢えずコレは保存用、読む様はコッチだ…………!」

『あ、絵もやっぱ可愛い、流石先生…………!』

 

いやぁ、先生も焦らすよねぇ……何年ぶりだよ全くー!

と、そんなことはどうでもいい! 今はとにかく相棒のためにも早く読み進めてやらねば…………!

 

「邪魔するぞ」

「『邪魔するなら帰ってー』」

「ああ、済まない…………って帰るわけないだろう」

 

チッ、帰らなかったか。

 

「それで、何の用だ曹操。俺は今から相棒と先生の新作を読むという大切な仕事があるんだが?」

『邪魔するならそーさんでも四裂きにするよー?』

 

今、部屋の入口で呆れた様に腕を組むイケメンの名前は曹操。名前の通り、あの中国の大英雄の子孫であるらしい。

で、そんな大英雄の子孫サマと俺の関係は…………こいつが俺の雇い主だということ。

 

「やめてくれ、君達に本気を出されると弱っちい人間である俺は簡単に死んでしまう」

「アホぬかせ、俺だって人間だっつーの。つかお前自分の中身加味すると十分ぶっ飛んでるから心配すんな」

『マジもんのロンギヌスってちーとなんだぞ! 普通の神器の脆弱さなめんな!』

「…………いや、君達のも大概だと思うがな。認定されてないだけで、君のそれも神滅(ロンギヌ)──────」

「それで、改めて何の用なんだ? ちゃんと神器とリンクさせることのできる『神器外部装置(ギアアタッチメント)』は納品してるけど?」

「…………逃げるのは良くないな。まあ仕事をしっかりやって貰ってるのは知ってるさ。ただ、神器研究の進捗が気になってるだけでね」

「あー…………いやまあそっちはボチボチだけど。取り敢えず、無理矢理『禁手化(バランス・ブレイク)』させる方法は分かった」

 

ばさり、とレポートを雇い主に投げてよこす。すると、嫌なことに目の前の野郎は目の色を変えやがったのだ。

 

「言っとくけど、俺がこうやって雇われるという形で協力してやってんのは、ガキ共を使い潰すようなことが無いようにだからな。それを破った時…………どうなるか、分かってんだろな?」

「……ッ!! 怖いな、そんな殺気を向けないでくれ。少なくとも、君達を敵に回すようなつもりは無いさ」

『…………ふぅん? ま、今はそーさんを信じてあげるよ』

 

あー、なんか気分が落ち込んだー↓

こいつ、そういうことを平気でやりそうな雰囲気あるから嫌いなんだよな。ま、恩はあるからこうやって協力してっけどな。

 

「全く…………現代の『独眼竜』は恐ろしい」

『あはは。まあ総じて『ドラゴン』は敵に回すと面倒さ、肝に銘じておいたほうがいいよん?』

 

俺は唯一見える左眼を細め、クロスはポヤポヤした空気から掴ませないモノに変え、嗤った。

 

 

◆◆◆

 

 

『伊達政矢』

・『禍の団(カオス・ブリゲード)』英雄派客分

・先祖返り『独眼竜:伊達政宗』

・備考:『神器:十字砲禍(クロス・ファイア)

 

 

◆◆◆

 

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