独眼機龍の十字砲禍《クロス・ファイア》 作:cmVkem9uZSE=
神器を通して伝わる、パンクしそうになる程の情報量。半分をクロスに肩代わりしてもらいつつ、俺は必死こいて情報処理に徹する。
「6aeS546L5a2m5ZyS4oCm4oCm4oCm4oCm6aeS546L55S644Gr5a2Y5Zyo44GZ44KL5YWD5aWz5a2Q5qCh44Gu5a2m5ZyS44Gn44GC44KK44CB44Kw44Os44Oi44Oq44O85a6244Gu5omA5pyJ54mp44CC5a2m5ZyS44Gu44OI44OD44OX44KC44G744Go44KT44Gp44GM5oKq6a2U6Zai5L+C6ICF44Gn5Y2g44KB44KJ44KM44Gm44GE44KL44CC5pmu6YCa44Gu5Lq66ZaT44Gu55Sf5b6S44KC5Zyo57GN44GX44Gm44GE44KL44GM44CB44Oq44Ki44K56YGU44Gu5q2j5L2T44GM5oKq6a2U44Gn44GC44KL44GT44Go44KS55+l44KJ44Gq44GE55Sf5b6S44GM44G744Go44KT44Gp4oCm4oCm4oCm4oCm」
『44GE44KE44G+44GV44KE44KT44CB44Gd44KM5L2V6Kqe77yf(いやまさやん、それ何語?)』
「ちゃっかり同じ様に返すお前には言われたきゃねーよ」
それはともかく、『隠連防』の押し付けが成功した俺たちはホクホク顏だ。なにも、アレは只々隠蔽するためだけの神器外部装置なのではないのだ。
なにも、
てなわけで、今俺の元には駒王町並びにリアス・グレモリーとその眷属の情報がまるっと流れてきているのだ。
卑怯? 汚い? なんとでも言え。生きることすらままならない世の中で、全力を尽くさない方がおかしい。
「それにしたって情報多過ぎィ…………つかあの赤龍帝なんなん? パイオツでパワーアップとかエロゲファンタジーの主人公かよ」
『もしこんな奴がラノベ主人公とかやってたら、挿絵が際どくなりそうだね…………』
で、アニメ化した時に謎の光が邪魔して、ディスクでそこが取っ払われるというオチと見た!
「しかし、とはいえ……」
『うぅん……』
今代の赤龍帝『兵藤一誠』に目立った才能は無い。特に戦闘に関する才能に関しては絶無と言っていい。悪魔に転生すればそれなりに与えられる魔力もカス程度。まあ良くも悪くも一般人だったから、まあ納得できなくもない。
『『
「…………ああ」
神器は所有者の魂と結びつき、所持者が使いやすい様にチューンを繰り返していく。が、やはり神器との相性はある。ランダムに配布されるとはいえね。神器との相性は、馬鹿にならない。相性が良ければ良い程、神器は想いに応えてくれるし、進化、成長を繰り返してくれる。その相性を数値化したモノを、俺は便宜上『適合率』と仮称。英雄派に所属する神器所有者、その全てのデータを取った上で体系化することで、誰でも簡単に適合率を算出することに成功したのだ。
その時々によって適合率は誤差の範囲で変動するものの、基本的に決まった数値だ。
それを踏まえた上で…………。
「発現時の適合率は42%…………この時点でかなりヤバい」
『平均的な適合率は32%、発現時は1桁台が当たり前…………バケモンかいこのおっぱい紳士』
「現在に至っては75%オーバーだ。なんだこれ。つか成長し過ぎワロス…………だのに神器の稼働率が9%というチグハグさ。これはどういうこったい?」
『知らね。ちゅーかアレじゃない? 単純にこのおっぱい紳士がアカくんと相性がいいからじゃね?』
「それはあるかもなぁ…………」
確かに、適合率の他に目を見張る数値として、ドラゴンとの融和率も高い。まあこれは片腕がドラゴンと化しているという情報から、おかしなことではなかったんだけど。でも一部とは言えドラゴンとなってしまったんだ、これからどんどん心身ともにドラゴンへと引っ張られていくだろう…………ドラゴン寄りへとなっていくということは、赤龍帝ドライグとの相性も良くなっていくことだろう。そうなると、適合率のこともあるし、何が起こるか見当がつかん。それが例え、現在神器の稼働率が1割にも満たないとしても、だ。
「侮ってはいけないな…………まあだからといって忠告はしないけど」
『あり? なんでさ?』
「
俺は、禍の団英雄派に世話になっているが、奴らと思うところを一部共有した同士ではあっても仲間ではない。情に絆されることはあっても、完全な協力体制を敷いたわけではない。
対して、赤龍帝:兵藤一誠と俺の接点は皆無。だが、彼に対しては神器によって人生を狂わされ始めているという共感を感じてる。死なせたくない程度には。
「ま、それは勧誘が失敗したらの話さね。というわけでもう一回行くぞ、駒王町」
『ふぅん…………まあまさやんの決定に否はないけど』
そう言って、クロスは言ってはならんことを言った。
『適合率に自信があったからって、それ以上に適合率の高い奴がいることを報告しないってのは、いささか子供っぽくはないかな、63%の伊達政矢?』
「きぃぃいいいっ! ポッと出に負けて悔しいと思うことの何が悪い!?」
◆◆◆
というわけでまたまたやってまいりました駒王町。前回から3日程ですが、町の空気が何故かガラリと変わっているのはどーしてなのでしょう?
…………いや、答えは分かってんさ。現魔王が今、この町にいる。
「困ったなー、勧誘できないなー」
『棒読みで言われても困るんだけど。つか積極的に誘う気ないの?』
「たりめーだろ? テロ組織だぞ?」
『そのテロ組織に客分として厄介になってるのはどこのどいつ?』
「ここのこいつ〜」
まあ、そんなやりとりは置いておいてだ。
現在、俺は某有名バーガーチェーン店の中にいる。ガキが時間潰すにはもってこいの場所なのである。
そして、今回は偽装もなにもしていない。それはおろか、ドラゴンにしか分からないとは言え、クロスが盛大に気配をばら撒いている。赤龍帝くんを呼び出すために来てるからね。
『でも、これでいいの? もしかしたら、グレモリーまで来るかもよ?』
「かもしれないな」
でも、今日はなんとなく1人で来る気がした。当てにはならない俺の勘である。
『あてにならない勘に身を委ねるあたり、まさやんは本当にどーしようもないなー』
「新刊お預け?」
『ご勘弁を』
はっはっは、ラノベオタクは御し易くて楽だなぁ! ま、俺も同じ穴の狢だけどな。いや、蜥蜴? 龍?
『んー、僕はいいけど、ドラゴンに向かって蜥蜴とか言っちゃダメだよー? 逆鱗逆撫でってレベルじゃないから』
「俺も相手は選ぶよ」
そう、例えば赤龍帝くん相手に、そんなことは言えないさ。
と、いうわけで、
「やあ、この間振り」
「マ、マジでいた!?」
おう、その反応はねーんじゃねーか?
◆◆◆
偶にしか当たらない勘は、見事に当たったらしい。赤龍帝くんは1人で、俺の隠連防を持って俺の座っている席までやってきてくれた。
「本来ならこちらから伺うところ、出向いてもらってありがとう。お礼、と言ってはアレだが、コレで好きなものを頼んでくれ」
そう言って俺は、懐から紙切れを一枚押し付けた。諭吉さんである。
「ちょ、確かに折角部長のおっぱいをたんの……ゲフンゲフン。部長との親密なコミュニケーションを取ろうとしたところで呼ばれてイライラはしてたけどよ。でもさすがに………」
「安心してくれ、釣りはやる」
「悪化した!? 流石に多いって言うのが伝わらなかったのか!?」
「そんなに多いか? 別に気にする額じゃないぞ? それに俺の出費は大体ラノベとかだけだからよ、金を使う機会に困ってんだ。てなわけで遠慮なく受け取ってくれ。…………そうさな、日給1万円のバイトをしたとでも思ってくれたら、それでいい」
「…………まあ、そこまで言うなら」
そう言って、赤龍帝くんは店のカウンターの方へ向かい、5分もしないうちに戻ってきた。持っているトレーには、新メニューのテリヤキ系ソースのバーガーセットだ。1度食べたが、値段と味が釣り合わなくてげんなりした。美味しかったけど、もうちょい安くてもいいんじゃね? って感じだ。
「食べる前にこういうことを言うのもアレだが、それ値段と味が釣り合ってないぞ。美味しいけど」
「あー、こういう期間限定メニューだと良くあるよなそういうこと。俺も余裕があるときにしか手は出さない」
そう言って、赤龍帝くんは手を合わせ、いただきますと言った後、バーガーの包装をめくってかぶり付いた。
そして、何度目かの咀嚼の後、その目には納得の色が灯った。
「……うん、美味しいけど、だな」
「テリヤキ系が好きなら何回でも頼みそうだけどな。ま、それなら普通のメニューの方のテリヤキバーガー食べろよって俺は言いたい」
「そうだなぁ」
さて、ここまでのやりとりを鑑みても、やはり赤龍帝くん……いな、兵藤一誠くんは普通の人間だ。あ、転生悪魔だったか。でも感性は間違いなくそうだ。
彼はドラゴンをその身に宿している。それも超ド級の。それが意味することは、厄介事が向こうから手を振ってやってくるという事だ。それに、彼が耐えられるのかどうなのか。まあ、今の俺が気にすることではないか。
「そういえば、まだ自己紹介すらしてなかったね。元々、もう会うつもりが無かったから、なんだけど。初めまして、俺の名前は伊達政矢。君の神滅具に似た、ドラゴンを宿した神器を持ってる、ちょっとマッドな研究者だ。気軽にまさやんとでも呼んでくれ」
「マッドな研究者……」
「ん? なんか思うところでもあんの? ……あ、安心してくれ。治験ならともかく、無闇矢鱈に人体実験する外道じゃないから。だろう、兵藤一誠くん?」
「っ! お前、俺のこと、」
「ああ、知ってるとも。いや、正確には3日前に顔を合わせてから調べた、と言うべきか」
ちょっと不用意に言葉を漏らしてしまった。反省。警戒されてしまった…………が、問題はない。
「名刺があるわけじゃないんだけど。とある人間の神器所有者達が集まるサークルに俺は所属しててね。昔、神器絡みで困ってたところを救われてから、ずっと世話になっている。そこで俺は、それなりに良いこの頭脳を買われ、神器研究をしてるってワケだ。君の持ってるその『隠連防』もその副産物さ」
「へぇ……そういうグループもあるんだな。でも、それで俺を知ってる理由にはならねーぞ?」
「そこは独自の情報網があるってことで。あと、神器を持ってるか持ってないかを判断するための装置もあるしよ。ま、怪しいと思われても仕方がないことは理解してるよ。だから俺の話は半分ぐらいは聞き流してもらっても構わない」
実際怪しい上に危ない組織だしねぇ。
「そして、今からする話も半分ぐらい流して欲しい。俺としても、半分は乗り気じゃないからな」
「な、なんだよ」
「なに、勧誘ってやつさ。ウチの神器所有者達のサークルに、君も来ないか? ってことだ」
そう言うと、兵藤一誠くんの顔付きが鋭くなった。いつの間にか、『
「……お前も、これが狙いなのか?」
「まさか。確かに赤龍帝がいてくれたら、神器研究も捗るけど、そっちに関してはそれだけだよ。俺は、あとほかの連中も神器所有者ってだけで殺しはしない。特に、俺は」
そこで俺は、ポケットに手を突っ込み、1枚の写真を取り出した。
「これ、10年ぐらい前の。俺と、父さんと母さん」
「…………?」
「分からないって顔してるね。ま、それだけじゃ分かんないのは当たり前だ。簡潔に言おう、両親は俺に殺された。俺の中にある神器に目をつけた堕天使が2人を人質にし、どうしようもなくなった時に、父さんと母さんが自分ごと撃てと言うから、撃った」
「……ッ!」
今度は、悲しそうな顔を浮かべ、そして少し、同情。
「…………ごめん」
「謝らないでいい。それを言うなら、君は奴らに殺された側だろう? その情報もこちらで把握している。まあ、そう言うワケで俺は、君に親近感を覚えているんだ。神器に、堕天使に人生を狂わされた同士としてね」
とは言え、相棒に対して恨みを抱いてるワケじゃないけど。そこは本当に、運が悪かったのだと諦めてる。
「だからまあ、サークルの会長には君の勧誘を頼まれたけれど、俺自身はあまり乗り気ではない。別に俺たちにはバックボーンになる組織があるワケじゃないからな。君自身の安全を考えるなら、眷属悪魔として生きていく方が良いに決まってる。まあ、一研究者として、君の神滅具に興味がないワケじゃないが、それ以上に君にはなるべく真っ当に生きて欲しいと思うんだよ」
と、ここまで喋ったところで、紙コップに入ったお茶で喉を潤し、机の上に置かれた隠連防を手に取り、カンカンと机で鳴らす。これで、気配遮断機能以外は綺麗さっぱり消え去った。
「それで、どうする?」
「申し訳ないけど、その誘いには乗れない。お前の言う通りにってわけじゃなくて、なんだけど。今の居場所には守りたいヒトと、仲間がいるんだ」
「……ふふ、そうかい。守れると良いな」
少なくとも、俺のように大切な人を自分の手にかける様なことにはなって欲しくない。
難しいとは思う。なにせドラゴンだ。しかし、彼ならばやってのけるのでは、と思う。それは手に入れた情報からも、実際に会った印象からも、そして直感からも。
「でもさ、俺、お前とならダチになれんじゃないかって思ってる」
「…………はぇ?」
想定外の一撃に、思わず変な声が漏れた。兵藤一誠くんも、クサいこと言った自覚があるのか、「なに言ってんだ、俺」とつぶやきならがら、頭の後ろをかいている。
「……申し出はありがたいが、俺、ぼっちに見えたわけ?」
「ちげぇよ!? もっとこう、アレだよ! なんていうか…………!」
「あはは、ごめんごめん。ありがと、素直に嬉しいよ」
そう言って俺は、またポケットに手を突っ込み、メモ帳とボールペンを取り出す。そして、ケータイの番号とメルアドをサラッと書いて渡す。
「それでは俺は、君のことは何と呼べば?」
「イッセーって呼んでくれ。仲間とかダチは、みんなそう呼んでくれる」
「ではお言葉に甘え、イッセーくんと。よろしく」
「おう! よろしくな、政矢!」
そう言った彼の顔は、実に明るい太陽の様なものだった。悪魔なのにね。
◆◆◆
親交の証として、隠蔽機能のみになった隠連防を渡し、後で絶対連絡するからなー! と再会の約束を取り付け、俺はまた1人になった。
『良かったの?』
「なにが」
『すぐに裏切ることになると思うけど』
「裏切りはしないよ、少なくともイッセーくんは」
それに、仮に敵対したとしても嘘をついたわけではないからね。意図的に隠してるけど。
「それに思うんだよ。敵同士でも、友情は成り立つって」
『友達でも味方になるとは限らない、ってか?』
「おうよ」
ギャリギャリと、壊れた歯車をすり合わす様な音が聞こえ始める。
「改めて思った…………やっぱ堕天使は、害悪だなって」
『……まさやん』
それは、怒りの音。俺の感情に当てられた十字砲禍が、呼応する様に鳴る。
「無論、全員が全員、同じことをしてるとは思わない。けど、確かに危険な神器を持つ所有者を、なんの容赦無く殺している奴がいることは間違いないし、それを咎める組織ではないことも間違いない。…………運が悪かった、で殺されたり殺してしまったりして、たまるもんかよ」
一回、奴らは自分達の罪を思い知った方が良いと思う。悪戯に、悲劇を振りまけばどうなるのか。
「イッセーくんは良いヒトだったね。多分彼なら、殺されたことを怒りはしても、良い思いをしてるとかなんとか言って、自分のことは気にしないんだろうと思うよ。でも、死んだことで背負わなくていい苦労も背負ったはずだ。これからも負うだろう。あんなに、普通の良いヒトが」
ギャリギャリという音が、さらに大きくなる。それに反比例する様に、頭は冷えていく。
「今回、適当に流そうかと思ったけど、そんなわけにもいかなくなった。…………全力全壊だ。
『……うん、僕もがんばる』
『