独眼機龍の十字砲禍《クロス・ファイア》   作:cmVkem9uZSE=

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評価が黄色のバーに、お気に入りもごっそり減った…………やっぱり投げやりとかはいけないですね。


砲火その16

 

あれから三日経った。経過は順調だ、毎度毎度死にかけてる…………いや、死んでいることを除けば、だ。

 

この国…………いや、学校と言った方がいいのか。この学校では死は一時的なものらしい。元々死んでるからな、然もありなんといったところである。

 

クラスこと別れてはいるが、この学校の連中は大体が蛮族…………というのは失礼か。戦闘狂(ウォーモンガー)…………そもそもが鍛え、戦うことが何よりも好きな連中が落ちる場所、そうなるのも必然か。休み時間に両者合意で決闘する(殺し合う)のが日常茶飯事、授業でも…………体育(実戦)に限らず人死にが出る、言語学(ルーン研究)ですら。…………ゲッシュ(クラス)でそうなんだ、ぺの字やコンラはそれ以上に死んでいる。だがひ弱な俺とは違って、ぺの字とコンラはこの異様な学園に適応した。なんなら強敵(とも)もできたそうだ…………まあ、君らはそっち側の人間だろうな。

 

だが、俺は特にコミュ障というわけじゃあない。というか人一倍慣れてる…………慣れる必要があったから慣れてる。同じクラスで気軽に話す知り合いはできた。お陰で技術交換も、これまでの不自然な思考の靄への手掛かりの鍵も手に入れた。これまで不自然にも調べようと思えなかったのも、何やら強烈な制約が掛かってるようで…………やはり一人で頭を回すのには限界がある、戻ったらゲロリン辺りとそういったことをするのも悪くないかもしれない。あ、技術交換とか凄く助かったけどそれの対価で尋常な決闘を求めるとかやめよーよ有識者まで戦闘狂かよ。

 

そして…………本業の方。

環境が変わると、大体が『慣れない環境で調子が出なくなる』か『心機一転でエネルギーに充ち溢れる』かの二択になると思う。そして俺は、後者だったようだ。まあ今でこそ英雄派の食客として定位置に落ち着いてるが、そもそもが世界を渡り歩いてきた俺だ。ホームシックなんてもう実家が無いも同然なのであるはずもなし、ぶっちゃけ研究所は体の中にあるようなもの、どこでだって俺はその興味の赴くままに常識と戦い続ける…………! あれ、これ俺も戦う相手が違うだけで割と影の国案件?

 

とまあそんな心境の方はともかく…………『Compulsion B×B:β』が完成した。いや、『CompressionB×B』というべきかな。禁手へと起動させるプロセスは変わりないけれど、全くの別物に仕上げることになった。まあ予想通り心身への負担は圧倒的にこいつの方が低いな。

 

「…………んで、できたのが『コレ』か?」

 

校舎の多目的室を借りて、ちょっとした御披露目会。出張組に、会長と望、だけだがな参加者は。

 

そして今、用意したテーブルの上に置かれているのは…………お世辞にも格好いいとは言えない、機械的な籠手と機械的な意匠の棒。

 

「これは、考えてるうちの一つってところかな。我ながらすげーモンできたぞぉ?」

 

そう言って、俺は籠手を装着してロッドを握る。

 

「最初の試運転が神滅具クラスの十字砲禍じゃ不適格なんだが…………まあパフォーマンス的には分かりやすいか」

 

《Switch-on》

 

《CompressionB×B:Type-Buster》

 

《Connect:Cross・Fire》

 

『Main system,Activating Buster Mode』

 

ここまでは大体ブレイクダウン・トリガーと似たようなものだ。システムもちょこっと流用したし。それはそうと繋げた瞬間ロッドが分解してそのパーツが籠手を中心に円の軌道で回転しているが、キュインキュイン煩いなぁ…………これは改良の余地アリだな。

 

『《Caution:Are you ready?》』

 

「伊達政矢の名前に於いて承認」

 

『Approved』

 

『Change-up Calamity,Balance×Brake』

 

ここまでは普通の禁手。今回は禁手状態から別の禁手状態への以降なので、体内で配線が変わる音がする。

 

《Out-set:Cross・Fire》

 

右腕に着けた籠手から、赤銅色のオーラが吹き出し、円周軌道していたパーツを核にそのオーラが肉付けされていき…………1つの巨大ななにかを形取る。

 

『CompressionB×B:Cross・Fire/Buster』

 

それは、顎。機龍の顎。あらゆるすべてを喰らい尽くさんとする、暴食龍の顎だった。

 

「な、なんじゃそりゃぁぁぁああああ!!?」

 

「ぺの字うるさい」

 

「うるさくもなるわ馬鹿政矢! え、なにそれ、どういうこと!? お前の禁手そんなんじゃなかったよな!!?」

 

「説明するから落ち着け馬ァ鹿。スイッチオフっと」

 

《Switch-off》

 

『Shut down,buy-buy!!』

 

ガッシューン! と顎が霧散、籠手とロッドに戻る、ヤケにハイテンションないつもの音声と共に……………………ようやっと起きたか、クロス。今回は随分と長かったな。

 

まあとりあえず、簡単な説明だ。

 

「ブラックボックスを、体の中で無理矢理開くから負担が凄いんだ。だから魂と神器の結び付きが離れない位置まで神器の本体を引っ張り出して、体外で強制的に禁手させる。そして、禁手させる方向性を装置の方で先に調整、設定しておくことでより状況に、より簡単に、より負担を減らして運用できる。神器内で調整、演算する部分を予め用意してるわけだからな。この辺りは今までのデータ蓄積がモノを言ったところだ」

 

誰も彼も頭に疑問符を浮かべた…………いや、スカサハだけがなるほどといった様子で頷いてるな。

 

「だが話はそう簡単じゃないだろう? 確かに身体への負担は圧倒的に低いだろうが、魂への問題はどうなんだ? 神器への造詣は浅いが、魂に結び付ける類いのあれこれは私も詳しいつもりだ。たとえ体外でやろうと、急激な変化に耐えられるものなのか?」

 

「そこは元からクリア済み。元になった『Compulsion B×B』には神器のブラックボックスにアクセスするための鍵とは別に魂の改竄…………というより、汚染と言った方が正しいか、神器の側からの魂への干渉をなるたけ押さえるプロテクトコードをつけてある。まあ無くても一瞬心臓掴まれるような気分になる程度なんだけどな。神器は身体の一部みたいなものだし、別の生物でも入ってなきゃ汚染はもとから無いも同然なんだよ」

 

なお、ブレイクダウン・トリガーにはそういう安全装置、機能は全く搭載されてない。これっぽっちも。作っといてあれだが、非人道の極みである。

 

「んでこいつはType-Buster、神器を攻撃的に禁手化させるモデル。今はこいつだけだが、他にも盾タイプ、スーツタイプ、と量産タイプのモデルは幾つか考えてるぞ」

 

「量産タイプ、ということは、限定モデルのものも考えている、と?」

 

「そういうことだよ。使用者の能力や神器に合わせた専用タイプのを作ったりできるということだ。勿論あれやこれやデータを取らにゃならんが、英雄派の連中に限れば問題ない。俺を誰だと思っている?」

 

「「英雄派(ウチ)のお父さん」」

 

「英雄派専属の天っ才神器研究者、だっ!!」

 

「相変わらず自分で自分を天才とか言っちゃう人なんですね…………」

 

「いやでもこれは自称して然るべき、だ…………私から見ても相当なものだぞ、コレ? こんな精巧なもの、量産できるのか…………?」

 

「クロスー」

 

『(やっぱ起きてたのバレてたか。あいよー!)』

 

『Change-up Calamity!! Balance×Brake!!』

 

『Build-up:Arsenal gear!!』

 

身体が、分かりやすく変形する。腕と手が多機能アームに、脚は折り畳まれてキャタピラに、全身から排熱、排気用の管が露出し、プシュプシュと煙を吐く…………所謂、『工場形態(アーサナル・フォーム)』というべき禁手だ。

 

「じゃあ、早速10個程」

 

『Production:Gear attachment ExNo.04!!』

 

心臓部にある炉心に火が入り、全身のパーツが駆動。今までに食べてきた素材で、頭の設計図通りに、体内で製造が始まる。

30秒程経った後、チーン! というチープな音と共に腹部の扉が開かれてアタッシュケースが二つ、放り出された。アームで器用に開けてみると、ウレタン素材の吸収材に収まるType-Busterが5つ。ケースが2つなので10個、パーフェクトだ。

 

「俺は、研究者で、設計者で、生産工場だ。素材さえあれば、何だって作れる。兵器だけじゃない、レーションだって、なんなら食肉加工だってできるんだぜ? 『十字砲禍(クロス・ファイア)』様々だな!」

 

「「「「……………………」」」」

 

ありゃ、みんな言葉失ってるみたいだけど。

 

『(そりゃそうだよ、人間やめちゃってるしキモいもんこのフォーム)』

 

キモいとか言うなよ傷ついちゃうだろ。

 

「…………なんというか、ドッキリ仰天メカを思い出しましたよ」

 

「ああ、ヨッシャーマンのアレか、イメージ元は確かにそれだが。よく覚えてたな望」

 

「イメージ元がそれなら、もうちょっとどうにかならなかったんですか…………?」

 

それは…………うん。ごめん、デザインセンスに優れているというわけではないのだよ。

 

「というわけで、全構成員に配布するするのは問題ないんだよね、素材の問題はあるけど。…………暫くジャンヌに頑張って貰わなきゃなー」

 

「なんというか…………組織に一人君がいるだけで色んな問題が解決しそうだな」

 

「生産とインフラ整備、建築は得意なんだ」

 

まあ、神器あってこそのだけどねぇ。

っと、御披露目会はここまでだけど、本題は次だ次。

 

「それで、会長。コンラの武器のことなんだけど」

 

「………あ、ああ。つまり、この『こんぷれっしょんびーびー』というのをベースに作るのだな?」

 

「ん。実は元から武器作るつもりだったから大体の設計は終わってたりするんだよねェ…………あとは貴女にそれを見てもらって修正していく段階だ」

 

「手が早い、それに自信も満々ときた。…………だが、それも当然のことか。恐ろしいな君は、死の商人にでもなるつもりかい?」

 

何かを咎めるように彼女が言うので、思わずおどけて返した。

 

「生憎、現代兵器には余り明るくないんだ。未来に生きてるからね」

 




投稿先間違えて匿名じゃない作品で投げてもた…………!!!? 冷や汗でた…………
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