独眼機龍の十字砲禍《クロス・ファイア》 作:cmVkem9uZSE=
「ぶっちゃけ思うに、俺のご先祖様凄かったのかもだけど、ド外道だよね」
『うーん、いきなりそんなこと言われても困るんだけど。ま、龍だなんて称される連中にまともな奴はいないよ』
常々思っていたことをなんとか口にできた今日この頃。戦争を繰り広げ(敗走多いから、刃を交えるという形の合戦はあまり得意でなかった様子)、小競り合いしかなかった奥州に戦火を撒き散らし、容赦無く敵を殺しまくるその戦争狂っぷりは間違いなくアウトである。まあそんなことはともかく、久しぶりの暑宮は面白かった。あと読めてないのは『いつかの魔法科学』と『MAO』とか沢山あるけど…………まぁ時間無いのよね。
つーわけで、現在俺は雇い主たる曹操に呼び出されて、『禍の団』とかいうテロ組織の英雄派閥の拠点にいる。まあ引きこもりなつもりは無いし、外に出るのは構わんのだけどね。
「そういえば『禍の団』のトップは、『無限の龍神』なんだってねぇ…………やっぱ強いの?」
『アレはもう強いとか弱いとか、そんな次元じゃない…………オーフィスとグレートレッドはどっかの
「なんだそのチート」
現状では敵に回らんことを安心すればいいのか、敵対するかもしれないことを嘆けばいいのか…………ああご先祖様、どっかのサルに迫られた時、こんな気持ちだったんですね。ちょっと共感。
「まあそんなことはどうでもいいよね、こんちゃー曹操」
『ハローそーさん! ご機嫌いかが?』
拠点にある派閥トップの部屋(つまり曹操の部屋)の扉を蹴飛ばして挨拶。うん、挨拶しないと凄い失礼だって先生言ってた!
「…………せめて、ノックしてから入ってきてほしいものだな。ま、急に呼び出してイライラしているのは分かるが、落ち着いて話を聞いてくれると助かる」
「イライラはしとらんよ。昨日ノックもせずに入ってきた礼儀知らず相手に礼を欠いた登場してみただけだから!」
やられたらやり返す、倍返しだ! …………て、違う違う。そっちは幸村や。
「しかし、基本的に出向いてくれる曹操にしては珍しいね。なんかやばいことでもあった? 具体的に言うと『神器外部装置』が爆発したとか? アレ付けた状態で禁手化すると出力に耐えきれなくなるのよな」
『『Compulsion B×B』理論に不具合でも見つかった? アレまだ理論段階だからまだ使わない方がいいと思うの〜』
「いや、違うんだが…………話を聞かなくてはならない案件が増えたな」
「『あ、しまった』」
わー、ついうっかりー(棒)。いや、おいおい説明するつもりだったけどね。
「取り敢えずその話は後で聞かせてもらおう。君を呼んだのは…………ちょっとした依頼だ」
「ほー。
露骨に、げんなりとした顔を浮かべ、嫌だという意思を叩きつける。が、そんなものどこ吹く風といった感じで奴は会話を続けていく。
「今から2週間後に、とある学園を会場に、聖書の陣営のトップ達が顔を突き合せる。なんでも、和平を結ぶそうだ」
「…………テロ組織からしたら邪魔したい案件だな」
「別に結ぶこと自体はどうでもいい。英雄派としては勝手にしてくれ、だ。まあ、それで何も知らない人間が踊らされることになるからそれを口実に攻める方針ではあるが。それはそうとして、この件に1番口を突っ込みたい連中がいる。ウチの、旧魔王派だ」
「あー…………四大魔王の子孫ってだけのイマイチ幹部'sの集団な」
一度会ったことがあるが、見下されてからはどーにも会いにいく気が失せてだねぇ。でも、四大魔王という割にはルシファーの席が空いてたように思うが…………ま、そこはどうでもいいか。
「いや、どうでもよくはないぞ。一応旧魔王派のヴァーリ・ルシファー。『
「サラッとヤバい情報をどうもありがとう。つか旧魔王の血族なのに白龍皇? …………ああ、ハーフデビルってことかい」
『うーん、僕シロくん苦手なんだよね…………やり合っても楽しくないし』
何気にクロス、白龍皇(ドラゴン)とも面識があったらしい。顔広いなオイ。
それはともかく、渡された資料を見てさらにゲンナリだ。軽くバトルジャンキー入ってやがる。目は付けられたくないね。
「残念だが、既に目は付けられている上に、今回動いてもらいたいから逃げられないだろう」
「がっでむ」
なんということだ、全力で辞退したい。というか正規構成員じゃないんだからいいじゃんよー。
「話を戻すぞ。ともかく、旧魔王派はこの和平が気に入らない。もっと言えば彼ら曰く『偽りの魔王を立てた現冥界』を滅ぼしたい。というわけで、その布石として今回の会談を妨害する予定だ。なお、魔法使い派からも相当数人員を派遣するらしく、英雄派からもそれに見合った戦力を形だけでも送らなければならなくなった。そこで、研究などで頑張ってくれてるものの、英雄派で1番暇で、尚且つ俺と互角に渡り合えるお前に白羽の矢を立てた、というわけだ」
「いやあの、俺あなたみたいなチート・オブ・チートじゃ無いんですけど」
『その言い訳厳しくない? じゃんぬーの聖剣大量に喰い漁ってそーさんと1日中戦ってたのはみんなの知るところだよ?』
「現実を突きつけんじゃねーよクロス」
思わず泣きそうになるから。
「ともかく、正規構成員じゃないしお断りします!」
「ちなみに旧魔王派に同行してくれたら臨時報酬として─────」
曹操が指を3本立てた。
「3月分程度で働く気にはなれないんだけど」
「まあ本当に依頼したいのはそっちではないから、そんなものさ」
『んー? やらせたいこと別にあるの?』
あー、そうか。あくまでついて行って適当に戦うのとは別に、して欲しいことがあるのか。
「これを見てくれ」
差し出された資料。そしてそれに添付されていた写真に写ってるのは、なんというか普通の男子高校生っぽかった…………左腕に付いてる赤い籠手の手甲部分に、緑色の宝玉が付いていなければ、だが。
「…………オイオイ、マジかよ。赤龍帝まで会談に参加すんのか? 下手したら和平の前に二天龍の戦いでオジャンにさすつもり?」
『おー、アカくんだー! でもシロくんとアカくん揃った状況だと何が起こるか分からないね、凄く怖い』
やべぇ、いつもポヤポヤしてるクロスがガチで恐怖で声を震わせてる。
「………あの災厄を超えた災禍までそう言わしめるか。それはそれで楽しそうだが、おそらく本格的な二天龍の戦いを始めることは無いだろう」
「その言葉、信じるからな。で、この今代の赤龍帝、兵藤某をどうしたいんだ? 殺すのはナシだかんな、悪いけど」
「逆だ。彼を、『禍の団』に勧誘して欲しい」
「…………は?」
いや、言ってることは分かるけど…………え、えぇ?
「赤と白を同じ陣営に揃えるつもり? そりゃちょっとナンセン──────ッ!!?」
突きつけられた、資料のとあるページ。
兵藤一誠というこの青年は、堕天使に中の神器を警戒されて殺されてしまい、転生悪魔として蘇ったという。
…………なんとまぁ、親近感の湧くポジションよ。
同じく堕天使に、神器絡みで殺されかけた身としてはね。中身がドラゴン系神器ってのも、ちゃんと復讐も終わってるところも。
幾ら俺が両親を殺したのが俺の罪だと自分に思い込ませても、やはり堕天使に対して思うことはある。だから、俺は。
「…………タダ働きでいい。その代わり、失敗しても文句言うなよ」
「助かる」
最後に作戦の資料を投げ渡され、それをカバンに入れて何も言わずに退室する。
「…………準備しなくちゃな」
『……………………』
ポヤポヤ相方は何も言わない。
ただ、周囲には壊れた歯車を回すような、耳障りな金属音が響き始めた。
「…………あいつ、なんだかんだ例の神器絡みの件について何も言わずに逃げたな?」
あ、暴露た?