独眼機龍の十字砲禍《クロス・ファイア》 作:cmVkem9uZSE=
(あと匿名じゃない作品放置してる罪悪感も襲ってくる…………!)
そんなことはともかく、今回はジャンヌとのコミュ回です。ちゃんと書けてるかなあ…………
「……………………」
意識に靄がかかっている…………ふむ、寝てしまっていたのか。睡魔に負けるとは、まだまだ精進が足りんな俺も。
「気が付いた?」
「…………んー、ジャンヌか」
見知った相手からの声が耳に届き、思考が徐々に戻ってくる。そうだ、ようやっと退院して、そのときに条件付きで研究開発を再開。今度こそ『Compulsion B×B』を完成させるべく俺専用の研究室でガリガリガチャガチャと機械弄りしてたんだ。
んで、その条件というのが監視。変なもの作らないように監視させろというものだった。
んで、その監視役を任されたのがジャンヌ。というか彼女以外は俺の暴走を止めるどころか煽るので彼女しかいない、という事態。
『孤児院での仕事置いてアンタの面倒見るんだから、感謝しなさい』とは彼女の弁。
「あー…………俺、どれくらい寝てた?」
「ざっと3時間、と言ったところかしら」
うぉ、結構寝てたな…………作業の遅れ取り戻さないと。
「まったく、そんなに慌てるものじゃないんでしょう? 自分の寿命すり減らすような真似してるとあの子が泣くわよ」
「誰が」
「…………本当、アンタって鈍感ね」
「殿堂入りだからな」
いや、本当に分からん。
…………誰かの恨みでも買ったのかな?
「それはそうと、『Compulsion B×B』の完成版、一つはできたんだけどな」
「…………早くないかしら? 復帰して1日も経ってないわよ?」
「入院中、ただひたすらに男のあーんに耐えていただけじゃない。ずっと脳味噌フル回転したいたとも」
「…………そう。不憫ね」
煽ってるお前が言うセリフじゃないけどな。
「安全に『禁手システム』の解放を行う一つの回答。まだもう一つの方が完成してないから、仮称『Compulsion B×B:α』」
「このゴツい腕輪と鍵みたいなのが7本の、これが?」
ああそうですとも。そう言って欠伸をかみ殺す。うぅん、まだ眠い。
部屋の中心に置かれたデスクの中心に、目立つように置かれた未来的な手錠のようなもの、そして7本のコードキー。
「詳しい説明、いるかい?」
「ええ、個人的に凄く興味があるわ」
「分かった。まず、Compulsion B×Bの基本的な内容は知ってるか?」
「確か、神器の中にあるブラックボックスを開けるための共通コードのようなもの、だったかしら?」
「正解。なら説明も楽で済むな」
そう言って完成版αの隣に置いてあった試作版…………背骨にぶっ刺す、円形の装置が持ち手に付いた大きな針を手に取り、ジャンヌに見せる。
「これは試作版だがな、安全に、馴染ませるようにブラックボックスを開けるためにはこれぐらいの装置が必要だった。見て分かるように、凄く痛い。背骨に刺すんだぜ?」
「そうね、それを刺すくらいならなんとしてでも自力で発現させるわ」
「さらに、刺しっぱで一週間。その間神器も使えず、絶対安静。確かに圧倒的に早く禁手を解放できるが…………使いたいとは思えんだろう?」
ぶんぶんと力強く首を縦に振るジャンヌに苦笑しながら、今度は完成版αの方を示す。
「だから、鍵を7分割してみた。やってることはどちらも変わらない、接続と同時に甘く禁手の状態にし、徐々に神器と所持者の身体を馴染ませていき、徐々に出力をあげていく。背骨にぶっ刺す代わりに、1日1本腕輪に決まった鍵を刺していくだけだ。臨床試験はまた別で必要だが、少し倦怠感を覚える程度で済むだろうよ」
「ふぅん……まるで減煙パイプね。時間をかけて徐々に馴らしていく辺りが」
「鋭いな、発想はそこから得たんだ」
さてと、後で曹操にレポートと纏めて送るか…………。我ながらいい感じにできた。
「というか、これが完成版でいいじゃない。もうひとつ作る必要があるの?」
「ある。既に頭のなかで設計はできてるからな、使いやすい方を正式採用してもらいたい。俺の予想だと、もう一つの方が身体への負担は低いだろうからな」
「アンタがそう言うのなら、そうなんでしょうね。私らなんかよりもよっぽど詳しいんだし」
…………その、謎の信頼はなんなんだろうか? 割とマッドで、信頼ないと思ってるんだけど。
「アンタがいたから楽になった部分は多いもの。こんなモノを作らずとも、英雄派に多数の禁手に至った神器使いがいるのはアンタの指導があったからよ。幹部連中も、私も含めて」
「まあね、その辺りは自負してるところだよ」
…………俺いなかったらどうなってたんだろう? ゲロリンも優秀な研究者だけど、俺ほど神器研究者として進んでないし、非人道的なこととかやらかしそうなのがなんとも。例えば禁手に覚醒させるために、捨て駒のように的にぶち当てていくとかさ…………。まあそんなもしものことはともかく、俺の目の黒いうちはそんなことはさせないだけだ。
「そしてなにより、神器使いにとってアンタの存在は何よりの福音なのよ。こんなものを持って、振り回されて、疎まれて、運命を呪って。でもそれをどうにかする術を、惜し気もなく与えてくれる。今の英雄派は、曹操のカリスマと同じくらい、貴方への感謝で成り立ってるのよ」
「…………ジャンヌ、お前はどうなんだ?」
「私? 私は両方かしら。血筋と神器のせいで、私もロクな目にあわなかったし。勧誘してくれて居場所を与えてくれた曹操には返しきれない恩があるし、アンタはアンタで親身になって私の『
「あれ、そういうことだったんか」
なるほど、少しは休めとかいう配慮は、そういうことだったのか…………なんか邪推して申し訳ないな、うん。
「…………これさえなければ、ハァ」
「アンだって?」
「超鈍感、と詰っているのよ。…………いや、事情はある程度聞いてるから、アンタにキレても仕方ないんだけれどね。まったく、ロクなことしないわね聖槍って。ご先祖サマもさぞ浮かばれないでしょうよ」
…………ダメだ、また思考が。
「苦労を掛けているようで申し訳ないな」
「今更よ、それに好きでやってることだし」
ハァ…………と、ため息がリンクする。英雄派苦労人ランキングのツートップは伊達じゃない。なお殿堂入りは曹操である。
「しっかし、正規構成員でもない俺が組織への求心力に一役勝ってるとは…………頭が痛い」
「そうね、いつ離れてしまうかってヒヤヒヤものだわ」
「案外、近いうちに離反したりしてな?」
「やめてよ、そうなったら先行き真っ暗なんてレベルじゃないわ。棒切れ1本で冥界に放り投げられるぐらいの詰みよ」
…………いや、案外どうにかなるんじゃないか? と思ったけどお口チャック。迂闊なことは言わない、政矢は学習する子なのだ。
『んん…………あぁ~、よくねたぁ』
「ッ!」
ビックーン! とジャンヌが直立不動の体勢。割とよく見れる光景である。
「お、おお、起きたんですねクロス・ファイア」
『んぃ~? ああ、じゃんぬーかぁ。ごめんねぇまさやんのめんどうみてもらっちゃって。ほんとはぼくがすとっぱーにならなきゃなのにねぇ』
「い、いえ。曹操に頼まれた仕事でもあるのでお気になさらず。お疲れの様でしたら、もう少し寝られても大丈夫ですよ?」
『んー…………まさやん、あぶないことしない?』
「しないしない、まさやん嘘つかない」
『わかった…………じゃあお言葉に甘えて…………zzz』
もう一度クロスの意識が落ち、ジャンヌはどっと疲れたように椅子に座り込んだ。
「…………別に、フランクに対応しても大丈夫だと思うけどなぁ。間延びしててもお前のこと『じゃんぬ』って呼んでるのは、お前のことを認めてるからだと思うんだ。というかお前がいないところで『じゃんぬーに嫌われてるのかなぁ…………?』って不安がるクロスの対応する俺の身になれ」
「無茶言わないでちょうだい! 寧ろ、あのクロス・ファイアに認めて貰えてるのよ!? ご先祖サマみたいに清廉潔白にはなれなくても、それに相応しい姿を見せることがどれだけ栄誉なことなのか…………ッ! くっ、しかしそれでクロス・ファイアを悲しませては…………ああでも失礼な態度をしちゃったら…………!」
「ハァ…………」
…………ため息一つ、空気に溶ける。幾ら『英雄派の良心』と言われる常識人枠筆頭のジャンヌでも、やはり愉快な英雄派に所属しているだけあって、尖った一面を抱えているのであった。
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『(…………そうか、嫌われてるわけじゃなかったのか)』
『(君の子孫は、実に君にそっくりに育ってるよ…………)』
『(……はぁ、歳を取ると涙脆くなっていけないや)』
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